孤独なロスで考えたこと
1999年6月29日いやになるほど眠った朝だというのにやけに頭の重い朝だった。時差ぼけにちがいない。しかし頭の重さの原因が他にあるのには間違いなかった。頭の重さに耐えかねてもう一度眠り、再度目覚めたときはもう午前10:30をまわっていた。泥の中をのたうつような浅い眠りだ。惰眠をむさぼるほどにむなしさがつのっていく。まだ旅は始まったばかりなのに・・・心の背後にはいつも彼女がいる。いつも後ろ髪を引かれてそこから歩き出せない自分がいる。ああなんでこんなに後ろ向きなんだろう!あまりにも後ろ向きな自分にいい加減嫌気も差してくる。3年前に南米を旅した時は、もっと前向きで、もっと輝いて、未来に夢と希望だけをおもい描いてきたのにな。あのときはやることなすことすべて輝いて見えて、旅の彼方に希望しか見えず、そこにむかって突っ走っていたのにな・・・ならば今の自分もそうするべきではないか?今ある夢や目標にもっと一途になるべきではないか?今こんなところでくすぶっているべきではないのではないか?そういう思いにとらわれたら、いてもたってもいられなくなって、僕は部屋に散乱する荷物をザックにつっこむとホテルをチェックアウトし、ロスの街に出た。6月のロスの日差しは眩しい。そのまぶしさに背中を押されるように、僕は空港に向かっていた。アメリカの山はもうどうでもいい。今はとにかく第一の目標であるペルーアンデスの山に一刻も早くたどりつこう!夢への第一歩をここから踏み出そう!それが地球を1周して彼女へ近づく道でもある。そう思いこむと、久々に僕の心には前向きな充実感へと満ちあふれ、空港に向かう足取りもやや軽くなったようにかんじられた。6月のロスには初夏と言うにはやや濃いめの夏空が輝いていた・・・