松岡正剛講演会 「危ない言葉 切ない言葉」
セイゴオ語録が求龍堂から出版された記念の講演会に紀伊国屋ホールに行って参りました。松岡さんは有名な書評サイト「千夜千冊」の方で、最近では丸善でご自身プロデュースの本屋「松丸本舗」を行われています。私にとっては「知の巨人」である方。以前に江戸博の手塚治虫に関するシンポジウムでは、『火の鳥』に関する内容でもあり話が縦横無尽に広がり言葉が機関銃のように連発され(シンポジウムなのでテーマのわりに時間が少なかったせいもあると思う)、着いて行くのに青息吐息でしたが、今回はご自身の語録への解説なのでわかりやすかったです。その中でも印象に残ったのは主語ではなく述語。コンセプトより道筋や方法。それを重視したい。はかがいかない。はかどらない。はかない。そこから和泉式部は「はかなし」という言葉を作った。はかなさに価値を感じる日本的感性。わびとは、一番素晴らしいものでおもてなしをしたいけれど、今はこれだけがせいいっぱいです、という詫びる心。素晴らしいもの、欲しいものはいくらでもあるけれど、今この場では、あるもので足りることを工夫する。欠損にこそ可能性を見る。世界が同じビジネスモデル、同じフィールドで競争していることの間違い。先に数値目標を設定してそこを目指すような、正解に向かって行くことを今みんなやっているが、サッカーに正解があったら誰が見ますか?というような内容です。というか、メモはしなかったので、2日ほどして頭から取り出せたのはこのような言葉でした(笑)なので、まったく不正確な言葉なのでご了承ください。松岡さんが「編集工学」と名付ける、どう情報と情報を有機させるか、という視点は、僭越ながら私も以前から深い関心があります。ところで求龍堂というのは、ウェブ書評である「千夜千冊」を10万円で出版するという、中々すごい出版社ですね。今2千セット売れているそうで、私の行きつけの図書館も収蔵しているようです。今回の講演は、たまたまサザンシアターでお芝居を観た(しかも母のピンチヒッター)おりにポスターを見つけました。紀伊国屋は、日ごろ私が目にするデパートなどの店舗ではいたって普通なのですが、タイムズスクエア店や本店を見ると、やっぱりさすが、と思いますね。今回の講演も、紀伊国屋の底力を感じました。