今年の一番!
百一才の夏ほどほどに趣味も仕事もほどほどに百一才の夏さわやかに今年の夏、新聞の連載記事「元気100歳」に載った西村富志子さんが詠んだ歌である。西村富志子さん、御年百一歳。欲も華美もはるか遠い昔の事であり、ただ心の有り様だけをそのまま詠んだ歌であるが、実に美しい。心から感動した。今年もたくさんの詩歌に触れた一年であったが、これほど素直に感動したものは他にない。もちろん、与謝野晶子さんの歌のようにうならずに読まないではいられないようなうまい歌もあったし、何度読んでも琴線を刺激する山頭火の句もあった。しかし、人としての美しい心にこれほど感動したものはこの他にはない。私の今年の一番である。願わくは、西村さんにはつつがなく新しい年をおむかえいただき、「百二才の夏」を詠んでほしい。そして出会いの一番は、ここに御座す聖観世音菩薩だ。某寺の本尊である。秘仏ではないが、理由があってめったに開帳されることはない。仏縁があり、私はそれを拝む栄を賜ったのだ。室町の足利執権の寄進によるものだそうだ。拝謁がかなったのは私が屈託を抱えていた時だけに、聖観音には度していただいたという思いを強く持っている。私だけの私にとっての事ではあるが、出会いの一番はこの聖観音である。今年もあと十日あまりである。後は怒涛のごとく過ぎてゆくであろう。今年もアレコレあったが、心をゆさぶる一歌と依怙なる聖観音を得る事が出来たのは何よりであった。まずは上々の一年に感謝合掌。健康に留意して無事に年を越したい。