対局者の装いというもの
碁は多面的で、ゲーム、勝負、文化他、様々な見方がある。その捉え方は、心構えに繋がり、おのずと、対局に相応しい服装というものに、思い至る。昭和の時代に、七番勝負で見られた羽織袴は、人間同士が戦う厳しさと、礼節が、絶妙のバランスを保ち、それが、美しさにつながっていた。昨今、国際的な対局の場では、趣は異なる。それぞれの国の人々には、慣習、宗教的な意味も内包した正装というものがあり、特にペア碁で、かなり自由な色使いの服装も見られる。数年来、子供囲碁大会では、囲碁道場別のユニフォームが流行りだ。「紫」、「黄」、「青」、「水」、「黒」、「緑」を見たことがある。ここに来て、ネット上ながら、「赤」を見かけた。マンセルなら色相5Rで、明度は7.0くらいで、トーンは v(vivid)。「ついに来てしまったか」、と思った。この色には、相手への配慮というものがないな、と、私は感じた。さて、近々開催される東邦祭囲碁フェスタ2012では、子供団体戦の参加者に、「暖色系」の服装を推奨している。これは、東邦祭全体のテーマ、「暖色系ワンダーランド」に連動するもの。子供や父母が、どのような気持ちで、服装を選ぶのか?暖色系という言葉は、光の波長帯域で数値化し、定義することも可能だが、多分に、感性に即した響きをもっている。「相手を慮る」ということを、忘れないでほしい、そう祈るばかりだ。相手がどう感じるか、立場を変えて考えられるか、興味を持って、当日を待つ。