第七十二話 男子サッカー決勝 その2 (くそっ、届かないかっ)
.DF 岸川克司 (克っちゃん) 「くそぉっ」 1組の誰もが追加点を許したと思った瞬間、 ガシっ 土のグランドの砂塵が舞い上がり、 土煙の中から片ひざを付き、外側の足は伸ばしてブレーキにしていたこういちが現れ、 ボールは両手で押さえられたその胸の中にあった。2組 FW 赤山 「なんだとっ」こういち 「裕太君っ」 と、叫んだこういち、掴んだその位置から助走無しで最前線で待つ FW 伊藤 に向かって ボールを投げたっ!FW 伊藤裕太 (裕太) 「この距離を届くのかっ」 ボールは FW 伊藤 の頭上を越え、相手陣地に向かっていく。 FW 伊藤 は、ボールの後を追い、2バウンド目でワンタッチ、敵陣ゴールにボールを向ける。2組キャプテン MF 坪口 「しまった、残した DF の枚数が少なすぎたかっ センターライン手前から走り出したのでは、オフサイドも無いっ」 最終ラインとなる2組 DF 大内 も、自陣に向けて懸命に戻るっ が、 FW 伊藤 はドリブルでボールを持ち込み、キーパーと一対一となり、 ペナルティーエリア付近からシュートっ ボールは逆サイドに低い弾道で一直線っ2組 GK 橋本 「このぉーーっ、なめるなぁぁぁっ」 気合でセービングっ かろうじて指先に当ててコースを変えたっ が、 なんと、そこに走りこんでいたのが足の速い FW 高橋君、目の前に来たボールを、足の速い FW 高橋君 「えぃっ」 掛け声と共に蹴ったボールは、誰もいない2組ゴールのネットを揺らした。 ピピー 主審がセンターサークル中央を指し示した。MF 土谷敏彦 (敏) 「よっしゃーーーーーっ」FW 伊藤裕太 (裕太) 「ナイス高橋っ」 他の1組イレブンも飛び上がってガッツポーズっ! 1組応援団が大いに盛り上がったっ! 『いーぞーいーぞー、い・ち・く・みーーー♪♪♪』2組 FW 赤山 「おい・・・・」2組 DF 大内 「なんていう速攻なんだ・・・・」2組 大型FW 竹ノ塚 「なんだこのチビキーパーは・・・・」 2組の選手は、なにが起きたか判らないまま失点したことに、ぼー然としていた。2組キャプテン MF 坪口 「おい、ボーっとしてねぇーで、次ぎだ、次ぎっ この1点を守り切るぞっ」 時間は後半15分経過。 20分ハーフなので残り5分。 2組のタッチでゲーム再開。 2組選手は後方にどんどんボールを流し、後ろでボールを回し始めた。DF 岸川克司 (克っちゃん) 「くそ、もう時間稼ぎに入ったか・・・・ 裕太っ、高橋っ、追いかけろっ! ハーフ陣も前でプレッシャーだっ」 懸命にボールを追いかける1組足の速い FW 高橋君、 近くに来ると横にいる見方にパスを出す2組 DF 陣。 そしてそれを再び追うFW 高橋君、そして相手はパス・・・の繰り返し。 だが、1組の FW、MF が、ワンツーマンでマークに付き始め、 段々パスするところが無くなってきた。 2組 DF 大内 「ならば、こうだっ」 大きく前方にボール蹴りこむ2組 DF 大内、 2組 大型FW 竹ノ塚 と1組 DF 岸川 が競り合う。 空中戦では武がある竹ノ塚、しっかりとヘッドで見方2組 MF 河本に落とす。 そして2組 MF 河本 は、肩でトラップし足元にコントロール。 数歩ドリブルして、更に前方にボールを送り出した。 走りこむ2組 FW 赤山 と1組ゴールの間を目掛けて飛んでいくボール。 2組 FW 赤山 がトラップする瞬間、 バシッ 1組 DF 江藤 淳一 がヘッドでクリアーする。 主審はコーナーポストを指して笛を吹く。DF 岸川克司 (克っちゃん) 「コーナーに回避できたか・・・・ だがこれを守らねば・・・・。 大砲、さっきと同じ要領でたのむ。」 ゴール裏からボールをもらってコーナーにゆっくりと向かう2組 MF 河本。MF 土谷敏彦 (敏) 「鉄、そいつ頼む。」MF 坂田鉄次 (鉄) 「おぅ。」 しっかりとマークに付く1組 MF 陣。 なんと、2組 大型FW 竹ノ塚 には DF 岸川克司 と FW 伊藤裕太 の二人が付いた。 応援団の声援が耳に入らない程集中する1組イレブン。 手を上げ合図を送るキッカー2組 MF 河本、 目線は逆サイド、ペナルティーエリア外に待つ2組 大型FW 竹ノ塚。 ゆっくりと助走を付けて、ボールを蹴ったっ 左サイドのコーナーから、左足で蹴られたボールは、高~く上がり、 ゴール前から外に逃げていく弾道を描く。 ボールの落下点には、2組 大型FW 竹ノ塚、DF 岸川克司、FW 伊藤裕太、 そして後ろ向きで下がっている2組 DF 大砲 が向かう。 その2組 DF 大砲以外の3人が懸命にジャップっ2組 大型FW 竹ノ塚 「空中戦なら頂きだぜっ さっきの二の前は踏まんっ」DF 岸川克司 (克っちゃん) 「くそっ、届かないかっ」FW 伊藤裕太 (裕太) 「きたねぇ、シャツを引っ張りやがるっ」 三人の思惑、状態が交錯する中、ボールはぐんぐんと3人のジャンプ地点目掛けて 近づいてくるっ2組 大型FW 竹ノ塚 「よしっ、もらったっ!」 と、そのときっ シュッ バシっ★彡 突然、三人の目の前頭上にこういちが現れ、ボールをパンチングしたっ!2組 大型FW 竹ノ塚 「なにっ !!」FW 伊藤裕太 (裕太) 「うっ」DF 岸川克司 (克っちゃん) 「うぉっ」 ボールは誰も居ない場所まで飛んでいき、 3人の驚きを他所に、こういちは空中で二回転して着地した。 グランドにいたほとんどの選手の足が止まり、唖然としている。 突然、 ピーー 主審のホイッスルが鳴り響く。 それにより我に返る選手達。MF 土谷敏彦 (敏) 「ホ、ホイッスル・・・・か、試合終了か?」 -つづく-男子サッカー決勝 その3 へ (これで決まりだーーっ!) ※ このドラマはフィクションです。登場する内容は、実在する人物、団体等とは一切関係がありません。 また、無断で他への転載、使用等を堅く禁じます。