リスト・カット
こういう病気を知ってますか?正直言って、俺は『温室育ち』だったので、こんな病とは無縁でした。病というより性癖に近いのかな?とにかく、自分で自分の手首を切ってしまう方々のコトなのです。俺は恥ずかしながら、全くの無知で思い上がった人生を歩んできました。親が俺を風雪にさらさないように、影になり日向になり世話を焼きいろんなモノを与えてくれ、まさしく苦労知らずで生きてきたのです。ただただ、学業に励み(それもいい加減にやっていた)、従順に育てば良かったのです。挫折なんて多分味わったことなど無いし、挫折がやって来ても逃げ回っていたから、正面から受け止めることが出来る強さが無かったから、自分を誤魔化すことばかりに長けていたのです。大学を終え、社会に出てもそう、会社の組織にどっぷり浸かり、自覚もないまま働くだけでわずかな棒給を得る為に現実から目をそむけ、自分を滅していたのです。何を突然と思われるでしょう?いや、そんな俺が一昨年ある現実を見たのです富山県で働いていた時に、俺の運営している店舗に高校生のアルバイトの子たち(女の子です)がいました。みんな自分の能力の限りにしっかり働いてくれました。年齢なりの責任感も持ってくれました。ある日、ふと高校三年生の子に『なんでバイトしてんの?』と聞いたら、全員そろいも揃って『自動車の免許を取る為だ』というのです。ええ!?・・・俺は驚きました。確かに富山県は自動車が無いと生活できないほど、免許は不可欠です。社会に関わっていくには(生きていくには)、自動車免許は確かに必要な武器なのです。・・・でも、俺は親が費用を出してくれたし、何の疑いも罪悪感もなくそれが当たり前だと思っていた。それに俺の友達もみんなそうだった。そして、俺は脳天を殴られたような衝撃を受けた。なんと俺の愚かなことか。恥ずかしい。俺はそんな社会の常識というか、一面を全然知らずに生きて、えらそうな事を話していたんだ・・・。人生には俺の知らないところで、苦労したり努力している人たちがいる。当たり前なのだが、こんな大事なことを知らずに生きていました。あれから少しだけ、自分や周りを見る目が変わっていったように思います。さて、今、俺の店に『リスト・カット』を病んだ女の子がいます。俺は『リスト・カット』を認めません。そんな自虐行為が生む快感なぞ、自分すら救済できないぞ!といい続けてます。決して甘やかさず、キチンと仕事を教え込んでます。もの覚えは早くは無いのですが、彼女なりの速度で仕事の内容・目的を理解してきて、昨日出来なかったことが、今日出来たなら正面見据えて誉めます。それはやはり感動するからです。どんな現代病かはよく知りませんが(すこしずつ調べようと思います)やっかいな、そして袋小路に入り込むような、やるせない病気だと思います。でも、俺は医師では無いので治ると信じていくしかありません。彼女ら(もしくは彼ら)に与えるべきものが判っているからです。それは○と○○です。方法や形はどうあれこれが無いとヒトは死んでしまうのです。