「イマイと申します」
日本に帰ってきて、できるだけ仕事と関係ないところで自分を見つめ直していて、いちばん感じること。それは根気がなくなってきた、ということかもしれない。そのいちばん顕著な形は本を読まなくなった、読めなくなったということだと痛感している。以前、最初に日本で勤めていた時には、日に3回は本屋にはいっていたし、何か必ず本を読んでいる毎日を送っていた。それが、である。イギリスにいた時、まあそれなりに読もうと思う本もあったが、日本の活字に飢えていた(と思っていた)ことは確か。それがどうだ。今度は、日本に帰国してきたら、年をとって根気がなくなり(爆)本屋に行っても、物色するのは雑誌が中心という情けない道を辿りつつある。非常に個人的な体験・体感ではあるが、ちゃと@浦島太郎化、と呼ぶのもあながち間違っていないような気もしている。本屋も本屋だ。今、本屋で平積みされているような本で、目をひかれるものもない。本当におもしろいのかな、と猜疑心を持ってしまう。住んでいる部屋自体も広くもないし、買って捨てられないこの性格であれやこれや本を買おうと思わなくて、ちょうどいいのかもしれない。しかし、週末に見つけたこの1冊。イマイと申します。ええと、ここで貼り付けたのはハードカバーのものだが、私は文庫版を買った。そしたら今、楽天ブックスでも新潮社のサイトでも文庫版が売り切れになっている。(ええっ?)これがまた、ちょーおもしろかった。もちろん文学的な香りは一切しない。何かを得ようと思って読む本ではない。世によくある詐欺商法の真相を探るために電話をかけまくって取材する「日本テレビ」の「イマイ」さんの本というか、その番組をちょうど字で全部起こしたような本なのである。以前読んだついていったら、こうなったもおもしろかったのだが、イマイさんはまたちょっと違う位相で、怪しいものにどんどん突っ込んでいくところがすばらしい。イマイさんと相手(つまり、どこかにカモがいないかを考えて、自分の知力をすべてまっとうでない何かに注ぎ込むやつら)の電話のやり取りが、それなりに真面目なはずなのにとんでもない受け答えの妙味に成り代わってしまい、て思わず笑いの爆発をこらえることができなくなる部分もある。え?皆さん、すでに読んでます?日本にいながらにして、まだまだうといところがいっぱいの生活なので、どのくらい売れている本なのだかはしらないが、もしもまだの方はぜひどうぞ。420円でこの内容だったらかなりお安くて楽しい本でありました。