おりおんの近況
6月に我が家の子になったおりおんだが、この3ヶ月ほどの間にいろいろと変化があった。花子が心配していたキョニュー手術…いや、避妊手術は、7月のはじめに受けに行った。手術は一泊二日で受けることになっており、費用は1万8千円ほど。ただし、自治体に申請すれば3500円が返ってくるということだった。私の記憶には、実家で飼っていたオス猫が、去勢手術のあとフラフラで帰ってきて、丸一日以上ごはんも食べずにグッタリしていたことが鮮明に残っていて、おりおんも帰ってきた後かなり気をつけて看護してやる必要があるのだろうと覚悟していた。トイレを寝る場所の近くに動かし、ご飯が食べられない時のために、猫用のミルクや離乳食のようなご飯も準備した。自分で歩いてトイレに行けないようであれば、オムツも必要かなぁなどと考えてもいた。花子はそういう私の準備を見て、これはかなり大変なことなのだろうと感じたらしく、めずらしくオロオロと心配しており、口を開けば「おりおん、どうしてるかなぁ」「手術、ちゃんと終わったかなぁ」「おりおん、寂しがって鳴いてるんちゃうかなぁ。」と不安そうに言っていた。ところが次の日、当のおりおんはとても元気に退院してきた。傷口も思っていたよりもずいぶん小さい。いろいろなところで聞いたり読んだりした話では、手術の後は傷口をなめたり噛んだりするのを防ぐための防護器具、いわゆるエリザベスカラーをつけることが多いようだったので、おりおんもそういう姿で帰ってくるのかと思っていたら、ここの病院では金属の糸(ごく細い針金のようなもの)で縫ってあるので、なめても大丈夫ですとのこと。エリザベスカラーもなしで(お腹の毛がそられていて、ちょっと寒そうだが)本当に元気な様子のおりおんを見て、花子もホッとしたようだ。その後一週間ほどして、抜糸も無事に終わった。その間、心配していたようなことはなにも起こらず、おりおんはご飯をもりもり食べて、元気に走り回っていた。化膿止めのお薬も、ごはんに混ぜればすんなり食べて、世話のかからない良い子なのだった。最近はちょっといたずらもするようになってきて、家族の笑いのタネになっている。カレンダーや新聞にくるまって隠れたつもり、というのが最近お気に入りの遊びらしい。実は手術以外にも、寄生虫が見つかったり、風邪をひいてハナタレ猫になったり、結膜炎で目がウルウルになってしまったり、口内炎ができて大好きなカリカリを食べるたびに「みぎゃっ」と鳴いたりで、人間の家族以上に頻繁に医者通いしているおりおんだが、甘えん坊でおてんばのキャラで家族を和ませ、家族の中での居場所を存在感たっぷりに確保している。とくに太郎は、ともすると心が荒みがちな塾通いの受験生の日々を、おりおんのおかげでゆったりと過ごしているように思う。家に帰ってくると彼は真っ先におりおんのところに行き、背中をなでたり抱っこしてなにか話しかけたりしている。おりおんも太郎のだっこが大好きなので、おとなしく、時にはなにやら相槌をうちながら、太郎の話を聞いてくれている。そして、おりおんの飼育責任者である花子は、ネットや本でエサのこと、トイレ砂のこと、その他いろいろなことを調べ、毎日かいがいしく世話を焼いている。(花子は「おりおんは私の妹のようなもの」と言っているが、実はおりおんは家族のポジションを「お父さん、お母さん、お兄ちゃん、私、花ちゃん」と感じているらしい。…花子にはナイショだが。)夏休みがあけて花子が学校に行ってしまった日、おりおんは半日ほど花子の部屋でうろうろと花子を探し、時折大きな声で呼んでいたようだった。最近は、やっと昼間私と一人と一匹の生活に慣れたようで、私はおりおんが一人で遊んでいるところを見るのを楽しみながら家事をしている。今朝も元気に朝ごはんを食べ、ひとしきりおもちゃのネズミさんで遊んだ後、お昼寝をしているおりおん。日差しがまぶしいのか、こんな恰好になっている。