1個64ドルのトマト
原題は 'The $64 Tomato'ウイリアム・アレクサンダー著。(楽天では検索しても出てきませんでした。 アマゾンなら定価$22.95が2,388円です)理想の畑と果樹園作りを目指した男が、土づくり、肥料や農薬、動物やら虫やら雑草やらと格闘しているうちに経費がかさみ、出来たトマトは1個64ドル(1ドル110円で計算して7040円!!)になっちゃった、というお話です。自然のしくみ、育てることと殺すことの微妙な境界線を理解するまでの経験をもとにした、アドバイスもあるとか。読んでないのでこれ以上の説明はできませんが、このタイトルがどうも心にひっかかるのです。今、日本で企農とか就農とかさかんに言われている風潮に、そう甘くないんじゃないか、という気持ちが強くなっているからなんです。定年退職する団塊の世代を狙い、田舎で農業をしましょうと呼びかける自治体も増えてきましたしね。それはいいです。農業もいいことです。だから、やり方を間違えないでほしいのです。と、偉そうですが。そこで、ほんとうに偉い人に登場していただきます。わたしには絶対真似できない生き方をしているたくさんの人の中で、いつも上位をキープしている方に、福岡正信さんがいます。「無」というシリーズで本を出しています。この中の「自然農法」からの抜粋です。(こちらは楽天ブックスで買えます)『《自然農法》とは、人知も人為も加えない 自然そのままに没入し 自然とともに生きていこうとする 農法である。』『どこまでも、自然が主体で 自然がものを作り、人間はこれに 奉仕する立場をとる。』『自然の道、無知、無為の道である。 何もしない、が出発点でり、結論であり、 手段ともなる。』『不耕起、無肥料、無農薬、無除草が 四大原則である。』それで、作物ができるんですか? と思いますよね。はい、福岡さんはちゃんと農園を経営していて、わたしも伊予柑、しいたけ等を買ったことがあります。じゃあ、ほっておけばいいのか、というともちろん作業はします。その基本となる考え方が大事なのですね。『一切無用』というのは、 ムダな人力のことをいうのである。 なぜ何もしないで米麦ができるのか、 それは人間が作らなくても、 自然が作ってくれるからである。 よく考えてみると、この世の中で これは役に立つ、価値がある、 こうするとよい、 と言われるようなときには、 すべて人間が、あらかじめ、 そのことの価値が出るような条件を 作っているものである。 元来なくても済むものを、ないと困る ような条件を自分で作っておいて、 それを解決するには、 ああするとよい、これが価値がある、 といかにも新しい発見、 新歩のように言うのである。』『地上の植物で、耕された土でなければ 芽が出ないような弱い植物はない。 人間が鋤かなくても、 微生物や小動物による 自然の耕耘がなされているのである。』アレクサンダーさん、1個のトマトが64ドルになる前に、この本を読んでおけばよかったのに。