思うこと
2004年度の特殊出生率は1.29。出生率低下に歯止めがかからず、日本が人口減少社会に突入したことが確認されたそうだ。子育てに対する支援政策も国や自治体で次々に策定されているしかし、その少子化の原因が女性の高学歴化や晩婚化とされているのは果たして正しいのだろうか?少子化対策には子育て中の母親の就労をしやすくする政策が沢山盛り込まれている。確かに経済的な問題も大きいが、まずは子育て中のパパママが笑顔で楽しく暮らすことが次の世代が子どもを生むための壁を低くしてくれるものと思う。こどもが少ない社会は子ども、他者に対して寛容ではない社会なのではないだろうか。私は地域で新生児訪問をしている助産師。出産後、育児に戸惑うママ達の応援ができたらいいと思っている。核家族化が進み、自分が子どもを生むまで新生児を触ったことなどない女性が珍しくない。新生児の保育は学習要素が大きいから経験値が上がれば必ず習得するものだが、そこに至るまでの第一歩が切なかったり辛かったりする。ただでさえ慣れない育児で戸惑うことが多いのに、パートナーの夫は朝から夜まで働き詰め。時間がなくて結局は休日だけ協力するパーツ育児。一人ぼっちの育児は厳しい。出産まで元気に働いていたママほど潜在的引きこもりになって社会と断絶された感情は強い。知識や情報はあふれているし、手に入れる手段もたくさんあるのに、それは自信につながらない。本当は不安なまま毎日を過ごすママと元気に過ごすママの間は僅かだ。その差は周りに今の育児の状況をわかってくれるパートナーがいるかどうか。訪問の時にママ達に伝えること。「大丈夫よ。」「とても順調」「今のあなたのやり方でいい」自分の赤ちゃんにかかりきりになると周りが見えない。だから保障する。きっとあなたは頑張れる。あなたにはその力がある。赤ちゃんが泣き止まないと自分だって泣きたくなるよね。私だってそうだったもの。ハンディをもつ我が子を育ててきた助産師だからこそ、出来ることがあると思う。初めから完璧な母なんていないのだから。辛いママがいたら、私は代わりにはなれない。けれど、私があなたの傍らにいると伝えることは出来る。「あなたは一人じゃないよ。一緒に頑張ろうね」応援するから、いつでもいらっしゃい。寄り添う心があればみんな強くなれる。子育てそのものを中心に担っているのは母親だという意識はまだ大きい。男性の育児休暇の取得率を見ても歴然。育児というものはかつて子どもだった大人が皆しつけはこうあるべしと語る。特に同姓である女性からの目は厳しい。ちょうど今のママ達の母親の世代は専業主婦で子どもをせいぜい二人くらいしか育てていない。その子育ての結果として嫁いだ娘も母となり、育児には達成感もある。ゆるやかに若い世代の育児を見守って「それでいいよ」というのではなく、積極的に「こうしたらいい」と。ただ子どもって千差万別で4,5人も育ててみないとそれぞれが違うことが実感できないかもしれない。私たち母親はいつの時代にもみんな等しくよく頑張っている。頑張りすぎて疲れてしまうと笑顔が消えてしまう。子育ての過程はきれい事と楽しさだけでは済まない。そんな育児中の姿が必ずしも豊かに見えないのが少子化の原因の一つにあるのかもしれない。働いているママも専業のママも地域で子どもを見てもらえる安心感があると育児の負担感はぐっと軽減するだろう。その時に今のままのママの姿をそのまま肯定して欲しい