外国人労働者受入れ議論
厚生労働省の外国人労働者問題に関するプロジェクトチームが、「外国人労働者の受入れを巡る考え方のとりまとめ」を発表しました。これまで、「外国人労働者の受入れ拡大」の響きだけが先行し、内容については、必ずしも明確でなかった印象がありますが、今回の報告では外国人労働者受入れについて、高度な技能を持った人材の受入れと留学生について(在留許可要件について)を中心に提言を行っています。大要は以下の通りです。(1)高度人材の受入れ緩和として1.MBA取得者の「投資・経営」の実務経験年数要件の緩和2.コンテンツ人材については、実態に応じた認定要件の見直し ※以上については、「当面、制度見直しを検討することが適当」との表現です。(2)「専門的・技術的分野」の範囲・要件について1.工業デザイナーを「専門的・技術的分野」に追加2.「専門的・技術的分野」の「技能」職種の要件緩和 ※ここで、具体例として「技能証明のある外国料理人の実務経験年数要件緩和」 があがっています。 ※以上については、「当面、検討することが適当」との表現3.「製造・サービス分野の熟練技能者」、「介護福祉士等資格者」を「専門的・ 技術的分野」に含めることについては、さらに検討必要との表現(3)留学生の国内就職の促進1.留学生が卒業後、「専門的・技術的分野」(特に最先端技術等の研究者等)へ 国内就職することの促進すべき、と提言。 そのための処置として、検討されている ・留学生の卒業後の就職活動ビザの延長(180日⇒1年) ・在留資格の見直し については、「さらに検討が必要」と結論付けています。(4)高度技能者等の受入れについて「専門的・技術的分野」以外の分野の無制限受入れにならないよう検討が必要、と延べるにとどまっている感があります。「専門的・技術的分野」以外の受入れについては、「自国の労働力(高齢者・女性・若年)」の活用基本」「教育、福祉など社会的コストの増大にならない必要性」「外国人労働者の在留管理の強化」の観点が必要との提言を行っており、早期の改革については消極的な印象を受けました。(5)研修・技能実習制度について 研修・技能実習制度については、厳格な運用と必要な制度の見直しの検討を提言し、 制度の廃止意見には否定的見解。 あわせて、制度見直しの検討にあたり、最大の配慮点として ・国内労働市場への悪影響を及ぼさないこと ・劣悪な就労を助長しないこと ・研修・技能実習制度が「定住」につながらないようにすること があげられています。