ジャニーズ系の詩が消える?・・・毎日書道展
今年も間もなく「毎日書道展」が開催されるが、今年は、ジャニーズ系の詩を書いた作品が消えるかもしれない。いや、多分消えるだろう。例年、所属する「近代詩文書部」にも全国から多数の作品が寄せられるがU23、Under 23、つまり23歳以下の若者達の書くものにはいつも若いミュージシャンの詩が好まれていた。私の門生も昨年はジャニーズ事務所の何とかという人の詩を作品にしたが、今年はストリートライブを繰り広げている彼女の友人の詩を書いた。今年はジャニーズ系は姿を消したのである。多分。それに連れて、彼らが普段好んで聴いているような歌の詩を書くことも激減したようである。それもその筈、著作権問題が浮上し、著作料のことが今まで以上に厳しく言われるようになった。毎日書道会の方からは、詩人協会に連絡を入れてはいたが、今年からは、著作料を支払うことになったらしい。先のジャニーズ事務所は大変うるさいという評判である。作品が商品として売買するものでなくても、必ず著作料の請求はくる、という。著作権は当然の権利だから当たり前のことと思う。が、そこまでしなくても・・という思いもなくはない。CDやMDを購入して楽しみ、その詩の一部を書の作品にして公募展に出品する、ただそれだけのことである。その詩を書いて作品を販売するなら兎も角、ファンが書いて楽しむ、その位は認めてもいいのではないだろうか。昨年ヒットした「世界で一つの花」だって、みんなで聴き、歌い、楽しみ、そしてそれを書きたくなり、書いた若者も多かっただろう。が、今年から書けなくなった、書いてはいけなくなった、そんな言葉が巷を流れた。勿論 著作料を支払えばすむことだから書きたければ、支払えばいいのである。が、書くことを控える、というよりもはっきり書かないようにしよう、と言う人も出てきた。死後50年経った詩人を選ぼう、しらべるのは面倒だから、いっそ古典を書こうとまで言う人もいる位である。逆にそれは詩人にとっても、大きな損失に繋がるのではないだろうか。書くのを止めようといわれるもう一方の筆頭は、高浜虚子である。虚子といえば、日本を代表する俳人。素晴らしい句が多く、彼の句を書く根強いファンも多い。虚子を知らない人はいないぐらいではないか。でも、今年から虚子の句を作品にしたものはあったかどうか・・そんな著名な俳人にしてもそうなのである。私は残念に思えてならない。著作権は、死後50年までは遺族に帰属する。それゆえ、虚子の遺族からの著作料の申し出は受けざるを得ないのである。まあ、一般的な人なら兎も角、日本の代表的な俳人高浜虚子なら、もっと大らかに対処してはもらえないのだろうか、と疑問は残る。そんなにまで世知辛く、そんなにまで厳しく取り立てなくてもいいのにと思う。商品となったものは支払うのが当然であろう。しかし、商品とならない素人のものにまで、著作権・著作料の云々がある。私達の中では、既に、書いてはいけない人、書かないほうがよい人、と情報が流れ始めた。ジャニーズ系も白秋も虚子もその中に入る。私などは、多くの人に、より親しまれることの方がいいのではないかと思う。若い人たちの、否、若い人達ばかりではない、一般読者の本離れの傾向にある昨今、せめて、商品化にならないものについては、大目にみていただきたい、大目に見ていただけたら有難いと思う。勝手な言い分ではあるが。