勝新太郎の代表作 座頭市シリーズの記念すべき第1作「座頭市物語」
これは1962年に公開された座頭市シリーズの第1作である。原作は子母澤寛の随筆集『ふところ手帖』に収録されている僅か数行の文章だ。シナリオは犬塚稔だが、これを膨らませるのに相当な苦労をしただろうことは想像に難くない。座頭市の人物の創造と居合斬りの設定、浪曲「天保水滸伝」から侠客の抗争と登場人物・平手造酒を座頭市にからめ、ほとんどオリジナルの脚本になっている。アクション・バイオレンスとして人気を呼んだ”座頭市”だが、それは座頭市の正義感と勧善懲悪に負うところが大きかったのではないかと思える。我慢に我慢を重ねた市が悪に鉄鎚を下す場面にはほとんどの観客が快哉を叫んだのではあるまいか。いま見ても充分見応えのある作品に仕上がっている。アクション物の好きな人は見逃すべからずといいたい。[1962年大映]【VHS】座頭市物語[01]●監督:三隅研次//勝新太郎/天知茂/万里昌代/真城千都世 【中古】(ビデオ)お話はこうだ。盲目だが居合の達人であるヤクザの市(勝新太郎)は、下総の貸元、飯岡の助五郎(柳永二郎)のところに草鞋を脱いだ。親分は留守で雑魚部屋に通された市は、丁半博打で彼を騙そうと計る飯岡の子分たちから逆に金を巻き上げる。市の吐く正論に子分たちは言葉も出ない。子分の一人、蓼吉(南道郎)が市を殺そうと後を追いかけるが、戻って来た親分・助五郎に出会う。助五郎は、笹岡の繁造(島田竜三)一家と対立しており、かって市の居合を間近で見たこともあって市に長逗留を勧めた。市の身の周りの世話には蓼吉が命じられた。ある日、近くの溜池へ釣りに出かけた市は繁造一家の用心棒で労咳病みの浪人平手造酒(天知茂)と出会う。不思議に気の合った二人は酒場で盃を傾ける。父親と小さな小料理屋を営んでいるおたね(万里昌代)は蓼吉の妹だが、蓼吉の兄貴分にひつこく言い寄られ困っていた。その夜も危ないところを市に助けられ、他のヤクザとは違う市の優しさに触れ好意を抱く。数日後、笹川の用心棒・平手が吐血して倒れたと聞いた助五郎は、急遽笹川との出入りを決意、子分に支度をさせる。風雲急を告げる抗争はどうなるのか? 市と平手の対決は???監督はカットのつなぎ抜群の三隅研次。