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[保険会社の矛盾] カテゴリの記事

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• 無理は禁物！

  頑張っても、成果につながらないというのはよくあることです。頑張って治療に勤しんだからと言って、急激に回復するとは限りません。ある医師の言葉ですが、「医師は患者の自然治癒力を高める仕事をするだけ、手術といっても治癒力が上がる近道をしているのだ…」すべてがそうではないにしろ、全部医者任せにされては困りますよ…と言いたげです。また、痛いのを我慢して、無理矢理仕事復帰したのに、保険会社はそれを評価してくれない…つまり、治療費が浮いた分、保険会社は助かった筈、だから賠償金を上乗せしろ、と。「頑張って社会復帰したのは自身の為」と、保険会社は実績分の慰謝料しか支払いません。当然と言えば当然、我慢できるほどの痛み、と理解するのです。保険会社に情を求めてはいけません。担当者だからと言って、1人だけを担当しているのではなく、現在進行形の被害者は少なくとも40～50人は下りません。一回きりの被害者に、色を付けることはなく、上辺だけの数字操作でごまかしているだけです。だからといって、治療を長引かせろ、と言っているのではありません。治療中は医師の指示に従い、十分に静養するべし、無理をするとかえってひどくなる。骨折後のリハビリで頑張りすぎて、再骨折したという話もあります。無理は禁物です！

  2007.10.23

• 前向きに取り組む

  いつも感じている事なのですが、損害賠償の解決は様々、と被害者に説明していることがあります。例えば、裁判で判決を勝ち取る人もいれば、保険会社の提示金額に納得する人もいます。大きな金額を勝ち取っても、事故の精神的障害が和らぐ事はありません。何らかの形で事故のことを振り切り、見事社会復帰した時点で一応の解決と考えることもあります。その中で、「自分には責任がないから…」と消極的な姿勢であれば、事故のしこりは消えず、完全な社会復帰を遂げることは難しくなります。自身の損害を立証するのは非常に難しいものですし、相手が認めないことには賠償は解決しません。確かに、他人から被ったケガにどうして自分が苦労しなければ…？という気持ちもわかるのですが、賠償部分と心情的な部分は切り離して考えなければなりません。感情的になって相手を攻撃する、保険会社を責め立てる、治療を長がびかせる、どれも前向きではありません。治療が長期になった原因が被害者にあるとなれば、賠償問題とは別の問題が浮上するかもしれません。つまり、賠償に向けた気持ちの切換え、前向きな姿勢が結果的に社会復帰までの期間を加速させることになります。でも、一人でいるときにはなかなか気付きません。さて、晴れてワールドシリーズに進出の松坂君です。周囲のメディアは、1億ドルも出したのに…と、逆風の中でしたが、見事に勝利投手となりました。ワールドシリーズで日本人対決も…野茂選手がメジャーに挑戦した頃には、将来日本人対決が見られるかも…と夢物語でしたが、それが今、実現しようとしています。

  2007.10.22

• 傘のような仕事

  ある医師と話す機会があり、僕にこう言いました。「あなたの仕事は傘のような仕事だな…」思わず絶句してしまいました。数年前に出版社の編集長に、本の原案をプレゼンしたときと同じ切り出しだったのです。雨が降らない時には必要がない。つまり、事故が起こらないと必要ない。普段生活している上で、交通事故の被害に遭う確率は少ない。そんなところで仕事をしたところで、やっていけるのか？と、ご丁寧に心配までしてくれる有様です。それなりに社会的意義のある仕事と思っていただけに、傘という表現は少々腰砕けとなるのですが、これまでの経験則を生かすことで仕事が出来るならば、これほどすばらしい仕事はない。というきっかけではじめたようなものです。これまで1日に150件のメール相談、7～8人の直接面談をこなしていた時代もありました。ボランティアですので、3年間は無給状態、しかし、そこで経験したことはお金では買えません。また、そこで関わった人達の協力もあって、本を作成することにもなりました。困っている被害者が助けを求めてくる。それに対して、打開策を挙げる、ただそれだけの事です。しかし、その人なりの対応策を考えることが重要だと信じてやってきました。「ありがとうございます。」これが明日への活力。ですから、僕は傘で結構、人の役に立つのであれば…そんな傘があってもいいのでは？

  2007.10.11

• 加害者の誠意　その2

  今日も任意保険未加入の加害者に悩まされている被害者が相談に来られました。事故から半年経過して、加害者が電話してきたのは1回きり、元々事故の過失割合に納得がいかない様子で、逆ギレ気味で電話を切られてから一切連絡を絶っています。治療費は被害者の健康保険で自己負担分を支払っています。休業した分の損害は、未だに請求していません。仕方なく5ヶ月経過した時点で、職場復帰したものの負傷した身体では十分な仕事は出来ず、再度療養生活に入っています。加害者に連絡を取ろうにも居留守を使われる始末…困りに困った状態です。後遺障害が残り、将来的にも不安を残す事になってしまいました。幸い自身で任意保険に加入していましたので、自賠責保険請求の後に無保険車賠償特約で請求する術が残されています。この点について説明したところで、一安心はしたのですが…問題は、誠意の欠片もない加害者を法的に処罰できないものか？との質問です。基本的に、加害者は刑事的な罰則は受けているので、法的に追い込むことは出来ません。被害者の賠償問題も自身の保険会社から支払われた後は、加害者に請求されることになりますが、結局無い人からは取ることも出来ない。精々勤務先の給与を抑えるぐらいが関の山です。保険会社が諦めれば、加害者の逃げ得状態となるのです。したがって、この質問に対しての十分な答えは出来ませんでした。後遺障害に日々悩んでいる被害者と、相反して罰金を支払った後は普段と変わりない生活を過ごしている加害者。賠償を怠ったとしても、社会的制裁がなされることはありません。悪いことをした人ばかりが保護されている、弱いものばかりが貧乏くじを引く、そんな世の中にしたのは誰でしょう…？

  2007.10.10

• 加害者の誠意

  交通事故によって損害を被った方よりも、加害者の方が手厚く保護されているという考え方があります。加害者は任意的に保険に加入して損害賠償は全権保険会社にと正当性を主張しますが、これは当たり前のことです。保険がなければ、自賠責保険を超えた部分は加害者が支払う責任があります。しかし、問題は損害賠償という現状に困窮している被害者を保護する制度が不十分であるが故に、加害者は保険会社に任せっきりとなり、専門的な知識に疎い被害者は保険会社の払い渋りに困窮するという2次的な被害が発生します。営利企業が被害状況を積算する際に、どのような行動をするのか？勿論、被害者の要求のままに支払うことよりは、具体的な基準や判例に基づきながら、合法的に払い渋りを敢行する。賠償する側の言い分としては、「被害者の言い分を聴いていたらキリがない…損害を主張する側が立証できないものを支払いようがない」と保険会社担当者。もっともらしいが、実に誠意のない意見です。損害の賠償を行う営利企業としては当然の見解ですが、精神的な苦痛も伴った場合、このような対応で円満解決が行えるとは考えられず、結果的にある部分被害者が泣きを見ることで治まっている状態です。「あなたは被害者に対してどのような対応を行ってきましたか？」『損害賠償に関しては任意保険が十分な対応を行っています』「保険に入ることは当たり前のこと、その上あなたは何をしたのですが？ それで加害者としての責務を全うしたと考えているのですか？」とある検事が加害者に言い放った言葉です。人それぞれ考え方があるように、損害の中身もそれぞれです。きりがないという考え方がありますが、しかし、保険会社ばかりに任せっきりで、自分は一切身銭を切らないというのもどうかと考えます。お詫びという意味で誠意をもって接するというのは、人として当たり前のことのように思いますが、最近それが薄れている世の中に見えてきます。

  2007.10.09

• 迷走することも・・・

  道先案内人と自分で名乗っておきながらですが、実は道先を誤った事もあります。ある時期、賠償金は高いに越したことはない、と最高の結果を残すべく必死に動いていたのですが、当の被害者と温度差が生じていたことに気付きもしませんでした。「示談」とは、直接的損害や身体的、精神的な苦痛に対する慰謝料を加害者若しくは保険会社が被害者に支払うことで終結します。被害者によっては、高額解決を望む方や、お金は関係なく、早い社会復帰を望む方とそれぞれです。被害者そっちのけで熱くなっても仕方ありません。よりよい解決ラインは何処であるのか？を被害者と共同で見つけていかなくてはなりません。そのような失敗もあり、今日があります。今でも試行錯誤の毎日であることは変わりありませんが、これも日々勉強。昨日の高校生ドラフトですが、仙台育英の佐藤君の涙にはやられました。思わずもらい泣き。最近、歳をとったのか、涙腺が緩みっぱなしです。

  2007.10.04

• 道先案内人

  「被害者が困っても保護する制度はない」昨日のブログ内容ですが、こういった被害者の対応は基本的に「取れるところから先に請求して、負担を軽減する」といった当たり前のことからはじめています。つまり、加害者に任意保険契約がない場合は、自賠責保険に対する請求をマメに行っていく。後遺障害が残存するのであれば、自賠責保険請求の後に自身の任意保険に「無保険車賠償」の請求を行う。また、簡保や傷害保険に対しても同じです。第一に被害者の負担を未然に防ぐことが基本。被害者は事故に遭遇して、右も左も解らない状態に陥りますので、先ずは賠償の方向性等を説明するだけで随分安心します。保険加入も怠っている加害者に、賠償の期待をしても仕方ありません。また、損害が確定した段階でまとめて請求する、調停、訴訟等です。金額が大きくなれば、弁護士投入の検討もしなくてはなりません。保険業界では当たり前のことでも、はじめての被害者は見当もつきません。迷っている時間が短縮されれば、精神面の影響も少なくて済みます。交通事故の道先案内人に徹している毎日です。さて、昨日巨人が優勝しました…高校生ドラフトでは、くじ運の悪さを再確認した阪神首脳陣ですが、中田君はパリーグで伸び伸びとやる方があっていると思います。しかし、少々終盤はあっけない展開でした。ラストの阪神の低迷、これが原因です。今の戦力であれば、CSは巨人が断然有利。そうなると寂しいシーズンオフとなります…ここらで爆発してくれればいいのですが…ひとまず、巨人ファンの皆さんおめでとうございます。でも、阪神ファンはまだ諦めていません。そう、しつこいのです

  2007.10.03

• 被害者として重要なこと

  「保険会社との交渉が上手く進まない」被害者として、自身の主張、損害の確定までを自身で行うことは、非常に困難です。保険会社との交渉が上手く進まないというのは、当たり前のこと。つまり、被害者は最初から不利に立たされている、これは周知の事実です。被害者自身が損害賠償を根本的に理解すること、これが重要となります。最終的な解決を弁護士に委任するという方法もありますが、損害が確定しない状態では委任しても仕方ありません。では、損害の確定とは・・・？つまり、身体における将来的な損失を、金額的に証明できる状態という意味です。後遺障害診断書が出来上がれば、弁護士に委任して請求することも可能ですが、請求にいたるまでの処理は被害者が行うべきです。後遺障害は、労災保険が規定している１～14級までの等級が存在します。各部位及び、程度に応じた等級が制定されていますので、すべての等級を網羅した形となるのですが、問題はどの時点で申請するのか？被害者は現状で後遺障害が残存しているのか、どうかさえも解りません。法律相談などに出掛けても、このようなレクチャーは期待できません。弁護士に依頼するまでの損害の確定が如何に重要であるか、この部分が軽視されてきたことが、そもそも紛争の発端といっても過言ではありません。過去に事故から3年間治療を行っている被害者が相談に来られました。これだけ長期間の治療を要した理由は、脳外傷における精神的障害、いわゆる高次脳機能障害という重篤な傷病を患っていたからです。ご家族は、いつか直ると信じて治療に没頭しており、保険会社の話には聞く耳を持ちません。しかし、症状経過を確認すると、事故後8ヶ月頃から固定していることが伺えました。そのことが原因で、保険会社より休業損害や治療費を停止され、金銭的に困窮したのです。完治するという希望を持ち続ける気持ちは痛いほど解ります。しかし、損害賠償として時機を逸すると、それを支えるご家族にも影響することがあります。例えば、過失事案であった場合はどうでしょう。内払いはあくまで加害者の過失部分に対して行われます。過失割合が50％であれば、単純に治療期間中は収入が半減します。それが長期間続けば続くほど、ロスは大きくなります。そんなとき、保険会社は示談金を持って救いの手をさしのべれば、藁にもすがる状態の被害者は、やむなく示談ということもあるのです。交通事故でも計画的な賠償計画を立てるつまり、治療の方向性や症状固定の時期、後遺障害の有無、後遺障害申請、弁護士委任と被害者自身が順序立てて計画することが重要です。対する保険会社には、被害者対応のスケジュールファイルが存在します。知識、情報、計画、以上の3点が劣っている部分です。将来を左右するかもしれない賠償ですから、真剣に取り組んでみてはいかがでしょうか？いつもこのことに重視して対応しています。

  2007.09.28

• 後遺障害問題

  「後遺障害について情報が乏しい」驚くような話なのですが、後遺障害の申請も行わずに示談しているケースが多くあります。中には、治療が終了した時点で「後遺障害は自賠責保険へ請求してください…」と言って目先の賠償額を提示する保険担当者もいます。なぜ…？と被害者から言われれば、治療が終了するに伴い、治療費・休業損害がストップになり、経済的な困窮を避けるために、提示された金額で一旦示談して自賠責保険の認定は後に…と不安をあおります。ここまで説明されて、ハテナ？と感じる人は少なく、むしろ「なんと親切な…」と感じる方もいるほどです。しかし、これには少々問題があります。示談書を交わすということは、これ以上被害者が加害者側に何も、請求しないという意味です。つまり、後遺障害等級が認定されたとしても、任意保険は関与しない。最低基準である、自賠責保険の後遺障害慰謝料と逸失利益を受け取って終わりということになります。裁判基準を用いるなら、自賠責保険基準と弁護士基準では、およそ3倍も違うこともあります。つまり、基準によって賠償金額が変わるのです。基本的に任意保険は、被害者の実情に応じた賠償額を算定し、交渉をおこなうこととして「示談交渉付保険」の認可を受けているはずが、実情は最低基準に近い状態で、賠償を行っていることの方が多いのです。一般の方に「後遺障害」と聞いても、“ピン”とこないのが当たり前です。実際に、その後請求して後遺障害が認められたとしても、任意保険とは示談解決となっているため、交渉をやり直すことなど出来ません。被害者は、損害賠償に関して明確な知識を持ち、実情に伴った後遺障害等級が認定される。その結果、適正な示談が行われること、これが理想的な解決（適正な賠償金）なのですが、この基本さえも知らない被害者があまりにも多いのです。なぜか？保険会社自体が、加害者の為の保険であり、被害者に献身的に尽くしたとしても仕方ないからです。したがって、損をしている被害者が後を絶ちません。

  2007.09.26

• 傷病を理解する

  「治療方法に不可解な点があり、不安を生じている」ある日突然事故に遭い、気付いたときには病院ベットの上、知らない間に手術されているケースも少なくありません。往々にして運び込まれた病院医師の見解によって、治療方針が異なることもあり、はたまた見当違いの治療すらあります。実際に交通事故治療に際しても、初期治療及び初期検査・診断の相違によって治療が長引いたケースもあるほど…こればかりは当たり外れがあるのかもしれません。しかし、素人同然の被害者は、医師の指示の赴くまま、例え間違っていたとしてもそれに背くことはありません。しばらく経って、見過ごされた傷病が解ったとしても、賠償する側の保険会社は認めない事もあります。保険会社は決まって、因果関係の問題を論議します。つまり、初期的な検査段階で露見しなかった傷病は、事故との因果関係を疑うのです。それも正論ではあるのですが、医師の診断のせいにするわけにはいかず、被害者が泣き寝入りするという案件も多く見てきました。凝り固まった考えを持った医師を、説得するのは少々難しい問題ではありますが、別の医師が認めた検査資料を裏付けとして、カルテ上に記載して貰うことで因果関係問題の解決策の1つです。プライドの固まりのような医師もいますので、それを逆撫でするのは逆効果ではありますが、何もしないよりはマシです。しかし問題は、被害者が自身に生じた傷病の理解さえも行わないことにあります。と言えばシビアな指摘になりますが、一方で被害者は損害保険に対して傷病や後遺障害に基づく、将来の賠償金を請求するわけですから、少なくとも自身に降りかかった傷害や障害は理解するべきです。今やネットで調べて解らないことはないと言われています。傷病や症例、具体的な打開策、経験者の声などを自分なりに分析して、不明の点を医師に確認することも出来ます。知ることで幾分精神的ダメージも和らぐ事になるかもしれません。その状況にある方は、一度実行してください。

  2007.09.25

• 被害者の実情

  「保険会社の対応が十分ではない」被害者にとって、損害を賠償する保険会社とはなんの関係もありません。当然ですが、皆さんが契約している保険ではないので、契約事項もなく、あるのは自賠責保険が決めた最低の基準だけ。「実情に応じた賠償を加害者に代わって行う…」は表向き。任意保険は加害者を守る保険であることは周知の事実です。「事故対応満足度ナンバーワン・くらべて納得、安心保険…」これは、加害者に向けてのキャッチコピーです。先日、保険会社の不払い問題が露呈し、金融庁が厳格な処分を下したことで一旦は沈静化を見せていますが、あれはあくまで契約者との問題です。被害者との不払いが問題とならないのは、そこには契約がないから。つまり、自賠責保険の最低基準をクリアすれば問題ない。ある日契約関係にある車が事故を起こして、見ず知らずの被害者の対応をする。普通に考えれば当たり前の行為ですが、保険会社は支払い方法如何によって、直接会社の利益となります。したがって、支出を少なくすることで利益を上げるという、当たり前の理由があります。任意保険というのは自賠責保険の上積み保険であり、契約した車両の自賠責保険を利用しながら、被害者の対応を行っています。自賠責保険には被害者一人当たり120万円の賠償金が認められています。項目それぞれに対する最低金額が取り決められています。よって、それを超える分は任意保険が出すべきなのですが、実際のところは、自賠責保険に若干上乗せした金額を支払っている状態です。ひどいときには、治療費や支払金額を120万円で抑えて、任意保険側は一切支出しないこともあります。つまり、支出を最小限に留めることを最大限のテーマとなっていることだけは間違いありません。保険の安売り競争の影響が、被害者に出ているようです。したがって、保険会社の対応が不十分であるのは当たり前と考え、被害者は具体的に損害を立証する事に終始しなければなりません。ケガを負っていながら、被害者には様々な責任が科せられます。矛盾しているようですが、実情はこの通りです。

  2007.09.20

• 精神的な苦痛に対して

  身体的もさることながら、精神的にも大きな苦痛を受ける事故で負傷して社会生活から別離される。休みも惜しんで働いている会社員で重要なポストにある方々は、遭いたくもない事故でやむなく休業を余儀なくされます。実はこのことが原因で、将来を左右することさえもあるのです。昇進を控えた時期や、大きなプロジェクトを任されていた時期に休業する羽目になったとき、社会生活と離れて治療に専念する。それも自分には全く過失がない事故で…考えただけでも気が遠くなる方も多いのでは…？重要な時期といえば、受験を控えた学生さん。事故が原因で浪人する事さえもあります。それぞれ金額に換算しようのない問題です。これに対して保険会社は、慰謝料として入院期間・通院の頻度によって、機械的に計算するのですが、数字に表されても個々の気持ちを反映したとは、到底言えないものです。子供から大人まで職種を問わず、一律の金額です。裁判では個々の状況や後遺障害に対して配慮されていますが、それはあくまで裁判上でのこと。保険会社との折衝でこのような配慮がなされることは、一切ありません。したがって、この部分に対しても精神的苦痛が重なる結果となります。また、保険会社は精神的障害に対するケアについて軽視している感があり、事故を契機に鬱病となった被害者に対しても、因果関係問題を持ち出して否定する構えです。精神的影響は人それぞれですが、未然に防ぐ意味で支えが必要となります。具体的に言えば、個々の状況に応じた事故の対処法を被害者と一緒に取り組む配慮があれば、精神的被害を増大させることも少ないと考えます。こういった対処を、保険会社が行うはずもなく、被害者の心に大きくのし掛かります。事故で相談に訪れる被害者の殆どに、こういった精神的苦痛を被るケースが多いのも事実です。まず、このような精神的苦痛、対処法、賠償の方向性を導くことで、大方は気持ちに余裕が生まれているようです。確かに、時間を要する問題ですが、これをなくして解決はあり得ない。しこりを残したままで、冷静な判断は困難となりますので、地道に行っています。

  2007.09.19

• 陳旧性…？

  先日お会いした被害者が持ってきた診断書に「陳旧性圧迫骨折」と記載されていました。つまり、古い、既にあった骨折という意味です。しかし、事故後に搬送された診断書には普通に圧迫骨折とあります。レントゲン所見では、過去の病状等を確認することが出来ます。でも、最初の医師が圧迫骨折と診断しているにもかかわらず、どうしてこの医師は「陳旧性」と記載したのでしょうか？確認したところ、『私のところに来たときには、既に事故後1週間は経過していた、だから陳旧性と記載した。』（･･･・それって屁理屈でしょ）症状が現在進行形であるにもかかわらず、「陳旧性」に拘りました。その結果、後遺障害では陳旧性がネックとなって等級が認定されません。いくら訳を説明しても、医師が「陳旧性」と記載している以上、認定できない…と言う答えです。仕方なく、それぞれの病院の資料を取りそろえ、裁判所で決着を付けるしか方法しかありません。被害者の治療サポートを行う医師でさえ、この有様です。この医師の見解の違いにより、被害者の解決は1年伸びることになりそうです。凝り固まった見解を利用した自賠責保険にも問題はあります。しかし、裁判で明らかとなってもそれぞれにペナルティはありません。結局、被害者が損をする･･･

  2007.06.04

• 逃げ得の加害者

  加害者の損害賠償を担当する保険会社は最初に「不明の際には加害者ではなく当方にご連絡ください。」と言います。示談交渉付保険を販売している以上、加害者が窓口となっては建前上都合が悪いのです。つまり保険会社の都合です。では、困った事が生じて保険会社に連絡するとします。いくら担当者でも咄嗟の対応には慣れていません。しばらく待たされた挙げ句、大抵要望に対しては無理なことが多いのです。確かに常識以外の無理難題をいう方も少なくありませんが、大方治療費の遅れ、休業損害の遅れ等が多くを占めます。保険担当者は、一人で多くの案件を受け持ちます。最低30件多くて100件ほどです。同時に対応できると思いますか？したがって、クレームに対処することに徹するしかありません。不満を持った被害者は加害者に不満をぶちまけます、しかし加害者は人ごとのように受け流します。加害者からすれば、こんな時のために保険に加入しているのにどうして？と思うでしょう。しかし、「保険会社に任せきりで賠償したところで、保険査定金額が本当に十分と言えますか？あなただったらどうします？休業損害はいつも遅れ気味、治療費も遅れ気味、挙げ句に慰謝料は自賠責保険の最低基準、これで賠償？で、あなたは被害者に何をしたの？」これは実際に交通検察庁の検察官が加害者に言い放った言葉です。実に当たり前のことです。保険に加入していると言っても、保険会社の都合で賠償額を減額するのは日常です。十分ではないからこれまで紛争が発生している。決して被害者が欲を出しているのではありません。正当な賠償を求めているだけ、それを理由に賠償額を提示しておきながら、交渉が進むにつれて金額が上がるのはなぜ？払えるのであれば、最初から出すのが礼儀。そう思いませんか？友人が加害者になったとき、必ず言うことがあります。「誠意とはお金、最初に内払金としていくらかお金をおいてこい、そして足らない分は連絡してもらうことにして、しばらくは保険会社とのパイプ役をするぐらいは人として当然。そうすることにより人の痛みも知り、今後事故を起こさないようになる。」さて、実現している加害者はどれぐらいいるでしょうか？

  2007.05.31

• 心ない言葉

  交通事故の外傷は目に見える症状ばかりではありません。頚椎捻挫、関節の捻挫、靱帯の損傷等はわかりにくいことで弊害が生じます。つまり、重度の傷病でない限り、見た目が普通なだけに症状が伝わりにくいということです。痛みを押して職場復帰しても、同僚は完治したと勘違いし、フォローすらしません。また、無理をすることで他の部位に影響が出ることもしばしばです。同僚からは見た目に普通であるのに…と不審がります。こういった悩み、質問を受けたときには、身体が元通りに近づくまでは職場復帰する必要はない、と説明します。基本的には医師の指示に従うべきです。会社の為を思って復帰しても、再度休むことによって結果的に迷惑をかける恐れがあります。そういった事を原因として、結果的に治療が長引く事もあります。よく診断書で、全治2週間とあります。いい加減なように見えてある程度の根拠があります。2週間安静にしていれば、人間の自然治癒力により元通りに近づけてくれる筈、と判断しているのです。しかし、交通事故の患者さんに限ってではなく、他の外傷患者もじっとしている人は意外に少ないのです。それが原因で治療が長引く、保険会社が疑いの目で見るという悪循環。大小問わず保険会社というものは、最初から疑いの目で見ています。つまり、「本当に傷害があったのか？」と疑い、診断書を提出することによって納得をします。しかし、診断書記述通り「2週間～」の期間を過ぎても一向に直らない、「本当に痛いのか？」と考えるのです。そういった積み重ねが結果的に払い渋りのきっかけとなった、過言ではありません。今日会った被害者からは保険会社の担当者に『まだ、通院してるんですか？もう勘弁してください…』と投げやりな言葉に深く傷ついた…と話していました。診断書以上の加療は必要なの？保険会社の立場でそう言います。しかし、年齢別、傷害等によって、治療が長引くのはある程度わかっているもの。そういった事を考慮して、医師が最終的に判断するものです。保険会社が独自に決めるものではありません。

  2007.05.30

• 誠意とは…？

  先日お会いした被害者の話です。事故車両に任意保険契約がなく、今後の賠償について不安を感じておられました。任意保険は強制加入が義務づけられている自賠責保険とは違い加入は任意です。つい最近知り合った若い子に「任意保険は加入してるの？」と聞いても「多分…」と返ってくることから、あまり浸透していないように感じます。ある調べでは、任意保険の加入率が70～80％と言われています。単純に考えれば、10台に2～3台が加入していない計算となります。無責任としか言いようがありませんが、現実です。加入していなくても、賠償能力があればいいのですが、賠償能力があれば任意保険料をケチることはありません。事故率が高い若い世代ほど、保険料は高くなります。高いが故に支払う金がない。いつ事故に遭うかもしれないものに金を払うのはバカらしい…そういった感覚で加入率が低下しているとも言われています。でも、そういうときに限って事故が発生します。自賠責保険は最低賠償です。しかし、実際の損害額とはかけ離れている場合が多く、トラブルが発生することになります。ですから、任意保険に加入している自体が誠意と理解する考え方もあります。先の被害者は、払い渋りの保険会社であっても、払ってくれる方がマシと言います。加害者の都合によって、被害者の精神的ダメージが左右する。被害者自身が、そういうことを心配しなければならない世の中です。加害者天国と言われる所以です。

  2007.05.29

• 知らないで損をする？

  ひとえに保険といっても種類、商品内容は各社様々で、一般の方が理解するには困難です。それであるが故に知らないことで損をした、という経験はないでしょうか？例えば、賃貸住宅にお住まいの為の火災保険。あれは、不動産会社、管理会社、保険会社の儲けしろという話があります。つまり、賃貸契約上大家側が加入する義務があります。今時のマンションが全焼することはありませんので、もし火事にあった時にでも内装の修繕費等とリスクもさほど大きいものではありません。本来大家が払うべきものを借り手が払っている…少しおかしいと思いませんか？勿論、借り手が火災保険に入っているか否かを気にしながら冷や冷やしている大家などいません。当然に火災保険の契約はしています。では、保険料金がダブるということになりますね。そうです、高い保険料と代理店手数料をもぎ取る為の口実となっているのです。確かに、中に入っているものは借り手の持ち物ですので家財保険等は必要ですが、それにしてもあの保険料は高すぎる。確率論・統計学上、様々なリスク加味しても、３分の１の金額で済むはずです。火事のニュースは、毎日のように流れていますが、発生している交通事故の数と比べてみてください。ニュースに乗じて、前後に保険会社のコマーシャルが多いのも一種の営業手段です。災難はいつ降りかかってくるかはわからない…だから保険、という仕組みです。実際に業者側は、個人的に安く加入している実績があります。保険会社も大きな保険料を取りすぎていると感じていても、親切に説明することはありません。売る側は常に自分の都合に沿った商品を消費者に売りつけるのは世の常です。ですから、損をしないということは“知る”事です。

  2007.05.23

• 査定マンの弱み

  査定マンとて、所詮普通の人です。担当する被害者によって、対応が異なることは世の常です。愛くるしい美貌をもつ女性が、被害者であったならば、実際の対応も良くなり、連絡する回数も増えるというものです。中には、交際を申し込む者もいます。（本当にあったことです）クレームの嵐の職場に、かよわいお姉さんが困っていたら、男としても助けたくなる気持ちもわからないでもありません。スケベ心を理性で押さえられないこともあります。そんな、担当者が落とし入れる輩もいます。スケベ心満開の担当者が、そのことを理由に左遷、退職に追いやられて人生を棒に振った事も確かにある話です。仕事に私情を挟まないのが社会人としての常識ですが、何せ保険会社はストレスのたまり場です。欲求を抑えられない人も中にはいます。お色気で迫られた挙げ句に、高額賠償金をもぎ取られた事例もあるほど…スキャンダルを隠すために、要求を飲む事で事なきを得たのですが、噂が社内を駆けめぐり、大騒ぎとなりました。馬鹿げた話ですが、実際にあった話です。どこの会社とは言えません。彼らにもプライバシーはありますから…所詮同じ人間、保険会社の社員といっても、不倫もあれば、社内恋愛もあります。また、美しい者に弱いし、ヤクザは恐いのです。皆さんと一緒です。ですから、保険会社と言っても構える必要はありません。冷静に対応することが大切です。（そんな事言われて冷静になれないか…）

  2007.05.18

• 査定マンの考え方

  一般の人からすれば、最近の報道にありますように損保会社に対する期待より疑いの目を持っている方が多いのですが、しかし、生活費に困窮する被害者にとっては、担当者の処理能力によって生活が左右されることがあります。被害者が事故により、仕事を休業せざる得ない状況に陥ります。中には、十分な蓄えもなく、月の給与が停止する事で困窮する方もおられます。休業損害は、勤務先から締め日に作成されて保険会社へ即座に提出されたとしても、支払いまでは担当者→センター所長→経理という流れを辿り、金融機関へ伝送されますので、ある一定の時間を要します。つまり、給与支給日には間に合わない事が多いと考えてください。この部分において、被害者がどれだけクレームをいったところで、保険会社のシステム上の問題ですので、担当者がそれに合わせることは少なく、毎々の問い合わせを被害者が行うことになります。精神的に多大な影響を及ぼすだけでなく、保険会社担当者の術中に徐々にはまっていくことになります。お金に困った被害者は、必要なお金をどこからか用立てます。中には、これを理由に消費者金融に手を出すかもしれず、払う必要もない利子に苦しむこともあります。そんなとき、まとまったお金を保険会社が打診したとすれば、どう考えるでしょう。普通の状態であれば、「そんなお金貰っても…」と考えますが、精神的に追い詰められた状態です。示談書に判を押す人も少なくないのです。こういった姑息なテクニックを使う担当者も中にはいました。「休業損害が遅れ気味で困っている、何とかしてくれないか」『それはシステム上どうにもならない事ですから、どうにも出来ません』「しかし、それでは生活に困る、そもそも事故が原因でこうなった・・」『とは言われましても、事故を起こしたのは加害者ですから・・　私どもに言われましても…』「何とかならないか？」『それはそうと、事故から3ヶ月も経過しております』『保険会社としては、そろそろ示談の件を考えていただけないでしょうか？』『そうすれば、まとまった金額をお支払いできますが…一度、ご検討ください』こんな会話が交わされた次の日には、10人中3人ほど示談に応じる方がいらっしゃるそうです。ある担当者曰く、「兵料責め」と言って自慢気に語っていました。このとき、『この業界、腐っている…』と感じたのは言うまでもありません。※このやりとりは、すべての保険会社で行われている事ではありません。また、このことによってすべての保険会社を中傷する意味でもありません。ただ、実際に経験した事を知る権利は被害者にもあると考え、記しました。

  2007.05.17

• 査定マンの仕事

  仕事に関しては、殆どがデスクワーク中心です。最近では査定マンの人員削減により、直接被害者宅に行くことも少なく、概ね電話や手紙、メールのやりとりと聞きます。様々ですが物損担当者と人身担当者が混在するセンターが殆どです。事故の連絡は電話センターに集中されており、そこから代理店別のサービスセンターに情報が振り分けられます。ですから、大型連休の後の月曜日などには、事故報告が集中し、初期の対応が夕方までかかる事もあるのです。これを業界では、ブラックマンデーならぬ魔の月曜日と呼んでいました。1人の担当者が、常時30件～50件の案件を受け持っておりますので、出来るだけ増やしたくないし、処理速度が早すぎると新しい案件を任されるので、せかせかと仕事をすることもありません。被害者から要求があって初めて動くという印象があり、電話で約束をしていてもそれが実行されることは期待できません。なぜなら、30通りの被害者の要求を適宜にこなせる筈がないからです。要求しなければ、忘れ去られて半年後の見直しの段階で、恐る恐る担当者がファイルを開いて青ざめるということも珍しくありません。よく、被害者からのクレームで、担当者の態度や対応不足に不満をぶちまけて「担当者を変えてください」と注文を付ける人がいます。この場合は、一旦センター長が担当することになるようですが、しばらく立って「新しく担当になりました、よろしくお願いいたします。」という連絡が入ります。しかし、所詮同じ穴の狢、対応はさして変わりません。同じテーブルで舌を出しながら、その顛末を見ているクレーム担当者がいるのです。ですから、担当者には最低限の約束事、休業損害や領収分の精算は、書類が届いた時期を見計らって連絡を入れるのがベストです。しかし、実情はこんな感じですから、精神的ダメージを負った被害者にとっては2度目の打撃となります。したがってそれなりの心構えが必要です。

  2007.05.16

• 損害査定マンの実情

  損保担当者のイメージはどういう風に感じますか？普通のおじさん…が多いと思いませんか？査定一筋何十年という社員は希で、意外に嘱託社員が多いのです。中には、サラブレットの総合職もいますが、あまりヘビーな仕事はさせてもらえず、3年もすれば他のセンターに転属となります。新米社員の時に仕事を教わった嘱託社員を尻目に、頼りなかったイメージはどこへやら…立派な管理職へと出世します。新卒から、総合職は研修でも特別扱いです。すべてがこのような状態ではありませんが、少なくとも出入りしていた3社では、このような雰囲気でした。しかし、それから合併が相次ぎましたので、社内は戦々恐々となっているに違いなく、それこそ被害者の事などそっちのけの状態は間違いないと思います。嘱託さんや派遣女子社員は、いつ契約を切られるかわからない会社に忠誠を尽くすことなどありませんので、面倒な仕事は受け持ちません。ただ、自分の査定にマイナスとならないように努力します。被害者の査定より自分の査定評価を気にしています。被害者の査定も、予め会社が決めた内容からは大きく外れることはありませんので、紛争が勃発する、結果自分では解決できないので、弁護士に任せる、という図式です。そして、弁護士が上手く被害者を押さえこめば、一件落着です。会社員としては当たり前のこと。いわば仕方のないことでもあります。そんな社員の仕事を手助けする事も良くありました。初期の対応から最終的な示談までの対応です。もちろん、社員ではありませんから、最終的な示談交渉時には、社員を連れて行きます。しかし、不思議と私が対応している被害者には、文句を言う方はいませんでした。毎週決まった時間に連絡を入れて、不足内容の確認、無理な場合の理由説明等を欠かさず行っていました。そうすれば、ある程度の人間関係も構築できるので金額面の不満よりも「よくしてくれた・・」と言う声の方が多くなる。当時は、担当者よりも対応人数は多かったほど…私が保険会社に入っていれば、エキスパートになっていたかも…？やっぱり駄目だ、こっちの方が心地いい…

  2007.05.15

• 損害査定

  僕が10数年前保険業界に足を踏み入れた当時は、保険会社専属の調査員でした。「調査員」簡単に説明すれば、事故が発生したときに、加害者から任意保険会社に事故の報告が入りますが、加害者側の報告だけでは、事故の真相に食い違い過失問題で被害者側と紛争が生じるかもしれないので、損害の実情と事故の内容を客観的視点で判断し、その内容を保険会社に報告する仕事です。要するに、保険会社の査定担当者の手となり足となる下請け業者です。そのとき出入りしていた保険会社の事について書きたいと思います。査定マン（保険会社査定社員）からすると、調査員は査定マンの代わりに動き回る忠犬ハチ公のような存在で、被害者のケガの状況、家庭環境、仕事の内容、事故の内容、警察の調査を行うなど、査定マンの言いなりで事前調査を行います。今ほど、個人情報に対する規制が厳しくなかった頃でしたから、素行調査的な事もやっていました。いわゆる、休業損害を貰っていながら、仕事をしている人、遊び回っている人など、加害者からの情報を基に調査し、事実が発覚した場合は保険金をストップします。加害者は形ほどの誠意を示すため、足繁く被害者宅に訪問します。そのとき、「仕事を休むほどではないのでは…？」「いつ行っても留守だ…」「仕事をしているのでは…？」という内容の報告があります。その為の調査です。ひどい場合は、保険金詐欺として告発するケースもあります。損害査定の社内評価では、「なるべく払わない」より「速やかに適正な支払いを行う」が評価されます。意外だったのではないでしょうか。しかし、ここで言う“適正”は、保険会社が認定する金額、つまり保険会社が被害者の休業損害を勝手に試算して支払うのです。それも、過払いしないよう慎重に内払いを行います。事故は、加害者側が一方的に悪いということではありません。概ね、被害者側にも過失が発生する事が多く、被害者のいいなりになって次々と支払っていくと、最終的には過払いとなって、最後に支払うものがなくなってしまいます。結果的に、支払った金額を計算し、払うものが無くなってしまった場合、被害者は示談に同意しません。ですから、査定マンとしてのテクニックで、内払いを出来るだけ少なくして、最後にまとめて支払う方が被害者としても納得しやすいのです。こういった査定の現場では、被害者の内情を個々に把握することは出来ません。よって、調査員としての仕事が発生するのです。それだけに、査定マンと調査員は、密接な付き合いとなり、被害者面談に同行していったり、示談交渉に同行したりだとか、自然と仲間意識が芽生えます。最近では、経費削減で調査員の仕事が激減しているという風の噂がありましたが、当時はバブルの絶頂期、損保会社も有り余ったお金の使い道に困っていたほどであり、膨大な経費にとりつくことが可能でありました。次回より、そんな査定マンの話へと続きます。

  2007.05.13

• 弁護士委任について

  事故に遭遇して、被害者が陥る状況は様々です。軽微な事故ですぐに社会復帰を遂げる場合は、ダメージが少ない分、保険会社と交渉を行うとしてもトラブルとなる可能性は少ないと言えます。しかし、治療が長期化すれば、社会復帰までの時間や傷病に応じた慰謝料、また後遺障害を伴うとなれば、ご自身の考え方と支払う側、つまり保険会社との間に大きな溝が生じます。被害者は多くを望み、保険会社は押さえようとするなど、両者は対立します。しかし、専門知識を駆使している保険会社に比べて、被害者は非常に不利です。そんな場合、大きな味方となってくれるのが「弁護士」です。保険会社とトラブルが発生した場合、すぐに“弁護士”と考えがちではないでしょうか。確かに、弁護士は依頼人の利益の為に最善の尽くします。しかし、損害が決まっていない状態で弁護士を依頼するのは、時期尚早とも言えます。「損害が決まっていない」つまり、治療が終了していない状態を説明します。例えば、治療が長期化した状態で、保険会社が休業損害をストップしてきたとします。被害者はその訳を要求しますが、ストップするにはそれなりの正当な理由があります。再会させるための明確な証拠を示さないことには、一度閉まった扉はなかなか開きません。治療の必要性を証明してくれるのは医師です。弁護士が証明してくれるのではありません。もし、弁護士が被害者の主治医と面談して、証明したとしてもそれは被害者自身も出来ることなのです。治療が終了し、後遺障害の認定が完了した時点で、具体的な損害の算定が出来た段階で依頼するのが理想的です。事前に相談は行っていたとしても、損害におけるスケジュール管理を行うことに留める。どうしてか？余計な出費を防ぐためです。また、支払う方が常に有意であることも憶えておかなければなりません。明確な理由もなしに“払え“と言っても、「訴訟してください」と言われてしまえば面倒となります。訴訟となれば、損害が確定するまで身動きが出来ません。結局、保険会社の思うつぼです。私見ですが、被害者が損害賠償のスケジュールを組みながら、ロスを最小限に留めることの方が重要です。費用対効果を重視して、デメリットを回避しなければなりません。

  2007.04.18

• 交通事故で儲かるのは？

  前回からの続き経験者は多いと思いますが、交通事故で救急搬送された病院で、「交通事故は自由診療扱いとなります。」ときっぱりと言います。『なんで…？』と言っても「加害者の行為によって傷病を被ったから…」「健康保険は自分で怪我したときに使える…」「緊急治療で、健保の縛りをいちいち考えてられない…」と専門の知識のない被害者は仕方なく医事課の指示に応じて、自由診療額で精算します。でも、おかしくないですか？加害者の行為によって傷病を被ったとしても、加害者に一方的過失がある事案は意外に少ない。ですから、被害者の過失分は自分で負担しなきゃならない。緊急性だから仕方ないと言っても、『じゃあ、心臓発作や脳梗塞で運ばれた人は？』おかしい、言ってることとやってることのつじつまが合わない。ハッキリと、「交通事故は病院の儲けしろだから、自由診療で請求させて！」と言っている方がわかりやすい。そうです、本当の理由はこれなのです。何処の病院でも、経営状態は芳しくなく、医事課にとっては自由に治療して定価で請求できる交通事故ほど美味しいものはありません。昔には、救急隊員に礼金を払い交通事故患者を集めていた病院があったほど…夜間に救急車が鳴りやまない病院はありませんか…？では、被害者の過失がない場合は健保・自費のどちらでも損がないのでは？これに対しても、健保使用に関する明確な理由があります。救急搬送されて当直医師がその専門分野の医師とは限りません。命に別状のない場合は、他の課の医師でも大抵の診断能力はあります。また、次の日に専門医に引き継ぐことで大方の間違いも修正されます。しかし、当初の検査では必要、不必要の判断が出来ず、不必要の治療、処方、過剰な検査を巡って保険会社が拒否してきた場合はどうでしょう？病院と保険会社の間に挟まれた被害者へ膨大な治療費が請求されることもよくあるのです。そんなバカな･･･でも本当にあった話です。ですから、後でどうなってもいいようにしなければなりません。健保では予め、健保使用に基づく制限が存在します。必要のない治療を行っても、当初から健保扱いにしていれば、それは病院の責任であるということになります。でも、病院側の問題を被害者（患者）に向けられても困ります。昔、病院で処方してもらった薬を間違い、10日前後休業した事があります。我慢ならず、病院にクレームを言ったところ、「ハッ、ハッ、薬が間違ってたのかねえ…それは申し訳なかった。」とにこやかにしています。それに、追加で診察料を請求する有様。呆れかえってものも言えません。勿論支払いませんでした。日本を代表する大学系病院でこの対応です。医療事故が絶えない実情を垣間見たような気がします。次回に続く

  2007.04.11

• 事故で健保はダメ？

  交通事故の治療で健康保険を使用できることをご存じでしょうか？健康保険法で、被保険者が事故の治療に健保を使用できるとあります。先日、仕事仲間から言われました。「普通の人は、交通事故で健保を使えることなんか、知らないんじゃない？」『…』「だって、病院はすぐに事故だと自由診療って言うじゃん。」『うん、』「保険業界の人は当然のことと知っていても、普通の人は知らないことが多い、　例え事故で使えると知っていても、内容までは知らないはず…」『…確かに。じゃあ、書いてみるよ…』という訳で今回のネタです。事故の治療で健康保険が必要な訳健保治療と自由診療の違いは、患者が負担する金額にあることは周知の事実ですが、その内訳に関しては意外に知られていません。日本に住んでいる以上、国保、社保、団体健保など様々ですが、健保加入は国民の義務です。治療費は健康保険法に基づく縛りがあり、それぞれの保険単価が決められています。つまり、医療機関は点数制度を用いて、その点数単価は、健保・自由診療・労災扱い等それぞれ単価が違うのです。健保は概ね1点＝10円自由診療1点＝20～25円労災1点＝約16円程度となります。少々、大雑把な数字ですが、そこまで細かいことを追求しても仕方ないのでこのまま進めます。結果、治療費が健保扱いですと、その3割を被保険者が負担し、病院は残り7割を健保に請求しています。単純に計算するならば、100点だと1,000円ですから、300円が被保険者、700円が健保となります。自由診療となると同じ100点でも、2,000円～2,500円となります。治療の定価と考えていただいた方がいいかも。しかし、これが病院によって“事故の治療は自由診療で！”と徹底しているところがあるのです。次回に続く

  2007.04.10

• ホームレスが事故に遭った場合（その2）

  ホームレスの方が事故に遭った場合、損害賠償はどうなるのか？前回とは違うパターンです。被害者に過失のある事案の場合は少々手が込んでいます。信号無視や道路飛びだし等の被害者には、過失を免れることは出来ません。賠償金の大半は治療費となりますので、賠償分とは別に治療費に関しても過失分は被害者が負担することになります。交通事故でも健康保険は使用できますので、過失分の負担を健康保険が負担することになるのですが、殆どのホームレスの方は健康保険を所持しておりません。もちろん家がないと言うことは住民票もありませんし、収入もないので健保がもてないのです。その場合、病院を仮の住居として健保を発行してもらいます。「そんなこと出来るの？」と言われそうですが、病院医事課に協力してもらい役所に出向きます。病院も、治療費の滞りを未然に防ぐために必死です。治療費を健保扱いで最小限にとどめ、120万円を超えないところで治療終了を行います。そこで被害者は用済みとなります。重度で重過失が伴う案件は、当初から生活保護扱いとして、ホームレス被害者に折衝を行います。つまり、治療費、生活費等をすべて国に負担させるようにするのです。自賠責保険請求、後遺障害の申請は病院に任せ、例え被害者に幾ばくかの支払いが生じても、生活費補償の観点から福祉課は、すべての賠償金を国に返還するように被害者へ迫ります。そこで、被害者が国に返還するか、どうかについて保険会社は責任を持ちません。大半が夜逃げをします。保険会社は常に支払いを最小限にとどめることに努力を注ぎます。つまり、被害者に多く支払うための努力はしません。何処の保険会社でも一緒です。テレビCMでは、加害者向けに特典情報を中心とした内容です。「被害者に多くの賠償金を支払っています」というような特典は存在しません。任せて安心の○○保険！＝任せられて困るのは、弱者である被害者です。ある方面では、NPO、ボランティアのご尽力で被害者団体が被害者救済の訴えを行っております。本当に頭の下がる思いです。しかし、制度が変わったとしても、今被害に遭われている被害者が報われることはありません。ですから、被害者自身が知識と知恵を持って保険会社と戦うことでしか、現行の被害者を救う道はありません。悲しいかな、現実です。

  2007.04.09

• ホームレスが事故に遭った場合

  ホームレスの方が事故に遭った場合、損害賠償はどうなるのか？保険調査員時代に数回経験しました。少々特異なケースで対応の方法も様々ですが、一つのことは言えます。それは、保険会社は支払うことに努力しないということです。軽傷事故であれば、若干の賠償金で解決する事になります。しかし、ホームレスですので家がありません。話し合いをするところは公園、駅前のベンチとなります。また、殆どの方が銀行に口座を持っていませんので、支払い方法が難しくなります。保険会社は金融機関ですから、賠償金の支払いに関しても銀行間の取引となります。こういった場合、加害者が身銭を切って支払った領収書を基に返金するという方法や、被害者に直接取りに来てもらう方法です。面倒なので会社へ引き取りに来るのが大半です。骨折等を伴う事故の場合、搬送先病院で１～2ヶ月の入院が必要です。自宅療養と言っても、帰る自宅がないので仕方なく入院を許可します。この場合は、病院の医事課が積極的に自由診療で治療することに専念します。自賠責保険は無過失責任保険とも呼ばれており、被害者に70％以上の過失がなければ減額はありません。そして、人身の賠償額は120万円が上限ですので、目一杯の治療費を自由診療で自賠責保険へ請求し、120万円を超えない範囲で退院させて、ハイ終わりです。保険会社も、病院のやり方に知らん顔をして手出しもしません。つまり、払えるはずであっても、被害者が請求しない限り対応しないという方法を取ります。被害者が立場の弱い人間とわかると、手のひらを返したように払い渋るということです。こういった場合、大抵が病院・保険会社が得をすることになります。この方法で傾いた経営を立て直した病院を知っています。名称は出せませんが、病院ロビーをよく見ると、入院患者らしからぬ方達が群がっています。わずかな、慰謝料を求めに医事課を訪ねるのですが、自賠責保険枠内を治療費で使い果たしているので、被害者に渡る金額はほんのわずかです。しかし、被害者も事態の認識さえもできない状態ですので太刀打ちできません。結果、泣き寝入りです。ナニワ金融道でありがちですが、実際にある話です。弁護士事務所の専属調査員の頃には、無料法律相談に来たホームレスの相談を受けたことがあります。話によると自賠責保険請求した金額をかすめている輩が存在していると言うのです。なんでも、病院医事課職員と輩（ヤカラ）はつながっているらしく、バックマージンを病院のプール金にしているということも判明しました。これを基に訴訟提起する準備を勧めていましたが、ある日突然、肝心の被害者本人がいなくなってしまいました。理由がわかりません。しかし、おおよその見当はついています。ホント恐い世界です。

  2007.04.06

• 加害者が無保険だった場合

  さて、セリーグも開幕し、我が阪神タイガースも順調に勝ち星を挙げています。しかし、世間ではメジャーリーグの方に関心があるようです。レッドソックスの松坂君は、開幕戦の試合を見てビビっているようですが、世界最高峰のプロ野球というものを肌で感じることで収穫があったのではないでしょうか。考えるに、まだ彼は一人きりでプレーしているように思います。つまり、話題だけが先行してチームの中での存在感が見えていません。確かに1年目ですから致し方ないのですが、ファンはそれを許しません。まずは、明後日の先発でどのようなピッチングをするのか、楽しみです。加害者が、任意保険に加入していない…データ的には任意保険加入率は80～85％と言われています。この数字の示す通りであれば、10～15％の車両が事故を起こすこともあり、10台に1～2台が無保険車？という確率になります。考えれば、恐いものですが、「保険契約が切れているのに気づかなかった。」「月割りで支払っていたが、残高が足りず失効していた。」こういったケースの事故を幾度か経験しています。しかし、たまったものではないのは被害者です。交通事故の賠償金は、ことのほか高額であり、その金額を加害者自身がすべて負担することなど容易なことではありません。そんな資力があれば、保険に加入していない訳がありません。こういった状況に陥った際には、ご自身のご家庭で所有している車両の任意保険契約内容を確認してください。「無保険車傷害保険」という特約があります。条件をクリアしている状態であれば、保険金の支給を得ることが出来ます。○加害者が任意対人保険に未加入の場合○対人保険に加入しているものの、年齢その他の条件、　規定に則していない場合○対人保険に加入しているにもかかわらず、　その保険額が被害者賠償額に満たない場合○事故の加害者特定出来ない場合○被害者に後遺障害が認められた場合こういった場合、ご自身の加入する任意保険側に請求することが可能です。また、これは、同居の親族が無保険車の被害事故に遭遇しても請求が可能です。これは一般の保険PAP保険に適用される内容ですが、SAPとなると歩行中、自転車乗車中の事故にも適用されることになります。未払い問題で話題となりましたが、この「無保険車傷害保険」も払い渋った中の一つに入ります。特約を設けていながら、「払うことが出来ません」と断っているケースが多々あります。大半の被害者は「専門家である保険会社が言うことだから…」と怖じ気づいてしまいます。こういった事から、契約側の保険と言っても体質（狢）は変わりがないのが実情です。この場合、時効の問題もありますので保険金請求書を取り寄せてすぐさま「保険請求する意志がある」と任意保険へ提出してください。受付日から時効が延長されます。

  2007.04.04

• 任意保険が対応不可と判断する事案

  任意保険が事故対応を行う中で、被害者に大きな過失があると判断した場合に対応を拒否する事があります。任意保険会社は、加害者の過失に応じた賠償責任を肩代わりする会社です。したがって加害者の過失以外の賠償を行うことはありません。自賠責保険金（傷害１２０万円）を上回った部分を任意保険が支払うことになりますが、被害者の過失が多く、加害者の責任部分が自賠責保険金額（１２０万円）を超えないと判断した場合は、概ね対応を拒否しているケースが多々あります。つまり、任意保険会社は加害者が加入する自賠責保険を有効利用することで、被害者への支払いを行うべきか、最初に判断してから対応を行うのです。例えば、AさんとBさんの交通事故で、過失割合が、A 30％：B 70％と任意保険会社が判断しました。Bさんの傷害（治療費、慰謝料、休業損害、その他費用）全ての賠償金が400万円となりました。しかし、Aさんの責任割合は30％ですから、400万円×30％＝120万円となります。結果、400万円の損害金の内、Aさんは120万円支払えば、賠償責任の30％を全うした事になります。したがって任意保険会社は、「自賠責保険に直接請求すれば120万円を受け取ることが可能ですよ」とこのように説明します。つまり、自賠責保険に対して『被害者請求』を行うようにすすめているのです。私からすれば、どのみち任意保険は損しないから、任意保険が一旦立て替えてから、後で自賠責保険に請求する方が理想的ではないかと端的に考えますが、悪くもない加害者の代わりに対応することは面倒…過酷な日常業務の中で手が回らない…と考えて対応を拒否することがよくあるのです。しかし、悪い方に考えれば、保険会社が過失の判断を加害者寄りに考えていれば、被害者の対応はなされない…こんな事もあるのです。基本的に保険会社は、初期段階で当事者同士の事故状況を確認することになりますが、そこは客商売です。加害者の言い分に流されることも少なくありません。実際にそんなことがあるのか？　ハイ、あります。そういった２次的被害に遭わないためにも、事故当初の状況確認を当事者それぞれが行い、文書として残しておく、これが重要となってきます。

  2007.04.01

• 無保険者傷害について、その後

  タクシー運転手が引き起こした事故に関して、加害車両であるタクシーに任意保険が付保されていなかった。実は、よくある話です。台数が多い場合、それだけ任意保険料も高騰します。タクシー会社だけではなく、運送業でも最低限の賠償を行う保険に加入する、若しくは任意保険自体に加入していない、というケースも実際にはあるのです。しかし、その場合、会社の賠償担当者が被害者への対応を行うことになります。概ねタクシー会社には、損保経験者等が再就職しているケースが多く、百戦錬磨の経験を持つ査定担当者が被害者の賠償金を払い渋ります。当然に被害者はタクシー会社の粗雑な対応にしびれを切らし、自分で加入している保険会社に相談を持ちかけたところ『必要であれば弁護士に相談しては…？』と顧問弁護士への相談を勧めました。藁にもすがる思いで、紹介を受けた弁護士に着手金を支払って委任し、タクシー会社を相手取り、裁判を起こしました。裁判が進み、判決が言い渡された数日後に、このタクシー会社は民事再生法の手続きを取ったのです。倒産してしまった場合、確定された賠償金はどうなるのか？賠償金は負債となってしまい、被害者は債権者の仲間入りとなります。例え、事故の被害者であっても、救済策はなく、他の債権者と同じ扱いになるのです。判決後の倒産、計られたかのような感じもしますが、事実上被害者への賠償金は払われないままです。弁護士に相談しても、債権を回収するしか方法はない…と困惑気味です。路頭に迷った被害者は他の法律相談に出かけますが、納得のいく解決策は見いだせません。そんなある日、引き出しにしまっていた保険証券を見て、見慣れない言葉に気付きます。「無保険者傷害…・」そうです。相手方が保険未加入、賠償金が不十分である場合に使用することが出来ることを知ったのです。慌てて保険会社に連絡したところ、のらりくらりと言い訳をします。埒があかない事を悟り、保険会社の本部宛にクレームを告げました。※タクシー会社の件で相談を持ちかけたときに「無保険者傷害」　の事を教えてくれなかった事※「無保険者傷害」の事を知りながら、弁護士を紹介してきた。※「無保険者傷害」の請求をしているのに即座に受け付けない「無保険者傷害」を発動させていたら、保険会社が求償しなければならない事を知って、弁護士を紹介して来たことに憤りを感じていたのです。確かにその通り…・査定社員レベルであれば、当然に気付いているはず。怒りが収まらない被害者は、事の真相を知るべく監督官庁に内容証明を送ることを告げます。すると、翌日風のように本部から責任ある担当者がやってきて、高級な和菓子と保険金支払いの手続き書類を持ってきました。それも判決金額に少々上乗せをした額で、これで弁護士に支払った額の足しにでも…と言いたげな顔だったそうです。しかし、被害者はふと考えます。『委任した弁護士もこのことを知っていたのでは…？』まったく誰を信用していいものかわからない…こんな話です。皆さん、保険会社には気をつけましょう。

  2007.03.31

• 無保険者傷害保険について

  今日は、無保険者傷害保険の事についてお話します。相談員を行っているときに、よく同じ質問を受けたことがあります。「無保険者賠償保険」とは、事故の加害者が現場から逃走、若しくは任意保険に未加入であった場合、加害者が賠償すべき被害者の損害を、被害者自身が加入する任意保険でカバーすることが出来ます。PAPは自動車に乗車中、SAP以上は歩行中や自転車に乗車中でも請求は可能です。任意保険に加入の方は、保険証券を確認すると、特約に「無保険者賠償特約」と記しています。一度見てください。そこには、「万一相手方が保険未加入だった場合、損害額を保護します」と意味の文章が付け加えられています。対象者について詳しくは（1）記名の被保険者（2）記名の被保険者の配偶者（3）記名の被保険者またはその配偶者の同居の親族（4）記名の被保険者またはその配偶者の別居の未婚の子が保護を受けることが出来るのです。画期的なシステムで、まさかの時の保険とはこのようなことと思われていますが、それがどういう事か、対応していないケースが多々ありました。つまり、相手方が保険未加入であった場合に、被害者はすぐさま自身の保険会社へ損害の保護を求め請求を行うのですが、「このケースですと、対応はいたしかねます。」と断るケースが非常に多いのです。理由は、相手方が保険未加入でも有職者の場合、賠償を行う能力があると判断したケースや、加害者が仕事中で賠償の対象者が会社であった場合等があります。私の理解では、賠償額が不十分であった際に、特約が履行されると考えますが、明らかに賠償能力が乏しい案件に関しては、当初より保護を受けることが出来ると思っていたのですが、こういった事を逆手にとって“とりあえず請求しても一旦は断る”という姿勢が見え見えです。実は、保険会社にこのような請求を防ぐためのマニュアルが存在します。“2回は断り続けて、監督官庁に問い合わせが生じた際には、やむなく請求を受け付ける”といった内容です。特約を設けておいて、請求があったときには一旦断る、言語道断です。また、被保険者が特約のことを知らなかった、代理店に相談したけど受け付けてもらえなかった、等もあります。次回は、実際にあったケースについて紹介します。

  2007.03.30

• 保険代理店は保険の専門家・・・？

  昨日につづいて「未払い問題」です。どうして、このような事態に発展したのか？という声がよくあります。しかし、これは今に始まった事ではなく、私が保険調査員をしているときにも同様の問題はありました。搭乗者傷害保険、自損事故賠償、無保険者賠償など、未払いのままで時効や書類破棄等により事実は闇の中に葬られています。ここ最近の未払い問題でネット上における具体的なケースが公となり、金融庁が重い腰を上げたというだけです。しかし、特約として発売しているにもかかわらず、支払う段になるとなぜ不払いとなるのか？皆さんが疑問に思うのも仕方ありません。これは保険会社特有の体質だからです。新商品を推進する営業と、払い渋りを担当する業務の考え方が一致していない。それと一番お客さんに近い存在である保険代理店が、担当する保険内容を理解していない方が意外に多いことも原因の一つです。生保が損保に参入して、はや10年になろうとしていますが、車の保険を専門に販売してきた代理店にも、変化が生じています。FPの資格を取得してスキルアップをめざしている代理店もいれば、生保の波にのまれて足掻いている代理店もいます。意外に保険商品を理解することで精一杯なのかもしれません。代理店＝保険の専門家と思われているようですが、販売する商品の売り方は存じていても、実際の支払いとなると、査定社員にその判断を委ねます。実際に、近しい代理店の方々より、保険請求に関する様々な質問が山のように寄せられています。そういった現状から、先の未払い問題が発展していったのかもしれません。保険のプロと思われている方達が知らないとなると、お客さんはどうすれば…？保険会社に聞いても、当然のごとく本当の事は言ってくれません。まったく、何を信用していいものかわかりません。

  2007.03.29

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