アーケード「ギャプラス」・後編
さて、前日に引き続いての後編である。目指せ!「1億点」 かなり先の面に進めるということになると、当然プレイ時間も長くなってくるわけだが、前述したとおり私はそんなにシューティングが得意ではなかったので、長くても2時間ほどしか続かなかった。しかし、当時一緒にギャプラスについて研究していた同い年のいとこは、8時間ぶっ通しでプレイしたらしい。スーパーの店内にあるゲームコーナーで、立ってプレイする形のゲーム機だったので、ヒザが腱鞘炎になってしまったのだとか。今となっては単なる笑い話なのだが、当時はゲームに関しての様々なエピソードは「武勇伝」として語られていたものである。 それら武勇伝の中には、もちろんとんでもないものも数多くある。ここで、ギャプラスの武勇伝について一つ紹介させていただく。 1984年7月、埼玉県のとあるゲームサークルが、新宿のゲーセンに遠征して、そこでギャプラスのスコア1億点獲得を目指したのである。メンバーは総勢6名。ゲーセンの機械にはもちろんポーズ機能なんかついていないので、1台のゲーム機を6人が交代する形でのプレイとなった。スコアの限界である「99,999,900点」に達したのは、プレイを開始してからなんと87時間後。まるまる3日と15時間、ずーっとプレイしていたのである。 まだ風営法改正前だった当時、都心部のゲーセンは24時間営業が当たり前という時代。だからこそ達成できた「偉業」だと言えよう。ゲーセンの古き良き時代を思わせる、エピソードである。 スペシャルフラッグの出現法則がわかっていれば長時間プレイが可能なギャプラスではあるが、逆に法則を知らなければ、結構難しいゲームであったと思われる。特に、少し先の面に進むと、敵の動きが異常とも言えるほどに速くなり、ハードの方が追いつけなくなることもしばしばであった。なので、ギャプラスはナムコファンにはウケていたものの、前作のギャラクシアン、ギャラガほど一般ウケすることはなく、ロングセラーには成り得なかったのである。 「ナムコミュージアム」で再び アーケード版発売から12年。1996年に、ギャプラスはプレイステーション用ソフトにて復活した。「ナムコミュージアムVOL.2」の発売である。 ソフト発売当時、私は既に社会人であったが、「家で本物のギャプラスが遊べる!」と、中学生時代のゲーセンでのアツい闘いをふと思い出し、一も二もなく発売と同時に購入。喜び勇んでプレイしてみると・・・何かがちがう。「違和感」があるのである。原因は「縦画面と横画面の違い」。 ギャプラスは、本来モニタを縦にして表示するゲームなのだが、家庭用テレビはもちろん横画面。横画面表示用にアレンジされていたので、表示範囲の割にキャラが大きくて移動範囲が狭くなってしまう等の不都合が生じていたのである。このような「復刻ソフト」は何よりも「プレイ感」が大事。だから、多少見栄えが悪くなっても、キャラを小さくしてアーケードの縦画面と全く同じ比率にしてほしかったのだが・・・。 ただ、ナムコミュージアムには「縦画面モード」もちゃんと用意されていた。この場合、モニタを縦に置かなければいけないのだが、当時家にあったテレビは25型。重くて縦に置くのは面倒くさいし、無理やり縦に置いて何らかの事故が起きるのもイヤだったし・・・。でも、どうしてもアーケードと同じ縦画面でプレイしたい!では、どうしたか・・・「自分が横になればいい」。ソファに体の左側を下にして寝転がり、その体勢でプレイしたのである。縦画面モードのプレイ感は、アーケードと全く同じ。中学生の頃を思い出しつつ、しばし熱中していたのだが・・・時間が経つにつれ、次第に気持ち悪くなってきてしまい、ついにはギブアップ。時計を見たら、プレイ開始から1時間半。その間、ずっと寝転がってプレイしていたのだから無理もないだろう・・・。私、24歳の冬の一コマである。 現在では、ギャプラスをプレイするのは年に1、2度程だろうか。ふと懐かしくなって遊んでみたくなるのである。ギャプラスは、客観的には「名作中の名作」とまでは言えない作品ではあるが、私の中では、文句なしに熱中させてくれた名作ゲーム、ナンバー1なのである。