意識障害者(脳損傷者)への他動運動による運動刺激
意識障害者(脳損傷者)への他動運動による運動刺激以下の内容は、ある文献の要約です。無断で転用されることなく、また何かの理由で使用される場合は著作権の問題等に十分に配慮されるようにお願いします。また要約は研究対象とした症例の結果であるので、これが全ての場合に当てはまるとは限りません。ケースによっては逆の場合の可能性もあります。【文献名】脳と心へのアプローチ【方法】左前頭葉梗塞で右半身麻痺、失語症、意識障害を生じた患者の麻痺した手指を、他人が他動的に開閉し、局所脳血流を測定した。【結果】左前頭葉・側頭葉・大脳基底核・両側視床の運動系や知覚系とも広く脳血流を増加させた。【著者】上田 孝【文献】EB NURSING Vol.3 No.2 2003【参考】絵でみる脳と神経 第2版:医学書院【私の感想】非常に興味深い内容です。麻痺が生じている手指を他動的に動かすだけで、これほど広範囲に血流増加が生じるとは考えてもみませんでした。考えられることは動かす方の手を通じて、皮膚からの触覚・曲げ伸ばしするときの深部知覚といった感覚刺激が大脳まで達している結果と言えます。リハビリテーション専門課程では、拘縮予防・手指の伸張を通して組織の血流改善という内容は学びますが、脳血流の効果まで触れている文献は初めて読みます。ご家族へ手で触れることが意識覚醒につながると指導することがありますが、これは医療スタッフよりご家族のほうが効果大です。