#656 決勝戦
緒戦 準決勝戦 決勝戦の相手は、5年位前に知り合った方だった。はじめ2子くらいで教えていただき、ここ2, 3年は、私と同じような棋力曲線を描いてきた方で、石の踊らない、細かいヨセの碁に強い方である。たしか3年前にも決勝戦であたり、私が幸いしたと記憶している。私は白番で、なんとかコミにかけたいと思いながら打っていた。100手を過ぎて、このままヨセに入るなと思っていたところ、思いも寄らぬ、しかし筋にハマったオキが飛んできたのだった。やむなく黒をワタらせて白6とオサエたところで愕然とした。部分的に眼がない白は、8とキリを入れてマギレを求めるしかない。黒はなおも11とオキの第二弾である。白は18とノビを決めて攻め合いの様相に...。時計は双方5分を切っていた、もちろん切れ負けである。白34と鼻ヅケまでバタバタと進む。手数を数える余裕がなく、勘で打っているのだ。止めるには止めたが手数が判らない(苦笑)。大会の決勝戦、しかも時間がない、おそらくはこの日ピークの緊張が襲ったのか、黒はとんでもない手を打つことになる。切り離された黒5子を生きるために、黒M-2をキキにするべく黒55と出たのだ。そして白56で黒13子がアタリになったのに気づかないまま黒57と打ってしまった。黒のオキから延々と来た道で57手目に放心の一着、私は「すいませんね」といいながら、13個の黒石を取り上げにかかった。こうして長い長い一日が終わった。