インドにいながら、韓国のこと
ここインドでも、韓国企業の躍進は目覚しいものがあります。テレビや携帯から白物家電に至るまで、電器店には韓国製品が所狭しと並んでいます。(日本製品はテレビとPCくらい)車はまだまだスズキの天下ですが、現代も売り上げを伸ばしてきているようです。最近こちらのビジネス誌で記事になっていましたが、ポスコはインドに製鉄所を建てるとか。僕が学生の頃の卒論のテーマは「韓国財閥改革」でした。読み返すのも恥ずかしいほどの低レベルな論文ですが、それはともかく、論文を書いた1999年から2000年当時の韓国には、まだ通貨危機の後遺症が残っており、ここまでの躍進は想像できませんでした。日本人にとって韓国ほど好き嫌いの分かれる国はなく、韓国経済の評価には過大評価と過小評価が入り混じります。「韓国製品は安かろう悪かろう」と考える人が未だにいます。ですが、日本製品の品質と韓国製品の品質を比べて、正確なところは分からないものの、感覚的にはそれほど変わらないように思います。仮に韓国製品の方が品質が低いとしても、不具合があったときにすぐに直してくれるのなら、なかなか壊れなくともいざ不具合があったときに直してくれる場所がないよりも、よほど安心感があるでしょう。それに、ほとんど使わない機能が満載の状態を高品質と言うのなら、そんな品質はいらないから安くしてくれと消費者は思うでしょう。良い物さえ作れば売れる時代は過ぎ、製品開発、マーケティング、アフターサービスなどすべてを現地のニーズに合わせてきっちりやらないと売れない時代になったのかもしれません。以前、サムソンがコンゴのような最貧国にも駐在員を置くというニュースに接したとき、韓国企業の強さを垣間見た感がありました。ただ、韓国企業個々の躍進は続くとしても、韓国全体の未来がバラ色かと言うと、それもまた疑問です。韓国は才能ある人を徹底的に鍛え上げて優秀な人材を作り上げる社会です。日本とは比べ物にならないくらい受験競争が激しく、スポーツエリートは勉強そっちのけで練習に励み、歌手はデビュー前に過酷なレッスンを受け、俳優は殺人的なスケジュールで撮影に臨みます。だから韓国の人口が日本の半分以下であっても、日本の主要電器メーカーを全て足しても及ばないような利益を上げるサムソンのような巨大企業が生まれるし、WBCやワールドカップ、オリンピックでは日本並か日本を上回るような成績を上げるし、実力のある歌手や俳優が次々と生まれます。でも、特別の才能を持たない普通の人にとっては幸せな社会ではないと思います。勉強もスポーツも遊びもバランス良くこなしながら、自分で進むべき道を見極めたい、そういう人にとっても不向きな社会のような気もします。今は先進国(特に日本)に追いつき追い越せで、前向き外向きで突き進んでいますから、国内の問題を見て見ないふりをすることもできるでしょう。でも一旦先進国に追いついて目標を失ったとき、国内の問題が放置されたままであれば、今の日本と同様の失われた○○年が起きるかもしれません。