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ちゃと・まっし～ぐ～ら～！

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全38件 (38件中 1-38件目)

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ナニナニの「ほう」

とにかく研修継続中。疲れます、ホント。もちろん、今回の新人くんは、居並ぶ候補者の中でトップだけあって、物覚えもいいしハキハキしているところがいい。えーと、性別は女性。本当は一度、男性社員がほしいのだが、ぜんぜん縁がないままきてしまった。私がこっちでこの仕事を始めてから、同じ課で仕事をしたことがある男性といえば、未だにあのデイヴ（オッサン）だけ。しかし、これはここロンドンだけの話であって、うちの会社の他支部にはちゃーんと男性はいるし、日本の本部にもいるというところが腹が立つ。（爆）過去に男性の応募者がいたかいなかったかというと、ちゃんといた。一度は金融畑の人がやってきた。その時、イギリスにある日系の金融機関も攻撃的なリストラを行っていて、妻子ある男性が職を求めてやってきた。前職でいくらもらっていたのか聞いてみたら、その時に募集していたウチの職種の5倍くらいの年収。ひょえ～～～。悪くない人ではあったがお断りした。だってさー、どんなにいい人でもよー、前職でウチが出す5倍ももらっていたような人ですからね、そんな人をウチがウチのバジェットで採用したところで、もしも金融がまた上向いたら、さっさとまたそっちに戻られちゃってもおかしくないしさ･･･もちろんその人の「こうなったら妻子もいますので心機一転でがんばらせて頂きます」ってそう言ってくれた感じにウソはなかったけれども、私が彼の立場でも、古巣で光が見えるならそっちに戻るかもしれないと思うもん。そうかと思うと、一度はPh.Dの人が応募してきて困った。うーん･･･すごい経歴の人なんだけれども、すご過ぎていったいどこからかぶりついていいのやら、というタイプ。はっきり言えば、うちの仕事に学歴はそんなに必要ではない。それと、あんまり若過ぎて、人生経験値が少ない新卒みたいな人をありがたがらないのも、年々バリエーションが豊富になってきて、どんどんわけがわからんようになってくる海千山千・ピンキリ・魑魅魍魎の人間の相手もあり得る仕事だから。それでそのPh.Dくん。かなり前の話だったし、人間としての印象が意外に薄く（動物かいっ？）ただ覚えているのは「ウチの仕事には完璧に不向き」というところだけ。さすがに頭はよさそうなんだけど、それも恐らくワタシら凡人には理解のできない、ある一つの分野だけ、どかーんとすごい域に行っている感じ。本当は面接するのもちょっと、という感じだったのだが、ちょっとワケありだったため面接だけはしないといけない裏の事情があった。本人曰く「何か大きなチャレンジがしたい」「これまでの方向性から大転換を図りたい」と、なんだか多少ずれたベクトルでやる気マンマンな人ではあったが、どう考えても当時のチームには不釣合いな上、はっきり言えば、ウチの仕事を本人大転換の起爆剤か何かのように勘違いし過ぎているきらいがあったので、丁重にお断り申し上げた。さて、また今日も余分なネタフリが長くなってしまったが、今、来ている子･･･今後はまさこちゃん、で行くことにする･･･は、同じような仕事の経験がまったくないが素質アリと見たので採用した。一つには、今回会った中でいちばん気働きのある子だと思ったし、いい意味での貪欲さや上昇志向を持っているところが気に入った。今、この勘は当たっていたと思う。日々、少しずつ新しいことを教える中で「だんだんわかってきたな」とこっちが思うカギはずばり相手からの質問の内容である。要するに「コレがこうだったら、次のアレはどうなるのか」と、今、習ったことを踏み台にした関連質問が出てきたら、かなり理解度は大と考えられる。直前に教えた内容がちゃんと理解できていると質問の質が上がり始める。この段階で質問が堂々巡りをしていたり、今どうしてそんな質問が出るかなぁ的状態が続くと「人選を間違ったかな」とこっちがそろそろ自己嫌悪に陥り始める。まさこちゃんの一つずつの質問はこれまで、全部その後積み上がっていくタイプのものなので、まずは人選は正しかったという確信も自分の中で積み上がる。まあ、それはもちろん一にも二にもその子の資質がいいということがすべてではあるが、それを見つけたという事実に対して、多少はほくほくした気持ちになってもバチは当たらないと思っている。このまさこちゃん、非常に礼儀正しいし、先輩を先輩として立てる体育会系的なところもあり、今は私が専任で研修をしているが、他の3人とも間もなく馴染んでいくとは思う。しかし、そういう中で、ああ、やっぱり最近の若い子は･･･と思う部分がないわけでもない。このまさこちゃんを相手に私がお客になり、彼女に応対の模擬練習をさせている中で頻発される彼女の言葉に「ほう」がある。わかります？この「ほう」って。「会員番号の『ほう』をおっしゃって頂けますか？」「ご用件の『ほう』をおうかがいします」「それでは担当部署の連絡先の『ほう』をお伝えします」思わずまさこちゃんを止めた。「あのさ、その『ほう』って何よ？それも言うなら『番号をおっしゃって頂けますか？』「ご用件をおうかがいします」『担当部署の連絡先をお伝えします』でいいんじゃないの？」自分でいじわるだと感じないわけではないが、私はもうオバハンだからこういうことには結構うるさい。最初にぴしっとやっておいたとしても、だんだんずるずる後退していくのがこういう電話応対の言葉遣いだ。電話での会話というのは相手の言う内容に気をとられて、自分がどんなしゃべり方をしているのかはわからない、ということが往々にしてある。私の場合は、自分が責任者だからということとは別で、海外で生活していることで日本語までややこしくなったとは、他人からも言われたくないし自分でもそう思いたくないので、かなり意識しているところがある。この、ナニナニの「ほう」というのは、よくファミリーレストランやファーストフードなんかで遣われているのは私もよくわかっているし、だいいち私自身が、遡ること25年前にはそのファーストフードやファミリーレストランでのバイト出身者だった。それで、仲間が話しているのを聞くと、この「ほう」はあちこちに蔓延していた。「お釣りの『ほう』、○○○円お返しします」「ご注文の『ほう』、繰り返させて頂きます」が気になってしかたなくて蕁麻疹が出そうになって、その頃から「口が裂けても『ほう』は言わん」とか「ご一緒にポテト、なんか勧めたらん（嘉門達夫か）」とヘンなところで意地を張ってしまって今に到る。（爆）ナニナニの「ほう」なんて、いったいいつ頃から誰が言い出したのだろう。何かストレートなものを婉曲的に（刺激を和らげるために）する効果がある言葉でもないし、まったくもって余分なこういう言い回しは絶対に許さん。まさこちゃんに「あのね、今の段階は研修だから、相手がどんなことを言ってくるか、聞かれたことに答えられるかというのがいちばん気になるだろうけど、自分の側の言葉にも意識しようね。意味がわかったらそれでいいじゃん、という考え方もあるかもしれないけど、自分がそれでいいと思って流してしまったら、そのままになっちゃうよ」と言った。別に今からアナウンサーを目指しているわけじゃないんだから、そこまでウルサいことを言わなくてもと、もともといる3人などは思っているかもしれないが（この3人も、もう今からじゃ致命的に修復不能なところが各自にある･･･が、本体の仕事にそこまで差し障っていないので私ももう今になっては注意できない）鉄は熱いうちに打たなければいけないと思うのだ。まさこちゃんがそういう意を汲んでくれるかどうかはわからないが、私としては後顧の憂いがないようにやっていきたいのだ。

2007年08月03日

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コレ、流行りデスカ？

そういえば、この間からいろいろなところで「どんだけ～？」って書いてあるのに気がついてきたが、これって何か流行っている言葉なんですか？ちなみに私も「どんだけ（どれだけ）ナニナニやねん」って言ったことはありますよ。バイキングなんかでアホほど一皿に料理を盛って、それを食べてはまた溢れるほどおかわりするのを繰り返している人を見たら「アンタいったいどんだけ食べるねんな」という言い方をしたことはありましたが、この「「どんだけ～？」って、ここだけが独立している言い方って何？誰が始めたの？どなたかご教示下さいな。

2007年06月15日

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腑に落ちない･･･

昨日の日記は長過ぎた。（爆）今日はもう少ししてから出勤なので、それまでに短く。某掲示板サイトでこのところ頻繁に見るようになった表現で「腑に落ちました」というのがある。この「腑に落ちました」を見るたびに、その据わりの悪さに言いようのない違和感を覚える。否定の形で一般的に認識されている慣用句は、肯定にさえ置き換えたら反対の意味に必ず遣えるかというとそうではない気がするのだが･･･ちょっと調べてみると、小学館のシリーズ本のシリーズタイトルで「○○がわかる、腑に落ちる」なんてのもあるみたいだし（こんな本は読みたくないと、そこだけで私は思ったりするへそ曲がりだが）誤用ではないのかもしれない。何か一瞬ですっかーんと理解できた・得心できた、というような場合はストレートにそう表現したほうが話自体のまとまりがいいわけで、ごく一般的に遣われる「腑に落ちない」という慣用句をわざわざ逆手にとって「腑に落ちる」というようなムリヤリな言葉で表現できるモノや情景がどういうものなのか、私にはまったくイメージできない。しかし、本当のことを言うと、世の中「腑に落ちない」ことのほうが多過ぎて、だから余計に「腑に落ちる」などというこじつけ風エセ慣用句に抵抗を感じているのかもしれない。

2007年06月13日

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ひっかかり

ヒマな時にはネットで新聞記事を見たり某巨大掲示板をチェックしたり、もうちょっと小さい掲示板をのぞいたりする。特に最近は、この間から勝手にイチオシしている「X Factor」の掲示板にも時々書き込んだりトピックを立ててみたりしているが、こういうのって結構ハマる。私はだいたい根がくら～い性格なので、こうしてネットであちこちうろうろしていたら、いくらでも時間が経ってしまう。他にすることがないのかと言われたら、他にすることがあってもやってますと答えるしかない。要は不良中年女なのだ、私は。ネタがなくなると、ついつい言葉関連の日記を書いてしまうのだが、これは昔から言葉そのものに関心が尽きない性格だからしかたがないと思う。で、異様な言葉遣いを発見すると、髪の毛の中に埋め込んだアンテナが立ってしまうのを止められないから困る。ここ最近で「今はそんなふうに言うのが普通なんか？」と思ってしまった言葉。1）サプライズなんですかね、これ･･･いや、意味はわかりますよ、てか、わかるような気はしますよ。要するにアレでしょ、結婚式とか誕生日とかに、主役に知らせずに隠して準備しておいて当日どかーんっていうヤツでしょ。でも、それって別に英語にしなくても･･･と思うのだがどうだろう。ああ、でも英語でないとすれば、こういうびっくり企画を日本語だったらなんと言えばしっくり来るのかと言われれば、それも見つからない気もし、いつまで経っても結論が出なさそうなので、考えるのはやめる。（笑）サプライズで思い出したな。15年ほど前だったか、尊敬していた中学時代の先輩の女性が結婚することになった。先輩とは中学卒業後、10年以上会っていなかったある日、偶然ばったりと会った。久々の再会はとてもうれしかったし、慕われていた実感があった先輩もうれしかったのだろう。先輩は結婚間際ということで、いきなり結婚式に招待されたが、しばらく会わなかった時間を埋めるように話しているうちに私は少し気になってきた。先輩はどことなくベクトルがずれて行っているんじゃないか･･･そして、いよいよ結婚式当日。えらいたくさんの人たちが集まっていた会場だったので、いったいどんな結婚式かと思っていたら先輩は、うれしさあまってか、自分の結婚式を自分で仕切りつつ、その当日に隣りの宴会場を借りて同窓会を一緒に実施していたのであった。私はその時にそれを知って、先輩の行動力と考え方の奇異さにどっひゃーと思ったが、もっと驚いたのは、その2つのイベントの「結婚式パート」で先輩が登場した瞬間だった。まさかゴンドラで出てくるなんてやらないだろうな、とちらっと思ったのもつかの間、会場が暗くなってバラードが流れ始めると、グリーンのドレスを着た先輩が、自分でマイクを持って歌いながらスポットライトが当たった階段の最上階から降りてきた。先輩はかつてバンドを組んでボーカルをやっていたことをこの時、思い出した。ずーっと昔、ライヴを聴きに行ったら、先輩には申し訳ないが、歌がちょーヘタだったのを思い出したが、この時の歌もあまり向上しておらず私は聴いていただけだったが恥ずかしくなった。先輩は自分の晴れの日に歌いながら登場するという、捨て身サプライズを自ら実践したのだが、結構あれは今でも印象に残っている。2）子犬（または子猫）をお迎え最初にこの表現を見た時、吐きそうになった。「今度、我が家に子犬をお迎えしまーす！どんなことに気をつけるべきでしょうか？」ですって。子犬をお迎えとな･･･？私はもうそこだけを読んで思わず「アンタは徳川綱吉の末裔か」と突っ込んだ。いや、もちろん犬でも猫でも、どこかに預けてあるのを迎えに行くっていうのはぜんぜんおかしくないと思う。行為として「迎えに行く＝引き取りに行く」はもちろんオッケーだわさ。しかし、単に「これから家で犬（猫）を飼う」という状況の時に「迎える」で、さらにそこに「お」がつく丁寧さ。変わっとんなー、こんなヤツ、と思わず何度も投稿を読んでひとりごちる。･･･ったく、週末に泊まりに来る舅姑ならわかる。百歩譲って、3ヶ月ホームステイに来る、どこぞの国の学生でも許す。しかし、相手は犬だ。猫だ。私自身、飼っていないだけで犬でも猫でもめちゃくちゃ好きだが、相手はペットでっせ、どこまでいっても･･･観念や情の部分で、ペットも一度飼ったら家族だと思う気持ちはよくわかる。が、そこに、人間に敬意を表するのと同格の言葉遣いってどうよ？家族だと思って大事にする、という気持ちと、こういう混乱した言葉遣いとはやっぱり別物でしょうよ。最近、人間はどこか順番が狂っているように思えてしかたがない。＊とにかく自分の血を残したい、自分で出産を経験したい、そのためにはなにがなんでもと思う人。（おおっ、まだこだわっているぞ）＊せっかく自分がお腹を痛めて産んだ子を、思い切り虐待して死なせてしまう親。＊そして、なんだかよくわからないが、犬や猫を「家にお迎えする」人。ということで、本日のひっかかり2題。

2006年10月28日

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形からはいる･･･のか？

今日はちょっと軽いめネタで･･･2ヶ月かそこらも前の話になるだろうか、ちょっとおもしろい相談の投書を見てしまった。文面から、20代とおぼしきお嬢ちゃん。近々日本を離れて英語圏の国で生活することになるとのこと。それが仕事だったのか留学だったのか、はたまた結婚だったか覚えていないのだが、そちらに渡航するに当たって「私の名前は発音しにくいと前に外国人に言われたことがあるので、英語圏ふうのニックネームをつけたい。どんなのがいいですか？」というのが、その投書の主旨。ぶはぁ～。実はこのお嬢ちゃんが文中で「私の本名は☆☆です」と書いていた、ひらがなのその名前が私の名前と同じだった。（注．ちゃと、ではありませんよ）へえ～、この質問ってどんなふうになっていくんだろうと思ってしばし成り行きを注目。すると、さすがにいろんな意見が出るわ出るわ。彼女の（＝つまり私の）名前をもじって「●●はどうですか？」「△△ってかわいいですよね」系の無責任な（爆）横文字名が出てくる一方で「☆☆って別に発音しにくい名前じゃないですよ、私も某国ですが、発音が難しいなんて言われず、みんな覚えてくれますが何か？」と、またもう一人、同じ名前且つ某国在住の人が登場してきたりする。私自身はそういう現地溶け込み用ニックネーム使用なんていうこっぱずかしいことはできないたちなので、こちらに来てからも名前を聞かれれば☆☆一本やりだ。時々、電話で自分の名前を言って、一文字ごとの綴りまで（ひらがなでいえば、ぶどうの「ぶ」・たらこの「た」みたいに）教えたにも関わらず向こうから来たFAXでとんでもない綴りで☆☆の名前をアレンジしやがり、またそのアレンジが二つ折れになって笑ったくらいおかしな名前になっていたこともあった。（そんな勘違いがあるとはそれまで想像だにしなかったほど）まあ日本名でも比較的ケイコやナオミはガイジンにとって覚えやすそうではある。ナオミ、なんて日本の名前だとは思われていない。日本語の場合、比べるならば、同じ名前でも女性の名前よりも男性の名前のほうがちょっと難しいのは、きっと女性の名前は3文字までで終わるものが大半だが、男性の名前だと「ユウ」「ユウジ」「ユウイチ」「ユウジロウ」「ユウイチロウ」みたいに、かなり音素の数に幅もあるし。それが理由だからか、海外に来る駐在員の男性たちは会社で働く現地採用のスタッフから覚えてもらいやすいように英語の名前をつけることがよくあるようだ。仕事でよく電話するお客さんの中には駐在員も多く、そういう駐在員の人たちにはヒラはほとんどいないので現地採用の秘書かアシスタントがついているのだが、私たちがその駐在員氏の名前をフルネームで名乗るたびに、よく「だれ？だれだって？」と聞き返される。それで、その駐在員氏の名前をもう少しゆっくりはっきり言うと「オォ～、ザッツ　ジョニー、アイ　ゲス･･･（ああ、それはジョニーだわ、たぶん）」と言われ、ジョニーにつながれる。「○△□×様でいらっしゃいますか？」とたずねると「あ、ああっ、そうです」と途端に焦る日本語がジョニーから出てくる。この瞬間って結構ぐふふだ。その上、もっとおもしろいのは、用件によってパスポートのコピーを送ってもらわないといけない場合だ。送ってもらうページは写真とサインの欄なので「おおっ、この人がジョニーか」とか、思わず私たち4人でニヤニヤしながら回覧し「この間のリッキーのほうがかっこええな」とか勝敗を決めてしまう。（スミマセン、でも機密は保持しておりますのでご安心を）この駐在員各氏の名前もいろいろで、やっぱり自分の元の名前に近いもじり方でつけている人が多く、てるゆきだからテリーにしたとか、みきひろだからミックだとか。しかし時々マイケルとかジェリーなんかもいて、なんでやねんと思う。一度、本名とは似ても似つかぬテリーという呼び名のお客さんとちょっと親しくなって、なぜテリーですかと聞いたら、週末のパーティで照り焼きチキンを持っていったら好評で、翌週から会社のイギリス人の同僚にテリーと呼ばれるようになったと言っていた。そして今日はまた、かなりマイワールドに埋没した女性から電話。3ヶ月くらい、あちこち旅行して回っているんだそうだ･･･お金持ちなのね。声だけなら吉田日出子かと思うその人はもういかにも「ワタシ、ニホンってあわないんだわ～～～」といわんばかりのアンニュイさ。髪をばさっとかきあげて斜め30度下の目線で電話してきてるだろ、と聞きたくなるくらいの波形が伝わる感じ。その吉田さんからの依頼を受け、1時間後に電話で結果を知らせることになっていたので、ちょうど1時間後に吉田さんの携帯に電話したら留守番電話になっていた。その留守番電話にステキな英語の留守電メッセージがはいっていた。吉田さんの声だ。「ハーイ、ワタシはアマンダ。お電話アリガト。メッセージを録音してね。折り返し電話シマース」みたいな。ア、アマンダかいっ･･･アンタ、ニホンから旅行で来てんだよね？アマンダさんという名前を完全に無視して「手配した内容を伝えたいのでお電話下さい」と録音しておくと、10分ほどでアマンダならぬ吉田さんから電話があり、用件は無事伝えることができたのだが、よく言えば海外慣れ、悪く言えば英語かぶれしてるな～～～という感じの人だった。しかし、そこでつらつら思った。別に海外に行くからって、そっちの人に迎合してまで名前を変える必要ってあるんだろうか。これがタイの人みたいに「私の名前はSomsanouk Pholphayuhasenaです」みたいな、どう見てもややこしそうな（笑）名前だったら確かに外国人には発音もしにくく、覚えてくれとも言いにくいだろうが、日本語の名前みたいな発音のしやすい表音文字の組み合わせ的な名前は、外国人にとって一瞬耳慣れないだけで発音が難しいわけでもないだろう。まあ、そんなふうに保守的にマジメに捉えなくても、お遊びだし・シャレだし、そういうニックネームをつけるのも一興じゃん、と思っている人のほうが多いのかもしれない。とはいうものの、考えてもみてほしい。ニホンダイスキ、ニホンカブレ～のエミリーさんというカナダ人の女性（仮名）がいきなり日本にやってきて「今日からワタシをシゲコと読んでクダサ～イ」と言って近所にマジ挨拶して回ったら、やっぱりみんなちょっとびっくりしないか？別にそんなにムリしなくたってエミリーでいいやん･･･と言ってあげたい気がするのは私だけだろうか。

2006年10月19日

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なんちゃって言語社会学

皆さんがいろいろ書いて下さると、思わぬところから「そうそう、そうでしたね」と思い出させてもらうことがあって、じゃあそこに何か自分の意見も少し足させて下さい、ということがこのところよくある。一昨日の「オバハン云々」の話で、ハッピー・スーパーマザーのマリールイズさん（以下、マリーちゃん）のレスが個人的におもしろかった。近所のガキんちょに「おい、そこのオバサン」と言われた時に、すかさず「こら～、○○ちゃんのお母さんといえ～～～」とママ友さんからフォローがはいったというエピソードを入れて私の書いたものにレスを下さったのだが、この○○ちゃんのお母さんが私の別な場所のスイッチを押した。カチッと音がした。（爆）「オバサン・オバハン」という呼称から言語社会学を久々に思い出したが、そこにマリーちゃんが引用した「○○ちゃんのお母さん」という呼び方もまた、非常に具体的な日本の言語社会学のサンプルだと思ったのだ。別に私はそのスジの者でもなんでもないが、ずーっと前から言語学をもっとちゃんと勉強したいなという気持ちがあり、気が向くと初心者の入門編みたいな本を読んでいた。言語学ももちろんまともにやれば語源学、記号学、音声学や音韻論と、いくらでも分野はあるが、学問というよりも身の回りですぐに見つかるご近所の言語学としては社会言語学というのがおもしろそうなのだ。さっきは言語社会学と書いたが、社会言語学と言語社会学。この2つの字づらは曖昧に似通っていて、広義では同じように捉える捉え方もあるらしいが、厳密にはやっぱり別モノらしい。（爆）社会言語学は「言語というものに社会がどう影響を及ぼすか、社会というものの中で捉える言語学」である一方で、言語社会学は言語学ではないのだそうだ。「言語が影響するところの社会を学ぶ学問」ということだそうで、わかったような、わからないような。生かじりのウンチクはこのへんで終わらないとボロがいくらでもでる。さて、とりあえずは自己流の言語社会学。さっきのマリーちゃんの「○○ちゃんのお母さん」に端を発して、ある一個人の呼び方は、同じ人を呼んでいるにも関わらず、いろいろ呼び方が違うというあたりまえのことが、なぜそうなのかを時々考えてみたりする。例えば私が普段どう呼ばれているかを考えると1）会社の人（イギリス）→「ちゃとさん」2）両親やクマイチ→「ちゃと」3）弟→「お姉ちゃん」4）弟の娘たち（姪たちね）→「伯母ちゃん」（オバハンではないぞ、この時点では）5）会社の人（日本）→「部長」6）クマイチの会社の同僚→「クマイチさんの奥さん」（「○○ちゃんのお母さん」と同種）7）そのへんを歩いている他人→「あそこのオバハン」（爆）最後の例は冗談だが、最初の6つというのは、同じ人を呼んでいるにも関わらず、全部呼び方が違うということは、私がそれを本で読んだ瞬間、そりゃ確かに不思議だなと思ってしまった。もちろん化学実験のような不思議さではないとしても「そう言われればそうだ」的な不思議さを感じた。結局、呼ばれる人の人格というのは一つの不変・不動のものなのに、周りの人たちの立ち位置や所属する社会的カタマリやフィルター（「○○さんの奥さん/お母さん」）によって、名前そのものを呼ばれることもあれば、名前ではない一つの共通認識記号のような呼び方もあり得る。この間、DVDで「チャングムの誓い」を見ていた時に、チャングムが子供時代に、近所の人はやはりチャングムのお母さんを「チャングムのお母さん」と呼んでいたし、チャングムに自分の子供ができた時には、チャングムは「ソホンのお母さん」と呼ばれていたのを見て、おお、この部分は言語社会学部分として日本と韓国は類似点があるのかなと思ったのだ。そう言えば、韓国のトレンディドラマでも「社長さん」「先生」と、職種名で呼んでいたし。イギリスだと「社長・社長さん=President（本当はこのように単純な職名だけでもないが）」「マネージャー」などという職種名で相手に絶対に呼びかけないし。会社の同僚の後の3人はイギリス人と結婚している。彼女たちは配偶者の親をいったいなんと呼ぶのだろうという素朴な疑問をかつて持った。日本流に言えば舅・姑をどう呼ぶか、ということだ。日本だと大半は、発音としては（自分の産みの親でないにも関わらず）「オトウサン」「オカアサン」と呼んでいそうだし、表記なら「お義父さん」「お義母さん」がよく遣われる。但し、その本人たちに手紙を出す場合には「お義父さん」「お義母さん」とは書かないのがマナーらしい。そうそう、それでうちのみつこさんやゆみさんやゆきちゃんたち。一度、聞いてみたのね、イギリス人である配偶者の親をなんと呼ぶかって。すると、なんと全員が「相手の名前でそのまま呼ぶ」のだそうだ。DadやMomとは呼ばないらしい。で、それは少なくともイギリスでは常識なのかと聞いてみたが、3人とも結婚は1回だけなので（笑）よくわからないが、配偶者の兄弟姉妹と集まるようなパーティの場所でも、たいがい大人はみんな名前で呼んでいるらしく、直接、個人を表さない「おじいちゃん」「おばあちゃん」に相当するグランダッドとかグランマと相手を呼ぶのは孫たちだけだそうだ。日本で一族全員が揃っている場面を想像してみる。例えば、小さな子供を含めて三世代集まっていたりすると、子供のお母さんが、自分のお母さんをわざわざ「おばあちゃん」と呼んだりすることがある。こういうあたりまえのことが、考えてみると時々ほぉ～、と感じたりしてしまう。しかし、以前アジア支部に出張した時は、そこの国の人（中国系）と結婚した女の子に同じ質問をしてみたら、やはり「おかあさんと呼べ、と言われている」と言っていた。それに兄弟姉妹と言えば、いちばん私が慣れられないのが、英語圏には「兄弟」「姉妹」の中で、呼び方だけで年の上下がわかる言葉がないこと。日本だと兄なのか弟なのか、この一語だけで、主体の人との年齢の関係がわかるし、大多数が兄弟うちで「お兄ちゃん」「兄さん」「兄貴」と下が上に呼びかける。（その代わり、この呼称は上から下には存在しないのもまたおもしろい。自分の下の身内の呼び方は基本的に名前だけで「弟ちゃん」とか「お妹さん」とは言わない）しかし英語圏（だけではないが）は男の兄弟ならBrotherなのだ。これが困る。アンタら、どっちが上でどっちが下やねん、という場合はわざわざそれを確認しなければならない。そして、その答も「Younger brother」だとか「Elder brother」だとかいうふうに「brother」という言葉にわざわざ形容詞をつけないと成り立たないという代物だ。放っておけば、この人たちは延々、名前だけを呼び合っているから、2人が同じ親（両方または片方）から生まれたことはわかっても、どちらが年上（年下）なのかはわざわざ話題で偶然それがわからない限り、その2人の間の呼び方だけ聞いているだけではいつまで経ってもわからない。ここまで書いて気がついた。やっぱり呼称・呼びかけの言葉の話に終始してしまったから、やっぱりこのタイトルはなんちゃって社会言語学だったのかもしれないぞ･･･ま、いっか。（爆）こんなようなことに最初に気づいて分類しながら、それぞれの社会との関連性の研究に取り掛かった先人はすごいなと思いつつ、ヒマがあると、そういう立派な先駆者の方々が書かれた本をちょこちょこ読みながら、こんなことを考えたりしておりマス。

2006年10月13日

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あやかりたい！

えーっと、ちょっと旬を過ぎた話になってしまったのかもしれないが（いやいや、これからですよね）秋篠宮妃殿下、紀子様が悠仁様を無事ご出産されたということで、その報道はイギリスでもリアルタイムに報じられていた。これはこれで久々におめでたい出来事であることに疑問の余地はない。ただ、こういうことがあると日本人というのはどうしてこう浮き足立ったというか奥歯が浮くようなコメントが平気で言えるんだろうと恥ずかしくなる部分もある。その一例。＊同じ病院でうちの娘も出産したので不思議な縁を感じます･･･紀子様とお知り合い？＊ひょっとしたら将来うちの孫とご学友になるかも･･･そうなるかも、ですね＊幸せを分けて頂いた気分･･･まあ、人間はそう思えるほうが確かに幸せです遠きロンドンのわが職場でも、もちろん紀子様のご出産は、その当日の少し前からメインのニュースではあった。「どうも男の子だっていう話だよ、なんか『女の子用の袴が注文されていない』って雑誌が書いていたらしいし、秋篠宮様がお友達に『男の子のようです』っておっしゃったんだって」とか「雅子様がこれで少しはプレッシャーから開放されるのならよかったんだけど、本当のところはどうなんだろうね」なんて話をしているうちに、紀子様は無事にその日を迎えられ、そして先日、親王様のお名前が悠仁様と決まった。このあたりの一連のオメデタ進行状況を、みつこさんは家に帰るとご主人のジョージにいろいろ話す。ジョージは日本好きだから、とにかく日本のことはなんでも知りたいのだ。その中で、ふとみつこさんがジョージに説明しづらくなって話がそこで立ち止まってしまった、と翌日みつこさんが私に話しかけてきた。みつこさんが「日本のみんなはこんなふうに喜んでいる」とジョージに話す中で、冒頭に書いたような歯が浮きコメントの話をしていたら、みつこさんはいきなり言葉に詰まってしまったのだと言う。「なんで詰まってしまったの？」と聞くと「『同じ病院で出産した人が縁を感じてる』とか『幸せな気分を分けてもらった』とかいう感じが英語ですごく説明しにくくて、あーだこーだ言ってる間にジョージに『わからないな･･･結局何が言いたいんだか』って言われちゃったのよね。思わずちゃとさんに電話しようかと思ったわよ、昨夜。」とみつこさん。「ね、ちゃとさん、こういう感じってどんなふうに説明すればわかってもらえると思う？」と引き続きみつこさんは聞く。こう言っちゃなんだが、みつこさんの英語は非常にシンプルな単語でストレートに話す英語で、デリケートな話には向いていない。（みつこさんに面と向かってそう言ったことはないが、みつこさんもそれは自覚している）それを聞いた途端、私の頭に浮かんだのは英語ではなくて日本語。「みつこさん、つまりさ、それっていわゆる『あやかりたい』っていう感覚だよね」私がそう言うと、みつこさんは「ああっ、ソレよ、ソレっ！あ・や・か・る～～～」と叫んだ。みつこさんが説明したい感覚はすぐにわかったのであやかるという言葉にはすぐに思い至ったのだが、それじゃあやかるって英語でなんて言うんだろうという段になると私も想像がつかず、みつこさんと一緒に辞書を調べる。まずはYahooの辞書に出ていた例文私も彼の幸運にあやかりたい＊I hope I will have the same good luck as he.＊I hope I will share his good luck.一つ目の文は、まあわからなくはない。「彼と同じように幸運をつかみたい」みたいなところか。でも2つ目になって「Share」という言葉が出てくるとちょっと違う感じ。「Share･･･分ける」ということになると、相手とこっちはあくまでも対等で半分ずつ、みたいなイメージがある。しかし今回の場合、相手は親王様だ。あちらは殿上人で、こちとら一般人。あくまでも殿上人様の幸運のおこぼれに預かりたい・もしも余りそうなら多少回してもらいたい、という、上から下にちょっと流すそうめんみたいな感覚がこの「あやかりたい」が内包するベクトルのように思う。そして次はいつも使っているスペースアルクの辞書。ダレダレの人気にあやかる*capitalize on the popularity of ダレダレ*catch onto the popularity of ダレダレいや、あの、そんな仰々しい言葉を遣わないと言い換えられない感覚でもないんですが。マドンナにあやかる*follow Madonna's example*follow the example of Madonnaうーん･･･「Follow」なのかなぁ？まあ確かに「Follow」には「～に続く、～の次に来る」という意味や「～の後について行く、後ろからついて行く」という意味があるので、わからなくはないが、しっくり来ない。ヨン様の人気にあやかる ride [またはhang] on ヨン様's (long) coattailsこりゃすごくコジツケっぽい言い草だ。誰かさんの燕尾服の裾にぶらさがる･･･って、そこまでくどくてアレな感覚を「あやかる」と言っているわけではないぞ。そのうちに、じゃあベタベタの日本語から考えるのではなくて英語的に考えてみたほうがいいんじゃないかということになり、出てきた例がFortune precedent（幸運な先例）とかBlessing（お恵み）とかGrace（恩寵）。このへんの言葉を出せばジョージも理解できるかしらねと言いながら、みつこさんはこのあたりの表現を書き止めて帰宅。「実は昨日の話だけど･･･」と言いながら、この純日本的な「あやかる」という感覚をジョージに一生懸命説明したそうだ。すると、ここにまた難問が勃発。（爆）「どうしてそのプリンスの名前と同じ字をつけたいの？親の希望はないの？」「そのプリンスと生まれた病院だとか日が一緒だったらどうしてA bit of grace（ちょっとした恵み）になるの？」ジョージは今度は、親王様の名前から一字もらいたいと思う気持ちや、同じ場所または日に生まれることを奇縁と感じる感覚そのものがやっぱりわからないらしい。それでみつこさんが「でもさ、イギリスにだって王室があるじゃない。そこで何かこういうおめでたいことがあったら、みんな喜ばないの？」と言ったところ「いや、それは喜ぶよ、よかったねって感じ。だけどさ、だからといって同じ日に生まれたどこかの子供に、同じ日に生まれたからっていう理由で、プリンスやプリンセスと同じ名前をつけた人なんて、ボクはまだ見たことないよ」とジョージ。そっかぁ～、翌日、私はこの話をみつこさんからまた聞いて納得。要するに、この「あやかる」という感覚自体が一種独特な日本ならではの感覚なのではないか。ともかく、自分たちよりも少し階段の上にいる人たちの幸せごとを喜ぶと同時に（ちょっと言い方は悪いかもしれないが）あわよくば自分たちにもおこぼれを頂きたいと、そういう気持ちが「あやかる」という言葉に込められているのだろう。そして、そういう感覚が決して一般的普遍性を持たないイギリスだから、英語にはその感覚が一発で収まる、据わりのいい言葉がないということのようだ。だから、みつこさんはあれこれの言葉を尽くしてくどくど説明しないといけなかったのに、とどのつまりは「（感覚的に）いまいち理解できない」ジョージだったらしい。（爆）みつこさんと「いったい何が勉強になるんだかねー」と言いながら、計3日に渡る「あやかる」談義は終了。みつこさんが最後にこう言った。「こういう時、ちゃとさんのことがすごくうらやましくなるのよね。だってクマイチさんにいちいち説明しなくて済むでしょ？」･･･そりゃそうだ。P.S.この下書きを書き終わってから、また相当ベタベタの日本語を思いついた。縁起を担ぐいったいジョージになんと説明すればいいんだか。（爆）

2006年09月21日

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キッキンノカダイ

えっと･･･今日は小ネタ系で。小ネタではあるが、個人的には結構ショックでもあった。会社で一日に受け取るメールは、日によって数の増減はあるが、まる一日を考えると200通くらいか。その中には、特段、私に宛てたわけではないCCのメールも含まれているので、実質的に私が宛先にはいっているメールの数は全部で50前後ではないかと思う。しかし、CCで着信したメールの中にも、本来は私宛ではないが、自分に関係あるものもあるので、できるだけ目を通すようにしている。日本の本部に湯川くんという男性がいる。この男性、まだ会社にはいって3ヶ月か4ヶ月かそこら。だが、めちゃくちゃよくデキる。彼は今からきちっと育てれば1年でマネージャー、3年経ったら役員クラスの実力だ。当初の噂によると彼はウチの会社に具体的な目的があってはいったらしく、その目的のために、期待のホープと目されていた前の職場を退職。年収ほぼ半分になったという噂。湯川くんがタダモノではないと気づいたのは、彼がはいってほんの1ヶ月かそこらだっただろう。本部管轄の仕事をこちらからもまめに偵察・観察している中で、鋭くシブい処理をしているヤツがいるな、ということにある時気がついた。そう感じる仕事に限って、担当者IDを見ると、それがたいがい湯川くん。新入社員のお知らせでそんな名前を見たとは思っていたが、えらいデキる子やな、と驚いた。湯川くんの「デキ加減」というのは、例えば同業他社で以前この仕事をやっていてノウハウを持っている、というようなものではない。彼は自分にまだ欠けている専門的な部分や経験を、普通の人が考える常識でかなりカバーしていて、そこでちゃんと結果を出しているのだ。新人と言われる人の中には、会社にはいって渡される分厚いマニュアルを（重いのに）家に持ち帰って頭の中に全部暗記してこの仕事に取り掛かるタイプもいれば、マニュアルはそこそこで、後は普通に考えたらなんとかなるだろう、マニュアルを一字一句覚えずとも、そのマニュアルのどこらへんに答があるか、だけ察しがつけば大丈夫だろうという見切り発車の効くタイプがいて、湯川くんはその後者の筆頭だ。世の中の仕事の大半は「常識7割・ノウハウ3割」だと私も考えているほうで、要は物事を俯瞰できる視線と常識に裏打ちされた想像力のある人は、その世界では新米でも失敗はごく少ない。専門的なことを一瞬思い出せなくても、後で調べればいいのか今、待ったなしでやるべきなのかだけの判断がつけば、たいていの場合、少なくとも大きくその先の方向性を間違うことはない。さて、湯川くんのベタ褒めが長くなったが、この湯川くんがあるお偉方に宛てたメールをCCで受信したのを読み、私は、飲んでいた紅茶のカップを手に、しばし呆然とした。湯川くんはそのお偉方の携帯に電話し続けていたが、まったくつながらず、携帯の呼び出しと同時にメールで「すぐに連絡を下さい」と呼びかけているようだった。その中で、湯川くんは「この案件の中での喫緊の対応をご相談したいので、ご連絡をお待ちしています」と書いていた。喫緊私は「なによ、その喫緊って」と思ってしまい、湯川くんは慌てて緊急という言葉を書き間違えたのかと思ってその単語を辞書で調べたら、あった･･･喫緊･･･＜きっきん＞差し迫って重要なこと。また、そのさま。緊要。私は今日の今日まで、そんな言葉自体が存在しているのを知らなかった。人間が遣う語彙の中には「話す・書くというアウトプット作業に自分が実際に放り込める語彙」と「どこかの段階で新聞や雑誌で見た・聞いたインテイクはあった気はするが、うろ覚えだったりして自分ではまだ遣い切れない語彙」があって、その2つの量の落差は人によって違う。私は日頃こうして日本ではない場所にいることもあって余計に、この2つの語彙の枠組みをできるだけ近づけたいと思ってきたし、それなりに努力はしていると思うのだ。それに私の場合は弟がまた変わり者で、ヘンな語彙をあちこちに入れては持って回ったようなメールを書いてくることもあるし、年齢的にもエエ年になったこともあるし「見たことも聞いたこともない語彙に出会う」という状況はここ何年も経験がなかった。そして、その「見たことも聞いたこともない語彙」に何年かぶりに突然ぶつかったこと･･･その上、その語彙を正しい状況でちゃんと普通に遣っている人が身近にいたこと･･･世間の大多数の人に「そんなの知らなくても生活していけるよ」と言われても何の慰めにもならないほどの衝撃を受けた。キッキンってか･･･ふぅ～ん･･･湯川くん、やるなぁ･･･いろんな意味で。たった一語の語彙のことではあったが、普段からの彼の動向と考え合わせても、いろんなところに目端の利く、本当の意味で優秀なヤツが来たんだなと思った。こういう人が一人いると、自分に余裕がある時なら触発も啓発もされ、いい方向に向かえるのだが、余裕がない時は落ち込むだけやで、まったく（爆）

2006年08月24日

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コトバノチカラ

以前、会社で新しく開発したシステムの名称が賞金付きで公募されたことを書いた。めっちゃ自信あるネーミング2つを考えて、絶対勝てると思って応募したのにあえなく撃沈。すでに他の人の命名でシステムは6月から動き出している。しかし、システム自体に穴がぼそぼそ空いているからかネーミングが悪かったのか知らないが、結構すかたんな出来上がりになったこのシステム。仕事が楽になるよりも、このシステムの機嫌を取るほうが難しいというシロモノになった。（ネーミングで落選した腹いせも混じってるぜ、もちろん）さて、この間の帰省中に何度か本屋に立ち寄った。そこでこんなタイトルの本を見つけて、ほぉ～と思った。「長めのいい部屋」･･･なんじゃ、そりゃ。もともとはイギリスの作家、E・M・フォースターが100年ほど前に書いた小説で、実は原作の小説よりも1986年の同名の映画のほうが有名になった「眺めのいい部屋」の、とんでもないもじりである。もじりではあるが、うまいなと思う。結局、この「長めのいい部屋」は、本屋でふっとタイトルを見ただけで、時間がなくて中身を手にとって読むことができなかったものの、気を惹かれるタイトルじゃないかと軽く感嘆してしまった。蛇足だが、この本は結局読んでいない。タイトルのイケてる加減からして、もしも内容がさっぱり･･･とかだったりすると余計がっかりする。誰か、この本を読んだ人がいたら、おもしろかったかどうか教えて下さい。（笑）こういう、おおっ、と言わせるタイトルやネーミングやキャッチフレーズが結果的につけられる、ということは、それを仕事にしている人からすると本当に大難産だったのだろうなと思う半面、それは思わぬところからなにげなく生まれた副産物だったりする可能性もあると、その本のタイトルを今も思い出しながら考えたりする。いつ頃だったか正確には覚えていないが、日立かソニーが出していたはずのラジオ＋カセット＋テレビが「見・聞・録（けんぶんろく）」と銘打って売り出された時、私はもーっと幼かったが、今と同じようにおおっと言ったことをはっきり覚えている。小学校4年生の時からラジカセ・エアチェックに余念のない日々を送っていた私に、買う・買わない・買えない（資力上）を別として、ラジカセにテレビがついたこの新製品のテレビのCMで「見・聞・録」と字が躍り出てきた時は衝撃でのけぞった。この頃、他社でもラジカセにテレビをドッキングさせて売り出していたと思うが、単にラテカセ、などという、まあ間違ってもいないが別段のインパクトもない･･･要はそのまんまの･･･短縮形の呼び名で売り込んでいた商品があったのも覚えている。そこに「見・聞・録」。いかにも商品の本質をついていて、何の瑕疵も見られない（と当時思った）ネーミングは私にとっては激烈な印象を残した。とはいうものの、商品そのものがどれくらい売れたかは疑問である。眼のつけどころが悪かったわけではないだろうが、ラジオとカセットで遊ぶ人に、その機材にテレビまでついていることの意味や重要性はちゃんと理解されたのだろうか。そして、もちろん私自身はそんな商品があっても買えるかどうか考えるような資力は当時なかったが、そのユニークさと便利さと必要度に見合う値付けだったのか、高かったのかについては今となってはナゾだ。えーっと、それからまた少し話の趣きは変わるが、かつて「広告批評」を創刊した、コラムニストの天野祐吉氏が、芸術家の故岡本太郎氏の有名な「芸術は爆発だ！」という言葉を、本人自身の肉声でCMの中で聞いて感動したという話をもう10年ほど前に新聞の天野氏のコラムで読んだ。故岡本太郎氏が実際にそのCMに出演し、あの畳み掛けるような、ほとばしるような、本人独特のエネルギーが詰まった言葉の発し方で「芸術は爆発だ！」と言ったのを、天野氏は「芸術は場数だ！」と聞き間違え、さすがは岡本太郎氏だ、言うことが違うと思ってしばらくの間、その言葉の勢いと余韻に圧倒されていた、というようなことが書かれていた。中身をまったく知らなくても十分に一つの日記のネタになるだけの力がある言葉は違う。そんな、どっちでもいいことを考えた。

2006年08月15日

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「ごちそうさま」の後は？

ということで昨日は、関東（首都圏だけか？）の美容院が火曜定休っちうところが多くてびっくりしたと書いたが、今日は早速会社で後の3人に「日本にいた時、美容院の休みって何曜日？」リサーチをやってみた。データは少ないが、やってみる価値ありだと思った。あ、番外で昨夜クマイチにも聞いてみたが、ムダだった。彼はその頃はちょーはつだったので美容院に行った記憶がほとんどなかったようで「知らないなー」と一発で言われて終わった。私以外に関西人がいないうちの会社の3人に聞くと、どうやらたんぽぽちゃんが書いてくれていたのが正解のようで「理容院は月曜が休みで、美容院は火曜が休み」ということだったのだが、これも私は初めて聞いた話だったので驚くやら感心するやらで、日本とひとくくりに言っても、いろんな商習慣があるんだなぁと思わずにいられなかった。そして延長上の話で、オカメさんが「ごちそうさまでした」と箸を置いた人に作り手が「よろしゅうおあがり」って言うか質問されていたが、Guaさんは「おばあちゃんが言っていた」と。けれども我が家では、この「よろしゅうおあがり」は現役の言葉で、私は頻発する。その上、クマイチにも「『ごちそうさまでした』って言われたら『よろしゅうおあがり』って言わなあかんねんで」と言い続けてきたもので、私が「ごちそうさまでした」と言うと彼は京都弁のアクセントでちゃんと「よろしゅうおあがり」が言えるようになった。日本で旅行の仕事をしていた時、お客さんを連れて温泉旅行の添乗に出て食事を済ませて「ごちそうさまでした」と言うと、仲居さんからは必ず「おそまつさまでした」と言われる。クマイチの実家で亡き義母が支度してくれた食事を頂いて箸を置いて「ごちそうさまでした」と言った時もやっぱり「おそまつさまでした」と言われた。別に旅館の仲居さんや義母に何の責任もない話なのだが、私はずーっと、この「おそまつさまでした」という言葉に引っかかって引っかかってしかたがなかった。そう言われた途端に、せっかくの満腹感や満足感にいつも水を差される気がしたのだ。もちろん、これも単なる文化の違いの一つでしかないし、日本特有の謙遜・謙譲の美徳がこの「おそまつさまでした」という言葉に集約されているわけで、そこに何の他意も悪意もないことはよくよくわかっている。「よろしゅうおあがり」にしても「おそまつさまでした」にしても、単なる記号というか、符丁に過ぎないとわかっていても、生まれてこの方35年もの間「ごちそうさまでした」「よろしゅうおあがり」と言うやり取りをしてきた身に「おそまつさまでした」という表現は私にとって、治まりの悪いこと、この上ない。いろいろな地方には、その地方ながらの労いの気持ちや感謝の気持ちを表す美しい言葉があると思うし、聞き慣れない言葉でも、その土地の人の持つ独特の言い方で癒される言葉というのは探せばきりなくあるという気がする。しかし、この「おそまつさまでした」だけは、いつか誰かなんとかしてくれないかなーといつも思うのである。

2006年04月11日

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火事場の･･･

えー、私にとってはまさに奇跡です。この間受けた試験に合格していました･･･誤解のないように言っておこうと思うのだが、私は必要以上に謙遜し過ぎるのはキライなので、普段からわりと得意なことは得意だと言うし、ぜんぜんダメなことはぜんぜんダメだと言う。その私が言うのだから間違いない。今回の試験･･･特に二次試験は絶対ダメだという揺るぎない自信を持っていた。もしも、今回の試験結果について誰かと賭けをしていたら、ダメなほうに5万円までなら賭けたと断言する。当たれば3倍という賭けだったら10万円は賭けられた。とはいうものの世の中には間違いということもあるので、上限10万円以上は賭けられなかったと思うが、そのくらい私の今回の失敗は堅かったのだ。（爆）昨日、ふと思いついて試験の主催団体のサイトの成績発表ページを見てみた。試験後3日目くらいに見た時は当然まだ一次試験の結果が残っているだけだったが、ひょっとして出ているんではないかと思って昨日見てみたら「メンテナンスにつき7日の午後まで表示不可」となっていた。ははぁ、そろそろ発表だなと思っていて今日の午後（日本だともう夜になっているし）に一段落した時に、持ち歩いていた受験票のIDとパスワードを入れてみた。二次試験･･･合格。しばし呆然。えー･･･ホンマかいな、これ･･･タバコを一本ひっつかんで、会社の建物の裏庭に出て行き、ライターで火を点ける。ぷぁ～んと紫煙が鼻から出てしまった。何を考えるべきなのかの整理が頭の中でつかず、5分間の瞑想ならぬ「迷」想。うれしいかうれしくないかと聞かれたら、それはうれしいには違いないのだが、納得いかないマークが頭の中でぐるぐる回っていたのも事実。二次試験のことは詳しく書かなかったが、要するにこの間書いた口頭試問の出来があまりにひど過ぎた。あの日、クマイチが朝から車で試験会場まで送ってくれたが、途中で「アメリカン・アイドル」の録画を忘れてきたことに気づき、試験よりその録画のほうが大事だった私はクマイチに録画のために片道で帰ってもらい、自分は一人で電車で帰ってきた。電車の中は寒い上に、試験の出来の悪さに意気消沈し切ってしまった私の帰宅時の憔悴ぶりに、クマイチは「どうだった？」とも聞けなかったと言っていたくらい。試験の最中、私が何か話すたびに2人の試験官のうちの1人の日本人女性の表情にずーっと貼り付いていた「イミフメイじるし」は今でも忘れられない。結果は気になってはいたが、不合格の文字を見たら心機一転で勉強しなおそうと思い、すでに私は照準を今年の6月に当て、結果がどうでも次の6月でこの試験は一生受けないでおこうと思って必勝予習プランを作り、来週あたり必勝ハチマキを作る気でいたのだった。なのに、今日見た二次点数はそう悪くもなく、とにかくこの一連の試験は27年かかって、どんな形であれ終結を迎えたのだ。この試験は27年間、自分のどこかに呪縛のように取り付いていたと思う。なにせ、階段を着々と昇るというようなわけには行かず、最初は14～15歳の時、それから20歳、そして長らくの空白の後、34歳で久々にステップアップした後、結局イギリスに来ることになって時間切れ。そして2年半前にイギリスで受けた時は5点足りずに一次で落ちたが、その時の日記には「あんなに勉強してなくて5点差程度で落ちたんだからたいしたもんだよ」とクマイチに複雑な褒め方をされたことを書いている。たった2年半前なのによく覚えていなくて、よっぽど勉強しなかったんだろうと今、思う。じゃあ今回は勉強したのかというと、この間も書いたが、一次試験は2週間前から必死で勉強した。二次試験は、一次試験に落ちたという前提で最初から意識していなかったのと、前回も一次落ちで二次を受けたことがないので、一次の合格通知を受け取った本番10日前になってから二次はどういう試験なのかは一応調べたというお寒い状況。試験日の数日前に、荒川さんの立派で美しく堂々とした演技を見て「萎縮してはいけない、自分の力を出すだけだ」と自分に一旦活を入れたはいいが、立ち会いから一気に相手に寄り切られたような本番。荒川さんの力を借りようとしたが、努力の足りないものには勝利の女神は微笑まないと思い知らされた。なのに、こういう時に突然予期せず今日現れたかイナバウアー、という結果になったわけだ。とりあえずここでマジメに感想を書いておくなら、あの二次試験の口頭試問で「合格」を出すのはちょっと寒すぎるんじゃないかと私としては思う。「助かった」という気分よりも「あんなんで合格させてていいのか」という疑問のほうが大きいのだ。私が試験官だったら、あの時の私のパフォーマンス程度なら絶対に合格させない。（爆）じゃあ、そこまで言うならもう一回堂々と同じ試験を受け直してみれば？と言われたらどうするか？そうしたいのはやまやまですが、謹んでご辞退申し上げます。**励まして下さった皆様方、ありがとうございました。心から。**

2006年03月08日

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前段に続き

前の会社にいた時の話。日本に出張していた時に、予定外に京都の実家に帰ったことがあった。本当はその段階で京都の実家にいるというのはちょっとまずかった。（少なくとも私はそう思ってた）でも、その時にどうしても、当時の同僚だったはるさんとひろみさんに至急知らせないといけないことがあってメールしなければいけない状況になって、慌てた私は実につまらない小細工をしてしまった。仕事とは直接関係ない話だったし、成り行き上「私が実家のおとっつぁんに頼み、私の伝言の形で代わりにメールを出してもらった」形…をとった。（ちょこざいな）それから2～3ヶ月くらいしたある日、はるさんとひろみさんと3人の時に急に言われた。ひ　「そういえば、あの時のあのメールって、ちゃとさんが自分で書いたでしょ？」ち　「え”え”－っ？」は　「わかりますよ、そんなの」ひ　「実家にいるの、知られたくないんだなって思ったから黙ってた。別にいいのに」は　「そうそう。あのメールは誰が見てもちゃとさん。お父さんが書いたなんて思えない」ち　「い、いや親子だから書き方も似るとかって思わなかったわけ」は　「思いませんて」ち　「なんでわかるの？」は＆ひ「バレバレですってば。毎日ちゃとさんが書くもの読んでれば」今でも私は、アレがどこで私だとバレたのかわからない。文章というのはそういうものなのか。

2006年02月22日

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発見したからといって別にどうってことない発見

フィギュアスケートの試合をテレビで最後に見たのはいつ頃だろう。眠い目をこすりつつ、こっくりこっくりしながら女子フィギュアの日本３選手の出待ちをしていた日本の皆様、ごめんなさい。私は夜の9時頃からテレビの前でコーヒーを飲みながら余裕かましてその時を待っていた。これまで、日本国内での熱い盛り上がりを遠くで感じるしかなかった日本の3選手の大活躍を何年かぶりに見ることができて大満足。安藤くん、よくがんばったぞ！荒川くん、素晴らしく美しい演技だった！村主くん、今回の3人のうちの最長キャリアが形で現れたね！テレビの前で思わず拍手。胸が熱くなった。さて、そして相変わらず盛り上がらない日記を書くのだ。こうして、ほぼ毎日気楽なことを書いているうちに3年近く経ってしまったのだが、その間には1）楽天から去って行った人2）その人は楽天に残ってはいるが私がサイナラしてしまった人3）サイナラしてはいないが、なんとなく以前とは何かが変わってしまった気がして前ほどにはお邪魔しなくなった人4）途中からなぜか足を止めて下さるようになった人などなど･･･こういうバーチャルで偏った世界の中にも「行く人来る人」というものははっきり存在しているものだ。その中でも1）は仕方がない。楽天以外のところで新たにブログを開設された人も少なくなく、それでも結構な長期間、行き来させてもらっている人もいる。但し、楽天以外を本拠にされていると、楽天の横並びの皆さんの日記よりも動向が少しわかりにくくなるし、そちらのホームグラウンドのメンテもあることから、少し訪問頻度が下がってしまうのはある程度は仕方がないとは思うが、おもしろいモノはおもしろい。（当たり前だ）4）は私にとってはボーナス。誰に頼まれもせずに勝手なことを、ほいほい書いているだけのこんな日記に目を留めて下さるそのこと自体がありがたい。できるだけ、こういう新しいお立ち寄りの方々のところも公平に立ち寄りたいが、だんだん絶対数が増えてくると同時に時間の比率が小さくなってしまうので、申し訳なく思うことも多い。で、いろいろ考えるのは2）と3）だ。2）について。基本的には毎日、自分勝手で独善的なことだけを書きたいし、中身については他人様に迎合はしたくないと思っているから、キライな人やモノをついキライと書いてしまう。（すみません･･･気に障る時は是非スルーして下さい。お叱りも甘んじて受けますが私の気持ちは変わりません）但し、わざわざこんな日記を律儀に読みに来て下さって、その上レスまでつけて頂こうものなら、そういう皆様のご厚意は大変ありがたいし（文字通り「有り」＋「難い」と思っている）ちゃんとマジメにレスもお返ししようと思う。しかし、そういう中で過去に一度、こういう場所でのマナーを完璧に踏み外して調子コイてるヤツがかつていた。こういう場所だけで接点を残すのでさえも恥だと思うほどだったので、ぱしっと三下り半を叩きつけて終わった。3）は微妙だ。この「前とちょっと変わった？」という印象というのは、こちらだけが持つものでもなくて、あちらもそう思うことがあるだろう。とにかく、もともと人間の考え方はそれぞれだし、どこか一箇所で強烈な接点があっても、それ以外の大半の興味や考え方は違っていて当たり前。でも、一度お互いにわかり合ってしまえば、毎日お互いにのぞきに行かなくても大丈夫。しばらくレスしなくても、そのこと自体がもう相手を遠ざける理由にはならない。一方的に胡坐をかいていてもいけないと思うが、相手はわかってくれているはずという安心感ができる関係もちゃんとある。だいたい、毎日お越し下さる皆様の毎日の日記のすべての内容にぜーんぶ反応してレスをつけさせてもらって、というようなことは物理的にムリ。こういう場合はいいのだが、そううまくばかりもいかないケースもある。共通・共感していると思っていた部分にズレが生じ、月日が経つごとにそれがかなり乖離したものになってしまい、気づいた時には足が遠のいてしまっていたということも、結果的にはあり得る話だ。そんなことを考えていた昨今、ちょっとヘンなことに気がついた。一旦気がつくと、これまでまったく気にならなかったそのことに異様に執着してしまうってこと、ありません？あーあ、これを書くのにはちょっと勇気が要るんだけどなぁ･･･書いちゃえ。上で分類した2)と3)･･･いわゆる「うーん」というカテゴリーにはいる人の日記であったり、違う場所で読む掲示板での「ヘンな人」の文章には、なぜか句読点の読点がやたら多いことに最近気づいてしまったのだ。いわゆる「、」ね。これまでに心に思い浮かぶだけで、過去にすでに数人こういう人がいた。文字数で言えば6～7文字くらいごとに「、」をつけないとおさまらない性分が見えるような文章。そういうことに一回気づくと気になってしゃーない。それは私がたまたま見た文章だけがそれっぽかったものもあれば、長期的にそれがやっぱり続いている人もあったのだが、読点で区切られた部分部分ごとに何かを一つずつ正当化しようと思っているような文章に見えたのだ。一見、なんだか強気に見せていながら実際にはそこここに見え隠れする弱さがにじみ出ているような気がした。そして、弱さが見え隠れするわりに内容はシツコく、頑なだったりする。そこまでムリしてがんばらなくたっていいのにと思うような内容が「小学生やないんやから、普通はそこでもここでも読点は打たんやろ～」という頻度の読点でばしばし区切られているのを見ると、すんごい肩に力はいってるなぁと思えてくる。だから何？と言われても困る。これは私が自分で目にしたネット上の意見交換の場で感じたそれだけのことだからだ。･･･あら、私も、読点、多い、かしら？

2006年02月22日

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言葉メモ（追記あり）

えー、どうでもいいとお思いとお考えの方もあるでしょうが、自分の覚書のために、この一つ前の日記でワタクシがなんの気なしに使った慣用句。「袖摺り合うも他生の縁」日記をUpしてからコレでいいのかなとも思い、その後、皆さんからお寄せ頂いたコメントを見ていても自信がなくなっちゃったので（爆）もう一回、調べてみました。うかうかと誤用していたらば恥ずかしいと思いつつ。結果的に、誤用とされる誤用ではなかったけれども（ほっ）これがまるまる正しかったのでもありませんでした。（なんじゃそりゃ）正しくは「袖振り合う（または触り合う）も多生の縁」だったので、今後はきちっとこちらを使おうと思います。多生･･･〔誤って「他生の縁」とも書く〕多くの生を経る間に結ばれた因縁(いんねん)。前世からの縁。（大辞林より引用）大辞林の中で、わざわざ解説の中で誤って「他生の縁」とも書くなどと、なぜかこの誤用も織り込み済みのスタンスで但し書きされているところがなんとも興味深い。従って、この慣用句の本意は「見知らぬ人と袖が触れ合う程度の些細なことも（または振り合うような間柄も）前世からの因縁に依るものである。どんな小さな事、ちょっとした人との交渉も、全て深い宿縁に基づくものである。」というのが本来の意味。ちなみに「多少の縁」は完全に間違い。なんとなく「大なり小なり、縁があるのね」という感覚だと「多少の」も成り立つような気もするが、たぶん大辞林もこれは認めてくれないでしょうな。（笑）**追記**「摺り合う」も間違いでもないのだそうです。よくわからん。

2006年02月10日

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スキマの人ニュース

きっと、この2～3日の間、こういう日記に登場しているパブリック知名度のある人でいちばん多いのはホリエモンだろう。しかし、私には彼について感想を書けるだけの材料がない。こういう話題の人のことは皆さんにお任せしておこう。今週は長い日記を書いて喜んでいる時間がないので困ったなと思っていたら、パブリック・プチ知名度がある人のネタを見つけてしまった。たぶん今日、ここの日記でこの人のネタを書いている人ってあんまりいないんじゃないだろうか。この人です。そして読んだニュースがコレ。（注．申し訳ございませんが、お好きな方はここから先はお読みにならないほうがよろしいでしょう）昔からキライだった。「ボクってなんてカッコいいの」系ナルシシスト。あ～、もうダメ。ここで写真すら載せることはできない。中には「音楽がいいから」と思っている人もいるだろうが、あの声がまたキライ。（爆）音楽がいいとか悪いとかの判断以前の問題なのだ。そんな判断がつくまで聴いていられないくらい生理的嫌悪感のスイッチ押しまくり。さて、その彼が結婚したという記事で私は今日もだえ苦しんだ。彼のHP上に出たというコメントで私はぶっ飛んだのだ。以下、ちょこっとだけ抜粋。恋多き男なんて言われて来たけど…（笑）　　　＞私の周りの男性で「恋多き男なんて言われて来たけど」なんていけしゃあしゃあとしゃらくさい台詞を吐くヤツは一人も見たことがない。（そりゃ、ちゃとの友達やから、という別な理由が考えられるからではあるが）そんな言葉を吐いた日にゃあ「またまたぁ、人を笑わそうとして」とシャレ扱いでスルーされるのがオチだ。恥ずかしげもなく、よくこんな台詞が言えるなー。別な意味で感心するぜ。みんなは、凄くこの事で驚くだろうけど　　　＞今日、日本でいったい何人の人が驚いたかに大変興味がある。また、どういう意味で驚くかは千差万別だが、日本の芸能界・浦島花子状態の私の場合は「おおっ、こんなん、まだいたんかいっ？」という意味でだけ、たしーかに驚かせて頂きました。僕の24時間のほんの一部を彼女に分けてあげて欲しいです。　　　＞さぁて、本日のハイライト。この部分の理解には日本の国語教育を超越した解釈が必要だ。つまりですね、まずは「僕の24時間」ですよね。「僕の24時間のほんの一部を」･･･という言葉の主体は「僕」であって、その「僕」が24時間をどうこうする、という話になっていくんですよね。そのはずですよね、普通は。その「僕の24時間のほんの一部を」これからは「彼女に分けてあげて生きていきたい」っちうようなクッサい落としで落とすんかと思いきや、おっとどっこい、つまづいたっ。「分けてあげて欲しいです」って・・・なんでそこで動作の主体が突然第三者にスライドするねん？あのー、ここ、まったくの意味不明なんですけど。誰か私にわかるように説明して下さい。ちなみに、こんな文脈の言葉をうちの弟に聞かせたら寝言は寝て言えとはっきり言われます。ステージではもちろん自分の人生は音楽と、それを愛してくれるみんなの為に…　　　＞ファンの皆さんも大変ですね･･･そして、自分の為に、今以上に輝いて行ける場所に出来るように頑張っていきます。！　　　＞ちょーっと待ったあぁっ！「今以上に輝いて行ける」のくだりは百歩譲って許しましょう。「今以上に輝いて行けるよう、これからもがんばります」ならわかる。しかし、ここでの係り受けもまた強烈。「今以上に輝いて行ける場所に出来るように」っていつから場所の話になったんやー？よく芸能人が自分の結婚についてHPで発表したという文面を見る。その中でほぉ～というようなものはほとんど見たことがないが、逆に言えば、当たり障りも引っかかりもない分、直球勝負の文面になっているとも言える。しかし、今回のこの人の文面の説得力のなさ、文脈の大暴投加減には腰を抜かした。ああ、やっぱりどう考えても好きになれん。ま、せいぜい幸せにやってくんなっ。

2006年01月25日

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追随・日本語テスト（笑）

いつも洒脱で笑わせてもらいながら頭脳明晰な日記のなぎなぎさんちと、私なんかよりはるかに若いのに博識かつまっとうな意識と向上心が文章に表れている桑輝さんちの両方で同じ日に日本語テストのことが書かれていた。悠々さんに「ちゃとさんは目ぇつりあげてやるでぇ」などと揶揄されてしまったが（悠々さん、人の性格をよくご存知で。笑）当然、やってみた。ぐすん･･･最後のヤツを間違ってしまい、満点は取れませんでした。しかし、点数もさることながら、こうしてテスト形式で「はい、どっち（どれ）でしょう？」と目の前に選択肢がばーっと出てくると、知っていたはずの言い回しにも迷いが出てくる。いかにいい加減に、それこそうろ覚えに覚えていたかという不実さをつきつけられたような気になる。いい機会だったので、他にもこういうテストがないか調べてみたら、ありました。テレビで放送されたようなので、実際にその番組を見た人もあると思うが、プリントアウトして自分でテストできるようになっていた日本語チャンピオン'05決定戦えらく仰々しい名前だが、前述したATOKのテストが30問は100点満点だから、問題によって配点が少々違っていたらしい。このチャンピオンのほうは実に100問の設問で、1問1点で採点すればいいらしい。で、今度はこれを2組プリントアウトして、クマイチと私でやってみた。うーん･･･大変だ。とりあえず、後で解答を見て答え合わせする時の助けのために、自分が書いた答の横に、あまり自信がないものには別に印をつけながらやってみた。特に自信がないものは後で見直した。ATOKの30問のほうは後で確認もしないでぱっぱっと答を入れて終わり、にしたがこっちの100問のほうはちょっと真剣にやった。クマイチと一緒にやり始め、まあ私のほうが答えるのは速い分、クマイチが終わるまでの時間にもう一度、不安なところを確認し、実際に選び直した答もあった。答を全部記入してから、解答用紙と突き合わせ、単に1か2かではなくて問題と解答を再検証しながら採点。結構厳しいなぁという問題も多かったので75いけたらいいほうだと思っていたら85。欲を言えば90は取りたいところだったが、微妙にどちらも合っていそうな選択肢のものが多くてこれがせいいっぱい。間違ったものをさっき全部、辞書で調べてみた。すると選択肢2つの中で、どちらでもOKというものが2問あったのと、1問はどう考えても設問の文章が悪いというものが1問あったので、あと2点は頂いてもいいのではないかという感じだ。別に誰に対して宣伝するためにこんなことに執着しているわけでもなく、ただ自分自身の密かな矜持のため以外の何物でもないが、やっぱり大多数の人が勘違いしている言葉を自分も正しいと思い込んで遣いたくはないと思っている。こういうサイトで時々、意識を覚醒してもらって日本語のメンテナンスができる機会を自分でも見つけていかなきゃね。

2006年01月18日

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昨日の補足・ミニ英語講座（？）

えー、昨日の補足の日記。アホな返事を書いてきたやつを名指しで、ヘルプデスクの返信先につっこんだ。こういうヘルプデスクのメールアドレスは共用というのかグループアドレスというのか、たいていはそのセクションのみんなに見えて対処できるようになっているが、返事を出した人間は自分のPCから書いているから、返事を出す時にBCCにそのヘルプデスクのアドレスを入れてわざわざ同僚に見えるようにしておかない限りは、自分が出したものの記録は自分のところでしか見られない。なので、こっちからの応酬分の宛先にそのアホたれの名前を入れて出してやったら、違う人物から「お申し越しの件は関係部署に引継ぎました」と書かれ「今般の不手際をお詫び致します」と書いてきた。よしよし。どうせ、これ以上の回答は来ると思ってはいない。（これがイギリスだから）ともかくこっちの苦情とまったく筋違いな主旨で「アンタが受け取ったメールは自動返信メールなのよー（だからこっちに責任ないしぃ）」みたいなヤツは最初から出てくるべきではなかった。こんな日記が勢い多いことに自覚はあるが、私は決してクレーマーではない。それが証拠に、というのもおかしいが、この間日本から帰ってくる時のA社の乗務員の対応は非常によかったので、家に帰ってすぐにウェブサイトの専用欄から「お褒めメール」を送っておいた。同じA社が6月にはすかたんをやらかしたため、つっこんだ苦情の手紙の返事にまたすっとこどっこいな部分があったので「その言い分はおかしいやないか」とまた返事を書くという抵抗・不服従の精神を見せたが、それに対するA社の対応はきちっとしたものだったし、ロンドンの自宅までEMSで回答期日に間に合う返事が来たことで気が済んだ。基本的に、苦情というのはポイントをはっきりして出す必要があるし、それを出された以上、答えるほうは苦情のポイントごとに回答する姿勢は見せなければいけない。私も、これでも日常的に苦情にさらされる立場にあるわけで、相手の言い分がもっともであればお詫びも弁償もしなければいけないことは十分わかっているつもりだし、相手が筋違いに攻撃してきた場合は絶対に折れたりしない。ちょっと話が跳んだが、今回の復路の乗務員はみんななかなか押し付けがましくなく、いいタイミングでちょっとした気遣いを見せてくれていたところが気に入ったので「お褒めメール」を出したのだ。きちっとすべき仕事をしている人を見たら、それを評価する人があって然るべきで、なんでも当たり前と思って放っておいてはいけない。こんな定型の「お褒めメール」欄にもちゃんとA社は返事をくれたし、こっちもまあせいぜいこれからも利用したいという意を新たにしたのであった。さて、ここで少し話の焦点をシフトさせるが、昨日の日記のレスで悠々さんから「アングロサクソンと日本人は違うのか」と言う投げかけがあった。悠々さんは「物事の緻密さにおいて」と限定されていたが、残念ながらその視点ではないが他の部分で考えたことを書いてみたい。例えば、してはいけないと言われたことをしてしまった子供は、親に叱られたらなんと答えるか？「ごめんなさーい。もうしませーん。」日本語なら90%はそう言うだろう。この時の「もうしません」の主体は自分である。しかし、同じようなシチュエーションでよく聞く英語の表現は絶対に「It won’t happen again」である。この直訳は「そんなことは（そんな失敗は）もう二度と起こりません」つまり、その表現の主体は起こったこと（失敗）であって、どこまでいっても自分ではない。つらつら考えていると、日本語の「もうしません」的に「I won’t do that ever again」などと言っている英語のネイティヴスピーカーにはまだ会ったことがないことに思い当たる。もしもどこかで「I won’t do that ever again」なんていう英語が聴こえたら、それはまず日本人が言っていると思って間違いないのではないか、というくらい「もうしません」は日本的な表現だということに気づいてきた。それともう一つ。例えばどこかの会社に電話してSさんを呼び出すと、Sさんは2時間ほど営業で不在にしていると言われたとしよう。代わって応対しているTさんが「ご伝言をうかがいましょうか？」と言ってくれるのが普通のシナリオのように思う。この時、英語だともちろん「Shall I take a message?」…「ご伝言をうかがいましょうか？」とほぼ同等の表現があり、これ自体もよく遣う。しかし、実際には「Would you like me to take a message?」という表現のほうがもっとよく遣われている。「Would you like me toナニナニ？」という言い回しの直訳は「私にナニナニしてほしいですか？」である。「私に伝言を聞いておいてほしいですか？」なんて日本語で言ったら、どんな相手でも「なんや、その言い方は」と怒るに違いない。この表現、さっきの「It won’t happen again」の話とは少し趣きは違うが「私にナニナニしてほしいですか？」→「Yes」と答えた場合、その後で何か揉めると「私にナニナニしてくれって言ったからやってあげたんじゃないの」という議論にもつれ込みそうな気がしてしょうがないのだが、どうだろう。これが、最初の「ご伝言をうかがっておきましょうか？」だと、いかにも気を利かせて、できることをオファーしているようなニュアンスがあるのだが「私に伝言を聞いておいてほしい？」と言われると、後で何か揉めた時に「私にそうしてくれって言ったのはあなたじゃないの？」とイギリス人が逆切れしそうな感じすらある。しかしながら、実際の英語の表現としては、この言い方には失礼な感覚とか恩に着せる感覚があるわけではなく、毎日1時間に数回は耳にするごく普通の表現の位置づけであり、目くじらを立てる人は一人もいない。但し、日本語話者からすると、感覚的にちょっとびっくりしてしまったり抵抗を感じてしまったりしそうな言葉の組み立てのように私には思えるのだ。この2つの表現をよくよく見ていると、この2つの共通点として責任意識の欠落を感じるのは私だけだろうか。これから自分は二度とそんな失敗はしません、と、自分を主体として断言する代わりに「It won’t happen again」「もうそんなことは二度と起こらないから（起こさない、ではなくて起こらない）」と言う言い回し。「Would you like me toナニナニ？」で「あなたがそうしてって言ったから私はやったのよ」みたいに、後々の責任を回避できる逃げ道を確保しているようにもとれる語法。これが、英語話者と日本語話者の責任感の概念の違いなのかなとこの間からしばらく考えていたのだ。上の2つの表現を責任回避を意識して遣っている英語話者は誰もいないはずだが、言葉の奥底深くには、ひょっとしてやっぱりサブリミナルな責任回避心理があるのだろうかと若干皮肉っぽい見方をしてしまう。最後に、必ず使える表現を一つ。キーワードはFault。＊電車が遅れて会社に遅刻した時、同僚は必ず優しくこう言ってくれる「Don’t worry. It’s not your fault.」＊電車が遅れているので、駅員に詰め寄った時、相手は声高にこう言う。「It’s not my fault.」うーん、やっぱり責任意識が薄いんだな、こりゃ。

2005年12月16日

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原文

nekomushiさんからのコメントで、確かに原文掲載もおもしろいと思ったので、怒りメールのやり取りの原文を出しておきます。別にこんなもの、わからなくてもよろしいので、遠慮なくスルーして下さい。（爆）最初の苦情This is my complaint about recent conversation took place at 09:00.Last Friday, I got your letter to inform me that my applied credit card detail for below order was invalid.Therefore I kept trying to get hold of any operators to give my new credit card detail over the weekend only to hear endless recording message to wait or call some other time.I somehow understand that there should be high call volume this season and I am not blaming much of this itself.However, when I eventually reached one of your operator this morning, she said there was no record about my ordered item at all.Despite I received below e-mail as our mutual record of item order, how dare you tell me you don't have any record of my order whilst you requested me for my card detail???The reason I had to give you my old card detail was that new card validity would start only from December and I placed the order well within November.If only you were to process the order at the right timing, I wouldn't have been bothered by trying your number so many times.Don't you have any reasonable procedure to keep these pending items record by some limit date to wait for customer's contact?Why do we customers have not only to give my credit card detail but also my order detail from scratch where you had sent me this confirmation e-mail?I was extremely disappointed with your way of business, if I can call it a business.It would be useless how many times you have sent customers discountadvertisement a number of times if you operate these orders with this low quality customers maintenance.Regards,相手の返信Thank you for your email.After reading your comments, we were concerned to hear that you have not beensatisfied with the level of service you have received from us.May we advise that order confirmations sent by email are an automatic emailthat is not recorded on your account. Therefore, the operator would not havethe details of the item ordered.Kind regards反撃Thanks for your reply anyway.I still believe your company has to reconstruct the way of order processing.1) Regarding below "automatic e-mail" so to speak, if that order detail is not recorded at your end, the term "confirmation" is what you cannot call "confirmation" at all.And also in this e-mail, "automatically" includes the expression "your order is now being processed."What does it exactly mean by that, then?Would you really think it appropriate to say so where there is no record?If the order details are not recorded even after this e-mail has been sent, then pleasechange this e-mail title from "confirmation" to just a "note of request" or similar one. Rather than putting confusing remark at the bottom of the e-mail, saying "this e-mail represents only an acknowledgement of your order rather than confirmation", it would have been far more understandable for every customer. 2) The fact that I was requested to let you know of my credit card detail was only derived from the fact your company recognized my order action, I figured out.In the letter I received, it was stated "to allow us to process your order withoutfurther delay."In case that you don't keep any of the order record when invalid/incomplete creditcard detail given, please note clearly that that order record is not taken at all and that we should place the order from scratch.I have placed the order from time to time with your company and generaly I was satisfied with the quality of the items.However, your reply today just lectured me the idea of your automatic e-mail,no signs of helping or suggesting further solution or anything at all. Regards,

2005年12月15日

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ハッタリの限界

うげ～～～（←一週間が終わった安堵とストレスの叫び声）終わったぞ、今週も。しかし、やはりと言うべきか、案に相違してと言うべきか、結局平和な金曜にはならなかった。出勤後30分で起こった大きな案件を一人で抱え込む始末になって（後2人の社員はそれぞれまたアホな客に振り回される羽目になっていたので）今日も今日とて定時には帰れず。現地のお客と日本の旅行会社との間で電話しまくりで、電話はもう見るのもいやっちゅうめに遭ったが、なんとか今日できるところまで形をつけてようやく帰宅できるところまで漕ぎつけた。実は昨日、会社の中で突然「オゲンキデスカー？」と、昔の井上陽水のCMみたいに誰かから声をかけられ、えっと思ったら最近はいってきたばかりのイタリア人の女の子だった。日本語であっても突然声をかけられるとびっくりするが、彼女が衒いもなく自己紹介してきたので私も「ちゃとデース」と言うと、彼女はつい最近ローマからイギリスに引っ越してきて会社にはいったと問わず語りを始める。「これでも日本人と一緒によく仕事してたのよー」と彼女が言い出し、そうなのかと思っていると「イタリアの●●（日系の旅行会社）で仕事してたんだけど、その後は××に移ってさ、それから今のここの会社から呼ばれてやってきたのよ」と言われてびっくり。彼女がいた2つめの××というのは、私が今年の1月までいた会社のイタリアの支部だったのだ。仕事の内容を聞いていると、どうやら過去に電話で話したことがあったんじゃないかというセクションだった上に、私も最初は旅行畑だったからえらく共通点があるねと言って少し話し込む。前の職場ではイタリア人がいたので、時々、ちょ～カンタンなイタリア語で相手をしてもらうこともあったが、今の職場に移ってからは近くにイタリア人はいなかったので、仕事上の必要にも迫られて最近はフランス語だけに眼が向いていたが、彼女から「これからなんでも聞いてね」と言われ（そんなになんでも教えてもらっても覚えられないけど）イタリア語も全部忘れないうちになんとかしないと、という気持ちにさせられた。すると、今日になってイタリアのある場所にどうしても連絡を取らないといけなくなってきた。内容自体はごく簡単なことだが大緊急だった。普通はこういう件は、今の系列のイタリア支部に仲立ちをお願いするのだが、その時はイタリア支部に依頼を出して結果を待っているだけの余裕がどうしてもない。意を決してそこに自分で連絡してみた。代表電話の交換台が出たので、やぶれかぶれで「○○さんをお願いします。」とイタリア語で言ってみた。そこでは問題なく、相手先の○○さんの内線につなげてもらったのだが、そこからが問題だ。「アンタ、ダレ？」と言われたので「私は△△のちゃとと言いますが、お客さんの☆☆さんの件で」と言ってから困った。案の定、相手の○○さんは私の所属先の名前から、私が電話した意味をすぐ理解してくれたのはよかったのだが、逆にそれが簡単に理解してもらえたばっかりに、○○さんはどわぁ～っと突っ込んだ内容をイタリア語でまくしたてる。固まる私…「今、言ったこと、わかる？」と聞かれたので「ワッカリマセ～ン」と堂々としたイタリア語で答え、相手の説明を無視しきって知ってる単語の羅列で聞きたいことだけ強引に聞く作戦に出た。功を奏して相手の答の文章の中から知りたい答が無事に見つかった。それがわかったことにほっとして「○○さん、ありがとう。後でまたかけるから」と、感謝と安堵の気持ちを込めて言って電話を切った。隣りでみつこさんが「ちゃとさん、スゴイ…イタリア語できるなんて言わなかったじゃん。これからイタリア支部に頼まなくたっていいんじゃないの？」と驚いていたので「違う違う、ほとんどわかってないよ。知りたかったことだけわかっただけで全部なんかぜんぜんわかってないんだから」と、自分としては正直な部分を答えたのだが、みつこさんは勝手にこれでもうイタリア語しか通じないところの電話も私に頼めば大丈夫と完璧に思い違いをしてしまったようだ。こういう感じ方というのは大きな落とし穴なのだ。私は自分で自分のイタリア語の出来がどんなレベルか（爆）わかっているから、近くにイタリア人やイタリア語話者がいるところでは、電話でイタリア語なんか今日まで絶対話さなかった。あまりにもぐちゃぐちゃなので、聞かれるとこっぱずかしいからだ。あんな片言のイタリア語で勝手にスゴイとありがたい勘違いをしてくれるのは、そちらの方面にはあいにく縁がない人だけだ。ずーっと前に添乗していた時の話でも書いたが、ピンチの時に知っている単語だけを順番に振り回して、さも自信ありげにその場をしのぐというのは、こんな仕事最大のハッタリだ。知っている人が聞いたら抱腹絶倒しそうな単語を堂々と羅列するという行為は、それを知らない人からすると「おぉ～」という美しく壮大な誤解のスイッチを自動的に入れてしまう。そこで「いえ、ぜんぜんそんなにできていないんですよ」と正直に言うと、今度はそれが謙遜と取られ「いや～、素晴らしいっ」とプラス評価がまた勝手に加わる。（爆）だから、ソレ違うんだってば。しかし、こういうハッタリは当然、限界もすぐソコに見えている。せっかくダイエット中で食べ物のことを考えがちになるが、この際だから無我の境地に立って、フランス語とイタリア語で隙間を埋め込むように努力する秋にしたいものだ。

2005年10月08日

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まおさん日記にもらいネタ（笑）

タメの楽天友達、まおさんの日記はおもしろい。まだ一回しか実物にはお目にかかっていないが、彼女とは住むところも立場も違う身でありながら、頻繁に「そうそう、それそれっ！」と、文字通り膝を打ちたくなる話が出てくる。但し、食べるモノの話になるとちょー深くなってしまうので、食べるモノどころか門前払いを食わされてしまう時もある。ワイン・チーズネタの日は私など土俵にも上がらせてもらえない。しかし、昨日書いておられた言葉・発音の話。私がこんなとこでうだうだ説明しているより、現物を読んでもらったほうがおもしろいに決まっているので、どうぞさっさとそちらへ。（笑）この発音の話で思い出したことがあった。かつて、2年近く一緒に仕事をしたことがあるオランダ人でベルナデットという女性がいた。ベルナデットは20代でイギリスに来て、そのうちにイギリス人男性であるジミーと結婚し、私が一緒に働いていた時にはすでに、3つ違いの2人の女の子、リンリン・ランラン（爆）がいた。ベルナデットはオランダ語の他、英語はもちろん日本語まで相当よくできたので、イギリスに来たてで電話の英語がよく聞き取れずにおたおたしていた私をいつも助けてくれるハリキリママ。一般論ではオランダ人には語学の才があると言われており、もちろん個人差もあるだろうが、ベルナデットの英語には問題がない…ないはずだと私はそう思っていた。自分自身がまだ四苦八苦している時だったので、ベルナデットに「いいよね、日本語までできるんだもんね…」なんて愚痴っていたら、ベルナデットは意外なことを話してくれた。「イギリスに来てから、別に英語で困ったことなんか一度もないんだけど、実は私の英語がわからない人が身内に一人だけいるのよ。」驚いて「それ、誰？日本人？」とわけのわからないリアクションを返してしまう。ベルナデットは笑って「それ、ジミー（彼女のご主人）のお父さんなの」と言う。ジミーのお父さんって…と一瞬とまどう。ジミーがイギリス人なんだから、お父さんもイギリス人のはずで、ベルナデットの英語がわからないはずはない。ベルナデットから聞いた衝撃の話。ジミーのお父さんは、病気だか年齢のせいだかで耳が聴こえなくなってしまっている。お父さんは、いわゆる読唇術で相手の言葉を理解するので、お父さんに話しかける時は、ベルナデットもジミーもリンリン・ランランも、正面からできるだけ口を大きく開けて話すようにしているという。しかし、ベルナデットの話す口元がネイティヴの英語話者と違うことをお父さんは眼で感じ取ってしまっていて、他の誰もが耳で理解できるベルナデットの英語が、読唇術で日々の会話を理解しているお父さんにはわからないということであるらしい。それを聞いて私はひょえーと思った。「当然お父さんはジミーの話はわかるわけだよね、イギリス人だし親子だし。じゃ、孫であるリンリン・ランランが話す言葉はどうなの？」「それがね、やっぱりリンリン・ランランはイギリス人とオランダ人の子供であっても、生まれた時からイギリスで生活しているからか、お父さんはあの子たちの話はわかるのよ。ま、オランダ語も教えてるけどね。だから、もしも私が話してわからない時はジミーや子供たちが同じことをまたお父さんに繰り返すのよ。私しかいない時は、できるだけ繰り返すけど、どうしてもダメなら紙に書くのよ」と言ってベルナデットは苦笑していた。そのベルナデットから、私は一度、とてもほめてもらったことがあった。（自慢）ある時、会社で会議が行われ、その議事録が出たのだが、日系の会社だったこともあって議事録は日本語のものしか発行されなかった。しかし、その会議の日、同僚のイタリア人のシモーナが休暇中だったし、ベルナデットも出勤日ではなくて不参加だったのだ。会議の内容が結構深刻なものだったので、これは誰かが訳してあげないとシモーナもベルナデットも内容がわからなくて仕事に支障が出る。上司に頼んで「英語版を作ってシモーナやベルナデットに渡さないといけないんじゃないんですか？」と言ってみたが、その会議の内容をシモーナやベルナデットが聞けば必ず反発することを知っていたそのぼんくら上司は、「彼女たちが出てきたら説明するから」とその場を濁してしまった。くっそーと思った私は、頼まれもしないのにその議事録を家に持って帰って英訳し、次の日に出てきたベルナデットに「これ、昨日の議事録が日本語しかなかったから英訳したよ」と言って渡した。彼女はお礼を言ったが、その場では読まずにその日の仕事に突入して行った。それから3日ほど経って、忘れた頃に彼女が突然「あの議事録、訳したのはホントにちゃとなの？」と聞いてきた。「そうだけど、何かわからないとこ、あった？」と聞き返すと、ベルナデットは「あれ読んで内容にすんごく腹が立ってね、家に持って帰ってジミーにも見せたの。で、ジミーといろいろ話した後『これ、誰が書いたの？』って言うから『日本語でしか議事録がなかったらしいから、ちゃとっていう新人が私とシモーナ用に作ってくれたの』って答えたのね。そしたらジミーは『ふぅーん』って言って後2回くらい読んでから私に返して『そう言われたからネイティヴじゃないところを思わず探しちゃったけど、言われなかったらネイティヴが書いた議事録だと思いこんでたかもな。やっぱりガイジンが書いた英語ってどこか違和感が残るものだけど』って言ったのよ」当時はまだまだ、これからイギリスで普通に仕事がしていけるのだろうかと落ち込みまくっていたのだが、その時、ベルナデットから「だから絶対にあきらめちゃダメなのよ」と言われ、ひょっとしたらやっていけるかも知れないと、ちょっと上を向くことができた経験になった。あ、それからまおさんの日記ですがこの日記も私にはとてもおもしろかった。一人旅のこと、そして、他人と旅行に行くということは簡単なようで結構難しいということが、やはり添乗員の経験のあるまおさんの息遣いで書かれていて深く納得した。非常にオススメの日記。

2005年09月17日

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日本人の英語

このところ、語学ネタで引っ張っているので今日もコレで。（不精モノの典型）昨日のコメントで、いつも鋭いのに優しい桑輝さんが非常に興味のあることを書いて下さった。「日本人のための日本人向けの語学書」がいいと。皆さんそれぞれのコメントに納得しながらも、私は桑輝さんのこの意見に非常に深く取り込まれてしまったのである。普通、日本人同士の英語（他の外国語もそうだろうけれども）というのは、他の国の人の英語よりも絶対にわかりやすい。なぜか？言葉の出る発想の出口が似ていて、陥る文法的誤謬がほぼ同じで、ヘンな言い方をすれば、相手のガイジンがわからなくても（爆）日本人同士なら「アンタ、こう言いたいんでしょ？」とほぼ一発でわかる。去年の話になるが、今年の1月までいた会社の、私たちの課がなくなるということに決まった時、当時の上司だったドイツ人のゲオルグくんは人事課の担当者と私を同席させ、その時のスタッフ1人1人を個別に呼んで事情説明をしてくれた。ゲオルグくんと人事課の担当者は両方とも日本語がわからないので、当然、面談は英語になる。ゲオルグくんの総括説明と、人事課の担当者が書類を渡して事務的な説明がされた後、ゲオルグくんがそれぞれのスタッフに「何か今の時点で質問があれば聞くよ。即答できないことは後できちっとボクから直接か、ちゃと経由で回答するから」と誠実に言う。ただ、そうは言っても、衝撃的な展開の始まりを迎えたばかりのみんなは書類も読まずにその場ですぐには質問も出てはこない。その上、大半のスタッフは日本人だから、取り乱しもせず、口数も多くなく「本当に残念です。こんなふうになるとは思ってもみませんでした」とか「この仕事は、学生ビザしかなくて7年もアルバイトしかできなかった私がやっとビザが取れてフルタイムで就いた初めての仕事なので、このままキャリアを積みたかったんです」とか、一人ひとことの感想程度で個別面談が終わり、次の機会にもっと具体的な話に、という流れになっていた。ところが、だ。その個別面談で異彩を放った者、約1名。マリだ。マリは生粋の日本人でありながら、ご両親の仕事で海外を転々としてきた上に、学校を出てからもいわば「多国籍軍」といった職場を転戦してきた。彼女にとっては、私たちのチームにはいった時が初めての日本ワールド。なんとなくみんなが同じ方向を向いている時にも、一人だけ違う方向を見て何かに感じ入っているようなところがマリにはあり、そのとぼけ加減が面白いといえば面白かったが、一つずれるととんでもないところへ行ってしまう。そのマリが、ゲオルグくんの個別面談の最後に当たっていた。ゲオルグくんは2回の短いコーヒー休憩を取った他は休まず、15人以上もの面談で同じ説明を続けてきていたから、疲れているだろうと思ったが、彼はマリに対しても言うべきことを淡々と説明してしまってから「何か質問あるかな？」と言った。マリは大きく息を吐くと、大胆にも椅子の背もたれにぐーんと体重をかけたかと思うと、英語でこんなふうに話し始めた･･･日本語にするとこんな感じだ。「あのね、私ね、実はここの会社で定年まで勤めたいくらいなのよぉ。でね、私はね、ここに来るまでずーっと日本人ではない多国籍の人たちとの一緒の仕事が長かったし自信あるんだけど、もしも私がこの会社の中で他のセクション（他に日本人課はもちろんない）に転属したいって言ったら、私でも通用すると、アナタ思う？」私はびっくらこいてしまった。いや、彼女の質問自体は別に構わない。同じ会社の中でも私たちの課は特殊だったし、他の課にはイギリス人・フランス人・ドイツ人・スペイン人・オランダ人･･･いろいろいたが日本人はおらず、お客も多国籍の人たちだ。だからマリは、会社が「アンタは日本人課だったし」という色眼鏡で見ないか、でも自分では他の課でもやっていけると思うけど、という意見を率直にゲオルグくんに投げかけた。その答としては、別に他の課に日本人がはいってやっていくことは、メンタリティで負けなければ問題はない。しかし、私のびっくらの原因はそういうところにあったのではない。マリの英語が全然わからなかったのだ。（上に書いたマリの発言も、かなり後になってからムリしてこじつけて理解した部分もある）彼女の英語が流暢だから･･･ではなく日本人同士でもわからないくらいメッチャクチャだったのだ。一つずつの単語は耳に入っていたとは思う。が、それがぜんぜん文章にも何もなっていなかったことに私は慌てた。当時、私とマリとは席がいちばん離れていたので、彼女が普段あんなに意味不明な英語を話しているとは知らなかった。仕事の成果もそれなりに出していたので、彼女の英語自体にそこまで神経を遣っていなかったのは確かだった。私は焦り、ともかく耳全体に神経を集中させ、必要ならフォローしなければと思った。マリが回りくどく質問した内容に、ゲオルグくんがそこで「は？」と言ってしまえば、マリが「私、他の課でもやっていけます？」と聞いたことの答はそこで出てしまう。彼女があまりにも自信たっぷりなだけに、冷や汗をかいた。、どないフォローしたらええねん･･･と思っていると、ゲオルグくんは静かに答えた。「ボクもね、ドイツを20歳前に出てここに来た時は学校英語しか知らなくてね。だけど別にドイツ人課じゃなくて最初からずーっとイギリス人の課で仕事をしてきたんだ。だからキミも、転属の試験に普通に合格しさえすれば大丈夫だよ」ちょー無難な答のゲオルグ！でかした！！！いやー、それにしてもあの時は汗をかいた。イギリスに留学中で、まだ初級程度の日本人の人たちが話しているのを聞くと、なかなか話が前に進まなくて相手がわからないということはよくある。しかし、マリほどゆるがせのない自信を持って一見ペラペラみたいに、知らない人には見えるが、あれだけメチャクチャの英語でこれまで通してきたというのもすごい。ゲオルグくんから「なんだアイツは？」と言われても仕方のないところだったと思うが、さすがに彼はそれについては触れなかったために事なきを得た。結局は「意志あるところに道は通ず」ということなのだろうか。

2005年09月06日

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借りたCD

この間の日記で、秋のフランス語自習再開のことを書いた。ちょっと時間があった時に会社でそんな話をしていたら、同僚のゆみさんが「私も今、フランス語のCD聴いてるんです」とのこと。ゆみさんが説明してくれたところによると、そのCDは「ただ聴き流すため」だけのCDで、テキストもついていなければ単語の早見表もついていない。ほんまにそんなんでええんかいな、という気もしたが、人の持ち物にケチをつける気はないし、人によってやり方も違うからふんふんと話を聞いていたら、ゆみさんは「私、まだ1巻を聴いているところなので、ちゃとさん、ちょっと2巻めでも聴いてみます？」と言う。私は私で聴き残しているやつがいっぱいあるのだが、週末だということもあり、じゃあお言葉に甘えてと言って、その2巻というのをゆみさんから借りて帰って聴いてみた。ふーん･･･確かに工夫されていると言えばされている。Michel Thomasというおっさんが、自分以外に男性と女性2人を相手に、英語でいろいろ話をしながら、その話を「じゃ、これをフランス語で言ってみよう。『ワインを下さい』の『ワイン』は『du vin』で･･･」みたいな形で、次々、英語を少しずつフランス語で言い直し、参加している男女に「さあ、言ってごらん」と促すと、男女がそれぞれ詰まったり間違えたりしながら少しずつフランス語のセンテンスを組み立てていく･･･それを聞いたおっさんが「そうそう、うまくなったじゃないか」とか「発音はもう少し、こんな感じ」なんて言っている。なるほど。なんとなく、お茶の間語学講座がそのまま録音されたような形だから、聴き流していれば、それはそれで頭のどこかに音の記憶が残ってある時ふっとその表現を思い出せる、ということはあるかもだ。よく聴いていると気がついた。そのCDの中での指導の感じはだいたいわかるのだが、どうもこの先生役のMichel Thomasというおっさん、フランス人じゃない。名前からしてフランス人という気がしない。こっちとしては、どうせ聴くならやっぱりフランス人ネイティヴのものが聴きたいと思う。イギリス人ばっかりが出てくるフランス語の聴き流しCDというのがどうも眉唾的に思えてくる。そのMicheo Thomasっちゅうおっさんはいったい誰やねん？BBCの回し者か？そう思って調べ始めたら･･･失礼しました。ポーランド生まれのユダヤ人の系統で、今でこそアメリカの市民権を取ってアメリカに住んでいるが、筋金入りのおっさんだった。生まれ故郷であるポーランドから、子供の頃にドイツに渡ったが、ヒトラーが勢力を伸ばし始めた頃にフランスに逃れて勉学に励む。その頃にたった一度里帰りして家族に会ったのを最後に、その後、家族がすべてアウシュビッツで殺されたことを知ったという。それからもドイツ、フランス、オーストリアなどを拠点に生活しながらも、時に警察に逮捕され、労働キャンプにも送られ、脱走し･･･文字通りヨーロッパ中を逃げ回る生活の中で8ヶ国語を話すおっさん（その頃は若かったか）になったそうだ。結局、このおっさんは、多言語を習得するためのメソッドを確立し、ともかく「ノートはとらない、文法や単語を記憶しようとしない」という方法だけで50年言語教育をやってきたのだと言う。このおっさんの顧客には、有名人ではグレース・ケリー、アン・バンクロフト、ドナルド・サザーランド、、ウディ・アレン、メル・ギブソンなんかもいるのだそうだ。いやー、このおっさんがフランス人じゃないとわかったところで、一旦このCDを聴く気が失せてしまったが、その後でこのおっさんのことを何気なく調べて、その普通じゃない経歴を知ってから、もう一回このCDを真剣に聴いてもいいかなという気がしてきた。結局、教材の良し悪しもあるだろうけれども、やっぱり触発される何かがあるかどうかということも決して悪い決め手ではないように思う。もう一回、ゆみさんからの借り物のこのCDを明日マジメに聴いて、やれそうだったらこれも買ってみようかとちょっと思っているところだ。

2005年09月05日

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秋の自習再開

昨日もちらっと書いたのだが、やっとフランス語の自習を再々々々･･･（延々）開した。本当はコレ、今年の2月に電車通勤が始まった時に再開するつもりだったのに今頃･･･。なんでもズボラなたちで困る。しかし、遅過ぎても再開しないよりはマシ。他に叱咤激励してくれる人もいないので、自分で調子に乗せるしかしゃーない。昔から、ちまちまと自習するのが好きで、勝手にラジオを聴いたり、本やカセットを買ったりしてナニナニ語をやるのが趣味だ。あんなもの、習いに行くと、教室とか会議室とか閉鎖空間にはいると15分で夢の中にはいってしまう私にはもったいなくて元が取れない。その分、自習というのは楽なもので、やりたい時間にやりたいだけやればいい。「来年の3月までにマスターする」とか、突飛な目標がある人にはかえって苦しいかも知れないが、私のようにナニナニ語をやって、別にどーするという目標もないと切迫感がないのが困りモノではあるが、その代わり諦める必要もない。実家にいた頃、夜遅くラジオやカセットを聴いていると、うちのおかんはイイ顔をしなかった。「そんなんやって、何になるん？」というわけだ。おかんにしてみれば、いっぱしの嫁入り前の娘らしく、お茶・お花でもやっておいたほうが、せめて行儀くらいは身につくという考えが消えず、ヒマがあれば本を読んでいるような女はろくなことがない、という信念があった。おかんよ、それは当たっていたぞ。が、おかんがちょっとは娘を見直す時がやってきた。（爆）3年前に両親がロンドンに来た時に一緒に南イタリアに行った時のことだ。ナポリからずーっと車で南下し、カンパーニア・バジリカータ・カラブリアの3州にまたがって旅行した時、南から先にカラブリア・バジリカータを旅行中はほんっとに泊まった先もぜんぜん英語が通じない。道の看板もイタリア語のほかはなぜかドイツ語ばかり。旅行中サバイバル用イタリア語程度はそれまでも大丈夫だったけれども、こうも英語が通じないとこの先も大丈夫かなとは思ったが、人がよくて我慢強いのもこの地域。（笑）泊まったヴィラ形式の家族経営のホテルは、シーズンより少し前でうちの家族以外には客がいなかったこともあり、テラスでお茶を飲んでいてもすぐに寄ってきて観光地の話をしてくれるが、それも全部イタリア語。どうしようもないので、何度も聞き返しつつ、ふんふん聞いていると、これがまた結構わかる。この町の守護聖人はダレダレ（肝心のその名前を忘れた！）だとか、ここから2km先に海に降りる道を下っていくと海から浮かんでいる尖った岩が見えるが、それが犬歯に似ているからそう呼ばれているとか･･･。ああいう時に、こっちがああわかった！という表情が自然に出る時と、実はよくわからないけれども結構自信ありげにわかったフリして聞き流そうとする時って、相手にわかるのね。たいてい後者で「ホントにわかった？」と問い返されるのがいつも不思議だ。おかんは、私がその場しのぎでエエ加減に答えていると最初は思っていたようだが、その後、その街を散策していると、やっぱり聞いた通りの守護聖人の名前や街の由来が英語で書いてある看板があったり、海の道を下って行くと本当に犬歯のような尖った岩が海から突き出ていたりしたもので、初めて娘の趣味も実益につながるということを悟ったようだった。その後、おかんが移動中にぎっくり腰になり、現地で医者を呼んだ後、処方箋をもらって薬を買いに出たはいいが、相当な田舎に泊まっていたので、薬局がぜんぜん見当たらない。車を止めては人に聞き、というのを2回ほど繰り返して走っていたら、ちゃんと薬局も見つかって無事に薬も買って帰ってきた。クマイチは足の担当、私は口の担当ということで自然に役割も分かれるし、なかなか大ヒットのチームワークだったと思う。フランス語からイタリアの話になってしまった。フランス語もぜーんぜんわからないわけではないが、今のところはイタリア語の「なんとか旅行で困りません」レベル以下で、それをなんとかすることが前々から大きな課題になっているのを自分でよくわかっていて、多少焦り気味になっていた。フランスだとそれでも英語を話す人が多くて、向こうの人も私も、詰まるとどうしても安易に英語に切り替えてしまうことで自己嫌悪に陥っていた。ん～、よくない、これは絶対に。年いってくるとそれだけで記憶する脳細胞が弱って行く。その前になんとかしなければ･･･ということで先週からは、しばらく頓挫していたフランス語の文法の本のやり直し。語学の学習というと文法よりも会話中心に慣れたほうがいいという人は多いが、私はその方法よりも文法を見ているほうが合っているようだ。文法は数学の公式みたいで、単語だけ入れ替えれば計算できるのと同じ気がするので、文法を度外視して会話だけ聴くという方法に慣れられない。とは言っても、言語にはいろいろなルールがあるし、その上に例外もある。別にフランス人になるわけではないし（笑）誰が見たって日本人なんだから、不便を感じない程度に理解できれば上々というところだろう。でも、来週あたりからはCDも聴かないと。自習というのはこんな感じで気分が乗った時にぐーんと進めていいものだと勝手に思っている。

2005年09月02日

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某・相談用掲示板から

今日は小ウルサい（笑）日本語小姑になってしまおう。さて、これを書くのは特に楽天でおじゃましている日記の話ということではなくて、どちらかというと某・相談用掲示板からネタをもらっていることははっきり言っておこう。実は私は某・相談用掲示板の愛読者であり、週末にヒマな時間があるとちょこちょこ見に行ってしまって、世の中の皆さんがどんなことを悩んでいるんだろうと、ひたすらデバガメ気分満載でのぞかせてもらうわけだ。内容としては、おもしろいものあり、顔が見えないから言いっ放しで結構辛辣な回答あり、で、はっきり言えば、あそこでアドバイスを求めて役に立ったというのは料理のレシピ系とか「この歌、なんですか」系とかおもしろい本や映画のオススメくらいではないか。それ以外はもう大抵が人間関係。（爆）いちばん多いのは嫁姑関係（相方の実家の親族を含む）で、次が結婚そのものについての相談。結婚そのものについての相談は「この年までなかなか自分で納得できる相手に出会えず独身」「主人が浮気をしているので離婚検討中」「結婚して3年で会話がなくなった」等。それから恋愛関係。「結婚を考えて付き合ってきた彼氏がサラ金で借金しまくっていた」「別れた元カレへの未練が断ち切れない」「遠距離恋愛の思案のしどころ」そして友人・同僚・ご近所関係。「話しているといつも何かイヤな一言を言わずにいられない友達」「セクハラ系上司」「朝の7時から子供が勝手にウチに遊びに来てしまうのを監督していない近所の親」いやー、内容を書き出すとあまりにも多岐に渡ってしまい、毎日ネタも見つかるだろうが、所詮は人のネタだ。で、この際ネタの話は置いといて、そういう掲示板で書かれるトピックやレスの中で私がどうも個人的にかーなーりー気になる言葉や表現。（どっちにしてもつまらん日記ですいません）＊うるおぼえうるおぼえ、なんて言葉ありますか？要するに、はっきり自信を持って覚えている内容じゃなくて、確かコレじゃなかったか、というような話を出すのに「うろおぼえ」ということはありますが「うるおぼえ」は違うだろ？時々、どちらも正しい場合や、片方が他方から派生している場合もあるので辞書を調べた。やっぱり「うろおぼえ」が正しいじゃないか。「うるおぼえ」って書く人、周りの誰かから言われたことってないのかなぁ。＊ご教授下さいそれも言うなら「ご教示下さい」だろうが。確かに「教授する」には、大学教授なんていう使い方以外に「学問や技芸を教え授けること」という意味があるにはあるが、何かで知恵を貸してもらいたいという場合には「教授する」は違うぜ。言いたいことは漠然とわかるが、やっぱりいい大人がこういう言葉を間違っちゃいけないと思う。＊お知りの方これが最近ではいちばん笑える。「お知りの方がおられたら･･･」なんて、よく恥ずかしくもなく書けるな、と思う。それなら「知ってる方がおられたら」と書くほうがストレートではあるが、間違いないじゃないか。「お知りの方」という表現を見るたびに「お尻の方」を想像するのは私だけだろうか？＊○○なんですよ、という表現の後に「？」がついて、なぜか無理やり疑問化させられているもの。例えば「私は欲しいものがあると見境なくカードで買ってしまい、気がつくと毎月月収以上の買い物をしてしまうんです」というような悩みを20歳を過ぎた会社員が投稿したとしよう。すると、レスの中で「しっかりして下さい。それは自分で解決するしかないんですよ？」と書かれているのが非常によく目につく！「自分で解決するしかないんですよ」はいいが、なんでそこに疑問符が必要やねん･･･まあ確かに、そこには「自分で解決するしかないってこと、わかってますか？」という気持ち込みなのはわかるのだが、それならそのように書けばいいのに「ナニナニなんですよ」と、結構決めワザ的に言い切っているにも関わらず最後に疑問符をつけて文を閉めるなんて、こういう書き方ができる人って自分で気持ち悪くないのだろうか？この文章って、読んでいてとっても収まりが悪いんですよ？＊トビ主これ、見たことある人、多いでしょ。最初のトピックを立てた人に「トビ主さんのおっしゃる通りです」って書く人、なんでトビ主なの？トピ主という言葉自体も、こうしてインターネットで掲示板というものができてきたから出現してきた造語であるとしても、それはトピック（Topic）を立てた人のことだから、やっぱり一応はトピ主でしょうよ、それは。成り立ちがわからないから「ロムってる」なんていう言い方も書き方も私はしないが、トビ主って書く人のその根拠が聞いてみたい。ということで、まあこういうことを書くのを粗探しと思う人もいれば、イヤなら読まなければいいと思う人もいるだろうけれども、なんとなく書かずにいられなかったのだ。

2005年08月26日

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話・読・聞・書

ということで昨日は、セールスで電話してくる人をちょっと揉んでやるという話を書いたのだが、自分ではもともと電話がキライだという意識が離れない。なのに、電話主体の商売についていることは皮肉といえば皮肉なのだが、これは仕事だと思ってやればこんなものだろう。好きなこと…趣味に繋がるようなことを仕事にするより、本当は対極のことを仕事にするほうがいい。好きなことを仕事にしてしまうと、行き詰った時に自分を見失ってしまう。さて、私の日記ではほとんど絵柄が出てこない。壁紙もずーっとそのままだし、時々、写真を貼り替えることはあっても、基本的には全部借り物。日本の携帯のようにカメラがついている携帯は、イギリスではあくまでオプションであって必須の仕様ではないから、写真を撮ろうと思うとデジカメを持ち歩かなくてはいけない。そんなめんどくさいことはやってられない。で、どうするかというと、そんなふうにビジュアルがからきしダメな私はひたすら文字に頼るしかないわけだ。40歳まではインプットの時代と自分で称し、その後はアウトプットの練習などと考えてこうして日記を書いているのだが、ネタ切れだなぁと思う日もあるにはあるが、それなりに何か書いている。すると、書いたもののどこだかに反応して下さる皆様がおられて、一言二言でもコメントを下さると、特にゴマカシで何かを書いたような日は大変キマリ悪い。（笑）誠に申し訳ないと感じることも多いのだが、書いている時には考えもしなかったようなことを思い出させてくれる方もあれば、長々書き連ねたわりにまとまらないこちらの考えをばしっと一語で表して下さる方もある。タイトルにした「話・読・聞・書」というのは、私が言葉に対して、もっとも抵抗のない順番を表してみたものだ。私はうちの母親からも「アンタ、いったい誰に似たん」と時々呆れかえられてしまう詐欺師的・香具師的なところがあり（これは自分でもちょっとは認めてしまう）、個人的に誰かと会っても、仕事のプレゼンであっても、直前は億劫に感じたり緊張したり、見てくれ以上のプレッシャーを感じるにも関わらず、一旦ピストルが鳴って話し出すと、なんとなくいいように進めていいように終わらせることができる。わりあい、持って行きたい方向にレールを敷いて行けてしまう部分があるようで、特に相手を力づけたりするのが好きだ。人をほめるのも好きだ。同じ言葉なら、世の中にポジティヴな活力をもたらさなくてはいけないなどと、えらく哲学ぶって考えてみたりもする。結局のところ、人を言葉でまるめこむのが好きなのだろうと思うが、それを仕事に取り入れるのはあまり好きだとは自分で思っていない。自分ではそう思っていないのに、そこを買われるのは痛し痒しである。そして、字面を読むのも好きだ。できるだけ小さい字の本が好きで、文庫本でもスキスキの字間にスキスキの行間の本だと読みたくなくなる。それに、おもしろくない本は1ページくらいでやめてしまう。以前、断筆宣言した某人気作家の「言語姦覚」という本は本当におもしろくなくて、買ったのでさえ、えらく後悔した。人気ある作家であっても、自分がおもしろくなければ読まないし、だーれも読まない本でも自分がおもしろかったらそれでいい。ここ半年くらいでおもしろいなと思ったのは、自分ではやっぱり中島らもの「今夜　すべてのバーで」と宮部みゆきの「理由」だと思う。桐野夏生の「柔らかな頬」も、救いようのない人間のサガを描いた筆致には感銘を受けたが、もう一度読みたいかと言われると、どっちでもいいという気がする。人の話を聞くのもおもしろい。ただ、なんでもいいから自分と違う世界に突っ込んでいる人の話を「聴く」のがおもしろい。仕事に役に立つ話とか、勉強になる話というのは比較的おもしろくない。そんなのは仕事をしてたら当然知っていてアタリマエの話であって、それ以上でもそれ以下でもない。学校で勉強しかしてないと「勉強しかできない人」になる。会社で仕事しかしてないと「仕事しかできない人」になる。それよりも「他はなんでもできるけど仕事だけできない人」とか「めちゃくちゃ知恵があるように感じるのに勉強だけできない人」のほうが、本当は人間としてのサバイバル能力が備わっているのではないかと思う。だから「知らなくても大勢に影響のないこと」を知っている人の話は、かつかつで生きてない余裕を感じるのでおもしろいのだと思う。願わくば、70歳くらいになった時に自分もそういうババァでいたい気がする。そして書くこと。書くことはまあ好きだろうとは思う。私はタイプを打つのが非常に速いので、だいたい話すスピードの87%くらいで打っていると思う。本当は90%と書こうと思ったが、実はしゃべるのも速口だから、その分を3%くらい差し引いてみた。会社で集中して何かを一気にタイプしている最中に「ちゃとさん…そこまで横でがーっと打たれたら、聞こえてくるタイプの音が速過ぎて自分が打つのがイヤになってくるんですけど」と隣りの人から言われることが年に3～4回はある。しかし、タイプが速いと早く打ち終わるかと思いきや、限られた制限時間を思いっきり使ってしまう傾向があり、早く打ち終わるどころか、打つ文字数だけが多くなり、それが理由で日記が長くなる。もう少し短く簡潔にと自分で思わないでもないが、書き終わったと思うともうそれは読み返してまで短くするのがイヤで、そのままになってしまう。（笑）振り返るのがキライなたちなのかも知れない。まあ今日は別にネタがないわけではなかったのだが、あまりに仕事上で差し迫った内容になってしまい、どこで面割れするかわからないような話だったので、それはやっぱりやめておいて、当たり障りのない話になってしまった。明日は外泊のため、日記は休みます。では、おやすみなさい。

2005年05月11日

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辞書

皆さん、普段、辞書使ってます？国語辞典でも漢和辞典でも英和・和英…なんでもいいんですが。使っておられる方、それは昔からの「本」になってるヤツですか？それとも電子辞書？以前の会社ではチームに15人いた。まあ1人はデイヴだったし、あと2人の外国人（イギリスにいる日本人が、そこに住んでいる人を外国人呼ばわりするのもヘンな話だが）を除いた後の12人がみんな、仕事柄それぞれ辞書を使っていたのは知っていたのだが、その中で「本」でなくて電子辞書を使っていたのは10人。持っていなかったのは、なんと私とみつこさんだけだったのである。みつこさんは、電話でコミュニケーションする上では絶対に相手とちゃんと意思疎通ができる人ではあるのだが、ご主人もイギリス人でそれもアカデミックな人であるにも関わらず、彼女の英語はかなりブロークンだ。英語もブロークンである上に、日本語も相当ブロークンだ。（爆）まあ、電話での会話の場合は少々ブロークンでも一瞬で過ぎ去るし、彼女はブロークンな言葉でも、仕事のイメージがしっかり描けている人なので大筋で失敗することがないから私も眼をつぶっているのだが、大事な文章は英語・日本語ともにみつこさんに書いてもらうわけには行かない。（みつこさん、ごめんね。）彼女は辞書は使わないのではないかと密かに思っている。私は辞書はよく使うほうだろう。しかし、電子辞書は使ったことがなくて、今でも手元に置いているのは伝統的な「本」タイプのやつばかりだ。恥ずかしながら国語辞典は持ってきていなくてクマイチのものを借りているが、それ以外の英語の辞書は＊中学生の時に母方の伯母が、勤めていた会社で記念品としてもらったコンサイス英和辞典を譲り受けたもの＊中学生の時に何かの賞でもらった英和中辞典＊こっちに来てから買ったコンパクト版のオックスフォード英英（当然だが）辞典以上の3冊。ふと気がついて回りを見渡すと、自分が想像していた以上に電子辞書が浸透していることに気がつき、ある時、私も一つ買おうかなと思ったが、やめた。かつて、大昔に使っていた辞典を、ぼろぼろになっても愛用するのが一つの美徳と考えられていた時期は確かにあった気がするし、今の自分もその観念の持ち主の生き残りかもしれないとは思う。知りたい言葉一つの意味を知るだけなら、古い辞書でもいいのかも知れないが、やっぱり言葉というのは本当は明確なようであって曖昧なものなのだ。その言葉の周囲のイメージを少々探索してみて初めて、おぼろげにその言葉の本当の意味がわかるといったような。暗がりで対象物にいくら眼を凝らしても、意外にその対象物はよく見えず、少し焦点をそらすとかえって対象物が見えるのに似ているかもしれない。本当は、こんなに言葉自体が乱れたり変異したり、淘汰されたり、新しい情報がたちまち形になって言語化したりする時代だから、いつまでも30年近く前から持っている辞書の「タイムリーでない」例文に頼るよりも、電子辞書のほうが例文も現代により即しているのだろうとは思うが、私は電子辞書を買う決心が今日までつかないのはなぜかと考えてみた。電子辞書を買う決心の邪魔をしているのは、これこそ少々古くなってしまった言葉かもしれないが、きっと私の言語感覚の「ファジー性」ではないかと思ったのだ。「本」の形の辞書が手元にある時は、少々うろ覚えの単語でも、辞書をぱらぱらとめくっていくうちに「あー、これやこれ」と、探していた単語に行き当たる確率が高いのだ。しかし、電子辞書にもこういう「ファジー性」があるのかどうかが私にとっては大きな問題だ。少々間違った綴りを入れても「アレですか？」「それともコレかしら？」と、近そうな単語をどこまで出してくれるのかは疑問だし、かといってそこで電子辞書が電子辞書自体の判断でいくつか提示してくれたとしても、そこに探している単語が絶対にあるとは限らないのではないかと穿った見方もしてしまう。これは「本」の形の辞書と電子辞書の話だけではないかも知れない。インターネットで調べ物をする時に、できるだけ近いキーワードをいくつか入れてみて検索した結果、絶対にその情報はどこかにあるはずなのに、うまくひっかかってこないということは結構あるものだ。しかし、新聞だとか百科事典だとか活字で印刷されたもので、それも以前に「絶対に見た覚えがある」と確信している場合には特に「確か、ぱっと見開きを開けた右上のほうに出ていたはず」というような「外観のイメージ」というのが意外に検索のカギを握っている場合も多い。電子辞書やインターネットのように、ピンポイントでヒントを落とせば必ずヒットする調べ方の他に、もっと人間の意識下のメカニズムに訴えて何かを探すという場合には、絶対に活字で組まれたもののほうが上手く探せる、と私はいつもどこかで思い込んでしまっていると思うわけだ。私が仕事の時に使う辞書は「本」のものよりも、頻度としてはアルク社のウェブサイトのwww.alc.co.jpを使うことが多い。このアルク社のウェブサイトの和英双方向の単語サーチは、かなり難しい医学用語も網羅されているし、その他の言葉の例文も、時々かゆいところに手が届くようなものがあって驚くのだが、さっき書いたような「ファジー性」がまったくないのが欠点だ。もともと無料でここまでのサイトを誰でも使わせてもらえるのだから、これ以上の希望を出すほうが無理というものだが、単語の綴りを曖昧にしか覚えていなくて間違った綴りを1箇所でも入れようものなら「ありません」という結果で終わる。もちろん無料なのだから「アレですか？」「コレですか？」とは聞いてくれないし、知りたい派生語は出てこないことも多い。（でも、すんごく役に立つ）ともかく、絶対に避けたいと常々思うのは、日本語でも英語でも、知らない言葉をよく調べずに使ってしまって、後で大きな間違いに気づいて顔から火を出るほど恥ずかしい思いをすることだ。

2005年04月05日

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近所迷惑？

会社の中の同じフロアで、ちょっとした引越しがあった。うちの隣りにあった課と、うちのフロアでいちばん遠くにあった課が、お互いの場所を交換したのだ。もともと隣りにあった課は、いわばお客様相談室で、時々は法的手段に訴えるというようなお客からの電話もあるので、弁護士も常駐していたが、この課のスタッフは結構練れていて、多少のことには動じなさそうなおっちゃん・おばちゃんもいた。私はその人たちのすぐ横にいたので、おっちゃん・おばちゃんたちの他愛のない話や、がはは声がよく聞こえてきて、それはそれでうるさかった。そこに、他の課からうつってきたフォクシーレディ系のおばちゃんが1人加わり、私のいちばん近くの席に座った。どうもマジメに仕事する気はないようで、彼女がいないなと思っていると、休憩室からタバコの箱片手に戻ってくる姿を何度も見ていたし、そこにいたらいたで「おばちゃんとはこういう人種やで」という見本のようなしゃべり方・腹から出た声で地面を揺るがすような笑い方にヘキエキする日々だ。この新人（？）フォクシーおばちゃん、その仕事が初めてということで、お客から電話がはいったり、自分で疑問が浮かんだりするたびに、いつまで経っても先輩たちにぜーんぶ質問しまくり。ここの課もみんなおっとりしているのか（本心はイヤかも知れないが）いちいち丁寧に答えてあげていて驚く。すると、このフォクシーおばちゃんの口ぐせは「Thank you, dear」･･･これは、イギリス人で女性が使う。この場合、最後のDearには意味があるような、ないようなだが、相手に対して名前を呼ぶ代わりに親愛の情を表した呼びかけだ。これだけならいいのだが、このおばちゃんはコレ以外に「Thank you, love」をよく遣う。ラヴだ、ラヴ。これもDearと同じで副呼称のようなもので、特別に恋人や異性に遣うということではないが、モノを教えてくれた人にこのおばちゃんが誰彼なく「Love」と言っているのを聞くとぞっとする。なので、私は一度も話しかけたことも、モノを聞かれたこともなくて幸いだった。このおばちゃんが毎朝私の横を通って自分の席につく瞬間、空気がいきなり澱んでしまうのを何度も感じた。すると、ついこの間から、このフォクシーおばちゃんの代わりに、誰か若い女の子が座っていることに気づいた。うちのひろみさんに「おばちゃん、どうしたんやろ？」と聞いたら「ちゃとさん、知らないんですか？あの人ねぇ、産休にはいったんですよ」と言われた。そうか、あのフォクシーおばちゃんは妊娠してたのか･･･と愕然とした。時々すれ違う時にはいつも風が来るし、えらい大きな恰幅のある人やなぁとは思っていたが、もともと大きな人なんだと思っていたら、妊娠してたとは知らなかった。あのおばちゃんを孕ませた人がどんな人かを考えると、血圧が上がりそうになる。彼女が産休にはいって出勤してこなくなったおかげで、若干、環境が上向き加減になった今の時期に、そのお隣りさんが違う場所に引越し、違う課が隣りに移ってきたわけだ。移ってきた新しい課は、前の相談室の課よりも若干小さめなことは知っていた。きっとアットホームにこじんまり仕事しているのかな、と思っていたら、そうではなかったようで、ひっきりなしに電話に追われている。この課は、イギリスのある会社のカスタマーサービスをしているのだが、今日、私の横に座っているデイヴが突然、日本語で「ヒドスギマスヨ、アレハ！」と叫んだ。どうしたの？と私も日本語で言うと、彼は「トナリノアタラシイヒトタチノデンワハ、トテモシツレイデス」と言ったのだ。英語で言っているのを聞かれたくなさそうだったので、また日本語で「そう？でも、前のセクションだって、結構うるさかったよ」と言うと、デイヴは「コノヒトタチハ、デンワデハナシテイルコトモ、デンワヲキッテカライッテイルコトバモ、シツレイナンデスヨ」と憤慨している。私はやっぱり日本人だし、英語は外国語だから、自分が集中して何かをやっている時に、隣りで誰かが電話で話してるな、とかもめてるな、程度はわかっても、遣っている言葉は表現がどの程度、失礼か、丁寧か、なんてことは測れない。私自身に言われている言葉だったり、他にやっていることがなくて思わず耳がそっちに向いている間ならわかるだろうが、今月は人のことを構っていられないくらい忙しいので、内容もニュアンスも音声としては聞こえているが、思考回路を通過しないのでわからないのだ。イヤでもそれがわかる同国人同士というのもよしあしだな、と思っていると、近くに座っているひろみさんが私とデイヴの話を聞き「私もイヤだなぁと思ってたんですよ、ああいう言葉は聞いているのもイヤで」と言ったので驚いた。「ええーっ、ひろみさん、そんなの、よく仕事しながらわかるよね」と私が言ったら、デイヴが訳知り顔で「ソレハキット、ヒロミサンハイギリスジントケッコンシテイルカラデスヨ」と言った。デイヴはそう言ってからヤバいと思ったのか「ア、チャトサンノエイゴガモンダイガアルトイウコトデハナインデスヨ」と慌ててフォローし始めた。（笑）彼はもうちょっと科学的に説明をしたかったが、今度は彼が英語でないとその説明ができなさそうで、しかし、その内容が今度は隣りに聞こえてはいけないために、思案の結果、彼はいきなり無口になった。（爆）「いいよ、デイヴ。言いたいことはわかるよ」と私は笑いながら言った。「デイヴが出張とか休みとかだと、一日中、英語しゃべらない日が私にはあるもん。家では日本語だけだし、みんなとだって日本語で話すし、チームの中で私がいちばん英語遣わないからね。」この話が個人的には結構おもしろくて、家に帰ってからダンナに言ってみた。ダンナもイギリスでの生活は長いが、やっぱり私と同じらしい。自分が他のことをやっている時にどこかでイギリス人が何か話していても、よっぽどそこでその人がキレて大声になった等、耳にインパクトのあることでもない限り、右から左に流れて行くと言う。ダンナいわく「ボクも、イギリス人と生活を24時間ともにした経験もないからだけど、結局、外国語を話す人と24時間一緒の生活だと、民族に関わらず、普通は人前ではしないようなくだらない会話もするだろうし、ぶつぶつ独り言も言うし、そういうどっちでもいい相手の話まで耳にはいることが圧倒的に多くなるだろ。だから、今日、ちゃとが右から左に流した言葉をひろみさんが捕まえてたっていうことは、結局、違う言葉を常々生活の主体にするのとそうでないのとの違いだと思う。どっちでもいい話であっても勝手に耳にはいる度合いがぜんぜん違うんだよ。」だそうだ。勝手になんでも耳にはいるというのは、いいようで悪い部分もあり、失礼な言葉や言い方を自然に耳が捕まえると、余分に腹も立つというものだ。しかし、意識しないと理解できないということは、ぱっと見は不便なようでも、聞きたくない話や言葉にいちいち神経を尖らせなくて済む利点もある。だから、今日はデイヴは新しいお隣りさんにガマンできなくなり、私は何がどう失礼だったのか、自分の感情をまったく刺激されず、忙しくても平穏に仕事が続けられたのだ。それから、もう一つ。「意識しないと理解できないということにしておく」と、自分に都合の悪い話は聞いてなかったことにできるし、わからなかったり、間違えていたりしても「外国人なのよ、ゴメンね」で済ませられる場合もある。要は使い分け一つでボケたふりを通すこともできれば、実はボケていなくて大事なことは全部聞いていて、いいトコ取りすることもできる･･･とこういうことなのだ。

2004年10月15日

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なんでそこまで関西弁？

ここのところ、会社の中では上層部の中でいろいろとダークな密談が交わされている。本当だったら、私クラスでは聞こえてこなくて当たり前の話なのだが、実は、私なしでは生きていけないデイヴがひょんなことからその密談の内容を知った。彼は彼なりに私に恩義を感じているのか、イヤな話ではあるけれども私個人のために「絶対ナイショだ」と言って教えてくれた。詳しくは書けないが、結構イヤな話で、しかも重大だ。しかし、それを今あれこれ騒いだところで仕方がないから、私は黙っていることにした。人生、なるようにしかならないので、話題をもっとセコい方向に変えることにする。この間、エラそうに「私は関西弁と標準語がちゃんとスイッチできる」と書いたが、よく考えると、実はここに乗り越えられない壁もあることに気づく。この間、仕事のメールで、アメリカ支部の大崎さんが東京本部のある人に当てたメールで「ひつこいようですが」と書いていたのが、思わずツボにはまった。ひつこい･･･こう書くのはまぎれもなく関西人である証拠である。失礼も「ひつれい」と言ってしまう。（笑）大崎さんは大阪出身だから、仕事の話でもバカ話でも、私と電話で話す時は2人とも標準語スイッチを切り、関西弁で話す。とは言っても、「ひつこい」は「質屋＝しちや（標準語・正しい読み仮名）→ひっちゃ（ベタな関西弁）」と同じ変換（？）をたどっていることが私はわかっているし、さすがに私はメールや手紙で「ひつこい」と書いたことはない。そして、いくら口語上で標準語モードへの切り替えができても、絶対に乗り越えられない高い壁。私が標準語モードにはいっている時でも絶対に口から出てこない表現。「～たら、ありゃしない」こんな言葉は死んでも口からは出てきまへん。（笑）生粋の江戸っ子の人って、やっぱり今でも実際にこういう言い方をするのだろうか？それから、絶対に口から出てこない表現。「･･･でもって」この「で」はわかる。では、その後の「もって」って何？これはこの間、よっこさんがあるところへのレスで書いておられてびっくりした。私はこれまでよっこさんは「ひろーく分ければ同じエリアの人」と思っていただけに、よっこさんの「･･･でもって」にはひっくり返りそうになった。（爆）やっぱり、これはきっとよっこさんの言語的受容度が広いということなのかも知れず、そうすると私は結局、エセ標準語遣いだという結論になるだろう。ああ、それから、他にも絶対に口から出てこない言葉の中に「落っこちる」→落ちるでええがな、別に「しょっぱい」→関西人は「スパイシー」も「塩辛い」も「からい」で済ませる。話しているシチュエーションの中で、どちらの意味で遣っているのかはいちいち説明しなくても、関西人同士なら絶対わかると思う。なにごとも、状況判断が大切だ。ダンナは私の影響をもろに受けているわりには関西弁のマスターには程遠く、とんでもない関西弁もどきの言葉で私に話しかける。「今日な、グリーンパークの駅でAさんに会ったんね」･･･な、なんやねん、その関西弁風違和感弁は？しかも「会ったんね」の「あ」のイントネーションが異様に高い。（笑）それも言うなら「今日な、グリーンパークの駅でAさんにおうてん」となるし「て」のイントネーションがいちばん高くなるべきだと、いちいち注意するのだが、ダンナはいまだに「○○やねん」（状態を表す現在形）→「○○やってん」（その過去形）この違いがコントロールできず、すぐに「○○やったんね」と言う。こういう「なんちゃって関西弁」もしくは「ぱっちもん関西弁」はカユい。イタくはないが、相当カユくなる。同僚のひろみさんから私は「ちゃとさんって、案外アカンタレですよね」と言われる。日頃、横柄な態度のわりには怖がりだったり、必要以上に気弱だったりするので、本来の私の上司であるゲオルグくんとの週一のミーティングも未だに私の緊張の対象なのだ。本当は私は好きで英語を話しているわけではないし、ガイジンと親しくなりたいというような意識はだいたい前からない。（笑）なので、ゲオルグくんとの週一ミーティング日になると、ミーティングの30分くらい前からそわそわして、ひろみさんの肩越しに「いややわ～、ミーティング･･･1年経ってもゲオルグくんと話すのは苦手やねん」とつぶやいたら「ちゃとさん、ホンマにアカンタレ！」と昨日も言われた。ダンナに「ちゃとさん、アカンタレ」ってひろみさんにまた言われたーと、家に帰って言うと「アカンタレ･･･ってなに？」「つまりな、根性なし（発音はコンジョナシ）とか、気がアカンとか･･･」説明したが、本当はそうではなくてアカンタレはアカンタレとしか説明できないのだ。関西弁に限らないだろうが、そこの地域の一つのある言葉を違う言い方で説明しようとしても、ダメなのだ。どうしてももともとの言葉の持つインパクトとか、プラス感・マイナス感が、説明した瞬間に抜けきってしまう。こういう具合だから、私が結婚した時、うちのおかんはしみじみ「なぁ、あの子（ダンナね）が関西弁しゃべれたらええんやけど･･･ああいう東京のほうの言葉は間が合わんし、ようしゃべらんわ･･･」と言って嘆いていた。（私がイギリス人とでも結婚してたら、いったいどうなってたんや？）弟の嫁も違う地域の出身で関西弁話者ではないので、おかんは電話で話すたびに言葉が喉から出てこなくなるそうだ。それは別の理由も込みだからではないかと思うが。（笑）うち夫婦が京都の実家でくつろいでいる時、ダンナが何かおかんに話しかけても、おかんはもともと内弁慶でテレ屋だということも手伝い、ダンナの目を見返して話すことができず、本来はダンナへの返答なのに私を見てしか話せないといういびつな状態がしばらく続いた。しかし、ダンナは時々うちの実家に電話して両親に優しい言葉をかけてくれることが何度もあり、ここ1年くらいはおかんとダンナを2匹放し飼いにしておいても、2人だけでやっと会話が成立するようになってきたのでちょっとうれしい。自分でも、なんでここまで関西弁にこだわるのかが不思議でしょうがない時がある。もしも今後、イギリス人（または他の国の人）とランゲージ・エクスチェンジでもする機会が出てきたら、その時は私は相手をばりばりの関西弁スピーカーにしてしまいたいと密かに思っているのだ。

2004年09月24日

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話せばわかる･･･か？

今週は朝は比較的遅い出勤で構わないことになっているので、ゆっくり出勤したところ、もうオフィスは超多忙モードにはいっていた。なんだか人数が少ないなと思うと、昨日の朝、出勤してきた時点で具合の悪かったみかちゃんはそのままERに行ってしまい、一日検査にかかってしまった後、今日はとうとう休んでしまった上に、同じく風邪で具合の悪かったマリも朝一でかかりつけの医者に行ったところ、今日は休みなさいと言われたと連絡してきて、2人欠勤になっていた。そんな中、その2人の仕事を引き受けて、片腕のひろみさんの孤軍奮闘中に出勤したのだった。今週いっぱい、まだえりこちゃんをアジアに出張させているし、もともと1人足りないところに2人足りない状況は結構きつい。そこへ、内線でかかってきた電話でイギリス人の他のセクションのスティーヴなる人物から、自分のセクションのお客の日本人があまり英語ができなくて困っているので、三者通話で通訳してもらえないかというリクエストがはいる。私はどうしていたかというと、デイヴが、本当につまらないことでオレを助けてくれと泣きついてきたので、そっちを構ってやらないといけなかった状況。くだんのスティーヴをよく知らない私は、だからといってむげにも断れないので「あのね、今日はうちは病欠が多くて結構忙しいんで、今回だけだったらいいけど、大丈夫？毎回そのお客さんからの電話のたびにうちの誰かが間にはいらなければならないような事態は避けたいの」とはっきり言った。スティーヴは「もちろん！今回限りだよ」と調子よく言う。ちっ、仕方ないなと思って出勤しているスタッフを見回したところ、なんとか引き受けられそうなのはみつこさんしかいない。みつこさんのところに出向き、これこれしかじかで、少し他の課を手伝ってあげてもらえないかと頼むと、二つ返事で引き受けてくれ、スティーヴに「じゃ、その電話をみつこの内線に回してくれる？」と言って、私はそのままデイヴのくだらんプロジェクトなるものに戻った。デイヴのほうをできるだけさっさと片付けたが、それでも1時間くらいは経ってしまった後でまた職場を見回し、みつこさんの様子を見ると「さようでございますか･･･Hello? Yes, that’s what he already understood.（だから、お客さんはそれはわかってるって言ってるよ）」と日本語・英語の交互で電話している･･･てことは、あれから1時間近く経っているのに、まだアレをやってる？みつこさんがようやく電話を切った様子が見えたので、急いでみつこさんのところに行って「すみませんでした、ホント。長くかかっちゃったんですね･･･」と謝ると、みつこさんいわく「それがね、このお客さんはもう5年も住んでて英語はちゃんと話せる人だったのよ。お客さんは自分が頼んでることもわかってて、それもちゃんと頼んでるのにあっち（スティーヴ）の手配の説明が納得できないから、そりゃ困る、なんとか違う手配をしてくれって言ってるだけで、英語ができないんじゃなかったのよ。まあ私が間に立ってることはちゃんとわかってもらってたし、私が何か言われたわけではなかったんだけどね。でも、もう一回電話してくるらしいわ･･･忙しいのにね。」とのこと。それからまた30分くらい経って、みつこさんはまた日英両方をスイッチしながら話していた電話を切り、ようやくそれでことが収まったようで、私はもう一度みつこさんに丁重にお礼を言ったが、みつこさんは最後に「ったく、スティーヴはもうちょっと相手にわかる話し方しなきゃ。だってお客さんが理解できなかったら、自分ばっかりあれこれ話したってわかるものだってわかんないじゃないの。困るわねっ。ふんっ。」と言っていた。みつこさんの話から少し考えた。世の中にはいろんな外国語を勉強している人がいるし、日本でも英語を勉強したい人はまだまだ多い。そこに英語（でも他の言葉でも）を勉強している日本人が陥りやすい最初の穴。自分で勉強しておもしろくなりだした初級～中級くらいのレベルの人が、一度自分でどこまでできるかやってみようと考えて英語圏の国に旅行に行く。「○○がほしいんですけど･･･」なんて思い切って唐突に言った瞬間、往々にして「What?」とか「Sorry?」と聞き返される。そこで多くの学習者は「ああ、やっぱり通じないよぉ、こんな簡単なことなのに･･･」と一気にしゅーっと消火モードにはいってしまい、次からはとても口が重くなる･･･そんな人を何人も見てきた。違う違う。ここでひるんではいけないし、ひるむ必要はない。だいたい、声をかけられそうだと思っていない相手が、ぜんぜん見場の違う風情の人からいきなり何か言われても、それを相手のほうがまったく予測したり、対策を立てていなければ、聞き返されるのが普通で、通じなくて聞き返されているのではない場合が多い。ここでちゃんと繰り返せれば、今度は相手も予め準備が出来ているから、通じてしまうことが大半だ。こういう消火モードの人には、背中をばしっと叩いて「もう一回っ！」とカツを入れてみたくなることもある。（笑）日本で同じ場面に置き換えればわかる。通勤途上であたふたしている時に、外国人の人にいきなり後ろから「スミマセーン、二ホンニモハハノヒガアリマスカ？」なんて突然聞かれたら、それがどんなに完璧な日本語でも「スミマセーン」までわかれば上等で1）この時間帯に予測できる質問ではない2）人からこう質問されて、瞬時に理解できる準備が整っていないこの2つの理由で誰だって「は？なんですか？」と言うのが普通で、恐らく「アリマスヨ」なんて間髪入れずの即答ができる人なんかいないだろうし、いれば私はきっとのけぞってしまうだろう。それから、少々自信のついてきた学習者が、今度は自分を含まない外人同士（という言い方もおかしいが･･･ここはイギリスだから、イギリス人じゃない我々がガイジンだから）が横で話しているのを聞いて、外人同士の話だとぜんぜんわかんないやと思って自信を無くす日本人も多い。これも自信を無くすことはぜんぜんない。言葉というのは、そりゃたまに、他の誰かが話していることを小耳に挟むという場合も確かにあるが、所詮、英語は外国語だし、そこで話している人たちも自分に向かって話しているわけではない。（そういう言葉がばしばし全部耳にはいったら、疲れてしゃーない。）相手と対面していたり、電話で集中しているのでなければ、横で普通の声の大きさでネイティヴ同士が話していることが無意識に簡単にいつも理解できるなんてことは、よっぽど会話に抑揚でもない限り、私にももちろんない。これも日本だからと言って、何か他のことをしている時に周りが話していることが全部耳にはいってくるわけではないのと同じことなのだ。その国のネイティヴスピーカーでないのにそこに住んでいることは、ある意味では都合の悪いことは聞こえていない、わかっていないようにも振る舞えるのは隠れた利点であるとも言える。ま、このおかげで、恐らくは何か悪口を言われていたとしてもわからないというのは、いちいち神経を尖らせていなくてすむ分、精神的に非常に楽なことだと、いいように勝手な解釈をしている。そういえば、日本に帰省すると、コンビニやファーストフードのチェーン店なんかに行くと、マニュアル通りに話されている言葉のようなものを聞かされるが、何を言っているかわからないことがあって「は？なんです？」と聞き返すことが多くなった。そういう時、テキは相変わらず同じトーン・同じ速度で同じ抑揚のフレーズを何か繰り返す。思わず叫びそうになる。「あのなー、わからんから聞き返してんのや、こっちは。聞き返されたら、もうちっと人にわかるような関西弁しゃべらんかい！」

2004年06月09日

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言葉のすきま

今夜のお題は至って普通のハナシだ。うちの会社は本来ばりばりの英系だったのだが、他の会社だった私の所属先がぽんと買収された形で突如参入したため、PCから何から何まで新たに「日本語」での作業に対応できるソフトやシステムを入れるのにIT課などは苦労したと思う。入れたシステムがちゃんと日本語で作動しているかどうかですら、確認できる人が会社のもとのスタッフには誰もいなくて、はいってきた新米連中の私たちに一つずつ確認するしかなかったからだ。こっちはこっちで、不具合が見つかっても、コトがITの話なのでいったいどこの部分をどんなふうに説明すれば理解してもらえるのかを考えながら、あれこれ説明したり、実際に画面を見せて「これはマルだけど、これはペケ」といくつも例を出しながら、そこから帰納的に考えてよ、とやってみたりのかなりの苦心があった。IT関係だけでも、日本人主体のセクションがぽこっとはいって一緒に働き始めるというのがどういうことか、から理解してもらって、どうやら形ができるまでにほぼ9ヶ月かかったし、今のところはそのへんはまあ収まったと思っていい。会社にはいつも結構お客さんが多くて、例えばアウトソーシングを考えている企業や、アウトソース先を変えたいと考えている企業の人たちがほぼ毎日、目当てのセクションのどこかを見学に来ているし、事前に各課のマネージャーには「いついつにどこそこの企業のどのクラスの人が、うちの会社のどのセクションに見学に来ます」というお知らせがくるが、もちろんうちの日本人課をわざわざ見に来る英系企業は多くない。とは言っても、時々「なんでそんな関係ない企業の人がうちも見たいわけ？」ということがある。うちの課は他のセクションとは顧客先もぜんぜん違うし、おたくが英系企業だったらうちの課を見て使ってみようと思うわけないのに･･･と感じるが、まあ来るというのを断るわけにもいかず、準備する。そういうどこかのおエライさん方のために「うちは日本の○○と××をクライアントとして、月に何件くらいの取り扱いが･･･云々かんぬん」と型通りの課の案内をするのだが、そういうおエライさんたちはそんな話に興味がないことくらいはわかっている。彼らが本当に目を輝かせることってなんだろう？それはずばり「PC上の漢字やカナの変換」なのだ。笑える。普通のスタッフがお客さんに出す文書や、社内メールを打っているところを背後霊のようにこっそりへばりつき、アルファベットでタイプする文字を変換し、正しいものを一つずつ選んでいく作業･･･もはや日本人にはあたりまえすぎて作業とも呼べないが･･･を見ながら、驚嘆して「オオォ～ゥ、ワンダフぉ～」「ファンタースティーック！」といちいち叫んでいるのを見ると、もうおかしくて仕方がない。目で見たことに思い切り感動を表した後は「どうして、いっぱい出てくるチョイスの中から何を根拠に記号を選ぶわけ？」という質問だ。「あ、それはね、こういう記号には記号一つずつに意味があるわけよ。（カナにはないが）日本人は子供の頃からこういう記号と意味をある程度結びつけて覚えているから、こういう意味の内容をタイプするという時にはこの記号っていうふうに判断するわけ。」それを聞いて、あちらさんたちは「ひえーっ」と言っている。そりゃ、本気なのか？キミたち。「で、その記号はどのくらいあるの？」と聞くので「日本人が標準で覚える記号（常用漢字ね）は約2000で、それ以外にも意味はなくて音だけを表す記号が50×2種類だけど、意味のあるほうの記号は発音の仕方（読み方）が違っていて、1つの記号でも発音の仕方が違うこともあれば、2つ以上の組み合わせだともっといろいろ変わってくるよね」と適当に説明しておくと、また「ひえーっ」アンタらはアイスノンか？と冗談が出そうになるが、ウケないだろうと思い「だって、英語のスペリングだって同じ母音が来てても言葉によっては違う発音をするでしょう？」と言うと「そりゃそうだけど･･･それにしても日本人はこんなにちまちました記号をみんな2000も覚えているのね･･･」とひたすら感動しまくっている。ここで「中国人だったら、新聞を読むのに平均して6000は漢字を覚えてるんだってよ」などと言おうものなら、あちらさんはもっと混乱するかもしれないのでやめておく。しかし、言葉にしても文化にしても、日本人とイギリス人がそれぞれ相手のことをわかっていると自信を持ち過ぎると、ある時、急にお互いの水面下の認識の違いに気がついて驚くことがある。例えば「唇」という言葉。英語だと「Lip」だと覚えている人が多いだろうし、もちろんそれは間違っていないのだが、日本人が唇という時にはいわゆる唇の赤い部分･･･口の入り口を頭に置いた概念を持っているはずだが、英語の「Lip」は日本語の「唇」と場所的にイコールではなくて、日本語の「唇」よりも少し広範囲を指すのだ。いわゆるちょび髭が生えるところ･･･これも「Lip」の範疇にはいってしまう。日本語と英語（でなくてもいろいろな外国語）とでは、それぞれ成り立ちが違うわけだから、外国語を勉強する時に日本語の○○とフランス語の××はイコールだという覚え方をしていると概念の誤謬に陥りやすい。その2つの言葉は、それぞれの言語の表すものが一部重なっているだけでイコールとは限らない。重なりが大きくてほとんど同じである場合もあれば、案外重なっているところが小さい場合もある。だから、外国語を勉強していると、日本語のある言葉に対応する相手の言語の語彙がない場合がある。日本語の「物価が高い・安い」なんて、フランス語じゃ「シェール（高い）」はあるけど、安いという語彙がなくて「ネ・パ・シェール（高くない）」と言うんだと何度か聞いたことがある。これが絶対正しいかどうかは私もよく知らないが。一昨日、デイヴと一つの過去の事故報告書について話していた時、その事故報告書の標題に「Drowned（溺れた）」と書かれていて、ファイルを引っ張り出していると結局「そのお客さんは海水浴中に溺れて多量に水を飲んで病院に運ばれたが処置が早くて一命を取りとめ、数日の治療後、日本に帰った」という内容だった。その説明を彼にしていると、どうも話がかみ合わない。（ちなみに会話は英語だった。）デイヴはしきりに「そのお客は死んでいないのか？死ななかったのか？」と念を押す。死んでたほうがいいのか？などと思いながら「だから助かったんだってば」と言うと「じゃ、それは英語では『Drowned』とは言わないんだぜ。『Drowned』というのは『溺れて死んだ人・死んだこと』を言うんだ」と言われたのだ。そう言われるとわからなくはなかったが、やっぱり勘違いしていたんだなと自分でびっくりしてしまった。日本語で「溺れる」は英語で「Drown」と覚えていたから、そのお客さんが「溺れた」ことを英語で標題をつけた人は過去形にして「Drowned」と書いた。しかし、英語の「Drown」は日本語で「溺れる」という言葉が表す瞬間的な状態よりも、それに伴う結果の概念をより含んだ言葉だったというわけで、私もデイヴと話がかみ合わなくて気がついたことだったのだ。デイヴに聞いてみた。「じゃ、この場合、いわゆるお客さんが海の中で沈んでしまうという異常が発生して、命があるまま病院に担ぎ込まれたような場合は『Drowned』じゃなくってなんて言うの？」彼はいつもの通り、エラそうに言った。「その場合は『Drowning』だな。」その後、続くエラそうな態度で爆笑させてくれた。「（日本語で）ツマリ『オボレチュウ』トイウコトデスヨ」･･･おもろいやっちゃ。

2004年06月04日

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言語の壁を超えるもの

タイトルはいかにもすごい！しかし、内容はあまり詰まっていないところが私の日記のいいところだ。**これだけ自画自賛に照れがない人物も珍しいかもなっ！**今朝のことだが、私の上司のドイツ人ゲオルグくんからメールが来た。自分が統括している課のマネージャー全員に「キミたちがクリスマス前後に休暇を取るか取らないか予定を知らせてほしい」ということだ。イギリスは12月25日のクリスマス当日と翌日のボクシングデーは祝日で、うちの課もその2日は休業だ。しかし、うちは別にイギリス人の家族がいるわけではないし、休暇を取ってどこへ行こうという予定もないので「25日と26日は休業だけどそれ以外は私は休まないよん。」と返事を出した。その後になって、ゲオルグくんのメールをふと見ると、彼のメールの本文下には、ゲオルグくんのそのまた上司である取締役キャシーが自分の部下（ここにゲオルグくんもはいる）に宛てたメールがそのままくっついているのに気づいた。＊つまり、階層はキャシー→ゲオルグ→ちゃと、であり、キャシーはちゃとクラスまでの人間の生態が知りたいわけだ。このキャシーのメール、4行程度の決して難しくない単語ばかりの英語なのだが、理解するのに大変時間がかかった。どうしてそんなに理解するのに時間がかかったかというと、このメールが「ことごとく失礼な書き方」のメールだったからだ。日本語だったら「あなたたちの部下で誰かクリスマス休暇を申請しようと思っている人がいれば、今週中に私まで報告して下さい」と言えば済むところを「各マネージャーで休暇の予定がある者について今週中に報告するべし。報告があるまでどのような休暇も認めず、すでに許可を出してしまった休暇についても撤回も辞さない覚悟でいるように。」とこんなメールが、まるで英語を話さない民族が辞書を片手に書いたようなわかりにくい英語で書かれていた。最初はぽかーんとこのメールを見ていたが、だんだん「これってめっちゃ失礼なメールちゃうん？」と思った私はこっそり同僚の中でいちばん英語に造詣が深いはるさんに「このメール、どう思う？」ときいたら、さすがに彼女も「これ、人格疑うよねー」と言った。このキャシーという女はさすが会社のナンバー2で、社長のイロだということは、ある程度の社員はみんな知っているが、どの程度デキる人なのかは知らなかった。去年、サッカーのワールドカップの時に会社の休憩室にでかい貸しテレビが置かれ、イングランド戦の観戦だけは課内で順番を合意して見てもよいということになったが、うちの会社はあいにくイギリス人だけの天下ではなく、フランス人・スペイン人・アイルランド人・イタリア人・インド人そして日本人もいる。その時、誰か（たぶんアイリッシュだったと思うのだが）がどうもアイルランドの試合を見ていたらしい。すると、このキャシーは会社中に警告のメールを出した。「アイルランドはイングランドだと思っている人がいるようだが、アイルランドはイングランドではない。」なんじゃ、この女？アホちゃうか、と思った。私がこっちに来て、ダンナと結婚してしばらく経った後も自分の英語の出来に悩んでいた時、ダンナから言われた言葉がある。「相手が英語のネイティブスピーカーだからと言って、誰も彼もを先生だと思っちゃいけないよ。見習っちゃいけないような心根の横着なヤツも多いんだからね。」この言葉をまた思い出した。この間まで直属の上司だったデイヴもすごかった。嫁が日本人だったこともあり、日本語は話せるのだが、コイツは英語で話しても日本語で話しても同じくらいの横柄さと傲慢さがいつもそこはかとなく漂い続けていて、その度合いの揃い方に感服したほどだ。こういう人たちを見ると、どこの国の言葉だから人格がまったく変わるというのではないのだなとつくづく思う。そういえば、傲慢さや横柄さといった性格が言語を超えて共通する以外に共通している性質にもう一つ気づいた。実は私はきっとはたから見ると、早口なほうなのだが、これは日本語でも英語でも同じくらいの速さでしか話せないのに自分で気づいている。当然、英語などは急に的確な言葉が出てこないことも確かにあるのだが、その言葉を探すのに立ち止まった後、思い出した瞬間に日本語で話すのと同じくらいの速さでやっぱり話していることに気づいて可笑しくなった。英語の他に趣味で、旅行に行った時に困らないように少しだけイタリア語（まし）とフランス語（少し）も話せるようにはしているが、英語のようには論理を組み立てて話すようなことはとてもできないので、ただ知っている単語・文章だけが勝手に口からどばっと出てくる。しかし、それに対して現地の人の変幻自在な答えが返ってくるとそこで立ち止まり、固まってしまうのだが。（笑）これは私だけでなく、同じ課のえりこちゃんなんかもそうで、日本語で話すのもばーっと一気に話すが、英語でもやっぱりばーっと話す。まったく対照的な例としてはうちのダンナ。日本語でも、私が10話す間に彼は1つか2つ。調子がよくて3つくらいだろう。その彼は、人生の半分をこっちで過ごしていても、やっぱり英語で話す時は訥々と話す。性格や性質というものは言語の種類で簡単に欺かれるものではないんだなと思った。

2003年10月22日

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ボケとつっこみ

私は昔から無類の漫才好き・落語好き（あ、関西のほうね）だ。特に落語のほうはいつも父と一緒に京都府立文芸会館や立命館大学の学祭などにヒマがあれば見に行っていた。そういえば、小学校の時点で落語のマネを学校でもやっていた。「寿限無」をやってみたり、一人でぶつぶつ「寄合酒」の稽古をしてみたり…あんまり、こういう女の子はいなかったと思う。いわゆる私は大衆芸が結構好きな部類であることは確かだ。中学・高校の時も図書館に行っては上方落語大全集などを借りてきて熱心に読んでいた。書き出したついでに言っておきたいのだが、最近のお笑い芸人はおもしろくない。特に漫才に至っては、そのへんの立ち話と変わらない人たちが多すぎる。あれなら、うちのおかんのほうが絶対おもしろいのだが、悲しいかな、ただの一般人なのでこの事実を知っているのはほんの近い身内くらいなのだ。時々、笑い過ぎて窒息しそうになることがこれまで何回もあった。本人は至って真面目な性格なので、吉本新喜劇で花紀　京が出てきて、私がげらげら笑っていると「この人、いい加減やから嫌いやのにー。」といつも怒っていたが、身の程知らずとも言えよう。言えば、いろんな話になって行きそうだが、本当は落語と漫才ですら、同じまな板でしゃべるべき問題ではない。ま、しかしそれはまたいつかのネタになるかも、だ。さて、以前から少し触れていたが、ダンナは関東出身で私はばりばりの関西人。自宅では2ヶ国語が飛び交っている状態だ。二人の間ではこれで違和感もないが、これが他人と一緒だと、かなり問題が起きる。以前、京都に帰省した時、私が日本で一緒に仕事をしていた同僚の男の子K君と久しぶりに会った。彼と私は営業車の中でネタ合わせではないが、暇つぶしにボケたりつっこんだりをアホほど繰り返した仲だ。K君と私は久しぶりに会ったため、喫茶店でテンションも高く話していたが、K君はたった1秒、同席していたダンナに目をくれて「おっ、ダンナさん、ゼンゼンついて来てませんね！」と言った。しかし、勢いづいている私とK君はダンナを気にしていられないので、短い時間でいろいろな話を楽しんで別れた。二人になってからダンナに「どのくらい私らの話わかった？」ときくと、ダンナは「んん…40%…はちょっと行かなかったかな？」と言った。びっくりした。また、ある時、同じロンドンで暮らしている中学・高校の先輩の家に遊びに行った。先輩はその時「懐かしいやろ」と言って桂枝雀の落語のテープを私に貸してくれた。家に持って帰ってダンナに「これ、聞こ。」と言い、テープを回し始めて、そろそろ枕が終わる頃、ダンナは苦しそうに「ゴメン、やめようよ。ぜんぜんわかんないから…」と言った。その後、ロンドンに吉本がやってきた。吉本について言えば、最近の芸人はいまいちもう私にはピンとこない部分もあるし、何がなんでも見たいわけではなかったが、二人で友達たちに混じって行ってみた。吉本はご存知の通り、少々設定が変わろうと「ここで笑わなあかんようになっている」ポイントがある。このポイントは関西人はほとんど生まれながらに心得ていて、教えられなくてもわかっている。すると、舞台を見ていると独特の現象に気づいてくる。笑わなあかんポイントを知っているから、実際には笑わせるポイントのキメのせりふを言った頃には観客の笑いがもうかぶってしまっているという現象だ。と、今度はどういうことが起こるか？うちのダンナは今のは何がおかしくてみんなが笑ったのかがわからなくなるのだ。そのために、笑いの場面になると毎回「ねぇ、今はなんて言ったの？」「何がおかしかったの？」ときいてくるので、そのたびに私は舞台から目は離さないまま「こうで、こうで、こう言ったんよ。」と言う。次の日、一緒に行った同僚から「ちゃとさん、ダンナさんに通訳してましたよね。」と笑われた。そんなある日、くだんのK君が結婚し、ハネムーンの途中にお嫁さんとロンドンに寄ってくれた。（お嫁さんも私の友達なのだが･･･）その時に私たちにいろいろお土産を持ってきてくれたのだが、その中の極めつけは「やす・きよのビデオ」だった。「はいっ、だんなさん、これでしっかり勉強してくださいよ～。」とK君は明るく言って帰っていった。ダンナはその後、そのビデオのおかげもあって格段にヒアリング力がつき、それ以来、私と私の友達の会話が80%はわかるようになってきた！しかし、彼にはまだ「つっこみ」という最大の難関がクリアできず、日々、私の特訓を受けている。ダ「今日さぁ、会社で○○○…こんなことがあってさ、僕、×××…って言ったんだけどさ。」私「いやー、そんなんあかんやん。そういう時は△△△…言うたらよかったんやん！そこでつっこみ入れなあかんやん。」そう切り返す私の横で、ダンナが感じ入ったようにぽつりと言う。「なるほどー。それ、メモしとこうかな･･･」

2003年10月09日

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べんきょ～しろ。

さて、この間、勢い余って英検を受けることにして申し込んだのだが、その後まったく勉強する時間がなかった。一つには散らかり過ぎていて集中できる状況ではなかった（言い訳、いいわけ！）が、先週バタバタして、なんとかスペースができたので、週末の土曜からいきなり問題集を始めた。この問題集は「7日間完成」ってやつで、7日間、1回ずつ模擬テストをやっていって合格に結び付けましょうという素晴らしいコンセプトで、何よりも精神的負担が軽そうだから買った。やってみた。･･･なんで、こんなたくさん知らん単語があるねん？土曜に一つめをやってみて、かなりショックを受けた。この5年、それ自体を目的として英語に取り組んだことはなかったにせよ、膨大な量の英語の会話と文章に取り組まざるを得なかったのだ。問題集の解説によると、一次試験突破には70%前後の得点を要するとあるが、67%くらいしかできない。大変衝撃的であり、遺憾な事実と言わざるを得ない。みつこさんにいたずらをしかける私とは他に、かなり勉強熱心な私が、私の中に存在しているのを世の中の人はおそらく知らないだろう。こう見えても私はかなり勉強するタイプなのだ。その私が知らん単語がここまであるとは、恐るべしイギリス人・アメリカ人・オーストラリア人・ニュージーランド人だ。（注．以前、ニュージーランドをカットしたら、その筋から「ニュージーランドも英語使いまっせ」というありがたくも鋭い指摘を受けたので今回は忘れない。）以前から、こっちのイギリス人に私はよく笑われてきた。なぜかというと「普通の会話でそんな難しい言葉を使う人はいないよ」ということらしい。一度、英検1級の問題を上記4ヶ国の国民にやらせてみたいとかねがね思ってきたのだが･･･以前にも書いたかも知れないが、私は家でのアホな話には関西弁一辺倒であり、英語など使う必要がない。しかし、イギリス人と結婚しているうちのスタッフはケンカになっても英語でやらなければいけないという試練の中を生き抜いている。･･･しかし、だからといって私が土曜にできなかった問題というのは単に一般的なイディオムの問題ばかりではなく、これまでかつて文章でも見たことがない、もちろん口語でもきいたことがないものがごちゃまんと存在していた。だめだなぁ、私･･･そうだ。こんな日記をのほほんと書いている場合ではない。平常の私に至急スイッチして深く英語を探求せねば。このままでは、家計から捻出した大枚50ポンドがテムズ川の底深く消えてしまうではないか。ちゃとは学習机に戻ります。ごきげんよう、皆様。

2003年10月07日

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英検・・・

ロンドンに戻ってきて、いつも読んでいる週刊の日本語のフリーペーパーを見ていたら、英検の広告が出ていた。このところは年に3回実施しているようだが、こっちに来て初めて久々に受けようかな、と思い始めた。私はなんとなく今でもこの英検という言葉には何かをかき立てられる気持ちがするのだ。中学・高校の時に受けた後、いろいろなことがあって英語の本なんかもう見ない！という時期が長く続き、それに仕事と自分の趣味とで、韓国語だとかイタリア語、フランス語にも興味があってそっちに自分の時間を使うほうがおもしろかった。今さら英語を突き詰めたって、陸上競技の100Mで世界一になんかなれないのと同じで、競技人口が多すぎるからしょうがないと思っていて、これ以上勉強しても仕方ないと10年以上ほったらかしだった。30過ぎてから、ひょんなことがきっかけで、自分が思っている以上に英語の力が身についていたこと、自分が中学生の頃にやっていた自習のやり方があながち間違っていなかったことに気づいた。やっぱり、これをこのまま放っておいたらもったいないと思うようになり、準1級を受けたら受かった。（だいたい、準1級という響きはあまりよくないね。なんだか「準」なんていう接頭語はセコい感じがするよね。）その後、イギリスに来ることが決まり、なんとなく自分の中で「イギリスに住んだから1級に受かった」という図式はいやだなぁと思い、直前に1度受けたがその時はNG。渡英後は仕事も忙しかったし、試験の会場が遠かったし、なぜかいつも試験の日程には用があったりして、英検のことは考えなくなった。しかし、今回英検の広告を見て、ほぼ6年ぶりにやっぱりやってみようかなという気になった。ダンナにちょっとそのことを昨夜話したら、案の定、ヒイていた。彼にすると「ちゃとが英検を受ける→オレが運転手→なんでオレの週末が送迎でつぶれるねん」という帰納が一瞬に働いたのだと思う。ダンナは「あのさぁ、こ、こっちで英検なんて受けなくたってCambridgeとかIELTSとか他にもあるわけでしさぁ、英検なんて受かってもそれが英語が使えるということにはならないし･･･ぶつぶつ。」でも、私はこっちで英語を勉強したことがないし、こっちではどんな試験やってるのかなんて知らないし、あまり興味もない。ただ、自分がこれまでに到達できなかった部分を補いたいという気持ちだけで英検を受けてみたいと思っているだけで、今さらこっちで知名度の高い試験を受けて企業に売り込みたいと思っているわけではない。英検の話とはちょっと逸れてしまうが、英語に限らず、語学というのは、そこに住んでいるからできるようになるものではない。（だから私は基本的に、その国に行かないとその国の言葉が身につかない＝留学に踏み切る、という考えには反対だ。必要な基礎の力や文法といったものは日本でいくらでも勉強はできる。）「イギリスに住んでます。」とか「フランス語を勉強しています。」という人が現れると、その言葉をぜんぜん理解しない人たちは「じゃ、通訳してよ。」ととんでもない発想に飛躍してしまうことがある。少々、どこかの外国語を勉強するようになり、それがいくらか身についてきた人なら自分のレベルがわかってくる。そうすると、その外国語内での会話ならできるようになるが、日本語（または他の言語）とスイッチして相手に伝えるという作業はまた別の技術・知識・経験が必要だということは外国語を勉強したことのない人たちには理解するのが困難なようだ。テレビのバラエティ番組などを見ていて「イタリア語ができます。」などという人が現れようものなら、すぐに「じゃあ、イタリア語で何か話してみて下さい。」となる。はたしてその人は何かちょっとした挨拶をイタリア語でしゃべらされるのだが、そうすると会場はだいたい「おおぉ～」と反応する。これ、ヘンだよね。その言葉がわからない観衆が、正しいかどうかもわからない“よその国の言葉の響き”だけを聞いて「おおぉ～」ってなんやねん、といつもつっこんでしまう。さて、横道に逸れたが、問題は今度の英検だ。2次試験が11月にあり、この頃に何かひっかからなければやってみようと思っているが、試験や勉強を強制されなくなってから自分の目標を決めて勉強するのはなかなか大変だな。

2003年09月01日

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続・必殺　バイリンガル！

えー、昨日、私が標準語と関西弁のバイリンガルであることは書いたが、あれからいろいろとまた関西弁のことを考えてしまった。（どうでもいいようなことに、私はきっちりカタにはまってしまうたちだ。）関西弁と一口に言うが、やっぱり地域によって関西弁も多様に変化することを知っている人も今やかなり多いだろう。それに、同じ関西人同士でしゃべっていると、その違いが大変顕著に現れ、「ええっ、それなんのこと？」という驚きも出てくる。私が驚いたのは、いわゆる標準語（と思うが）の「ものもらい」を「目ばちこ」と大阪の友達が言った時だった。「目ばちこ･･･」そうつぶやいた私は、いきなり自分の目に「目ばちこ」ができそうな恐怖におののいたが、何を隠そう、私の出身の京都では、これは「目いぼ」と言うし、それ以外の何物でもない。（京都の人、同意してくれるやんな！）こんなところに全部書いていられないが、そういう違いは京都にも大阪にも神戸にも、また同じ大阪でも北摂と南河内では天地ほどの差があるようにも聞く。昨日の日記で私はえらそうにバイリンガルを自称してしまったが、しかしこれとても限界がある。ダンナと話していても思うのだが、関東の人は何か物体が上から下に落ちる時に「落っこちる」とよく言う。この「落っこちる」などと接尾を伴うような言葉は私の口からは絶対出てこない。物体が上から下に落ちる時は「落ちる」のであり、「落っこちる」というようなふざけた言い方（爆）は私にはとてもできない。それから、これも私の口からは生涯出ないであろう言葉だが「～～～たら、ありゃしない。」こんな言葉を出そうとしたら、舌噛み切って血みどろになりかねない。いかにもこういう関東チックな言葉は、純関西人の私の口からは間違っても出てきやしない。（お、関東チックじゃないか！）この間、会社の自動販売機（というか無料の飲み物マシーンだ）に新しくチキンスープというのがはいった。お腹も空いていたし、どんなものか飲んでみようかと思ったら、同僚で京都出身のTちゃんが「それ、ちょっと辛かったし、お湯で薄めて飲んだんですよ、私。」と言った。飲んでみたところ、私はそんなふうに思わなかったが、次にそれを試そうとした別の関東出身の同僚Mさんに「私はそうは思わなかったけど、Tちゃんは辛いと思ったんだって。」と言った。するとMさんはそのスープを飲んだ瞬間、こう言ったのだ。「あー、これ別に辛くはないけど、しょっぱいですよね。タイ料理好きのちゃとさんが辛いって言ったから、てっきりスパイシーなんだと思ったんだけど。」そうだったのだ。関西人はたいがい「塩辛い」のも「スパイスで辛い」のも「辛い」一言で片付けてしまい、文脈だけでそれがどっちなのかを微妙に察知してきたのだ。だから、基本的に私は「しょっぱい」という言葉をきいても違和感はないし、意味もわかっているけど、自分の口から出たことがない。いやいや、書き出すといくらでも時間がたってしまいそうだし、これくらいにしておこう。

2003年08月21日

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必殺　バイリンガル！

何を隠そう、私はバイリンガルだ。は？日本語と英語がって？ちゃうちゃう。ずばり、関西弁と標準語のバイリンガルなのだ。自慢ではないが、私が仕事モードで話している時に、私が関西の出身だと指摘してきた人はいまだかつて誰もいないのだ。（やっぱりこれは自慢だ。変更。）仕事モードの時には、話している相手方が関西人であっても、そのアクセントに決してつられることがないのは自分でも自慢していいと思う。相手方といろいろと話が進み、最後の最後になって、相手から「どちらのご出身ですか？」という話になって「京都です。」と言われると、みな非常に意外そうな顔で「関西弁がぜんぜん出ませんねぇ！」とか「ちょっと京都弁でしゃべってみて下さいよぉ。（なんでやねんな）」といつも言われる。この切り替えモードは自分でも非常にすごいと思う。とは言うものの、これが特技となってお金が儲かるというような才能ではないところが非常につらいとも思う。（爆）しかし、この、自称「標準語⇔関西弁完璧バイリンガル」の私も実は時々失敗する。失敗の頻度としては、そうだなぁ･･･半年に1回くらいだろうか。まだ京都に居た頃、営業をやっていた時に、ある企業から次の企業に回る時、時間が間に合いそうになかったので、本当に近い近い距離なのにタクシーに乗ることになった。こんな近い距離を地元の人間がタクシーで行こうものなら、運転手の不興を買ってしまうと思った私は、タクシーに乗った瞬間「○○○まで行って頂けますか？」とばりばりの標準語で、いかにも出張でこの辺に来た関東の人になりきった。運転手さんは、そんな近いとこなのに、と思ったであろうが、はたして私を土地勘のないヨソモノと見たか、親切に対応してくれた。その運転手さん、私にきく。運「お客さーん、どっから来てはんのぉ？」→京都弁私「あ、よ、横浜からですぅ。（ウソつけ！）」→標準語運「そうどすかぁ。最近は女性もがんばらはりますなぁ。」私「はあ、まあ･･･。」運転手さんは親切ついでに、いくらもない距離なのに左右の道案内をしてくれる。そして、中京区の両替町の薬師神祠の前を通った時、それは起こった。運「ここはねぇ、薬師神祠いうて薬の神さんがお祭りしてある神社ですねん。」私「ああ、薬のカミサンねぇ･･･（フリーズ）」･･･薬師神祠のことはもちろん知っているが、思いっきり感心した風情を醸し出そうとした途端、思い切り力がはいり、力余って感心し過ぎて口走った。「･･･カミサン･･･」（関西式右下下がりアクセントで）て、こんな下降イントネーションで、それも「サン」づけで神を称するのは「私、関西人でぇす。」と言っているのと同じである。関東の人は「神様」と言うかも知れないが、「カミサン」とは、男性が奥さんのことを呼ぶ以外に言わないだろうし、イントネーションも違うわな、そりゃ。関西人は「カミサン」だけではなく「お芋サン」「お寺サン（ハン）」「お釜サン（ハン）」などというように人間ではないものに「サン」をつけてしまう度合いがやっぱり高いと思う。車の中に沈黙が走り、その後、運ちゃんも私も無言のまま、3分くらい経って目的地に着いた。もう遅いと思った私は、ともかくメーター表示のお金を払い、極端に揺り戻しを起こさないよう「ありがとうございました。」と言って車を降り、額の汗を拭っていた。それから、もう一つの顕著な失敗は「これ、いくら？」と標準語アクセントで値段をたずねようとした途端「これ、ナンボ？」と、とんでもない標準語アクセントクロスオーバー関西弁がぼろっと出てしまったことだった。きみぃ、「ナンボ」はいかんやろ、「ナンボ」は！と自嘲してみたが、時すでに遅しだった。標準語スピーカーは絶対「ナンボ？」とは言わんわな。そして、大蛇足になるが、日本にいた時の会社の後輩のKくんとのある日の会話。***食事中の方は読まないで下さい。***Ｋ「ちゃとさん、ホンマ、うちのおかんは困ったものですわぁ。」私「どないしたん？」Ｋ「いやね、うちのおかんはオレのこと『のぶゆきーっ（仮名）』て呼び捨てにしときながら、ウン○の話する時は『ウン○サン』て『サン』付けですわ。○ンコに『サン』付けときながら、わが息子は呼び捨てやったら、ほなオレは『○ンコ』以下かっちゅーにゃ！」うーん、K君の鋭さと、深遠なる心の叫びに私は黙って驚嘆するしかなかったのであった。

2003年08月20日

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英語？日常会話なんて言うけれど・・・

イギリスに留学に来たいという人はいつの時代も多いと思う。なんとなく、中学から英語という科目はあったし、なんとかなりそうな気がするイギリスとかアメリカとかオーストラリアだったら、住んでみたら英語がいわゆる「ぺらぺら」になると思っている人が多いのだろう。その中で、なんかアメリカは銃社会でコワいような気がするしペケでオーストラリアの英語は訛っているなんていう人もいるからダメで、そうなるとイギリス･･･という選択肢になるのだろうか。（いや、当然カナダもあるんだけどね。）私がイギリスに来たのは、労働許可証を取ると言ってくれる企業があって、それが無事に取れたから来たのだった。英語はなんというか、まあ語学を広く浅くやってみたいという気持ちの一つで、NHKの講座やテープを聴いていたら、別に困らなくなったのでこっちで語学学校には行かなかった。しかし、実際にイギリスに来た当初は信じられないくらいに人の言っていることがわからずに、ものすごく焦りを感じてしまった。仕事で、誰かイギリス人に声をかけようと思っても、何かメモに下書きでもして行かないと話しかけられないような時期があり、自分が勉強してきたことは使えないのではないだろうかと悩んだこともあった。思えば、そういう時期はそれなりに壁にぶち当たっていたのだろうが、結局、イギリスの社会のインフラに腹が立つことも多かったために、あちこちに電話をかけまくって文句を言ってみたり相手の弁明を聞いたりさせられたこともあって、なんとかなってきた。今の仕事は日本人のチームでやってはいるものの、このチーム以外の人々で日本語がわかるのはうちのマネージャーのオッサンだけだ。しかし、このオッサンとも9割くらいはずっと英語だし、一日黙っているわけにはいかないので、否応無く英語漬けの毎日ではあるが、この私の英語というのは非常に偏ったものになっているのである。どのように偏っているかというと、やたらと使う英語が勝手に難しくなってしまい、日頃のテレビドラマで見るような日常会話だとか、子供同士の会話なんかだとさっぱりわからないことが多い。仕事の中では医療関係の言葉も多いので、日本語で言う「一過性虚血発作」だとか「自然気胸」なんていう言葉はあっさり口から出てくるのに、この間その上司であるオッサンと食べ物の話をしている時に「包丁」という言葉が出てこなくて、「うーん、Knifeだっけ？」と言ったら「Oh， the chopper， you mean?」と言われて「「あー、それそれ、That’s it!」みたいなカッコ悪い場面もあった。家に帰るとダンナとは当然日本語でしかしゃべらないから「なんとなくおなかがしわーっと痛いような気がする」なんて言葉は絶対英語では言えないし、だいたい4文字とか5文字でできあがっている単語からなる熟語なんか、ばちっと当てはまったものは今でもなかなか出てこない。だから、私にとって何より難しい英語は日常会話なのだ。日本では「日常会話程度の英語」ができるの、できないの、と言っているけれども、やはり言葉は旬の勢いを持っている生き物だから、実際にその地での生活にはいってしまうと、日常会話というものもどんどん時代に応じて変わっていくのは日本でも同じことだと思う。一度、その上司のオッサンとしゃべっている時に「そういう性格は両刃の剣だね」と言うのに「Double-edged sword」と言った。これは、本当に同等の意味を持つ単語だったし、ぴったり合っていたのは確かなのだが、オッサンは真顔で「オレは今まで会った日本人の中で初めて『Double-edged sword』なんて会話で使ったやつに会った」と言われた。しかし、なんですな。5年以上経ったけど、いまだに今日は頭を振ってもちゃんと英語が出てこないなという時がたまにあり、そういう時はなんかメチャクチャな話をしているのではないかと自分で心配になることもある。（笑）

2003年08月16日

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ヘンな日本語

昨日は、作ったばかりでまだどちらに転ぶともわからないわがHPを訪ねて下さって、どうもありがとうございました。実は2時間ほど前に帰宅し、初めてまともに何か書こうかってことで気合を入れて一生懸命書いたのですが、いざ送信！したらメンテナンス（？）に引っかかり、ぴゃ～と文章がおシャカになってしまうという経験をしてしまいました。初めてのHPに初めての失敗…これから、この時間にはやらないようにしなきゃ、またはWORDか何かに打ち込んでおいてからコピーしたほうが無駄にならないかな、なんて自戒からのスタートになってしまいました。本日のお題は「ヘンな日本語」です。なぜこういうことが気になったかというと、やはりそれは日本でないところで生活しているからだと思います。日本でないところで生活していると、ふとした拍子に、いちばん適切な日本語＝かゆいところに手の届いている日本語、っていうのが出てこない一瞬というのを、心ならずも経験してしまうものなのです。それを「ま、いいか」でやり過ごせる人もいれば、どんな時でもドンピシャの表現を持ってくるべく「あの単語じゃない、この表現でもなかった、えーとなんだっけ？」を繰り返して頭の中がかゆくてくしゃくしゃしてくる人もいるわけですが、私の場合はよくも悪くも後者であります。他の国にいることで、日本語がおろそかになってはいけない、とついつい過剰なまでに気になってしまうたちで、時々は、日本にいる父にメールを出して「こういう表現って正しいと思う？」等と質問しては「年寄りに難しいこときくな」と返事されることもしばしばです。つい先々週、出張で日本に帰っておりました。すると、こちらへ戻る際にチェックインする時、空港の係員…機内預けの荷物のセキュリティ（X線）検査の係員、から「こちら、お預けでよろしかったでしょうかぁ」と言われたのが結構インパクトある経験となりました。そりゃ、どっちでもいい話と言ってしまえばそれまでなのです。要は私のスーツケースを見て「この荷物は機内預けにしたいのですね？」と言いたかったのでしょうが、最近の若い人は（おっ、いきなりオバサンはいってまっせ！）「よろしいですかぁ？」とか「よろしかったですかぁ？」を濫発することに今さらながらに気づいたわけです。人に名前をきく時も「お名前、よろしいでしょうかぁ？」ってよく言ってる人がいますよね。これってナンなんだろうという疑問。別に「お名前をうかがってもよろしいでしょうか？」ならわかるのですが、○○よろしいですかぁ？ってちょっとなんとかならないのかなぁと思ってしまうのです。それから、ビーフカレーを頼んだ時、品物を持ってこられるフロアのお兄さんやお姉さんが「ビーフカレーになりまぁす。」って、あんたビーフカレーになるの？これがたぬきうどんやったらもっとおもろいのにな、とか思いながら、いつも笑いそうになるのをこらえています。こちらイギリスでは、イギリスでの生活情報交換のための掲示板があり、ちょくちょくのぞいているのですが、特に日本人の留学生や、これからイギリスへ留学しようと思っている人の質問事項で「通訳（または翻訳）の勉強をしたいのですが、どこがオススメの学校ですか？」というのが結構あります。うーん、オススメの学校という発想は別としても、通訳や翻訳の仕事をするには、その外国語がどれだけよくできてもそれだけじゃダメなんだってことをいったいどれくらいの人が知っているのかなと思います。それぞれの国の言葉ごとに言葉としての構造が違う上に、言葉が乗っかっている文化や習慣が違うことが前提となっている…そういうものを適切で・厳密で・血が通った・正しい日本語に橋渡しするためには、自分の日本語の精製や向上に努めないといけないんだよ、と言いたい気持ちでいっぱいになります。この間は、久しぶりに友達とこちらでカラオケボックスに行きました。トイレに行こうとして、その外側で待っていると、いかにもスタイリッシュな男の子が携帯電話で話しているのを聞き、最近は日本人も韓国人も同じような趣味なのね、と思っていたら、3分くらい待っている間の後半になって「ひぇ～。この子、しゃべってるの日本語やったーーー！」とやっとわかって驚きました。思わず、たぬきうどんになってしまうところでした。ああ、たかが日本語、されど日本語。そこに生まれ育ったからと言って、日本語を侮ってはいけないとつくづく思う今日この頃です。今、日本ではない場所で生活していることに、妙な優越感を持っているつもりはないのですが、日々の生活や自分の趣味からいろいろ書いていこうかなと思っています。これからもどうぞよろしく。

2003年04月29日

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