思想あるものづくり
奇抜なファッションの若者2人組の1人対して、マツコさんが「彼のファッションには、”思想"があるわよね」と表現したことが、とても印象に残っている。おしゃれなのかも、もうよくわからない感じの人だったのだけど、そう、観ていて「思想」を感じて、「いいんじゃない」という気持ちになる若者だった。「目立たなくても、健やかな作品」この思想が、自分が目指すべき在り方だということを夫が持ったきっかけは「民藝」でした。その民藝の思想とものづくりを大切に、大切にされていた職人であり、思想家でもいらっしゃる翁が旅立たれました。いつでも、その思想を生き様に写して、貫こうとされている方でした。最後にお会いしたのは、おとどしだったと思います。ご来店くださって、お茶を飲みながら、「ここは、いいお店だなぁ」とつぶやいた御姿。「いいお店ですね」と言われるのとはまた違うつぶやきが、目指しているものが伝わるよう少しでも表現できているんだという喜びを与えてくれました。一生の励みとなります。いつでも、師への感謝を口にされていた翁。その姿が、私たちの師であります。偉大な方の旅立ちはとてもさみしい。けれど、残されたものがたくさんあって、それを繋いでいくであろう人々がたくさんいて、確かに次世代へとバトンを渡されたのだなと清々しい気持ちをいただきました。