4連休の終焉
始まる前はワクワクしていた連休も終わってしまえばガッカリだ。(贅沢を言うな)この連休こそは大掃除にかけようと思っていたのに、結果的には小掃除程度に終わってしまい、次の週末にもう一度、残りのところをやらなければ。4日も何してたんだと言われるかもしれないが、これが私の実態だからしょうがない。(開き直る)今回のハイライトはかなりの服を捨てたこと。日本から持ってきたやつも含めてかなりの服を捨てた。全部、洗濯だけはできているから、本当はチャリティのお店に持っていくのがいちばんいいことはわかっているが、そのお店に行くまでにピックアップして保管しておく場所がない。中には気に入って買ったわりに、その後は数回しか着ていなかった、比較的新しいものもあったが、この2年間着ていなければ、この後も着ないだろう。いつか着るかも、いつか使うかも、で残しているから私はいつまで経っても整理・整頓ができない。そして、いくつかのスカートやおズボンは物理的に穿けなくなったので捨てた。(爆)思っていたより小規模の掃除に終わってしまった理由の一つとしてはハタ日の到来だ。なんとまあ都合のよい時にお越しになるというか、掃除がイヤだと思う気持ちを後押しするかのような自然の摂理に感謝してよいものやら、嘆くべきなのやらわからない。日に2~3回ずつ薬を飲んで、ハライタが治まるとよろよろと動き始めたが、いつもしないことをちゃんと一応やっているワタシという実感はある。掃除くらいで日記のネタになるのだからたいしたものだ、とヘンな感慨が私を襲う。さて、掃除の合間の景気づけに山下 達郎のCDをクマイチがかけている音がキッチンから聴こえる。キッチンをのぞきに行くとクマイチはそこに椅子を置いて腕組み・脚組みしながらそれを聴いているではないか。動かんかい、なのである。「いやー、やっぱりスゴイわ、これ」と言いながら、耳に神経を全集中させ、手はお留守。気分だけは真夏になって掃除を続けていると、かたや山下 達郎ならと、ハタと気がついたのが大瀧 詠一。長い間、思い出すことがなかっただが、悠々さんのところで展開されているラジオの話から、かつてFMのエアチェック全盛期に毎週買っていたFMステーションの中についている鈴木 英人氏のイラストがついたカセットレーベルの話になっていたのがきっと頭の片隅にあったのだろう。鈴木 英人氏のイラストがいちばんマッチしていたのは私の中では山下 達郎・大瀧 詠一だったのである。私が勝手に名付けるに、山下 達郎がエクスペリメンタル(試み)の人であれば、大瀧 詠一はイマジネーションの人である。そう言えば、高校生くらいの頃、学年対抗の体育祭のダンスで、当時ヒットしていた大瀧 詠一のアルバム「A Long Vacation」の曲に振りをつけてみんなで衣装を作って踊ったなぁというようなことも思い出し、クマイチに「大瀧 詠一って知ってる?」と聞くと知らないとのこと。ひぇー、大瀧 詠一を知らんのかと思い、「ほら、はっぴいえんどでも活動してた人やで。知らん?」と聞いてみても「知らない」「『さらばシベリア鉄道』は? ♪こーのせーんろのむーこぉーにはーなーにーがあるーのーぉ」「…聴いたことないな」「『ナイアガラ・トライアングル』知らん?これは山下 達郎もはいってるユニットやけど」「知らないって」そこで、私は音源を探してくると、景気のいいイントロと、フィル・スペクター的ウォールサウンド満載の「君は天然色」をクマイチに聴かせた。すると、な、な、なんと驚いたことにクマイチは「♪くーちびるーつーんとーとーがらーせて~」のところを聴いただけで「ちゃと、ちゃと、ソレもういいよ」と手を横に振って止めろと言う。ええっ?じゃ、コレは?と次にかけたのは「♪うすーくきーったーオレンジーをーアイースティーにうーかーべーてー」と、ゆったりしたテンポで始まる「カナリア諸島にて」。これを聴けば、椅子に腰掛けて麦藁帽子をかぶり、右手にコーラの缶を握りしめて眼を閉じればそこはもうカナリアン・アイランドという名曲だ。クマイチはこれにもダメ出しをする…生意気な。「なんであかんねんなー、めっちゃ売れたんやで、コレ」と抗議すると、クマイチは「あのさ、これ、全部60年代のアメリカでしかないんだよ。ビーチ・ボーイズの焼き直しって感じだね。今、聞いて古いって言うんじゃなくて、これが70年代でも80年代でもおんなじだし、やっぱり山下 達郎のオリジナリティとは違うと思うよ」と平然と言う。そ、そうかも知れんけど、そうかも知れんけど、コレは私の高校時代の思い出の1枚やねん。それ以上に言い返せるだけの言葉もなく、黙り込んであさっての方向に眼をやってその話題を終える。それから30分ほどして、後ろのほうでひくついた笑いが聞こえる。何かと思って振り向いてクマイチを見ると、ヘッドホンをかけながら、体は二つ折れになって笑っている。「ちゃとちゃん、ちゃとちゃん、もうコレ耐えられん~~~」と悶絶しながら言うクマイチが聞いていたもの、それは嘉門 達夫だった…そうだ。大瀧 詠一は嘉門 達夫に完敗したのだった…