盗っ人の洒落た献立
鬼平犯科帳で、盗賊の頭目「蛇の平十郎」は、長谷川平蔵の鼻を明かそうと、押し込みを企てていたときに、《干鱧》と《泥鰌鍋》をすすめますが、池波先生の計算された料理の出し方は心憎い限りです。 平十郎を大阪生まれとしているので、関西の肴「鱧」を登場させていますが、江戸ではせいぜい干した鱧しか食べれないというような表現がなかなかだし、酒の肴ではなかなかオツなものでしょうねえ。 泥鰌鍋は、江戸っ子の大好物で、今でこそ数えるくらいしか泥鰌鍋をやっている店はないけれど、江戸中期まではたくさんあったようで、まるごとゴボウや大根と味噌仕立てで煮込んで泥鰌汁にして食べたといいます。私はちょっと駄目かもしれないなあ・・ 頭や骨、内臓を除いてたべやすくした「抜き」の「泥鰌鍋」は江戸後期にいたってはじまったものらしいです。通の人はあの、しゃりしゃりした歯ごたえと舌触りがすきで食べるそうですが、私は通ではないようです(爆)