渡海奈穂「失恋竜と契約の花嫁」とまどいのキス・この世界の誰よりも
【内容情報】(「BOOK」データベースより)フィーナとラースの仲をさらに深めたトルバテフからの帰り道、一行は魔法学校の同級生・ナインの故郷・グナン村へ立ち寄ることに。ナインとの思わぬ再会を喜ぶフィーナだったが、村人たちは皆冷たく、どこか不安げな雰囲気だ。なんでも古くから信仰している“ルフォス様”の神託を告げる巫女が長い間現れず、このままでは災いが起こると怯えているらしいのだが-!?一方、セツが契約を迫るほどの勝気な美女が出現!彼女の意外な正体とは!?竜と人の恋を描く大人気シリーズ、新章第三弾。【内容情報】(「BOOK」データベースより)湖の館に帰省したフィーナは、両親に婚約者としてラースを紹介!突然現れた娘の恋人に殺気立つメリルと大喜びのスウェナ。しかし、半魔属のフィーナの力を狙って契約を無理強いしようとする魔法使いの存在を聞くと、和やか(?)だった雰囲気は一変。メリルはフィーナを守るために「人間にする」と苦渋の決断をする。けれどもそれは同時に、彼女から家族や友人、そしてラースとの記憶を奪ってしまうものだった。愕然とするフィーナが下した決断とはー!?竜と人の恋は感動のフィナーレへ。フィーナ編1冊目を読んだ時は、セツといとこ(初恋のお姉さんの娘)がくっつくの?と思ったりもしたので、「とまどいのキス」を呼んでほほほぅ、とニヤニヤしちゃった。そうか、こっちの魔法使いの女の子とか。歳の差!(実年齢は当然として、見た目的に)萌える!異国からやって来た美女は、閉鎖的で独特な魔法使いの一族。そしてなんと誰も知らないフィーナの真名をわかってしまう程の力の持ち主で……美女さんがはぐれになっていたから実害はなかったものの、一方的にフィーナと主従の契約を結べるほどの力の持ち主(集団)が居るということで、猶予なく焦りだすフィーナの周囲。と共に、知らされる特異性と怒涛の展開に冷や冷やです。幼少の描写から想像できるように、フィーナってば断然母親似(ヒト)なのでしたというね。セツのような魔物の特性はさっぱりで、竜としての能力は遺伝せずだそうで。で、フィーナを守るためには完全な「ヒト」に作り変える必要があって、その結果としてフィーナの記憶や竜・魔法に関しての知識が消えてしまう可能性大だなんて。わたし…もっとしっかりして頑張る…!!とか言ってた先に、そんな時間が全て消去される展開になるとは驚きました。。うわぁ。。最終的にはおぼろげに思い出せるようになったようだけど、なんか性格も変わってるしー。当然ながら長い長い寿命もなくなったので、ラースと一緒の時間を過ごせるというのも、魔力と魔法の知識がなくなったので、最初に王様に心配された魔法使いを王室に入れる、という危機感もなくなったし、ラースと居るというためにはいいかもしれない。が、ここまでずっとフィーナの話を読んできたのに、それらのエピソードを経験してきたフィーナが居なくなるというのは…すっきりしないわーどんなことがあってもフィーナはフィーナとか、変わってもフィーナが好きとか、登場キャラはそうだろうけど、でも読者の私はそうじゃないのよ!なんてね。見所は父母の愛の深さでしょうか。早々にフィーナの体質とそれによるフィーナの危険に気づいた二人は、ずっとずっとどうにかしようと方法を探していたそうな。各地の魔法使いに会いに行くと言いつつラブラブデートだと思っていたら、それも強い魔法使いの現状と、彼らがフィーナ(竜伯爵と伝説の魔法使いの娘という器)をどうこうしようと思っていないかということの確認の旅だったようで。いよいよフィーナに全てを知らせて、ヒトになる道を選ぶしか……というところになると、これまでのイメージをかなぐり捨ててのスウェナの乱心!先に死んじゃうただのヒトになんてしたくない!絶えられない!と大好きなメリルも捨てて、二人っきりで暮らしましょう、お母様が守ってあげる、フィーナは何も心配しなくて良いのよ……とヤンデレ全開。スウェナってばこういう思考を一番嫌いそうな芯のあるタイプだと思ってたんだけどなぁ。意外な面が見れて、非常に興味深かった。こわーい。これで終わりで次が番外編みたいな扱いだと思っていたのだけれど、次巻も読んでみたらあれを読んでようやく完結って感じでした。やっぱり最後まで私がフィーナをそんなに好きじゃなかったというのもあるだろうけど、これでENDとするにはスッキリしなさ過ぎるのだよ。せっかく竜と人間の異種族・歳の差カップル萌えで来たら、この巻で終わりとするのは勿体無い。次の巻はよくある完結後の蛇足とか補足ではなく、本当にシリーズ終了にひつような1冊だと思いますの。