山謙さんのインタビューで考える
「僕は食の安心、安全というものは結局、つくる側の倫理観が発動するか否かにかかっていると思っています。そのためには生産者の生活や尊厳が守られることが不可欠なんです。」食品偽装は、監視を徹底したり、罰則を厳しくするなどの社会的な管理の仕組みで回避できるとマスコミは言うが、それは違う。そう言ったあとにつづけたのがこの言葉。よーく判る。食品ばかりに限らない話だけれど、本当によくわかる。最近聴いた業界裏話。ひところバターが品薄になった。理由は乳牛の数を減らしすぎて、生産が追いつかなくなったからという。中国の食生活が変化してチーズなども多く食べるようになったのも影響しているともいう。うちの仕事でもバターは欠かせないが、仕入が思うに任せない状態が続いた。注文しても従来の量が入らない。仕方なく、もらえるときはお願いね、と頼んでおいても、従来の半分か3分の1しか入らないことが続いていた。ところが最近は元の量で、注文するとすぐ来るようになった。値段は上がったままだが、量は充分ある、という。その理由。長引く不況で客の財布のひもが固いので、スーパーの価格見直しが盛ん。「お値打ち価格」とやらのために、量目見直し(少量化)が進む。牛乳は低脂肪化して価格を下げる。 このため、脂肪が余る。それがバターとなるという訳。なんだかなぁ。乳牛を増やす方へシフトした酪農家は、又振り回されるんだろうな。声の大きい業界に全ては支配されているようだ。