モンドヴィーノ
ワイン好きな人ならその多くが知っているであろうモンドヴィーノ ~ワインの世界~ を遅ればせながら観ることができました。物語は、村で作り、外には出さずに村だけで消費するサルディニヤのMalvasia di Bosaというワインの話から静かに始まります。それから、カルフォルニアのワイン王ロバート・モンダヴィに小さな村がたてついた「モンダヴィ事件」(ラングドッグ地方のアニアーヌという村に進出して、森林をなぎ倒し丘を削って50ヘクタールのブドウ畑を造成するという計画に村が反対した)の当事者たちから証言を聞くところで、この映画が何を問題にしようとしているのかがはっきりとしてきます。そう、つまりはワインの世界のグローバリズムです。そして売れっ子醸造家ミシェル・ローランとワイン批評の大御所ロバート・パーカーの考え方や仕事ぶりを紹介しつつ彼らが図らずもその世界を取り巻く大きな問題の中心にいることを見せていきます。その問題のドキュメンタリータッチの描き方は最初稚拙に見えるのですが、次第にむしろそれが新鮮で確かなものであることがわかってきます。また、インタビューを受けたワイン作りに携わる人々の慧眼には感じるものが多くありました。