Google が浪江町のストリートビュー画像を公開、町長の馬場氏「ありのままの姿を避難中の町民に知らせ、世界へ発信」
米国 Google は、東日本大震災に関する記憶を保存/公開/共有する活動「未来へのキオク」の一環として、福島第一原子力発電所の事故にともなう警戒区域/計画的避難区域にある福島県双葉郡浪江町のストリートビュー画像を地図サービス「Google マップ」で公開した。 浪江町は、現在半分の地域が福島第一原発から 20km 圏内にあたる「警戒区域」、残り半分が「計画的避難区域」に指定されている。今なお町民2万1,000人が全国に避難している状況だ。「ふるさとの現状を町民が把握し、また、原発事故の状況を世界に向けて発信したい」(浪江町町長の馬場有氏)という要望に応え、Google が撮影した。 当初 Google は「ストリートビューの撮影には数週間程度かかり、数か月後に公開する予定」としていたが、撮影開始の発表から1か月もかからず公開に至った。Google は、馬場氏から画像公開に対して寄せられたコメントを公式ブロクで紹介している。その一部を以下に引用する。 「震災から 2 年経過した今でも、浪江町には自由に立ち入ることができません。多くの町民から、ふるさとの状況を見たいという声があります。また、世界的にも原発事故の悲惨な状況を映像で見たいという方がたくさんいらっしゃると思います。」 「Google の協力で、今回ストリートビューで町のありのままの姿を多くの町民の皆さまにお知らせできること、世界に発信できるということをとても、嬉しく思っています。」 「震災後も、世界は未来へと進んでいます。日本も、東日本大震災を教訓にしながら復興へ歩み始めています。しかし、浪江町は震災から時が止まったまま、原子力災害のため 2 年が経過しても応急的な処置しかできません。町の現状をご覧いただき、その重さを感じていただければ幸いです。」 「最後に、私達は約束します。原子力災害からの復興には、長い年月と多くの人々の協力が必要です。しかし、私達はふるさとを取り戻すことを決して諦めません。」 また Google は、ストリートビュー撮影について語る馬場氏のビデオを YouTube で公開しているが、同じ状況にある双葉町、大熊町、富岡町のストリートビュー画像撮影/公開を望む意見がコメントとして投稿されている。 (japan.internet.comより)------------------------------当初この計画が発表された際に、当ブログで「何のためにするのか分からない」と疑問を投げかけたかと思うが、こうした明確な目的の基に意志を持った発信が出来るのであれば、これはありだと思う。そのツールとしてストリートビューが機能するのはそれも凄いことだし、そこには地理空間情報の新たな可能性を見出すことができる。人っ子ひとりいない町と手つかずで残された被災地。浪江町の住民が何を思うのか、そしてこの画像にどんなメタメッセージがあるのか、そして世界の人々がこの画像から何を感じるのか。ストリートビューがこれほど雄弁で会ったことに今更ながら驚いている。