ベルリンの壁崩壊から20年
本当に月日の流れは早いもので、ベルリンの壁崩壊から20年なんんだという。一連の東欧やロシアの民主化が進んだのが89年。それまでの常識が一気に崩れて新しい世界の土台が形成されたのがこの年だ。日本でもこの年の頭、昭和から平成へと年号が変わっている。社会主義諸国の民主化の影響は政治や経済だけの問題にとどまらない。地理教育の世界でも、それまで覚えてきた世界の常識や、東西の枠組みが一気に変わってしまったことで生徒は混乱しただろう。旧ソ連諸国や旧ユーゴ諸国が次々と独立したことで、国の数は増える。覚えなければいけない首都も増えるし、これまで覚えてきた都市名が変わったケースもある。当時の受験生などは大変だっただろうな。。。それ以上に、「社会主義諸国」ということで社会・経済システムがひとくくりにされていた多くの国が民主化されたことで、民族に根ざした「その国独自の個性」が初めて表面化した。これで学ばなければならないことが飛躍的に増える(笑)でもこれは本来の地理学が重視する地域的特性がはっきりと表れることであり、だからこそ面白いともいえるのだが。20年後の現在、特に経済面で大きな問題を抱える旧東側諸国。すべてがうまくいくわけでもなく、そこには様々な人々の苦しみがある。しかしそれでも、本来「地域」に暮らす人々がその「地域の個性」に根ざした生活をすることは人間の原点なのかもしれない。そういう意味では、あの89年が一つの前進であったことを否定してはいけないのだろう。人は常に幸せを模索し続けるもので、それゆえに社会は常に変わり続ける。日本もまた、その真っ只中にあることを忘れてはいけない。