[昔話] カテゴリの記事

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• 砂金取り

  　最近、金の値段が高騰したのを機に金の採掘体験が人気らしく、テレビでもしばしば取り上げられている。私たち家族も昔北海道旅行をした際にウソタンナイで金の採掘体験をしたことがあった。8月の、多分今頃の季節だったと思うが生憎の小雨混じりの天気で、夏とはいえ寒さに震えながら川掘りを体験した。川の水は冷たく、砂金もそうやすやすと見つからず子供たちも直ぐに飽きてしまって結局は土産物屋で小さなガラス瓶に砂金一粒が入っているペンダントを記念に買って帰った。　娘が帰省した際にこの話が出たが、あまり良くは覚えていないようだった。早いものであれからもう20年ちかくが過ぎている。

  2011年08月23日

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• KingSeiko

  　久しぶりに腕時計を新調した。　引退してからは時計とは無縁の生活を送っている。積極的に時計と距離を置こうとしているわけではないけれど、現役の頃ほど時間に縛られることがないので時間を知りたくなれば室内や街角の時計を見るか、携帯電話やパソコンの時刻表示を見れば用は足りるというものだ。　一度修理しようとしたが、安物の時計なら買えるほどの費用がかかると知って断念。以後、今日まで腕時計は使っていない。　そういう時間とは疎遠な生活をしている私でも、時には時間に縛られる仕事をすることもある。そういうときには妻ヘレンの腕時計を借りて済ませてきたのだけれど、やはりそれでは具合が悪いこともある。思い立って久しぶりに腕時計を買うことにした。 　腕時計といえば思い出すのはパイロットへの道を踏み出したとき、父が腕時計を買ってくれた。ＳＥＩＫＯのKingSeikoというタイプだった。二十歳前の若造には過ぎた品で、当時父が幾らで買ったのかは定かではないが相当高価だったことは間違いない。　当時の私は自分の道を切り開いていくことに必死で、父がその時計を手に入れるためにどれだけの苦心をしたかを思う余裕はなかった。それどころか、激しい訓練の間に幾度か時計を壊してしまい、 修理の度に「こんな安物を！」と思ったものであった。今日のGショックのような耐久性は望むべくもなかった時代だ。  何軒かディスカウントショップを梯子して選んだのは某社のソーラー電源の電波時計。１万７千円ほどの品だ。父が買ってくれた時計に比べれば遙かに高性能低価格。技術の進歩は価値観をも破壊する。今は父の形見とも言えるあの時計はその後どうしたか全く覚えがない。当時の父の気持ちも汲み取れず、申し訳ないことをしたものだ。  

  2009年11月07日

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• リサイクル

  　夕方一仕事を終えて晩酌をしながらケーブルテレビを見ていたら、地元の有名人、嘉村磯多・中原中也・種田山頭火の話を放送していた。今や郷土の偉人と祭り上げられている彼らも、地元では最近まで厄介者だったといっても過言ではない。　それは兎も角、古老が山頭火の思い出話をしていた中で、山頭火からもらった形見の鍋を供出してしまって残念だというような話をしていた。「最近でも金属回収があるでしょう、あれと同じですよ。当時は日支事変で金属不足でね。」といった調子。　そうか。日本ではリサイクルといえば廃品回収。それも日本人の性格を繁栄してか、几帳面に分別して資源化が進められている。本来は地方自治体が改修して財政へ換言する計画の所、それをハゲタカのように横取りして隣国へ輸出して財をなす輩もいるとの事。それほどまでに資源回収に高い意識を持てるのは何故かと疑問に思っていたが、山頭火の友達であったという古老の話で思い当たった。　日本人は昔から廃品回収・金属回収の伝統があったのだ。大東亜戦争の頃にもお寺の鐘まで供出したと聞いたが、日支事変の頃にも鍋釜まで供出していたのか。そういえば場感染層の頃にも寺社の半鐘を集めて大砲の代わりに海岸線に並べたという話が残っている。　日本人の衣食住、言葉や立ち居振る舞いに至るまですっかり欧風化してアイデンティティを失ってしまったが、そのDNAに深く刻み込まれている何かは今も残っていると感じる。

  2007年08月31日

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• 雨降り

  　昨日だったか、国営放送の「みんなの童謡」で「雨降り」をやっていた。　♪あめあめ　ふれふれ　かあさんが　　じゃのめで　おむかい　うれしいな　　ピッチピッチ　チャップチャップ　ランランラン　そうか、「蛇の目でお迎え嬉しいな」と思い込んでいたが、「おむかい」だったのか。気付かなかった。それにしても、今時蛇の目といわれてもピンと来ない若い人もいるんじゃなかろうか。精々「ゲゲゲの鬼太郎」のマンガに出てくる一本脚の妖怪とでも言うんじゃないかな。　昔を懐かしむのは老人の常。今時の子供の歌は私にはJ-popと区別がつかぬ。やっぱり童謡は良いと思う。　Pitch, pitch! Chap, chap. Run! Run, run!

  2007年08月06日

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• It's a long way to Tipperary.

  　何の弾みだったかもう忘れてしまったが、出勤途中の道で大昔パイロットの訓練生だった頃英語の教官が教えてくれた歌のことを思い出した。「イギリスの軍歌なんだ。行軍の時恋人のことを思い出しながら歌うんだ。」記憶も定かではないが、そんなようなことを聞いたような。その時レコードで聞いたかテープだったかも定かではないが、「It's a long way to Tipperary, It's a long way to go.」という下りのメロディーは今でも記憶に残っていて、頭の中に繰り返し浮かんでくる。　一体どんな歌詞でどんな曲だったのか。昼休みに検索してみた。曲名を入力し、Ｗｅｂ全体から検索するとFirstWorldWar.comというサイトがトップにヒットした。歌詞も音楽もアップロードされていた。　曲を聴きながら歌詞を参照して、４０年前聞いた曲はこういう内容だったかと感慨深かった。　それにしてもあの教官、進駐軍の通訳をしていて英語を習得したとかいうことだったが、今はどうしているだろう。今存命なら９０歳以上の筈。既に鬼籍かも。

  2007年04月23日

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• Captain

  　本棚を整理していたらCaptain Guideが出てきた。　Captainはパソコン通信全盛の頃存在した情報サービスで、データベース検索サービスや予約などのトランザクションサービス、メールサービスなどが利用できた。パソコン通信で同じようなサービスが出来ていたけれど、Captainは同じ電話回線を使いながらも別個の通信網を構成していて、全国どこからでも低料金でアクセスできるのが特徴だった。パソコン通信は、アクセスポイントまでの電話料金は通常の電話料金が請求されるため、アクセスポイントが市内にない場合は高額の料金を払う必要があったことから経済性に優れていた。　今やCaptainなど憶えている人も少なくなった。若い人は多分知らないだろう。windowsが普及する前の話だ。

  2006年11月24日

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• 9R-59

  　私の預金口座の暗証番号ではない。今を去ること40年前、趣味のアマチュア無線で愛用していた受信機の名称だ。　アマチュア無線は「King of hobby」を自称する。実際、アマチュア無線は金がかかる。今にして思えば子供がやるべき趣味ではないと思うが、当時はすっかりのめり込んでいた。中１の時に免許を取得したが、やはり実際に電波を飛ばしてみたいという思いに駆られ、親にねだって送信機と受信機を買って貰った。村で最初のアマチュア無線局を開設し、鼻高々だったが、それで満足できないのが問題だ。次々に発売されるより高性能の無線機が欲しくなる。　私がアマチュア無線を開局したいと思った最大の理由は、外国の人と話してみたいということだ。無線の雑誌にハワイと交信したとかアルゼンチンの南極基地と交信できたというような記事が掲載されていて、是非自分もやってみたいと思った。　遠くの無線局と交信するには高出力の送信機と好感度の受信機が必要になる道理だ。送信機の出力は免許の資格によって制限されている。私の免許は小中学生でも取れる入門者向け資格なので、出力は１０ワット以下に制限されていた。これでは通常日本国内の交信も覚束ないのだが、短波の電波は気象状況によって異常伝播することがあり、この程度の電波でも近隣諸国と交信できた例もあるそうだ。そんな話を雑誌で知って、高感度の受信機を手に入れれば私にもチャンスがあるのではと思った。　高校生になった頃トリオという会社（今のケンウッドの前身）が９R-59という受信機を発売した。真空管を９本も使うReceiverというのでこのネーミングだと思う。５９というのは受信電波の了解度と強さを評価する指標に由来し、了解度５、信号強度９は両者ともベストという意味だ。　その頃幾らの価格だったか覚えていないが、新卒の月給くらいはしていたと思う。いまなら１５万円くらいというところか。到底田舎の百姓の子供に買える品ではない。ねだってみたが、当然買って貰えるわけもない。今ならアルバイトして自分で買うということもできようが、当時山口には高校生のアルバイトの口がほとんどなかった。　私は一計を案じた。通学用自転車を買って貰う約束を取り付けていたので、これを諦めよう。それと修学旅行の積み立てを取り崩して貰えばなんとかなるのではないか。私は両親に散々駄々をこねて目的を達成した。　二人の子の親になった今、当時を振り返ると、両親もさぞ困ったことだったろう。収入の少ない時代だったから。　９R-59はそれから私の宝物となったが、ついに外国と交信することは一度もなかった。そんなに簡単なことではないのだ。どうすれば外国と交信できるのか、一日中そればかりを考えて過ごしていたように思う。受験勉強はしなくなり、成績は振るわず、ついに道を踏み外してヒコーキ乗りなどと言うやくざな人生を送る羽目になってしまった。　日曜の朝、ネットサーフィンをしていてふと懐かしい９R-59の文字が目に留まり、昔を思い出し、人間的に幼かった自分を恥じた次第

  2006年06月25日

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• 電気ショッカー

  　最近、電気ショッカーという言葉をテレビで良く耳にするようになった。初めてその名を知ったのはマグロの一本釣りの番組。猟師一人で漁に出ることが多い一本釣りではマグロが針にかかっても体重が数百キロもあるマグロが暴れるととどめを刺すのは至難の業。そこで最近は高圧電流を使って気絶させ、その間にとどめを刺すことが多いのだそうだ。その機会が電気ショッカー。要するにマグロ用スタンガンだ。　最近のニュースで聞いたのは、環境省の皇居外苑管理事務所が皇居のお濠の外来魚対策に電気ショッカー船を導入すべく試験を始めたという話題。電気ショッカーで魚を気絶させ、浮き上がったところをブラックバスなど外来魚を選り分けようという話だ。　そういえば５０年前、父が生前電気でウナギなどを捕ったことがあった。自動車用のバッテリーの電気をバイブレーターという部品で脈流にかえ、トランスで高圧を作って手網の金具に流すしくみ。背負子にバッテリーなどを乗せて左手に手編み、右手に銛を持って川の中を腰まで浸かりながら歩き回っていた記憶がある。電圧が低かったのか、威力は大したことはなかったがそれでも何度かウナギが取れた。あれは電気ショッカーのハシリだろう。　蛇足だが、ショッカーと聞くとむしろ仮面ライダーを連想してしまう

  2006年04月27日

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• つぐみとおじさん

  　従来の固定電話よりも格段に安いIP電話が登場したと思ったら今度はそれより安いskype。通信分野での技術革新はめざましい。　今を去ること４０年前。「ナポレオンソロ」という人気のテレビ番組があった。原題をThe man from U. N. C. L. Eという。映画界では００７が大人気の時代で、いわばそのテレビ版といったところ。悪の組織THRUSHと正義の組織UNCLEの対決がテーマ。ナポレオンソロはヒーローの名前で、コードネームは0011だった。あの番組の中で、万年筆型の衛星電話が登場する。　さすがにあの大きさではダイアルを組み込むのは無理と見えて、スイッチを入れると交換嬢に繋がる方式のようだった。衛星電話といっても使い方は大昔の共電式電話と同じ。最初に、使用するチャンネルを指示する。決まって「オープン、チャンネルD」（私が見ていたのは吹き替え版なので、オリジナル版で何と言っていたのかは知らない）。　まだ固定電話も普及し始めた頃で、設置している家庭は少なく、携帯電話など夢物語という時代。歩きながら通信できる電話といえば同じくテレビで人気番組だった戦争映画「コンバット」に登場する野戦用無線機。小隊長ヘンリー少尉の脇に控える通信兵が背負っている中隊本部との連絡用の無線機や、サンダース軍曹が小隊長と通話するハンディートーキーくらいしか思い浮かばない頃だ。最も小型のハンディートーキーでも一升瓶くらいの大きさ。万年筆大の無線機で世界中のどことでも電話で話せるというのは荒唐無稽としか思えなかった。　昨今の携帯電話はソロが使っていた無線機にほぼ匹敵する機能。それどころか今やカメラ機能を始め音楽プレーヤー、GPS、電子マネープラットフォーム、クレジット機能と年々多機能化。U.N.C.L.Eの傑作を凌駕している。　今あの番組をリメークするとしたら、どんなツールが登場するだろうか。　最近のネタでは、差し歯の中に携帯電話機能を埋め込むというアイデアが間もなく実用化されるという話が出回っていたらしいが実はデマだったというし、４０年前ほどの革新的なアイデアがでてくるだろうか。

  2006年04月20日

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• シャツの尻尾

  　私の愛読書に１９５２年のピューリッツアー賞（小説部門）を受賞した小説「ケイン号の叛乱」がある。第二次大戦の太平洋戦線で、米海軍の掃海駆逐艦ケイン号を部隊にしたフィクションである。　主人公は士官学校を卒業してケイン号に乗り組みを命ぜられるが、艦長はたたき上げだが小心者の少佐で、部下に厳正な規律維持を要求するだけで信望はない。彼は主人公に風紀係を命じ、水兵達の服装を規則どおり端正に保たせるよう命じる。「第一の任務は、本艦内で全員がシャツの裾をズボンの中に突っ込んで折るかどうかを確かめることだ。」　艦長は、艦を座礁させたり、曳航していた標的を不注意のため失ったり、霧の中を航行しているときにも自艦の位置を間違えて僚艦と危うく衝突しそうになったりする。とヘマばかりするし、それを部下のせいにして自分の責任を回避しようとする。主人公は艦長に反撥し、不信感を募らせる。　ある時、艦は強大な台風に襲われる。主人公は艦長の操艦に不安を感じ、艦長を信頼していない副長以下同僚士官をけしかけて叛乱を起こさせる。艦は副長が指揮して無事に帰港する。　帰港後、軍法会議が開かれる。戦時の軍艦での事件だ。軍紀は特に厳しく要求される。副長は間違いなく有罪となるはずだが、辣腕のユダヤ人弁護士であった大尉の巧妙な弁護で予想を覆して無罪を勝ち取る。　ユダヤ人の弁護士は主人公達の祝賀パーティーの席で自分は弁護が自分の任務であり、本来罪のない副長を救うために汚い手をつかって（詭弁を弄して）無罪を勝ち取った。しかし、本来罪を問われるべきは自分の手を汚さず事件を引き起こした主人公だと言い残し、コップの酒をぶっかけて立ち去る・・・　さすがに賞を取っただけに面白い小説だ。　ところで、シャツの裾の件だ。私も常々シャツの裾をズボンやスカートの上に出す着方が気に入らん。　先週だったか深夜のお笑い番組で、「下着のシャツをパンツの中に入れるのはイケメンが多い」という仮説を立て、それを実証するというネタをやっていた。結論は、番組で調べた範囲ではそうするのはホストの連中と年寄りに多いというのがオチだった。　どっちでもいいようなことだが、ある時期には常識であったことが時の経過と共に常識ではなくなるというのは事実だ。シャツの裾（尻尾）の話は、この頃を時代背景とするアメリカ映画にはしばしば見かけるが、今の若い人たちは映画を見たりこの小説を読んでもなぜシャツの尻尾をズボンにしまえというのか理解できないだろうと思う。　因みに、私はシャツの裾もズボンの中へ、下着のシャツもパンツの中に入れる。（イケメンなので）

  2006年03月06日

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• 掘りごたつ

  　今朝はまたまた雪が降った。ここしばらく暖冬が続き、温暖化を実感していたのだが、今年は長期予報に反して記録的な寒さ。　子供の頃の冬は今よりずっと寒かったと思う。屋根から大きなつららが下がっていたし、水たまりはことごとく凍っていた。通学路のそばにある溜池も年に数度は凍っていた。　当時はファンヒーターも灯油ストーブもなく、暖房は居間の掘りごたつと火鉢くらい。厳冬期は家の中でも水が凍る寒さだった。　掘りごたつは居間の真ん中にあった。我が家の掘りごたつは床に１メートル四方の穴を開け、粘土を固めた火床をはめ込んだだけのもので、深さはない。その上は作りつけの座卓になっていて、こたつ布団がかけられていた。寒い日は、私は弟とこたつの中にもぐりこみ、首だけ出して暖を取った。どんなに寒い日でも、こうしていれば汗ばむほど温かく心地よかった。　掘りごたつは、冬以外の季節にはこたつ部分に床板を敷いて蓋をして、布団をとると作りつけの座卓となる。一年を通じて家族団らんの場所であった。　快適な掘りごたつだが、危険もある。近所の弟の同級生の女の子は、幼児の頃掘りごたつに転落し、手にかなりの火傷をしてしまったことがある。快適さと危険は紙一重なのだ。　現在、居間は改造して掘りごたつを潰してしまって跡形もないが、今日のような寒い日にはときどきあの心地よさを思い出す。

  2006年01月05日

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• しりとり

  　もうじき娘が正月休みで帰省してくる。ヘレンと首を長くして帰りを待っている。　何年か前までは私もヘレンも子供達も揃って故郷に帰省していたものだが、母もやはり同じように私達を待っていてくれたのだと思う。　帰省の長距離ドライブは幼い子供達には退屈な時間だった。子供達は車に乗っている間のかなりの時間を寝て過ごしていたが、そうそう寝てばかりもいられない。子供達が退屈しているとき、ヘレンはよくしりとり遊びをさせた。そんなとき、いつも私も巻き添えにされてしまった。居眠り運転をしないようにという心配りからである。幼い子供連れと言うこともあり、こまめに休憩を取りながらの旅ではあったが、やはり長距離運転は疲れる。しりとりも結構負担に感じたものだ。　そんな時の私の戦術は、「繰り返し作戦。」ある一定の文字で終わる単語を集中的に答える作戦。例えば、ヘレン「たこ」長男「こま」私「まり」長女「りす」以下、「すいか」「かき」私「きり」「りんご」「ごま」「まっち」私「チリ」・・・そのうち娘は「り」がつく言葉が品切れになってギブアップ。今にして思えば大人げないことをした。　あと何年かしたらこんどは娘や息子が孫を連れて帰省してくるのだろうか。そんな時、親子でどんな暇つぶしをするのだろう。

  2005年12月25日

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  ラジオ体操

  　朝寝坊しようと思っていたのに庭の柿の木に留まったカラスの声に起こされて、いつもより少し遅く目覚めた。庭に出て何となく体を動かしたくなり、一人でラジヲ体操をしてみた。普段の運動不足のせいで、体が堅い。所々次の動作がすぐには思い出せず、少し端折ってしまったかも知れない。それでも良い気分だ。　私が小学生の頃、夏休みには毎日ラジオ体操をすることになっていた。最近は夏休み中全期間が対象でもないようだが。その当時、近所でラジオ体操をする場所はいつも我が家の庭であった。　ラジオ体操の会場の条件としては、比較的広い庭があることと、ラジオが使えることであるが、我が家は昔はかなりの田畑を耕作していたので収穫物を天日乾燥するための比較的広い庭があったし、ラジオもあった。加えて、我が家が道路際にあって子供達が集まりやすかったことも理由であったろう。　ラジオは父が貯金をはたいて自作した小型冷蔵庫大の電蓄で、父の自慢であった。　ラジオは多くの家に普及していたが、電蓄付は珍しかったと思う。学校の音楽の時間に先生がレコードを掛けてくれることがあったが、それも手回し式の蓄音機。たまにお宝鑑定団に登場するあれである。そんな時代であった。　夏休みの間、ラジオを縁側に引き出して、音量を上げる。テーマ音楽がなり始める頃には子供達が集まってくる。　みんなでラジオに合わせて体操をするのだが、その頃は我が家の庭が一杯になるほど子供がいた。今、同じ年代の子供は５、６人だと思う。少子化という現実を痛感する。　体操を終えると、父が子供達の参加記録カードにハンコを押す。夏休みが終わると、そのカードを学校へ持っていかなければならない。今時のように家族揃って旅行に行ったりすることはなく、４０個のハンコが隙間無くカードを埋めているのが当然であった。　ヘレンの言葉を思い出す。「最近の子供って、ラジオ体操が下手ね。体を曲げるのが中途半端で、パラパラ踊ってるみたい。」　いかん、いかん。私の体操も似たようなもんだ。ちょっと体が堅くなりすぎ(^^);　などと考えているうちにラジオ体操はおしまい。そういえば、今日は体育の日だった♪

  2005年10月10日

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• 電話でんわ～

  　郵便物の束を整理している。電話代、水道代、ガス代などの支払ばかりか。　ところで、電話というか通信関係の支払が結構高額になる。NTT（我が家の分と娘の分）、ドコモ（私の分とヘレンの分）、テレコム（我が家の分と娘の分）、プロバイダ(私の分と娘の分)、ハムの電波使用料。それぞれは大した額ではないが、合わせると結構な額になる。毎月のことだから馬鹿にならない。　NTTへの支払はIP電話にしてからかなり節約できるようになった。ヘレンと娘の長電話も問題ない。たまにイギリスや香港に電話をかけることもあるが、支払額にはほとんど影響はない。良い時代になった。　子供の頃、村には電話も少なかった。役場、商店、医者、学校、一握りの金持ちの家・・・　小学４年の頃だったか、村に「有線放送」が引かれた。有線放送といってもスナックなどでBGMを流すあれではない。各戸にスピーカーと電話のような受話器がついた簡単な装置がセットされ、農協に放送局を置いて、農事ニュースやイベント情報など様々なお知らせを放送するのだが、受話器を通して電話昨日が使えた。受話器には握ると作動するスイッチが付いていた。電話をかけるときには、受話器を取り、スイッチを入れると交換嬢と通話が出きる。交換嬢に相手の電話番号を伝え、「お待ち下さい。」と言われたらスイッチを切って待機する。NTTの電話なら交換嬢が相手の回線につないで呼び出しベルを鳴らすところだが、交換機などない有線放送のこと、オネエチャンが美声で電話番号を放送する。「１３番、１３番！」。呼ばれた人は受話器を取りスイッチを入れて目出度く通話ができる。　呼ばれてなくても受話器をとってしまうと通話に加われる。近所にお邪魔しているとき、留守になっている自分の家宛に呼び出しがあってもその家の受話器を拝借すれば問題なく通話できるという利点もあるが、簡単に盗聴されてしまうという欠点もあった。　私にとっては電話といえば有線電話が全てだったので、確か高校の頃だと思うが、急用ができて学校から家に電話しようとしたときは大変だった。恥ずかしながらそれまでNTTの電話など一度も使ったことはなかったのだ。有線放送の交換に電話してつないで貰えばいいのだが、生まれてのこと。それもダイアル式の新型黒電話だったのでまず使い方が分からなかった。電話番号をダイアルしてみるが、何度やっても繋がらない。「これ、壊れちょるんじゃないか。」　恥を忍んで事務のオバチャンに聞いたら、「あんた、市内局番回しちょらんじゃろ。」その頃は山口市内の市内局番は一桁で９番の一種類しかなかった。面倒なので、局番を省略して表示しているところも少なくなかったのだ。　そんなこととはつゆ知らず。大恥かいた記憶はあるが、電話が通じたかどうかは記憶がない。半世紀近く昔のことである。　それに較べれば今や携帯でテレビ電話もできるし、盗撮もできる。凄まじい進歩だ。

  2005年09月15日

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