古座川町が津波ハザードマップ作る 海なくても浸水
和歌山県古座川町は、県が昨年3月に発表した「南海トラフ巨大地震」と「東海・東南海・南海3連動地震」の想定を基に、津波ハザードマップ(災害予測地図)を作成した。津波浸水域や浸水深、津波到達時間、避難場所などを示しており、町内の全世帯(約1600世帯)に配布する。町総務課は「マップを見て津波に対する危機意識を持ってもらい、地震発生時は早めの避難を心掛けてほしい」と話している。2011年に発生した東日本大震災を受け、県が発表した新たな想定でマップを作成。津波浸水域を浸水深別に色分けし、津波到達時間や避難場所を記した。指定避難場所の安全レベルも示した。津波避難の3原則や避難の心得、非常持ち出し品リスト、避難経路を記入するメモ欄などを設けた。津波の特徴や発生のメカニズム、警報と注意報、土砂災害の種類と前兆現象についても説明した。サイズは縦約85センチ、横約60センチで、八つに折りたためる。事業費は262万5千円。そのうち42万5千円は県の補助。2500部作った。町内の全世帯や町が加盟している紀南地域防災連絡協議会の市町村などに配布する。25日の町区長連合会で各区長に渡し、各区長から町内の全世帯に行き渡るようにする。同町は海に面していないが、県の南海トラフ巨大地震の想定では、津波は古座川をさかのぼって最短6分で到達。浸水深は最大で3メートル以上5メートル未満となっている。町総務課は「津波で浸水する地域は、町内では一部だけだが、津波が発生したときに自分がその地域にいるかもしれないと考え、知識として認識してもらいたい」と話している。(紀伊民報より)------------------------------海がない街での津波ハザードマップは確かに珍しい。津波が川を遡上するケースは東日本大震災をきっかけに一般にも注目されるようになった。石巻市の大川小学校でで多くの児童が犠牲になった事故も、津波が北上川を遡ったことによるもので、小学校自体は海岸線からは4km程度入った場所だった。また、荒川の河口から20km遡った埼玉県川口市でも1.2m水位が上昇しており、内陸においても津波の危険があることを示した。古座川の場合は想定浸水深が最大で3~5mと大きく、南海トラフ地震では津波が必至とされる紀伊半島だけに、遡上を認識しておくことは重要。浸水深についてはもちろんだが、それ以上に「ハザードマップを作成した」こと自体にメッセージとしての意味があるように思う。