いい男
久しぶりにいい男を見つけました。といっても、ニュースと新聞ですが。両方同一人物です。昨日は11月3日でしたが、この文化の日というのは、剣道をおやりになっている方なら、やはり気になる日です。毎年この日には、剣道の全日本選手権大会が武道館で開催されるのです。毎年優勝者をチェックしているわけではありませんが、どうしてもそういう記事があると目が止まってしまいます。私は剣道をやっていたことがありまして、その関係でしょうか。剣道が自分の人生のすべてだと思っていた時期もあったのです。今年優勝されたのは神奈川県警の正代選手ですが、階級は分かりません。ですが、優勝されたのでたぶん一階級くらいは昇進するのではないでしょうか?この正代選手、大変お若い。もちろん、私よりもずっとお若いですね。しかもとってもいい男。そう、私はこういうタイプの男性が好きなんですね。剣道選手の中では。実生活と剣道の世界では好みの男性も変わります(苦笑)なぜ、剣道をやめてからも剣道のことが頭から離れないかというのは単純で、好きだった人を忘れられないからです。それは恋慕ではなく、なんというか……そう、彼は弟のような存在でした。だから、恋慕としての思いを彼に告げることはできなかったのです。彼は弟のような存在であり、彼にとっての私は姉のような存在でした。周囲の人々もそのように考えていた節があります。ですが、彼は私よりも数段強く、また才能もあったと思います。私に厳しいことを言える部員は彼ただ1人でした。私の弱点を部員として指摘できたのは彼だけだったのです。その言葉は大変にキツかった(苦笑)一度「今の私はスランプだ」と言ったことがあります。すると彼は笑いながら私にいいました。「先輩、スランプっていうのはね、強い人がなるものだよ。先輩は僕にも勝てないじゃないか。じゃあ、ぜんぜん強くない。だから、スランプじゃないよ。逃げてるだけだよ」そういって、竹刀で私に構えるように促すのでした。私はその言葉を今まで一度も忘れたことはありません。だから、何事においても今までの私に「スランプ」は無かったのです。スランプになるほど、何事においても私は「上級」ではなかった。彼のことを忘れることは一生ないでしょう。彼は心臓を患っていた。そしてついにドクターストップがかかった。その前日まで私は彼と竹刀を交えていました。それが……たぶん私の頭から彼を消えさせない理由でしょう。何年かの療養と、治療を受ければ復帰できると言っていました。だから、今は竹刀を振らないのだと、そう言っていました。私は今でも考えます。彼は元気になっただろうか?再び竹刀を握ることができただろうか?私は今でも姉として弟のことを心配しているのです。いつかこの心配は払拭できるのでしょうか?確かめるのは簡単です。しかし、私にはその勇気がない。ただ、ただ……同じ空の下で、彼が無事であれば、私はそれで満足なのです。一生逢えなくてもいいのです。あの世で逢うことができますから。そのときにまた長話をしましょう……その「時」は必ず来るのですから……私は待ちます