割安成長株の価値判断―家賃が毎年15%上昇するアパートの値段は?
■「金の卵」を産むガチョウの値段はその毛並みや容姿ではなく、何個の「金の卵」を産むかで決まる。■株の値段はその企業の知名度や大きさではなく、その企業がどれだけの「利益」を上げるかで決まる。 不動産は将来必ず値上がりするという不動産神話がくずれた現在、アパートの値段はその家賃によって決まってくるようになってきています。だいたいの相場として、アパートの値段はその家賃の10年分であるというところから話をスタートしましょう。A)年間家賃収入100万円のアパートAが1000万円で売りに出されているとしたら、その利回りは10%で、初期投資1000万円は約10年で回収できることになり、「ちょっと投資してみてもいいかな?」と思える値段ですよね。この場合の10年間の家賃の推移は、 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 計100 100 100 100 100 100 100 100 100 100 1000万円で物件価格と10年間の家賃がちょうど釣り合います。B) では、家賃が年間15%上昇するアパートBの場合、いくらで買ってもよいことになるのでしょう? 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 計100 115 132 152 175 201 231 266 306 352 2030万円で、アパートAが1,000万円ならアパートBは2,030万円の価値があることになります。アパートBの家賃上昇が10年後に止まって家賃が横ばいになったとしても、10年後のアパートBの価値は352万円の10年分=3,520万円となります。 これを株にたとえれば、1株利益100円で成長性 0の企業Aの株価がPER(株価収益率)10倍の1000円であるとすると、1株利益100円で今後10年間に増益率15%を達成できそうな企業Bの株価はPER20倍の2,000円で買っても悪くはないということになります。 すなわち、成長性のない企業Aと同じPER10倍の1000円で、15%成長する成長企業Bの株が買えれば、今後10年間の間に企業Bの株価は少なくとも10年分の1株利益2,030円から10年後の1株利益352円の10倍の3,520円まで上昇する可能性があることになります。 さらに、アパートBの家賃が10年後以降も年15%の家賃上昇を続けるなら 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 計405 465 535 615 708 814 936 1076 1238 1423 8214万円で10年後のアパートBの価値はなんと8,214万円でもおかしくないということになります。株でいえば1株利益100円でPER10倍の1,000円で買った成長企業Bの株価は10年後には約8倍の8,214円で売買されていてもおかしくはないということです。 アパートの場合は収益が直接その投資家に家賃として還元されます。株の場合は配当としてその収益の一部が還元されますが、残りはどこにいってしまうのでしょう? ご安心あれ。株の場合、残った収益は会社の内部に留保されるか再投資されます。あなたは自己資本が増大し、より儲けを出すことのできるようになった企業の一部を自分の株の持分だけ所有しているのです。 このように、不動産でも企業でもその値段をこれから稼ぎ出す収益から導き出す方法を収益還元法といいます。もっと詳しく知りたい方は「バリュー投資情報局」の「ディスカウンテッド・キャッシュフロー法」を見てください。http://csx.jp/~valuejyouhou/contents1.htm#02書籍では「バフェットの銘柄選択術」や「MBAバリュエーション」が具体的でわかりやすいと思います。