BORDERLINE
桜の花弁の如き言葉が はらはら落ちて ふわりふうわり降り積もるふうっと吹けば舞い上がる言葉ひとつをつかまえてころりころりと 手の中でころがしあたため手放さぬ手放さぬと握り締めれば 枯葉の如く 粉々にぱらぱらとこぼれゆく拾い集め どうかもとのようにと願えば 願えばもとにもどる もとにもどると唱えても元にはもどらぬ言葉を これは私のものではない何かの間違いだとまた唱え 居の腑にのみこむそうすればこの葉は芽を出さぬと安堵して眠りにつく目覚めれば確かに芽は出ておらず 首尾よく収めたと朝の日を浴びて身体をおこそうとして動かぬ手足を不思議に思ったそのときその安堵がつかの間のつかの間の泡であったことにきづく芽はたしかに出てはいない 芽は・・・・・唇に手をやり喉元を過ぎ指が胸にさしかかったその時一夜をかけて ゆっくりと心の襞にそって 今にも突き破らんばかりに育った根をそこにみつけた