俳ジャッ句　　　　　

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• 「北国の母」と呼ばれて　４

  　　今夜は　身がちぎれそうに冷え込むわ。　　この分じゃ　明日はどかっと雪が積もるんだろうねぇ。　　それにしても　寒い～！　　ストーブのそばで仕事をしているのだけれど　　なんか　すこしも温まらない。　　これって　心まで　芯から冷え切っているのかしらね。　　前回書いた身の上話の続きをしなくっちゃね。　　兄が人に乗せられて事業を広げて　破産したわ。　　そのせいで　私は婚家に居づらくなってしまってね。　　結婚して２年になっても　　おめでたの兆しもないし　　夫とも　いまいちしっくりとはいかない。　　だからといって　実家がパンクしてしまって　　今更帰るに帰れない。　　私は　ただただ　鬱々と日を過ごしているしか　　なかったの。　　あ～あ　外は吹雪！　　おまけに　雪起こしが鳴っているわ・・・　　ＰＣに雷が落ちたら　大変だあ～！　　　　　　　続く

  2008年12月08日

• ひとことだけ！

   　先日私のブログ仲間が自殺しました！　たまたま久しぶりに　彼のグログを訪問したら　彼のお母さまが　彼に代って　あいさつされていて　彼が自殺したことと　生前彼がブログを書くことによって生きる支えを　得ていたこと　そして　ブログ仲間に世話になった　お礼を認めておられました。　私はしばらく言葉を失ってしまいました。　それほどまでに彼が悩み　苦しんでいたとは　夢にも思わなかった自分のうかつさに　腹が立ち　悔しさがこみあげてきました。　もしも　死を考えている方がおられたら　下記に連絡してみてほしいのです！ 　　　自殺対策支援センターライフリンク　　　　http://www.lifelink.or.jp/ 　 

  2008年12月07日

• 死化粧

    　　　　　　　　寒き夜の娘に受くる死化粧　　原田　某 　　この句を読んだときは、しばらく目がてんになってしまった。　　おそらく　夫人を亡くされて　詠んだのだろう。　　この句の作者がどういう経歴でどういう方なのかは　　知らないが、　　もう一句にも 　　　　　　　　冬紅葉箸ではこぶは妻の骨　　 　　　と　あるから　通夜の前夜にお嬢さんが化粧をして　　　あげているのを　作者は　ただ見ているだけしか　　　なかったのだろう。　　　そこに　夫としての作者の悲しみがにじみ出ている。　　　おそらく　中年をとおにすぎた男性の声にはならぬ　　　慟哭が漂っていて　凄惨である。  　　　

  2008年12月03日

• 終電シンドローム

  新しい連載小説の構想が　ほぼ煮詰まってきました。　そこで　予告編として　まずタイトルから発表いたしましょう。　ただし　あくまでも仮題ですが、　「終電シンドローム・・・・おばさんの最後の恋の物語」　というのがひらめきました。　人生のたそがれ時の　６０歳をまじかにした女の恋の予感から　小説ははじまります。　ヒロインの恵子は　夫が脳梗塞で倒れて以来３年　その介護に　追われてきましたが、心身ともに疲れはてていました。　そんな恵子の前に現れたのは　夫の新しい主治医の　和田　章だったのでした。　さて　一体どんなストーリーが展開しますことやら。　乞う　ご期待！といきましょう。

  2008年12月01日

• 新うつ病？？

  近頃　新うつ病なるものが流行っているとかで私も専門外なので、とまどっている。あるドクターの言によれば「 症状自体はうつ病ですが、休職して問題から回避できると自然に症状が消えます。だから、休職中に遊びに行ったり、好きなことに没頭したりするなど、従来型のうつ病とは明らかに違う傾向を見せます。しかし、本人に悪気はなく、職場に行こうとすると気分が悪くなるため、自分はうつ病だと信じている> 人格が未熟で、大人になり切れていない。子ども時代に身につけるべき社会性が育っていないのです。そのために、困難なことにぶつかると、うまく対処できずに問題を回避しようとして、うつ病に逃げ込んでしまう」と　いうのであるが、従来のうつ病からしてみると実にお気楽なビョウキのように思てならない。さるプリンセスもお悩みになっているそうだけれどこれからは　こういった類のうつが増えてくるのだろうか？    

  2008年11月29日

• グログが消える？？

  　熱しやすくて冷めやすい、のが私の悪癖でして。　熱するときは、それはもう何もかも忘れて集中するのですが、　冷めるのも早いのです。　無類の凝り性でもありますから、凝りだしたらキリがないの　です。　もしも、この凝り性が一生続けばものにもなるのでしょうが、　ものにならないうちに冷めてしまって、一旦冷めると、いとも　あっさりと投げ出してしまい、もう見向きもしないのです。　これは父ゆずりであると思えます。　父も凝りだすと徹底的でした。　ある時期東洋蘭にほれ込みまして、金に糸目をつけずに買い　集め家中が東洋蘭だらけになったことがありました。　が、熱が冷めると、もう見向きもしなくなって、放り出して　しまいました。　その周期は、せいぜいが３年から長くって５年くらいなのです。　もっとも私の場合は三日坊主のことが多いのですが。　このブログは、それでもなんとか２年半以上も続きました。　どうせ三日坊主におわるだろうと初めのうちは自分でも思って　いたのですが。　これでもまだマシなほうなのでして。　ある日突然このブログが消えていた、なんてことのないように　せいぜいがんばるつもりでおりますが、さてどうなりますこと　やら。　では今日はこの辺で　　　ご機嫌よう！

  2008年11月28日

• 「北国の母」と呼ばれて　３

  　　私はね、これでも北国のＥ市の出でね　Ｍ家といえば知らないものがないほどの　旧家の末娘だった　代々造り酒屋をいとなみ　江戸時代のはじめ（寛永年間）に　創業で　藩主から苗字帯刀を許された　家柄だったの　今時のお若い方々は　おわかりにはならないかも　しれないけどもねぇ　私の娘時代までは何人ものお手伝いに　かしづかれて　「篤姫」みたいな育ち方をした　でも　私が東京のある有名女子大に　入ってから　家はしだいに没落しだしたの　それでも父が生きていてくれた時は　まだ　よかった　だけど　私が大学を卒業して　見合結婚をして２年目に　父が亡くなってからは　兄があとを継いだものの　そこは　坊ちゃん育ちだから　人に乗せられて事業をひろげたために　莫大な負債を負うはめになってね　ついに　破産の憂き目にあったってわけ　　　　　続く　

  2008年11月25日

• もう　泣かない！

  　　　　　　　冬薔薇にもう泣かぬ顔あげにけり　　鈴木真砂女　この句のように私ももう泣かないで、凛と背筋をのばして 生きたいものです。　泣き言を並べ立てるのも、もうやめましょう。　などと、思うには思うのですが、ダメですねえ・・・　時には弱気になってしまうことだってあるのです。　生き方下手なのも、今さら治るものでもなし・・・　もっと、もっとわがままでいたっていいのじゃないかしら、　とも思っても意気地がないからでしょうか、いつも貧乏くじを　ひいてばかりいます・・・　

  2008年11月24日

• みぞれ　降る

  　早朝からじとじととみぞれが降っています。　天気予報では雪となっていて、この分では　みぞれがいつ雪にかわってもおかしくはない　冷え込みようです。　北国では仕方がないにしても、４ヶ月近くも　冬に居座られてお天気が悪い日々が続きます。　まだ大雪にならないだけでも、ありがたいと　思わなければね・・・

  2008年11月23日

• 「北国の母」と呼ばれて　２

  　今だから　いえるけども　昔　大昔に　ノイローゼになって　自殺しようとしたわ　薬を飲んでねぇ　ところが　人間　そう簡単には　死なせちゃくれない　結局　発見されるのが早くて　何日も眠り続けて　目覚めて　生き恥をさらしただけ　死にそこなうって　世間の笑い物になるだけで　ますます　自分が情けなく　みじめになるだけ　自分が自分を追い詰めたって　ろくなことがないって　ようやく　気づいた　それだけ　私は阿呆だった　つかれたから　この続きは　明日にしようかねぇ　外は吹雪　　おお　寒い　体だけじゃなくて　心も　寒い・・・・　　　　　続く

  2008年11月23日

• 「北国の母」と呼ばれて　１

  　昨日　初雪がふったと思ったら今日は　もう吹雪になってしまっていやですねぇ、まだ１１月末だっていうのにだから　雪国はいやだっていうのよこんな土地にしがみついている身の不運ってあきらめるしかないわだけど　私だって　他県とはいえ北国の生まれ育ちだものこの地に嫁に来たのだって　貧乏くじをひいたってわけ今じゃしがない易者ふぜいだけどもねぇ・・・　　　続く

  2008年11月22日

• 初雪　１

  　　　　　　ちらちらと初雪ふりぬ波の上　正岡子規この越前岬に面する土地では今朝　５センチほどの初雪がふった。例年ならば、１２月すぎないと降らない雪が今年ははやくも　やってきた。気象温暖化とはいえ　まったくの異常気象である。今日も午前中は　予約客が　５人入っていたのでなんとかこなして遅いお昼をすませてさてと　思ったのも　束の間で緊急に鑑定してほしいという電話が入った。よほどのことでは　予約以外はとらないのだが、相手の差し迫った口ぶりには　逆らえずにＯＫしてはみたものの近頃どうやら「死にたい」ビョウキの連中が多いのにも　あきれるやら　驚くやらとにかくも　重たい腰をあげたのだった。　続く

  2008年11月20日

• ご心配をおかけして！

  　申し訳ありませんでした！　あることで　パニックになり　あんな　記事をお書きして　はずかしいやら　自分自身　いかに　混乱していたのか　赤面、笑止のいたりで　ここに　ご迷惑をおかけしたことを　深く　お詫びさせていただくとともに　みなさま方のご支援　今後とも　よろしく　お願申し上げます！！ 　なお　ご用のある方は　リンクさせていただいている　方にかぎり　メッセージにてお受けいたします！！　以外の方はご容赦願います！！！

  2008年11月19日

• 続・なんじゃ、そりゃ？！

  　「寝付きが悪いって、あんたねえ、８時に寝るなんて　年寄りか子供だけだよ。それが１１時まで寝付けないからって　それがふつ～の大人なんだよ」　「早寝早起きのたちですので・・・」　「不眠ってね　あんた、６、７時間は寝てるじゃないの。　そんなの不眠のうちにゃはいらないよ」　「大体ね、あんたのは更年期特有の不定愁訴って　やつじゃないの。婦人科にでもいくんだな。　もっとも　婦人科だってつける薬はないわなあ」　と、まあ　一昨日の神経科での医者とのやりとりである。　それにしても、思い返すたびに　時間がたてばたつほどに　腹がたってくる。　切れ者で通っているとかいう医者がこのように　のたまうのだから、神経科ってところはこんな程度のもの　なのだろうか？　とまあ、そんな　こんなで私は追い返されたのである。　もう二度と神経科なんかにはいくものか！　「精神神経科なんて　最低！」　と、わが精神科医の弟自身がなげくのだから　よほど程度が悪い（医者の）のだろう。　ここだけの話、弟は出来が悪いがために　精神科の医局にしか入れなかったクチである。　もう　いい。　と　自称うつの私ははらをくくったわけなのだ。　　　　　　　

  2008年11月07日

• なんじゃ、そりゃあ～？！

  　　昨日の続きですが、　更年期の末期なんて　なんじゃ、そりゃあ？！　大体　そんな病名なんて聞いたこともありません。　昨夜　大阪在住の精神科の弟にケータイで　一部始終を聞かせたところ　「要するに　おばさん病ってこっちゃ」　と　取り合ってはもらえないし　それでも　合点がいかずにいます。　どんな医者にだって　誤診はあるわけで　やっぱり　私はうつじゃないかと　いまだに　思っているのですが・・・　だからといって　神経科のはしごを　するなんて　そんな馬力はまったくないのです。　ましてや　医者に追い返されるなんて　仕打ちには　耐えられないので　神経科にはもう二度とは　行きたくありません（涙）　今はくたびれはてて　ただただ溜息を　もらすだけです。　　　

  2008年11月07日

• 神経科のはしご

  　近頃　寝付きは悪いし　何をするのも　億劫だし　第一　ＰＣに向かうのでさえも　面倒になってしまい　家事も手抜きに手抜きを重ねている　これは　まずい　　と思い　うつではないかと自己判断して　さんざん迷ったあげくに　ついに　とある大学病院の神経科を受診した　診てくれたのは　４０代の講師だった　聞くところによると　診立てがいいと評判の先生だそうで　あれこれと症状を言うと　「あんたね、そりゃあ　言ってみれば更年期の末期だよ　僕だって　忙しいんだ　あんまり医者をからかわないでほしい」　と　腹立たしげに　言われ　つまみ出されてしまった　２時間はゆうに待たされた結果が　こうなので　腑に落ちないながらも　ぐったりくたびれて　帰宅した　それでも　納得がいかないので　長年の悪友に言うと　「精神科のはしごをすれば　気がすむのかい」　と　相手にされなかった　更年期の末期かあ～　ためいきばかりが出て　今夜も　いよいよ寝付きが悪くなりそうだ　　　

  2008年11月06日

• 糸の切れた凧のように

  　愛犬タローを失って　１年半になる。　おむつをしていても　目がみえなくても　耳が聞こえなくても　それでも　生きてさえいてくれればよかった。　私にとっては　子供も同然　というよりも　もっと　もっと　大事な存在だった。　おしっこを　ひっかけられたって　汚いとは　思えなかった。　タローがいなくなってからは　癒されるものが　なくなってしまった。　糸の切れた凧のように　なってしまった自分が　もどかしくって　情けなくって　もう書く意欲も失せてしまった。　ダメじゃ　こりゃ・・・

  2008年11月04日

• 騙されやすいのは？

  　小猫だとばかり思っていた、うちの「篤姫」さんが、　妊娠しているなんて考えてもみなかっただけに、　ショックでした。　とは言え、どうも我が家には、騙されやすい血が流れて　いうのではないかと思えてならないのです。　父も身内である、伯父にころりと騙されて、おかしな　不動産を買う羽目になりましたし、弟も親友に１００万を　踏み倒されたりして、私は私で猫にまでいっぱい食わされる　はで、ろくなことがありません。　これというのも、父方祖父が親類に連帯保証人の判をついた　ばかりに、家屋敷を手放さなければならず、あげくに　食いはぐれて朝鮮にまで夜逃げ同然にして渡ったことが　原因なのだと思えてならないのです。　まったく祖父の因果が、孫の私たちに報いているらしいの　です。　いずれ、祖父の話は書こうと思っておりますので、　乞うご期待に、です！　

  2008年08月16日

• 猫の堕胎

  　三毛猫をついに手なずけました。　ワクチンをうってもらおうと、かかりつけの　獣医さんに診せたところ、なんと妊娠している　ことがわかり、さっそく昨日堕胎と避妊手術を　してもらうことになりました。　「篤姫」と名づけたのに、とんだあばずれでした。　まだ生後半年にも満たないようなのに、早々と　ご懐妊とは恐れ入り、あいた口がふさがりません　でした。　だからと言って、いまさら捨てる訳にもいかず、　うちで飼うことにはしましたが・・・　昨夜は手術後なので一晩入院させました。　それにしても、「篤姫」の悪女ぶりには、あきれて　しまいました。　

  2008年08月15日

• 野良猫を手なずけようと！

  　犬がいなくなって淋しいので、近所に居ついている　数匹の野良猫を手なずけようと、躍起になっています。　犬は２０数年間飼ってきましたので、おおよその　習性はのみこんでいるのですが、猫となると飼いなれて　いないので、どうすればいいのか見当がつきません。　まずキャッツフードを買って来て、野良の中でも　なつきそうなのにやってみました。　中でも、まだ半子猫でメスの三毛の「ソノ」と名付けたのは、　人懐こくって、愛嬌者ですから、「ソノ」を試しに手なずけて　みることにしました。　ところが、キャッツフードを食べるのは、いいのですが、「ソノ」は　なかなかのちゃっかり者で、食い逃げの常習犯なのです。　おなかがすくと、ごろごろ喉をならせてすり寄ってくるのに、　たらふく食べると、ぷいと行ってしまうではありませんか！　これが、したたかな、悪女なのです。　この若さで、どうに行った悪女ぶりなんです　恐れ入りました！　私は、もっぱらこの「ソノ」に翻弄されています。　　　　　　　

  2008年08月10日

• 混血児エナ

  　私が小学校の低学年だったころ、近所の薬局にエナという　混血児がいました。　５．６歳だったのでしょう、透き通るような白い肌の　キューピーみたいに可愛い女の子でした。　薬局の奥さんの妹が進駐軍の将校と結婚して生まれたのが、　エナだったのです。　彼女がまだ物心のつかないうちに両親は離婚して　母親に引き取られてその実家の薬局に戻って来たのでした。　私はエナがあまりにも可愛いので、ひと目みたさにその薬局へ　遊びに行ったものです。　当時エナはまだ日本語がうまく話せないで、英語まじりの　かたことの日本語をしゃべっていました。　なにか気に入ったものがあると　｢エナちゃん、これ好き！｣　と、指をさして言うのが、またまた可愛くって私は子供心　にもこの世にこんなににもうつくしい子がいるということに　いたく感激したものでした。　私が高校にはいってから、エナが父親の母国のアメリカへ　単身帰ったという噂を耳にしました。　聞くところによると、それはエナ自身がみずからの意思に　よって決断したことだったそうです。　それほど日本にいることはエナにとって苦痛だったのかと、　私は胸が痛む思いがしたのでした。　エナは心根のやさしい、利発な子で学業成績も優秀だった　とか。　やがて歳月が流れ、いつしか私もエナのことを忘れきって　おりました。　私自身が生きてゆくのが精一杯だったからです。　数年前に町でばったりエナとその母親に出くわしました。　なんとあれだけうつくしかった少女がビヤ樽のように太って、　白人の典型的な中年女の体型になっていたのです。　しかし、彼女はいかにも人のいいアメリカのおばさんといった　感じであけっぴろげで快活でした。　「なつかしいわねえ」　「４０年ぶりかしらね」　と歓声をあげ、思わず駆け寄って抱き合いました。　現在彼女はアメリカ人の夫との間に３児をもうけてカリフォルニア　州在住とのことです。　夫はパイロットだとのことで、中流家庭の主婦として見るからに　幸福そうでした。　年に一度はかならず母親をたずねて来日するのだそうです。　日本では混血児としていわれのない差別を受けただろうに、　それにもめげずにアメリカで幸せを掴んだのでした。　私はエナの幸せにこころから拍手を送り、かたい握手をかわして　Ｓee you again と言って別れました。　　　　（完） 　　　

  2008年08月01日

• 熱帯夜話　　　終章

  　あの夜は夕方から雪になりました。　天気予報では夜から明け方にかけてかなりの大雪になる　とのことでした。　私はまたとないチャンスだと思いました。　私は浩子さんとの打ち合わせどおりに決行する腹をきめました。　夫は、｢波の花｣にはほとんど毎晩飲みに行く癖がついていまし　たからその夜もまちがいなく出かけるはずでした。　浩子さんとは、夫を波止場に誘い出す寸前に電話連絡を　くれる手はずになっておりました。　予定通り電話が入ったときは、さすがに身震いがとまり　ませんでした。　ちょうど午後１１時になっていました。　夕暮れからふりだした雪がいったんやんでいたので、足元が　悪いほどではありませんでした。　レンガ造りの倉庫の脇を通って波止場に出ると、すでに夫が　浩子さんと来ておりました。　二人は別れ話をしていたらしく、夫は私を見て、お前は何で来た、　という顔をしました。かなり酔っ払っていて体が頼りなく揺れて　おりました。　まさか私と浩子さんが示し合わせているとは、思ってもみない様子　でした。　｢奥さんが迎えに来てくださったんだから、今日のところはおとなしく　帰ってくださいな。　もうそれ以上は飲んじゃあダメよ」　浩子さんがそう言うのを合図に私は無言で夫の背後にまわり、　力まかせに海に突き落としました。　暗い海面に夫の体が浮いては沈むのを私と浩子さんは肩を寄せ　合って見ておりました。　夫の助けを求めるさけび声がいつまでも私の耳に残っており　ました。　そうです、今でも聞こえてきます。　１５分ほどで夫は絶命したのでした。　浩子さんとはもう二度とは会わない約束をしました。 　もう私には残された時間がないのです。　３ヶ月前にすい臓がんの宣告をうけたのです。　もう末期になっており、手術はできないとのことでした。　そろそろ私は自分の始末をつけなければなりません。　これまでかかりつけの医者に小出しに出してもらって　いた睡眠薬を致死量ためてありますので、それを飲みさえ　すれば、楽になれるのですから。　　　　　　（完）　　　

  2008年07月26日

• 熱帯夜話　　６

  　たしかに夫とは再婚でしたよ、娘を連れてね。　だからってそれがどうしたって言うんです？｣　私はむっとして言い返してやりましたよ。　私が娘の冴子を連れて再婚したのは、もう２６年も　むかしの話なんですよ。　今ごろになって蒸し返されたって、それこそとっくに　時効ですよ。　｢その娘さんがネックだったんだ、奥さん、そうで　しょうが｣　平田は鬼の首を取ったかのように得意げでした。　｢いまさら、なんだって言うんですか？　主人と娘はうまくいってましたよ。あれで、なかなかの　子煩悩でしたからね｣　｢そりゃあ、娘さんが幼いころは、ね｣　平田は意地悪くせせら笑ったんですよ。　｢だけど、奥さん、娘さんが年頃になるにつれて　ご主人の態度が変わった、そうでしょう｣　｢平田さんておっしゃいましたよね。　いい加減にしてくれませんか。娘は今では結婚して　子供までいる身です。万事がうまくいっているんですよ｣　｢ほらほら、奥さん、娘さんのことになると、そんなに　興奮する。図星だね｣　　　　　　　　（続く）　

  2008年07月22日

• 熱帯夜話　　５

  　どういう下心か、ですって？　人の弱みにつけこんでお金をゆすろうって　魂胆なんです。　そうは問屋はおろしませんよ。　当たり前じゃあありませんか。　私にはなんの弱みもありゃあしませんからね。　平田っていう元刑事が今頃になって　難癖をつけたからって私はびくともしませんよ。　１５年の時効が成立している以上、もう誰もとやかく　言うことはできないんですからね。　たとえ私がやったとしても、ですよ。　でもね、あの元刑事が一体私にどういう動機があったって　思っているのか、そこのところだけは、きいてみたかったん　ですよ。　｢奥さん、あんたは死んだご主人とは、子連れで再婚している　でしょうが｣　って平田さんは、してやったり、というように満面に笑みを　うかべて言いましたよ。　　　　　（続く）

  2008年07月17日

• 熱帯夜話　　４

  　つい２.３日前に元刑事の平田さんて方が訪ねて　きました。　夫の死の直後私の任意の事情聴取を担当した刑事　さんなんですがね。　なんでも今春定年退職して今はぶらぶらしている　んだとか。その平田が来て言うのに言うには、　あぶら汗でぎたぎたした鬼瓦みたいな顔をして　すごんで見せるじゃありませんか。　｢奥さん、あんたって人は怖い人だなあ。ご主人を　やって平然としている。　そのうえ運がよかった。　ご主人が海に転落した　あの夜は、夕方降った雪が明け方にかけて　１メートルも降ったんだ。　だから足跡はどれも皆きれいさっぱりと雪に覆わ　れてしまったんだ。　あの日の天気予報があたった、それがなによりも　あんたには都合がよかったってわけだな」　ってね。　｢言いがかりはやめてくれませんか。　もう１７年も前のことをほじくりかえしても　なんにもなりゃあしませんよ。　殺人の時効は１５年だっていうじゃありませんか。　もしも仮に私がやったとしても、もう立派に時効に　なっているんですから｣　って言い返してやりましたよ。　どういう下心があるのか、だいたい察しがついて　いるんですよ。　　　　　　（続く）

  2008年07月16日

• 熱帯夜話　　３

  　　｢波の花｣の浩子さんだって充分に動機はあったんですから、　ねえ。　やっぱり警察で事情聴取はされたらしいですよ。　でもね、動機があったにしても、やったといえる確証もない　んじゃあ仕方がないんですよね。　それからまもなく浩子さんは恋人と所帯を持って東京へ舞い　戻りましたがね。　まあ、ハッピイエンドってわけですよ。　うちの人をやったのは、じゃあ一体誰だったんでしょうねえ。　容疑者と呼べる人はまだ一人いるんです。　玉村っていって夫の会社の同僚だった人ですが、この人とは　気があってよく飲みにも行っていたらしいんですがね。　死んでからわかったんですが、この人に２００万ほど借りて　いたんです。うちのがね。　なににつかったんだか、おおかたパチンコでもして負けが　こんだんでしょうが、その借金はもちろん私が返すしかない　じゃあありませんか。　どうやら生前、返す返さないでもめていたそうでしてね。　そのせいか玉村さんだってあやしいんじゃないかってみな　されていたようでした。　ところが、うちの人の死亡推定時間には玉村さんは仙台に　出張中でこの町にはいなかった。　つまり立派なアリバイがあったんですよ。　とどのつまり、事故死ってことになってしまいました。　　　　　（続く）

  2008年07月13日

• 熱帯夜話　　２

  　介護サービス業をはじめてみて、まず思ったのは、要介護の　老人をお世話するなんて聞こえのいいことを言うけれど、　しょせんは姥捨山の管理をまかされているにすぎないんだって、　それもしっかりお金を取ってね。　今では会社がどんどん大きくなって、ケアマネージャーや　ヘルパーなど全部で社員４０人の所帯にふくれあがってしま　ってね。　娘夫婦が経営を手伝ってくれているので、ずいぶん助かって　いますがね。　そうそう、夫の死んだ直後、私だって一応取り調べにあって　いるんですよ。　警察にすれば女房の私が一番殺す動機があるってみたんで　しょうよ。　まちがっても夫婦仲はよくはなかったしねえ。　だけど、それはあんまりだわねえ。　私、警察で言ってやりましたよ、「波の花」の浩子さんの　ほうがあやしいってね。　なぜって、浩子さんには結婚を申し込んでいる年下の恋人が　いたんですよ。　それなのに、うちの人が嫉妬して二人の仲をこわそうとした。　だから浩子さんがうちのを海に突き落としたんだって、ね。　でも、結局は決定的な証拠はあがらないままにうちのは事故死　として片づけられましたがね。　それにしても、なんであんな雪のなかをわざわざ波止場まで　出かけて行ったんでしょうねえ、うちの人は。　　　　　　（続く） 　　　

  2008年07月11日

• 熱帯夜話　　１

  こうもうだるような暑さでは、たまりませんねえ。　そこで暑さを吹き飛ばすようなお話をひとつしま　しょうかしら。　主人が亡くなって今年で早くも１７年がたちました　けど、その死後しばらくはいろんな噂がたちまして　ねえ。　もちろん私の耳にもあれこれと入ってきましたよ。　なかにはひどいのになると、女房の私が殺した んじゃないか、　なんて陰でこそこそ言う人もあったくらいです からね。　夫の死因は溺死だったんですがね。　死んだ人のことを悪く言うのもなんですが、　夫は酒癖が悪くってね。　酒さえ飲まなければ悪い人じゃあなかったんです　がねえ。　酒がやっぱりいけなかったんです、雪の降る夜になにを　思ったんだか酔っ払って港へ行き、海に転落して死んだ　んですからね。　それと言うのも港近くに行きつけの飲み屋があったんですよ。　｢波の花｣っていうね。　そこの女将の浩子と出来ていたっていうのが、　もっぱらの噂でしたがね。　その浩子てのは、なかなかの垢抜けした人でね。　もっとも東京生まれの東京育ちだから、　こんな北陸のさびれた港町にゃあもったいない　ような美人でしたよ。　今どうしてるって？　ちゃっかりと東京へ舞い戻って人の奥さんに納まって　いますよ。　したたかといえば、したたかだわね。　私はどうしてるって？　母がやっていた派出看護婦紹介業を継いで、　ほそぼそとやっておりましたが、　介護保険制度ができたのをきっかけに介護サービス業に　手をのばして今ではこれでもひとかどの社長です。　人の運って、どこでどうなるものやら、わかりません　よねえ。　　　　　　（続く）　　 　　

  2008年07月09日

• 耀梨よりお侘び！！

  　せっかくご愛読いただきました、「木の芽どき」は越前松平家の 傍流のさるお方からのたってのお願いにて、これより停止させて いただきます。　　また別の小説をご用意させていただきますので、 平にお許しのほどお願い申し上げます。　　耀梨

  2008年07月09日

• ちょっと一言

  　「木の芽どき」を書くにあたり、越前松平家に失礼があって　　　　　は、いけないので、今のご当主がどういう方であるのか　調べさせてもらいました。　そのうえで、あくまでフィクションとして執筆いたして　おりますから、どうか、そのおつもりでお読みになって　ただきたいのです。　はばかりながら、資料はきっちり押さえたうえでの物語りで　す。　また尊き筋にまで、筆がおよばないようには、十分配慮　いたしております。　そこのところをご納得いただきますよう、切にお願い　申し上げます。　　　　　　耀梨

  2008年07月02日

• ２ヶ月以上の！

  　ご無沙汰でした！　おかげでＰＣの操作がぎこちなくなってしまい、驚いています。　あるサイトのブログジャックをされて以来　ＰＣに向かうのさえも　嫌気がさしてしまい、まったくＰＣに近寄らなかったのです。　この日記も閉鎖しようかと、よほど思いましたが、かろうじて　思いとどまりました。　今朝ブログを書いている夢をみて、また日記を書く気になりました。　ぼちぼち小説など再開してみようかな、とも思えるようになりました。　でも、お願いですから、いやな書き込みだけはしないでくださいね！　書き込みの品位のなさは、その人の本性の表れだと思います。　　

  2008年06月08日

• カラオケセットを買う

  　母が大のカラオケ好きなので　思い切ってカラオケセットを買いました。　ところが、テレビが旧式なもので　接続できないために　残念ながらＤＶＤを見ることができません。　せっかく買ったのに　これではカラオケセットの　意味がないのです。　仕方なくＣＤを聴いておりますが、　衝動買いは　やはりダメですね。　後悔したところで始まりませんよね・・・　　

  2008年03月22日

• おわび！

  　しばらくの間コメントはお受けしないことにいたしております。　まったくの私事で申し訳ありませんが、お許しください。　心ない書き込みをされるのは、苦痛以外のなにものでも　ありません。　リンクを張っていただいている皆様には、ご不快な思いを　なさっていることと思いますが、なにとぞよろしくお願い　申し上げます！　　　　　耀梨　　　　

  2008年03月20日

• 母の病状がよくなって！

  　母に島倉千代子のCDを聞かせてみました。　すると、どうでしょう。　近頃　認知症が　ひどくなって心配しておりましたのに　CDに合わせて　「この世の花」をくちづさむではありませんか！　これは　母が若い頃の十八番だったのです。　表情までが　やわらいで　昔の母にもどっているのです。　音楽は脳を活性化するのだそうで　「デーサービスのカラオケのﾚﾊﾟｰﾄﾘｰが増えたわ！」　と上機嫌なんです。　こんなに効果があるのなら　毎日音楽を　すこしづつ聞かせてみることにしました。　それにしても　よかったとしみじみ思いました。

  2008年03月06日

• たびたびで申し訳ありませんが！

  　またまた　改名することにしました！　プロの易者の友人のアドバイスにより　「智子」から「耀梨」（ようり）に変えます。　これは　今まで　俳号としてつかっていたものです。　私事の勝手で　皆様には　ご迷惑をおかけしますが、　なにとぞ　お許しくださいませ！　

  2008年03月05日

• またもや？！

  　またもや　失敗をやらかしてしまいました！　　ATMで　出したばかりのお金を　失くしてしまったのです！　あんまり　そそっかしいので　　我ながら　あきれてしまいました・・・　もう　ないものと　あきらめていたのですが、　なんと　出てきました！　落とした　お店に　申し出たところ　拾った方が　お店に　落し物として　届けてくださっていたのでした。　そんなことって　あるのでしょうか？　私には　しばらく　信じられませんでした。　これって　奇跡に近いじゃありませんか？！　でも　事実なんです！　お名前さえも　わからない　その方に　何と　お礼を言えばいいのでしょうか？　せめて　お名前だけでも　教えてくださっていれば・・・　残念でなりません。　それにしても　あきらめていたお金が　もどってきたのには　おどろきました！　春から　奇跡的な　お話です！！

  2008年03月04日

• ３０年ぶりの再会！

  　小学時代の友人が突然訪問しました。 　会わなくなって３０年ぶりでした。 　彼女はバツイチで　京都で看護婦をしているのですが、 　若年性アルツハイマーの弟を抱えて苦労しています。 　その弟も連れて来ましたけれど、まだそれほどの年でも 　ないのに、完全に呆けてしまって日常生活さえも 　まったくできなくなっているのです。 　お茶を飲むのでさえも、ひとりではできません。 　私も母の認知症には泣かされているので、ひとごととは 　思えず、彼女と手を取り合って思わず泣いてしまいました。 　それにしても、改名して以来不思議なこと続きなので 　驚いてしまっています！ 　あらためて改名の効果に感服しています！！

  2008年02月24日

• 改名の効果？

  　　立春をすぎてから　どういうわけか 　ついてきました。 　ほんの些細なことではあっても、すいすいと 　事が運ぶようになったのです。 　たとえば、思いがけない人から 　力になってもらえたり、 　予期せぬプレゼントが届いたりと 　いうふうにです。 　これって　改名のおかげでしょうか？ 　うれしいご報告です！

  2008年02月15日

• 改名します！！

  　これまでご難続きでしたので、 　智子（さとこ）に改名いたします。 　これは、ペンネームとしてつかっていたものですが、 　これからはブログでも使用します。 　心機一転がんばりますので、なにとぞ 　よろしくお願いいたします！！ 　ニックネームも智子（さとこ）で 　お呼びくださいね！ 　　　　改名し新規一転梅匂ふ　　智子

  2008年01月31日

• メタボはごめん！

  　そそっかしいもので、　左手に怪我をしてしまいました。　左ききなので、　全治３週間の傷のおかげで　台所仕事がなかなか思い通りにいかず　ついつい横着をして　コンビニ弁当にもっぱらお世話になりました。　今日は２ヶ月に一度の定期検診。　採血と尿検査がありました。　このところ１年ほどその検査を　してはいませんでしたので、　メタボになってはいないかと　内心不安でした。　が、案ずることなかれで、　異常なしでした。　あ～あ、これでひと安心です。

  2008年01月29日

• 「ゴッドファーザー」にはまって

  　松の内は「ゴッドファーザー」にはまっていました。 　これは「ゴッドファーザー」の３部作のビデオで、 　今まで観たいと思いながら　なかなか手に入らなかった 　のですが、どうにか入手することができたのです。 　これはとわくわくしながら観ました。 　パート１は学生時代にロードショーで観ました。 　以来もう１度観たいと思ってきましたので、 　ようやく念願がかなったわけです。 　暇さえあれば繰り返し観ました。 　観るたびに感動を新たにして 　飽きるということがありませんでした。 　特にアル・パチーノの　頼りなげな坊ちゃん育ちから 　冷血なマフィアに脱皮してゆくのがスリリングに描かれていて　はらはらどきどきさせられました。　それにしてもアル・パチーノの凄みのある演技力には　ただただ脱帽です！　

  2008年01月18日

• ついに！

  　　ついにユキノを家のなかに入れてしまいました。 　今日は明け方には急激に冷えこみ　　ユキノがあられに打たれているのを見ると　いじらしくなって、とうとうなかに 　入れて抱きしめてしまいました。 　かわいそうに　体がずぶぬれで冷え切っています。 　タオルで拭いてやると 　タオルのはじをくわえてじゃれています。 　まだユキノは７ヶ月で　成犬にはなっていないのです。 　なんだかんだと言っても 　ユキノを庭に出してからの３週間は私には 　かなりのストレスになっていたのです。 　これで　ほっとしました。 　ユキノが人間のぬくもりをほしがったように 　私もまたユキノが身近にいなくって 　なんだか落ちつかなかったのです。 　ユキノ、一緒におばあさんになって 　いこうね、寄り添いあって！

  2007年12月07日

• グッチを買い損なって！

  　午前９時すぎ、ハンドバックに入ったままの携帯が鳴りました。 　あわてて出てみると高校時代の友人からでした。 　この人はいつもけだるそうにものを言うので 　短気な私は手短にすませたかったのです。 　地元のショッピングセンターでバーゲンセールが 　あってグッチの１１万するレディースの時計が２万８千円で 　売り出すから立て替えて買ってほしいと言うのです。 　そのグッチをほしがっているのは、 　彼女ではなく、彼女の娘だったのです。 　だったらその娘が自分で買いに走ればいいのです。 　ところがせっかくの土曜だから朝寝がしたいらしく 　そうかといって彼女は孫の守をしなければならないので 　だから、そのかわりにこの私に買いに行けという 　論法なのです。 　彼女の親ばかぶりにも腹が立ったのですが、 　頼まれたら嫌とは言えないのが、私の悪い癖です。 　「それじゃあ」とついつい言ってしまいました。 　いやいやながらショッピングセンターへ出かけたのは、 　１０時半すぎていました。 　２階のブランドもののコーナーに行ってみると 　すでにグッチは売り切れていました。 　念のために店員に訊いてみると 　開店の１０時ちょうどに即売だったそうです。 　私は腹のなかで「ざまあみろ！」と思いました。 　なんだか鼻歌でも歌いたい気分になりました。 　こんな私はいじわるなんでしょうか？

  2007年12月01日

• 満月楼事件　１０

  　「栃木げじげじ｣殺しの犯人は、一体誰なんかですって？　まあ、話には順序ってものがありますんで、　そんなにあわてないでお聞きになってくださいな。　染吉がもどされてから３日目に　なんと今度は　うちの仲居の久江がしょっ引かれて　しまったんですよ。　これには私にも寝耳に水でした。　店の従業員から犯人を出したんじゃ満月楼の名にも　傷がつくってものじゃありませんか。　仲居頭の私としても頭の痛い出来事ですわね。　おかみさんとふたりで、ただもう青ざめてしまいましたよ。　久江ってのは４０歳なかばの、ちょっと垢抜けした　女だったんです。　病気勝ちな、内縁の夫を抱えて苦労してたっていうのに　げじげじと深みにはまってしまいましてね。　よくある話ですわね。　げじげじは、始めはいいこと尽くめでくどいたんだそうです。　お前を囲ってやるから、とかなんとか言ってね。　久江もすっかりその気になっていたんだけど、げじげじが　まだ２５歳のあでやかな染吉姐さんに心変わりしたもんだから、　そりゃあないだろうって、逆上しちまって、ついに犯行におよんだ　んだっていうのが、警察の見解でしたが。 それにしても、まさか久江がげじげじとそんな仲だったとは、　夢にも思いませんでした。　私としたところがうかつでしたよ。 久江は、もちろんお縄になって一件落着だと思ったんです。　ところが、そうはいかなかったんです。

  2007年11月28日

• 病院って嫌い！

  　昨日は肺のCTをとる予定だったのです。 　ところが母をデイサービスに出さなけれならないので 　迎えのバスを待っていたら 　病院から電話あって 　CTの予約時間に遅れた、と 　クレームは入りました。 　とにかくそこは謝って 　時間をのばしてもらい 　母を送り出すと 　あわてて病院に駆けつけました。 　やっとのことでCTを終え 　結果は異常なしだったのはいいのですが、 　あわてふためいたせいで 　心臓がどうにかなったかと思うくらいに 　どきどきして　息苦しいことはなはだしく 　すっかりくたびれてしまいました。 　なんでこーなるの？！ 　もとはといえば 　CTに遅れたからなのですが、 　こんなに大あわてする必要があったの？ 　あ～あ、これも老化現象のせいなんでしょうかねぇ！ 　それにしても病院って嫌いです、　いるだけで気分が悪くなってしまいますよ、　まったく！！

  2007年11月28日

• 満月楼事件　９

  　ところで染吉はどうなったか、ですって？　ええ、それが３日３晩しぼりあげられた末、　証拠不十分で釈放されはしたんですが、ね。　よほど取り調べがきびしかったんでしょうね、　憔悴しきって、まるで２０歳は年をくったみたいに　やつれましてね。　見るも無残でしたよ。　決定的な証拠がないっていうんで、　いったんは帰されはしたものの　そこは口さがない花街のことでして。　犯人は染吉姐さんだっていう噂がぱーっと　広がってしまいましてね。　おかげで姐さんは、人目もはばかる有様で。　当たり前ですよ。　２月２７日の明け方から出た戒厳令のおかげで、　私どもは皆まともに外出さえ　できない状態なんですから。　言ってみれば、監禁されたも同然なんですよ。　この花街はすっかり灯が消えたみたいになって　しまって、ね。　暇をもてあまして、もっぱら噂話に熱中したって　わけですわ。　ですから、ますます染吉は、いたたまれなく　なっちまいまして。　今でいうノイローゼになってしまったんです。　２月２９日にようやく叛乱が鎮圧されて、事実上戒厳令も　解かれたんですけどもね。　それで、私ども庶民もやっと自由になれたってわけです。

  2007年11月26日

• 早起きは？

  　風邪薬をのむと、どういうわけか、　たまらなく眠たくなってしまいます。 　だから、このところ８時前にやすみ 　３時起きなのです。 　あまり早起きなので、することもなく 　やむなくＰＣにむかって 　ブログめぐりをしたりして 　時間をつぶしています。 　私が起きると犬までが 　起きだしますので 　たぶんユキノは迷惑しているのじゃないでしょうか？！ 　かわいそうに！！

  2007年11月25日

• 毎日おでん！

  　　風邪をひいたせいで 　できるだけ家事をさぼって 　ごろごろしています。 　おとといはおでんをどっさりと作りおきして 　毎日おでんばかりです。 　いくら手抜きとはいえ 　さすがに３日目ともなると 　あきてきましたが・・・・ 　まあ、いいか、 　まだ風邪はなおってはいないのだし　おでんの味がしみてきて　おいしくなってきたのだし！

  2007年11月24日

• 満月楼事件　８

  　本当に一時はどうなることかと、この私まで肝が冷えましたよ。　すると、富奴が、染吉の妹分なんですけども、　その富奴が威勢よく座敷着を脱ぎ始めたじゃあないですか。　そうして長じゅばん一枚になったんです。　それに負けじと、もうひとりの妹芸者もぬぎにかかったんです、　がむしゃらにねえ。　三人が長じゅばん姿で示し合わせて今度はさんさ時雨を踊り 　だしたんですよ。　富奴の機転でその場はどうにか納まったんですよねえ。　さすがに私もほっと胸をなでおろしました。　矢部は、かえって機嫌をよくしたくらいだったんです。　その夜はますます勢いづいて１２時すぎまでどんちゃん騒ぎ 　でして。　ようやくお座敷がひけた後、矢部はひと眠りするからと言って　離れの奥座敷でやすんだんです。　それは、この私が立ち会っていますので、　もちろん警察にだって、ちゃんと証言しましたが、ね。 　２６日の明け方から降りだした雪が中庭の木々につもって　いたのをいまだにおぼえておりますものね。　

  2007年11月23日

• 満月楼事件　７

  　　殺しのあった前夜、つまり２月２６日のことですが、　今にして思えば染吉は松島中尉が２・２６に関わって　いるらしいってんで、食事もろくにのどを通らない　状態だったそうで。　そりゃあ、居ても立ってもいられやしないのもわかりますよ。　それでも、矢部のお座敷は勤めなきゃならないですしね。　矢部は、何日も前からその夜の予約を入れてあったもの 　ですから、２・２６で上を下への大騒ぎになっていたって 　お座敷をフリにはできなかったんですよ。　いつものことながら、始めは１０人もの芸者の総踊りで。　私ももちろん仲居頭っていう役目上仲居たちの指図を　しておりました。　東京音頭を皆でどんちゃん騒ぎしたんですよね。　次が野球拳ときたけど、矢部が負けた者は、一枚づつ 　脱げっていうもんですからねえ。　いつものこととはいえ、まったく下品な遊び方をするもの　ですよね。　その夜はどうしたことか、染吉姐さんが最後まで負け残っ　てね。　　結局、長じゅばん一枚になってしまったんです、はい。

  2007年11月23日

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