投稿した猫写真から漏れているプライヴァシー:ネットはあなたの居場所を知っている
ネット投稿された100万枚の猫写真のメタデータから、猫の居場所をマッピングする「I Know Where Your Cat Lives」。人々がウェブのあちこちにいかに多くの個人データを残しているかを浮き彫りにするプロジェクトだ。「I Know Where Your Cat Lives」(わたしはあなたの猫がどこにいるか知っている)は、一般の画像ホスティングサイトに投稿されるファイルのメタデータをもとに、猫の居場所をマッピングする実験だ。猫たちの現在地を表示する大規模な地図という形式を取っているこのプロジェクトは、ウェブのあちこちにわれわれが残している個人データがどんなに多いかを浮き彫りにすることを目的としている。フロリダ州立大学芸術学部のオーウェン・マンディー准教授は、コンピューター科学者のアリッサ・マクシェーンとともに、公開された猫の写真100万枚のサンプルを地図に取り込んだ。画像に付いてきた緯度と経度のメタデータのおかげで、場所の特定ができる。「Flickr」「Twitpic」「Instagram」など人気の写真共有サイトや「それに類するものいくつか」に投稿された画像に関して、スーパーコンピューターでクラスタリング・アルゴリズムを実行した。猫たちの写真に含まれるデータは、その飼い主がいる場所も明らかにしている。公開サイトにタグ付きで投稿された猫画像は1,500万件以上もあるが(マンディー准教授がマップ化した100万件はそのサンプルだ)、それらの写真は飼い主がいる場を、推定誤差7.8mの範囲内で表示している。毎日のデジタル生活の中で、われわれは意識しないまま、多くのデータを垂れ流しているが、このプロジェクトはそれを意識化すべきだと主張しているのだ。それぞれの人は、I Know Where Your Cat Livesから猫の写真を削除する権利がある。画像のホスティングサイトで写真のプライヴァシー設定を変更すればいいのだ。人々がネット上で無意識のうちに個人情報を流出させていることを示そうとするプロジェクトはほかにもある。「Please Rob Me」(どうぞ空き巣に入ってください)は、位置ベースでメッセージを表示する「Twitter」の検索機能を利用して、個人が自宅にいない可能性を教えるものだ。2013年には、同趣向のウェブサイトがふたつ登場した。「GeoSocial Footprint」と「Ready or Not」は、ユーザーがツイートした位置のデータを世界に知らせることができる。さらに気がかりなのは、バーミンガム大学のチームがつくり上げたアルゴリズムだ。これは、蓄積された位置データを利用して、個人が24時間後にいるであろう場所を、誤差20mの範囲で予測できるという。(msn産経ニュースより)------------------------------我々が普段何気なく投稿している記事やツイートが、実はプライバシーを垂れ流していることを意識化するためのプロジェクト。趣旨からすると猫でなくてもよさそうだが、猫という比較的SNSで扱われやすい(それも年齢や男女を問わず多く投稿される)対象を取り上げることで、より身近な問題であることを示す効果はある。しかし「I Know Where Your Cat Lives」などはまだ周知方法としてはソフトな方で、「Please Rob Me」(どうぞ空き巣に入ってください)なんてのはかなり強烈な風刺になっている。「個人が24時間後にいるであろう場所を、誤差20mの範囲で予測」なんて、アルゴリズムがどうあれ、字面だけでも十分に怖い(笑)人の行動は結局のところ単純なパターンの繰り返しから成り立っていることが多いのでビッグデータ解析などから割り出すことは案外簡単なのかも知れない。何というか、世界中から見られている(かも知れない)ことを意識しながら生きていくのはあまり気持ちいいもんじゃない。もちろんベネッセ事件のようなケースもあるわけで、単純にSNSや位置情報だけの問題ではないとしても、利用する以上はリスクをきちんと認識しておくにこしたことはない。