ポールとジョージが「アビー・ロード」で最も好きな曲
1969年の8月1日ビートルズはアビー・ロードのスタジオでジョン作曲の「ビコーズ」の録音をした。4,5日にオーヴァーダビング。5日にビートルズ・ナンバーで初めてムーグ・シンセサイザーがオーヴァー・ダビングされた。複雑なハーモニーは録音が始まる前に入念なリハーサルがおこなわれた。ジョンの言葉「自宅のソファに寝そべって、ヨーコがベート-ベンのピアノ・ソナタ〈月光〉を弾くのを聞いていたとき、突然ひらめいて僕はヨーコに言った。『そのコードを後ろから弾いてくれないか?』彼女はその通りに弾いてくれた。それをヒントに〈ビコーズ〉を書いたんだ。だから曲の雰囲気も〈月光〉みたいだろ。詞は単純明快で、まやかしでも、思うところがあったわけでもなく、もちろん何かにあてつけたわけでもない」ジョージ・マーティンは「バックの録音を終えて、ジョンとポールとジョージがハーモニーを歌った。私たちはそれをさらに2度重ね、9パートのハーモニーに仕立てたんだ。3声部を3度録ったことになる」ジョージ・ハリスンは、このハーモニーはビートルズがやった中で最高のものだといっている。この曲のメロディがはじめて聞かれたのは、ジョンとヨーコの〈WEDDING ALBUM〉だったそうです。ジョージ・ハリスン「〈IF I NEEDED SOMEONE〉のような感じ。わかるかい、基本のリフが続くのは大体同じだけれど、でもこれは実にシンプルなメロディなんだ。ジョンとポールと僕で3パートのハーモニーをやっている・・・・・アルバムの中でも一番気に入っているけど、それは多分すごくシンプルな曲だからじゃないかな。歌詞も単純だけど、ハーモニーはかなり厄介だったね。真剣に練習しなけりゃならなかったし。でもこれは人の心に強く残るメロディのひとつだと思うよ」