きょうだい
やっと諦めてくれたか息子はよく言ったものだ。「友達みんなには弟がいる。弟がいない子は、おねえがいたり、にーちゃんがいる。オレはひとりっこでつまんない」元夫もひとりっこだった。夫だった人もよく言ったものだった。「夕方に遊び終わって、家に帰るだろ?友達にはきょうだいがいて、家に帰っても遊べるんだけど、オレはそういうのなかったからつまんなかったなぁ」------デイサービスに来るおばあさんに毎度毎度、「子供は何歳になったの?」と聞かれます。「10歳だよ」「男の子? 女の子?」「男の子だよ」「あんた、もうひとりくらい出ないの?」 ※「出る」「出ない」 出産のことを指すときもありますし、 出店することも「出る」と言いますが 今の若い人たちは使わない言葉です。「もう無理だよ。私、もう43歳だもん」「ひとりっこはかわいそうだよ。もうひとり、がんばらい」「ダンナもいないのに?」そこでおばあさん、「ダンナいねくても、子供は出来っぺ」「まぁ、そうだけどさー」毎度毎度、同じ会話です------と、こんなことを言われましたよ、職場の看護婦さんに言ったら、「いいんだよ、43でも。経産婦なんだから。初産じゃないんだから。チャンスがあったら産みなさい!」うひゃー。確実に1年は働けないのになぁ。みんな言うことが鬼だなぁ。息子に兄弟がいたら良かったのにな。そう一番思っているのは、このわしですがもう今更どうにもならないもん。------先日、息子に「まだ、弟か妹が欲しいと思う?」と聞いたら、「もう、いいや。いると面倒そうだもん」と言った。ごめんよ。------息子はわしの仕事や認知症に理解があるらしく、それはわしが仕事や認知症について話をしているからもあるのですが、ある時、「おっかぁがボケちゃって、あなたの顔もわからなくなったりしてあなたの知っているおっかぁじゃなくなって色んな迷惑を掛け始めるようになったらあなたは潔く、おっかぁを施設に入れていいんだよ」と言ったら、目にいっぱいの涙を浮かべて、「悲しいけど、おっかぁがそれでいいんならそうするよ」と言った。それでいいんだよ。