『心の宝箱にしまう15のファンタジー』 ジョーン・エイキン
『心の宝箱にしまう15のファンタジー』著者 ジョーン・エイキン 訳者 三辺律子 発行 竹書房 けろりさん、ままちりさん、七生子さん、大感謝です!! いやー、お三方がプッシュして下さったおかげで、ふんぎりがついてこの本を購入した訳ですが(2月4日の日記参照)・・・予想以上の内容で、私のお宝本になりました。 イギリスの作家で、児童文学の名作をたくさん書いている著者自身が、特に気に入っている短編を選んだ本で、まさにタイトル通り、粒よりの宝石みたいな色も形も輝きも異なる15編が収録されています。 そして・・・よりすぐりだけに、15の物語どれもが素晴らしい。 どうも昨今の、感動本の流行に沿ってこの本も売り出されたのではないかと思いますが、内容が薄っぺらで安っぽい涙を押し付ける(だろうと想像して読んでないので断言はできかねますが:笑)それらとごっちゃにされたくないなぁ。 一話めの「ゆり木馬」は継母に存在を無視され、孤独に暮らす少女がぼろぼろのおもちゃの木馬と出会い、大切な友達として精一杯の愛情を注ぐ悲しい話。 銀色の月光に包まれる少女と木馬のラストシーンでは、なぜか最近の惨い犯罪に巻き込まれた子供たちの事件を思い出し、泣けてしまいました。 そうかと思えば、二話めの「シリアルガーデン」はめちゃくちゃ不味いシリアルの箱に印刷された庭園の絵を切り取って組み立てると、お姫様が現れるという奇想天外な設定の上、最後に「あああ~」と脱力するようなオチが待ってるコメディーだし、次に控えし三話めは、これまた美しく切ない愛のおとぎ話の「三つ目の願い」。 どれが一番良かったかと言われても選べないんですが、強いていうならば、梨木香歩の『西の魔女が死んだ』のおばあちゃんをもっとパワフルでコミカルにしたおばあちゃんが出て来る「からしつぼの中の月光」かな。 ・・・いやいや、王国の運命を救った少女の話「魚の骨のハープ」も、なかなか感動したなぁ。 ああしかし、主婦ならば、いやいや、無能な上司にうんざりしたことのある働く女性も、みな「わかるわー!」と首をぶんぶん縦に振ってしまう事間違いなしの爆笑ラストが待ってる「ネコ用ドアとアップルパイ」は捨てられません・・・。 結局どれも選べないわけね・・・(笑)。