古典的ラブコメディの快作!! 「或る夜の出来事」
家出した大金持ちの娘と失業寸前の新聞記者との珍道中の間に恋が芽生える。父の反対を押し切ってニューヨークの恋人のもとに向かおうとするお転婆娘エリー(クローデット・コルベール)は大陸横断バスに乗り込むが、このバスの中でピーター(クラーク・ゲーブル)と知り合う。バスの故障で安宿に夫婦と偽り泊まる羽目に陥る。ピーターは2つのベッドの間を毛布で仕切り、安心して眠るようにエリーに云う。高くて厚い壁、”ジェリコの障壁”と名付けた毛布の向こうからエリーが聞く。「あなたの名前は? あなたは誰なの?」「俺か? 夜は強いタカ、朝は君の頬をなでる風さ」ウイットに溢れたこのセリフはきっとエリーの胸にやさしく響いたことだろう。またピーターが本当に好きな女性が現われたら、太平洋の小さな島に連れて行きたいと夢を語るシーンがある。「夜になると月と波と彼女が一つになる、大自然に溶け込むんだ。そこに住みたい」ピーターの言葉にエリーが思わず毛布を越えて、「私を連れて行って」と叫ぶ場面が印象に残る。この映画は名セリフの宝庫と云えるだろう。口下手な人はこの映画で洒落たセリフを勉強するといいと思う。ピーターがヒッチハイクの講釈を垂れる名場面は笑わせてくれる。ともかく一級の作品だ。1934年 アメリカ モノクロ 監督 フランク・キャプラ 出演 クラーク・ゲーブル クローデット・コルベール