信濃グランセローズに残された時間
twitterの気軽さにはまり、長らく更新する事のなかったブログに久々書き込む事が、我が愛する巨人軍の優勝ではなく、グランセローズの事になるとは。それぐらい、ちょっと長く書きたくなったのです。グランセローズの今シーズンが終わった。シーズン最終戦はホームで通期2位を賭けて群馬との直接対決。勝てばプレーオフ進出というわずかな希望を持ってスマホとにらめっこ。結果は1-4の“完敗”だった。今日の最終戦に至るまでを少し振り返ってみる。まず、BCリーグの現在のレギュレーションを確認。上信越地区・北陸地区各3チームが前期・後期共に36試合を戦い優勝を争う。前後期の各優勝チームが全3戦2戦先勝の地区チャンピオンシップに進める。ただし、前後期共に同じチームが優勝した場合は前期・後期合わせた通期成績の2位チームがプレーオフに進む権利を得るが、その場合、地区チャンピオンシップを勝ち抜くためには3戦3勝する事が条件となる。9月21日の時点で、3試合を残して信濃が31勝37敗1分で通期2位、群馬が29勝37敗3分で通期3位、ゲーム差は1。次の試合で信濃が勝ち、群馬が負けると信濃の2位が確定。また、群馬の結果に関わらず2連勝すれば、引き分け数の関係で信濃が勝率を上回るため信濃の2位が確定。つまり、プレーオフ進出マジック2という状況であった。しかし、その後の2試合を信濃は連敗。群馬は1勝1分。これにより群馬が0.5ゲーム差で2位に。そして、今日のシーズン最終戦、群馬との直接対決に敗北し、プレーオフへの道は閉ざされた。はっきり言ってここ数年、球場に足を運んでいない。興味は勿論あるし、ケーブルテレビやネットでの試合中継があれば見ている。でも、なぜか球場に行く気にならない。最も近い球場が車で20分、チケットは1000円、まぁ、行けない事は無い。なぜ行かないのか、答えは簡単。弱い。いや、弱すぎるから。初めは弱くても良かった。長野県に“プロ野球”が出来ただけで十分だった。初年度を4チーム中3位で終えると、2008年からは2地区3チームずつの前後期制となり、ここから2010年の前期まで5期連続で最下位と長らく低迷する。しかし、2010年後期で最下位を脱出すると、2011年前期には初の貯金で2期連続の2位に。そして、2011年の後期、ついに初優勝のチャンスが訪れる。3試合を残した首位信濃が18勝9敗6分、4試合を残した2位新潟が17勝12敗3分、ゲーム差は2。次の試合で信濃が勝ちか引分で新潟が負けると優勝が決定。また、新潟の結果に関わらず1勝1分以上で信濃が勝率を上回るため優勝が決定。優勝に向けてマジック2という状況であった。しかし、信濃は3連敗でシーズンを終了。その間、新潟は連勝。新潟が連敗か1敗1分の場合のみ信濃優勝という極めて厳しい状況に追い込まれると、翌日、新潟があっさりと勝利を収め優勝。最終戦も勝利し4連勝でシーズンを終えた。…どこかで聞いた事のあるような状況。もちろん今年はこの時の立場とは違うが、自分達が勝てば相手は関係ないというシチュエーションで結果を残すことの出来ないグランセローズの弱さは変わっていない。この弱さの原因はどこから来るのか、正直言って分からない。選手も相当入れ替わった。監督もコーチも。資金が無いとか言い出せば、それは元々少ないだろうし、選手の努力が足りないと言ってしまえばそれ以上の理由は無い。ただ、考えられる一つの理由として、応援する側の問題というのがあるのではないかと思っている。少し前に楽天の星野監督が「(元楽天の渡辺)直人が出てきて拍手、それで打たれても拍手。負けてもいいんだよ。ほんま腹立つわ。」と言っていたそうだが、言い方の賛否はどうであれ、個人的には同意見。信濃のファンも一部を除いて、負けても温かい拍手があるし、不甲斐ないプレーに対するブーイングなどもほとんど聞かない。 あくまでケーブルテレビやネットの中継を見る限り、と言う事になるが。楽天のファンが元楽天の選手(渡辺直人が特別なのかもしれないが)に対して温かい声援を送る事を悪く言うつもりは無いし、信濃のファンが負けた試合でも選手に温かい拍手を送るというのが悪いと言うつもりも無い。ある種の県民性だから。ただ、自分はしない。移籍した選手は(心を鬼にして)敵だし、負けた試合に拍手を送るなんて問答無用。意味が分からない。ならば本当はヤジの一つぐらい送らないといけないのだが、周りの空気感と自分の小心さからそこまでの行動は取れないが。おそらく、強いグランセローズが見たいから負けた時には厳しくと思っている自分のような少数派のファンと、たとえ弱くてもダメな子を見守るかのようにアットホームな応援がしたいと思っている多数派のファンがいるんだと思う。ただ、百歩譲って弱くても構わないが、1試合平均の観客動員数を見ると、2007年(初年度)の1907人を最高に、1437人、1142人、1097人、935人、そして、2012年の699人と確実に減り続けている。2007年の数字を見る限り、長野県には千数百人のグランセローズファンがいた。しかし、そのうちの多くが観戦に訪れなくなってしまったと言う事になる。それには自分も含まれている事になる。あくまで推測だが、古参の応援団を中心とした“温かいファン”は多くの試合を見に行くものの、以前は見に行っていたファンが様々な理由で観戦を敬遠したり、新規の観客の獲得が出来ていないのだと思う。手っ取り早くと言うと言葉が悪いが、観客動員数を増やすためには、チームを強くして優勝するというのが一番即効性がある。魅力的な元NPB選手の獲得というのも効果的かもしれない。それが無理なら弱くても見に来てもらえる魅力的な“イベント”にするしかない。観客動員数に関してはBCリーグ全体の問題ではあるが、信濃に関しては右肩下がりに減っている。今はスポンサーも付いてくれているが、このままの弱さが続き、観客動員がさらに下がり、スポンサードする意味が無いと判断されてしまえば、チームの資金源が途絶え、BCリーグから撤退、選手は散り散りに…という最悪の事態があり得ないとは正直言って言い切れ無い。2007年4月28日、BCリーグ開幕戦。長野オリンピックスタジアムの6832人の中の1人として観戦してから早7年。雨天中止の代替開催で球場も変わり、平日の薄暮ゲームという悪条件だったとはいえ、勝てば“一応”プレーオフという今日の試合の観客数がホームにも関わらず506人というのはあまりにも寂しい。球団創立初年度の2005年に38勝97敗1分という成績を残したNPBで唯一優勝の経験が無い楽天イーグルスが球団創立9年目にして初優勝を果たそうとしている。NPBと独立リーグを同じ土俵にしては申し訳ないが、BCリーグで唯一優勝の経験が無いグランセローズも球団創立9年目を迎える2015年までには優勝して欲しいと切に願っている。改めて、2013年のグランセローズの戦いは幕を閉じた。もし今日の試合に勝利していて2位でプレーオフに出たとしても3戦3勝しなければ先には進めない茨の道だった。実際、昨年は通期2位でプレーオフに初進出したが、初戦で敗退している。しかし、それにすら出れないという悔しさ、可能性のある戦いをする事が出来ない虚しさを、選手達は心の底から感じてほしい。グランセローズに残された時間は決して長くない、と僕は思う。