[カテゴリ未分類]の記事一覧 | 俳ジャッ句

「忘れ花」予告編！

　「残花抄」で長橋中尉の愛人である赤坂芸者の小勇の側から　２．２６事件を書いてきましたが、書きながらも、中尉の妻はこれを　どのように受け止めて生きていったのかと思うことしきりでした。　２．２６の首謀者の一人として逆賊のレッテルを貼られて処刑された　将校の妻は、それからどのように生きていったのか、と思うたび　女の立場からすれば、その残された者の人生が並大抵では　なかっただろうと、想像するだけでも、ため息がもれるのでした。　来週から「忘れ花」では、長橋中尉の妻光子の側から見た２．２６を　書いてみようと思います。　なにとぞよろしくおつきあいを願います！　　　　ちなみに「忘れ花」とは、帰り花、または狂い咲きともいい、　　　　冬に季節はずれに咲く花のことをさしております。　　　　桜や梅、すみれなど、季節をたがえて咲く花の哀れさが　　　　あります。　　

2006年10月15日

寝過ごした！

　私は、早寝早起きの権化のような人間なのですが、　今日はどうしたわけか、６時まで目がさめませんでした。　夜中に一度目がさめてタローのおむつを替えて、また　ベッドにもぐりこんで、というわけで寝過ごしてしまいました。　今日は日曜だから、まあ、これもよしとして・・・　ただ、私は寝起きが悪いのか、起きてすぐには頭が　回転してはくれませんで。　小一時間ボーっとしていないと、ダメなたちでしてねえ。　仕方がないので、コーヒーを飲みながら、たばこをふかし　ながら、また葉加瀬太郎をききながらＰＣにむかっています。　日曜だから、ごめんなさ～い！

2006年10月15日

お鍋をこがした！

　ブログを書いている途中でお鍋を　こがしてしまいました！　かぼちゃを煮ている最中だったのです。　我が家のガスレンジは、自動的に消えるタイプ　なんですが、それでも、かぼちゃの表皮の部分は　黒くこげてしまって、あ～あ、　お鍋は真っ黒こげ！！　元来私は天然ぼけで、ごていねいにも　そそっかしいのですが、お鍋をこがすなんて　これがはじめてなんです。　こげたお鍋はどうしたらいいんでしょうか？　もうつかえませんか～？！　だれか教えてください！！　　　Ｓ・Ｏ・Ｓ！！！

2006年10月13日

認知症予備軍！

先日、精神科医の弟にきいてみました。　「些細なことを、うっかり忘れたりしない？」　「そりゃあ、あるさ。　それが老化現象ってもんなんだから」　彼もそろそろ５０代に突入するという年代　だからです。　「２０代や３０代では、ありえなかったような　ことを、うっかり忘れてしまうんだからねえ」　と、私がため息まじりに言うと、　弟は笑いながら　「仕方がないさ。　５０代６０代は痴呆予備軍だっていうからね」　と、あっさりとこたえるではありませんか。　そうか、もうそろそろ認知症の下準備に　とりかかっているのだなあ、と変に納得して　しまいました。　それにしても、わびしいかぎりではありませんか！

2006年10月13日

哀愁のからまつ林

　私は島倉千代子の「哀愁のからまつ林」が　大好きです。　これは、私がまだ小学生の頃にヒットした曲　ですが、この歌詩が今でも泣かせるのです。　私の一番好きだった、いわば本命の人との　別れのシーンが、似ているからです。　それを思い出すたびに、この歌がたまらなく　聴きたくなるのです。　歌詞をここでご紹介いたします。　涙あふれて　はりさけそうな　胸を両手で　抱きしめる　みえないの　みえないの　背伸びをしても　ああ　あの人は　行ってしまった　からまつ林　あとも見ないで　別れていった　男らしさが　哀しさが　燃えるよな　燃えるよな　夕焼け小焼け　ああ　帰りましょう　影を踏み踏み　落ち葉の道を　作詞　　西沢　爽　作曲　　船村　徹

2006年10月13日

訂正とおわび

　　　　　曼珠紗華咲いてここがわたしの寝るところ　　種田山頭火　昨日の記事では｢寝るところ｣を｢ねるところ｣と　してしまいました。　白髪のうさぎさんからのご指摘により原文をたしかめました　ところ、間違いがわかりました。　ここに訂正しておわびいたします！　また白髪のうさぎさんが、じつにうがったコメントをくださったので　その全文をここに掲載させていただきます。　｢山頭火にしては、韻律のある句ですね。　ねるところは、原文でもかな文字でしたか、　それは、死ぬところ、あるいは葬られるところといった意味　かも知れませんね。　放浪のはてに野垂れ死にする覚悟だったんでしょうね。｣　以上が白髪のうさぎさんのコメントです。　たしかに、言いえて妙ですね！

2006年10月06日

ふるさとや葛の風さへ荒々し

　　　　　　ふるさとや葛の風さへ荒々し　　鈴木真砂女　｢太平洋から吹きつける風が、丘や土手をおおって　いる葛に荒々しく当たる。　悪女の汚名を着た私にもきびしく当たる｣　と、真砂女は書いております。　夫を捨て家を捨てて年下の男のもとに走った　真砂女は、悪女と呼ばれて世間の非難をあびたの　です。　彼女は７０代になってようやく俳人として認められ　ましたが、ふるさとでは悪女の汚名を着たままでした。　

2006年10月04日

元気の出るおまじない！

　私の元気のでるおまじないは、葉加瀬太郎をききながら　筑前煮をつくることです。　筑前煮は、私の大好物であり、一番の自慢料理でも　あるのです。　葉加瀬太郎の曲のなかでも｢流転の王妃｣が一番好きです。　これは、ＴＶドラマのサウンド・トラックなのですが、ドラマを　ごらんになった方もいらっしゃるかと思います。　葉加瀬の作曲でモスクワ・フィルとの共演です。　彼のバイオリンが、またとてもいいんですね。　思い切りボリューウムをあげてきいています。　もっとも、騒音おばさんにならないように、ほどほどの　ボリュームではありますが。　そろそろ筑前煮もできあがりましたので、今日は　この辺で・・・・

2006年09月29日

透明人間になって

　いい年をして透明人間になれたらなあ、と　ほとんど本気で考えることがあります。　そして、いろんないたずらを次々にやったら　どんなにか痛快でしょう。　たとえば、昔好きだった人のところへ行き、　彼がどんなふうに仕事をしているのか、　のぞくことだってできるわけですから、　彼が役所でふんぞり返っているのも　目の当たりにすることができますよね。　部下を叱りつけているところへ行って、　彼の耳をひっぱってやるとかも　できますしね。　そんな子供じみた空想をしていると　なんだか自分が落ち込んでいるのさえも　バカバカしくなってくるから不思議です。

2006年09月27日

ちいさな、ちいさなつぶやき

　どうも今ひとつひらめきません。　だからＰＣの前でたばこをいっぽん、二本とふかして　いるだけです。　マイルド・セブンのワンを今日は、はやくも一箱からに　してしまいました。　そんなに吸ったら肺がんになるよ、ですって？　でしょうねえ、でも、わかっていてもやめられません。　というよりも、やめる気はさらさらないんですよ。　ニコチン中毒なんですよ、私は。　たばこをぷかぷかふかして、人をけむにまくのが、　趣味といえば、趣味でしてね。　え？　趣味がわるい、ですって？　ほかにこれといって、ましな趣味がないものでしてね。　仕方がないので、今日はロールキャベツでもしましょうかしら。　やれやれ。

2006年09月26日

ちいさなつぶやき

　その日の気分によって、書きたくないときがあるものです。　今日も、実はそんな日なのです。　ＰＣにむかっても、文章が浮かんでこないのです。　ふつう考える前に、指が勝手にキイをたたくのですが、　今日はその指が動かないのです。　しかたがないので、ぼんやりとたばこをふかせて　時間をつぶすしかありません。　そろそろネタぎれですかしら・・・　いつもはおしゃべりな女易者が今日はどういうわけか口を　きいてはくれません。　たまには、なにも書かない日があったっていいじゃあない　ですか。　そう自分に言い聞かせて、これから里芋の煮っ転がしでも　つくるとしましょうかねえ。

2006年09月25日

またもや　うざい疑問！

　犬にも認知症はあると、きいたことがありますが、　本当なのでしょうか？　我が家の愛犬は、家中を徘徊しております。　うしろ足がふらついているにもかかわらず、　あちらこちら、ぷらぷらと歩き回るのです。　それも、困ったことには、おしっこをちびりながら　なのです。　もちろん、庭にも出ていますので、そこで用をたせば　よさそうなものなのに、です。　そんなふうに起きている間中、徘徊しております。　人間の場合、認知症には徘徊する人もいるわけですが、　犬の場合はどうなんでしょうか？　かかりつけの獣医さんにおききしても、首をかしげて　いるだけで、要領をえません。　どなたか、ご存じありませんか？！　

2006年09月25日

うざいおばさんのうざい疑問！

　今年の２月にこのブログをはじめてから、私はなんの　下書きもなく、直接行き当たりばったりに書き込むと　いう方法をとっています。　もちろんワードなどに下書きを書くなどということもなく　ぶっつけ本番で行っています。　他のかたは、どういう方法で書き込みなさっている　のでしょうか？　私の場合、いまさらワードに書くという面倒なことは　できっこないのです。　と、いうよりも、ワードに原稿を書くのが、わからないんですね。　やっぱりアナログ人間の典型ですかしら？

2006年09月24日

お知恵、拝借！！

　どなたかお知恵を貸してくださいませんか？！　我が家の愛犬は、１４歳、オスの柴犬ですが、　年のせいで、足(特に後ろ足)がよたついてきています。　室内で飼っているのですが、うんちもおしっこも　もう垂れ流し状態です。　犬用のおむつをしても、勝手にはずしてしまうので、　どうにもなりません。　毎日、苦痛の連続です。　どなたか、お知恵をお貸しください！！！

2006年09月23日

また、ちょっとひと言！

　また今日も一人やめると言い出しました。　この人の場合、前にも一度こういうことがあったので、　またか、という思いが強くって、もう止めるのにも疲れ　果てて、半分どうにでもなれ、という気になりました。　これは、彼自身の物書きとしての正念場でもあります　ので、私はあえて止めずにいようと腹をくくりましたよ。　本物をめざすのなら、もう一度硯を洗って出直すのも　よし、はたまた、ここでぐっと踏みとどまるか、二つに　一つ、どちらに転ぶにせよ、男の力量の見せ所でも　あると思います。　かく言う私は、千夏と名乗ってはいても、その実、男なのじゃないかと　思われているらしく、そこが私自身可笑しくってならないのですが、　まあ、男がいったん決断をくだしたことならば、と言うしかないじゃあ　ありませんか？　はたして男の方はどう思われますかしら？　ご意見、お待ちいたしております！

2006年09月21日

千夏の誰かおしえて！

　近頃、楽天に異変がおこっているとは思いませんか？　たぶん偶然なんでしょうが、大潮のようにゲストさんが　どっと押し寄せて来ていたんですが、最近あまりなくなり　ました。　その波のようなゲストさんは、ある決まった時間帯に　押し寄せてくるのです。　私のブログの場合、早朝が多かったのです。　fc2とかdionとかのゲストさんなんですが・・・　それが近頃ぱったりなくなりました。　これは、私のところが面白くないからかしら、とも　考えてみたのですが・・・　それとも、楽天になにかの事情でゲストが大量に　入りにくくなったせいなのでしょうか？　どなたか教えていただけませんか？！

2006年09月16日

八つ当たり　体当たり

　近頃特に面白くないんですよ！　何がって、あーた、わが母君は認知症、わが愛犬は老衰で要介護、　これじゃあ、体がひとつしかないんだから、私、お手上げですよ、まったく！　例をあげれば、床を歩くときは、愛犬殿のうんちをふんづけないように　抜き足、差し足で行かねばならないのです。　犬も年をとると呆けて、どこにでもうんちをたれるんですからね。　そんな犬は保健所へやってしまえ、というご仁もいるんですが、ねえ。　私は、虫も殺さぬ、主義でしてねえ。　そんな殺生はできないんですよ。　だから、朝起きたら、戦場です。　犬のうんちどころか、母君の下の世話に大奮闘しなけれがならない。　まったく、なんの因果でこんな目にあうのやら、よほど、前世で悪い　ことをしたんですかねえ！　もう、ブログを書いているどころではありませんよ！　　

2006年08月27日

澤田美喜の生涯　ダイジェスト

　澤田美喜(１９０１～１９８０)　　混血孤児を２０００人以上育てあげたエリザベス・サンダースホームの　創設者、澤田美喜は、三菱財閥の岩崎弥太郎の直系の孫として、また　男爵令嬢として東京の本郷に生まれた。　２２歳で外交官の澤田廉三と結婚し、イギリスやフランスなどで外交官夫人と　しての海外での生活を長年経験する。　終戦後の昭和２３年２月、神奈川県大磯にてエリザベス・サンダースホームを　設立した。　これは進駐軍の兵士と日本女性との間に生まれ、捨てられた　孤児たちを引き取り、育てるための施設であった。　そこは、美喜の実家である岩崎家の別荘であったところなのだが　いったんは国に物納されてしまったものを買い戻すという紆余曲折を経て　施設となったのだった。　なぜなら、戦後の財閥解体と華族制度の廃止により、岩崎家といえども本宅を　のぞいては、ほとんどの不動産を手放す羽目になってしまったからだった。　美喜は、｢女弥太郎｣と言われた、持ち前のねばりと負けん気を発揮して　ＧＨＱにかけあって、大磯の別荘を買い戻したのである。　また美喜は私財はすべて施設運営につぎ込み、多額の借金を背負い　寄付をつのるために国内外を奔走した。　文字通り｢ライオンのように困難に立ち向かい、羊のように孤児たちに接した｣　のであった。　　

2006年08月20日

ちいさなつぶやき

　ＴＶでエリザベス・サンダースホームの澤田美喜の生涯を描いた　ドラマをみて以来、自分はほんとうにこれでいいのか、と立ち止まる　ことが多くなった。　たしかに２０００人以上もの混血児をひきとって育てあげた澤田美喜の　偉業はなみたいていの人間には真似のできないことである。　旧三菱財閥の岩崎弥太郎の直孫として生まれた美喜だからこそ　できたと思えるふしはあるものの、市井の私ごときおばさんでも　人のためになることを何ひとつもしないで一生を終えるのは　道端に転がっている石ころなみの存在にすぎないといえるのでは　なかろうか。　そう思うと、たまらなく苛立たしく、またむなしいのである。　どなたか、よいお知恵拝借できませんか？　

2006年08月19日

猛暑の妄言

　あまりの猛暑に脳みそまでが腐ってしまったらしく、思いつくままに　妄想を書きちらかしますが、妄想菌がうつらないようご注意ください。　昨日、ブログを閉鎖することを宣言したものの一夜あけて、もう前言を　ひるがえして書いておりますから、われながら節操がないとあきれはてて　おります。　まあ、これも妄想菌にやられてしまったせいだとお笑いください。　風の吹くまま気の向くままに小説を書いては、まだ完結しないうちに　また別のものに手をつける、というだらしないことを繰り返しているうちに　自分でも収集がつかなくなって、なにをどうしたらよいのか途方にくれて　おります。　この悪癖は、小説だけではなく、一事が万事なのです。　たとえば、掃除はするにはするのですが、四角いところを丸く掃く　といった具合なのでして。　整理整頓がまったくできないたちなんですね。　これは、もう病気といっていいくらいでして。　こういう女は主婦には不向きですよねえ。　洗濯しもって料理し、そのうえＰＣに向かって書く、という三刀流ですので　ますます混乱してくるのですが、これがまたやめられません。　ナスのいため煮をしながら、書いておりますけれど、鍋をこがしては　いけませんから、今日はこの辺で失礼します。　　(暑気払いに雪景色を選びましょう！) 　　　

2006年08月16日

千夏のなげき節

　このうだるような猛暑のさなかに、まったくやりきれない気分です。　先日モノローグでブログ仲間がたちの悪い嫌がらせをされて　ブログを閉鎖したことにふれましたが、その彼女から連絡が　ありましてね。　また別のブログをはじめたというので、のぞいてみました。　嫌がらせの相手が書き込みをしてありましたので、これぞと　ばかりに　｢ストーカー法ってごぞんじですか？　あなたの行為は立派な犯罪になるんですよ！｣　ってコメントしておきました。　ところがどっこい、これにはわけがあったんですよ。　私っていい年をしてそそっかしいですねえ。　人の恋路を邪魔してしまったんですねえ。　彼女はその相手と面識があった。　もっとはっきり言えば、不倫をネットに持ち込んで　ブログで痴話げんかをしていたわけでして。　そうとも知らずに私は二人の間に入って行ったんですねえ。　まったくお馬鹿のおばさんですよねえ。　タネがあかされれば、そういうことだったんです。　私は自分のお人よし加減がつくづく情けなく、すっかりあほらしく　なり、落ち込んでしまいましたよ。　それにしても、ブログを不倫の連絡場所にしているなんて　敵もなかなかやるじゃありませんか！　今日はこれから不貞寝でもしますよ。　

2006年08月12日

一句のきらめき　　１４

　　　　　　　端居して明日逢ふ人を思ひをり　　星野立子　端居とは、文字どおり縁側や廊下にいる、という意味ですが、　夕方涼風が立つと縁にすわって夕涼みをします。　もっともマンション住まいでは縁側もありませんけれども。　日本の夏の情緒もだんだんすくなくなってきました。　夕涼みをしながら明日逢う人のことに思いをはせる、　これもまた女心の機微を描いている句です。

2006年08月07日

一句のきらめき　　１３

　　　　　　　　倖せを装ふごとく扇買ふ　　馬場移公子　和服の帯にさした扇子は女性のアクセサリーですが、なかなか風情が　あっていいものですね。　なにか、きりりとして、上品です。　私は和服でなくても、夏は持ち歩いてはあおぐのが好きです。　この句は意味深長ですね。　幸せそうに扇子を買う、とは、どういうことでしょうか。　実は幸せじゃないのに、幸せであるかのようにふるまう　女心をお察しください。

2006年08月04日

一句のきらめき　　１２

　　　　　　　口きいてくれず冬波見てばかり　　　鈴木真砂女　どうしたのでしょうか。　彼は怒っているのか、口をきいてくれません。　ただ黙って冬の波がくずれるのを見ているのです。　仕方がないので私も黙ったまま波を見ています。　恋人たちの無言の時間がむなしくすぎてゆきます。

2006年08月02日

一句のきらめき　　１１

　　　　　　　　ねむりても旅の花火の胸にひらく　　大野林火　旅さきで花火を見物しました。　宿にもどって床についても、まださきほど見た花火が　脳裏に焼きついてはなれません。　そして旅愁がますますつのってゆくのです。　大野林火の代表句をあじわってみてください。

2006年08月02日

一句のきらめき　　１０

　　　　　　　　雪はげし抱かれて息のつまりしこと　　橋本多佳子　この句の情景を思いうかべてみてください。　窓の外は吹雪です。　１メートル先はもうなにも見えないくらいにはげしい吹雪。　視界が真っ白になってしまいます。　そのなかで不意に背後から抱かれました。　息がつまるほどはげしい抱擁なのです。　この句もまた一編の小説になりそうなドラマ性がありますね。　　

2006年07月30日

一句のきらめき　　９

　　　　　　　　父も夫も師もあらぬ世の寒椿　　　桂　信子　この悲痛な叫びをおききください！　父ももういない。夫とよべる人もすでにない。　そして、今また師とあおぐ人も亡くなってしまった。　これから先、私はどうして生きていったらいいのでしょうか。　この句は絶唱と言える響きがあるのではないでしょうか。　

2006年07月28日

一句のきらめき　　８

　暑さしのぎに雪をテーマにしていこうと思います。　　　　　　ふたたびの名残の雪と思ひけり　　高木晴子　ほんとうにまた名残雪が降っております。　またふたたび逢えるとは、もう思ってはいないけれど、　かつて愛した人の夢をいまだにみることがあります。　朝めざめてみると、夢をみて泣いていたのですね。　枕が涙でぐしゃぐしゃに濡れているのです。　もう二度とは逢えない人なのに、なんでこうまで切ないのでしょうか。

2006年07月28日

一句のきらめき　　７

　　　　　　　春陰やひとり身罪に似たるかに　　佐野美智　春陰とは、どんよりとした花ぐもりのことです。　どことなくけだるい春のくもり日。　女がひとり身でいると、好奇の目で見られることが多くて、　そのこと事体がうっとおしいものです。　そのため、ますます気が滅入ってしまって。　まるで独身でいるということが悪いかのような気分になってしまいます。　もちろん妙齢の女の場合に限られますが。　　

2006年07月26日

エタニテｨ

　見つかった！　なにが？　永遠が！　あなたの瞳のなかに　永遠が！　エタニテｨという香水をつけて　あなたを待ったけど　あなたは永遠に来なかった

2006年07月26日

一句のきらめき　　６

　　　　　　　ゆるやかに着てひとと逢ふ蛍の夜　　桂　信子　ゆるやかに着て、とは和服を、でしょうね。　ひとと逢うとは、おそらく異性と、でしょうね。　たったそれだけなのに、実に意味深長だとお思いになりませんか？　この句のかもし出すなんとも言えないムードを色気と一語で呼べば　いいのでしょうか？　ついつい想像をたくましくしてしまいます。　まだ３０歳そこそこの未亡人がゆるやかに和服を着て逢うひととは　いったいどんなひとなのでしょか？　それも蛍の夜にです。　もうそれだけで一編の小説になってしまいます。

2006年07月25日

一句のきらめき　　５

　　　　　　　　若き日を眩しむよはひ名残雪　　　古賀まり子　名残雪とは、春の降りじまいの雪のことですが、イルカの歌を連想される　方も多いかと思います。　私も学生時代を思い出すと胸がきゅうんとしめつけられます。　若さは馬鹿さと言った人もありますが、今となってみれば、その馬鹿ささえも　なつかしく、馬鹿さゆえに一途であった自分も不憫に思えてきます。　もしもできることならば、青春を取り戻したいものです。

2006年07月25日

一句のきらめき　　４

　　　　　女三界に家なき雪のつもりけり　　　鈴木真砂女　またもや真砂女の句ですが、この猛暑をしのぐために、雪の句を　選びました。　｢女、三界に家なし｣とは昔からよく言いますが、この平成の世でも　やはり女には家はないのでしょうか。　実家よりも結婚してから住んでいる家のほうが、はるかに長い年月が　たっているというのに、それでも実家がなつかしいと言う女性が多いのは　なぜなのでしょうか。

2006年07月23日

一句のきらめき　　３

　　　　　　　羅（うすもの）に汗さへ見せぬ女かな　　　高浜年尾　うすものとは、絽や紗など透けてみえる単衣（ひとえ）のことです。　今風に言いますと、シースルーですね。　見た目にも、いかにも涼しげではありませんか。　冷房のない時代にいかに涼しく着るかという工夫がされていると思います。　その羅を汗もかかずに涼やかに着こなしている女のひとを見るのも、また　風情がありますね。　　　　　暑さを吹き飛ばすために、あえて雪景色の写真を選びましたが、　　　　　いかがでしょうか？　　　

2006年07月21日

一句のきらめき　　２

　　　　　　香水の一滴づつにかくも減る　　山口波津女　香水はお好きですか？　女にとって香水をつけることは身だしなみであり、それ以上に　道楽でもあるのですね。　好みの香水をつけるとき、なんともいえない幸福感をおぼえるのは　私だけでしょうか。　私の場合は香水依存症といっていいくらい香水なしではいられないのですが。　一滴、一滴を大事につけているのに、こんなに早く減ってしまう、という　嘆きにも似た思いを、上記の句から感じ取ることができますね。　　

2006年07月20日

一句のきらめき　　１

　　　　死ねぬ髪手に梳きあまる蛍かな　　　鈴木真砂女　一生のうちに死のうと思ったことがありますか？　私にも何度かありました。　死ぬ方法をあれこれと考えたことがありますが、いざとなると　なかなか死ねないものですね。　私などは、見栄っ張りなのか、自分の遺骸を他人に発見されたときの　ことを想像してみると、あまりにもみっともない死に方はできないと　ついつい思ってしまうのです。　すると、とたんに死ぬ気もなえてしまうのです。　　　

2006年07月20日

つたない生き方

　生きる理由を見つけるために　僕は君を愛する理由を打ち壊そうと試みた　君を愛する理由を見つけるために　僕はつたない生き方をした　そんな言葉の暗示どおりに　私はつたない生き方をしたけど　あなたもつたない生き方をしたのでしょうか

2006年07月19日

ちいさなつぶやき

　土砂降りが小雨にかわっても　私のちいさなメランコリーは　変りようもなく　水玉模様をえがきだすだけ　失望が絶望に塗り替えられることは　けっしてないのだから　　　　　

2006年07月18日

たわごと

　たえまなく降りしきるはげしい雨のせいか、気が滅入って　破壊的なことばかり考えてしまう。　いっそ日本が、いや世界中が沈没してしまったらいいのに。　インターネットのなかだけのちいさな空間で　私は束の間の妄想をつむぎだす。　その妄想はけっして現実にはならないから　安心しきってどんどんつむぎだす。　自己満足と自己嫌悪のはざまをくるくると　行きつもどりつしながら　妄想は肥大して行き場を失って　私の頭のなかで腫瘍のような塊に　ふくれあがってゆく。　けれどもＰＣから離れさえすれば　それも煙のように消えうせてしまうのだから。　

2006年07月17日

独立作家愚連隊の隊員募集！！

　　　独立作家愚連隊　隊員、募集！！　小説にかぎらず、エッセイ、シナリオ、詩、俳句、短歌を　まじめに書きたい、またはもっとレベルアップしたいと願って　いる方々に、お知らせです。　私たちの仲間になりませんか？！　作品を批評しあったり、意見交換しあって、腕をみがき、競いあいませんか！　そして、その道の達人になりましょう！　隊員資格は男女を問いません。　年齢制限なし。　会費無料！　要するにやる気さえあれば、いいのです。　なお、隊長は、ベストランキングの常連のmusasi0460さんです。　彼からも、ベストランキング入りのこつを、こっそりと伝授しても　もらえますから！　われこそはと思うかたは、こぞって志願してください！　不肖私こと竹田千夏が女だてらに局長をあいつとめさせて　いただきます！　　以上　　　　　ご連絡は私まで！　

2006年05月19日

悪女の汚名　　９

　１２月のはじめに、文学サークルの友人関久江から思いがけない　ことを耳打ちされました。　Rが１０ヶ月ぶりに仮釈放されたというのでした。　｢どうするつもり、今の彼だっているというのに｣　関久江は、口が悪いのがタマに傷ではありましたが、　気持ちはこまやかで親身になってくれる友人のひとり　だったのです。　｢あのやきもち焼きの彼のことだから、下手をすると　血をみるわよ｣　たしかに、久江のいうとおりでした。　由井の嫉妬深さは、いよいよひどくなり、もはや病的で　さえありました。　そして、Rのことは由井の知るところとなりました。　｢お前とこうなった以上俺は責任をとって結婚する。だからRとは　絶対に会うな｣　そう言い出したのです。　｢責任ですって、そんなふうに責任とって結婚して　もらいたくはないわ｣　私の偽らざる本音でした。　けれどもそれが、またけんかのきっかけとなり、果てしない　口論が続くのでした。　

2006年04月21日

しばらくお休みさせていただきます！

　　　一身上の理由により、しばらくお休みさせていただきます。　　なにとぞお許しくださいませ。　　竹田千夏

2006年04月02日

今生で逢えないとは

　「ところで」　ついに我慢ができなくなって切り出した。　「今生で逢えないなんて、生きていたって逢えないなんて　よくよくの事情があるんでしょうね」　「えいえい、それはもう」　おばたれはもっともらしくうなずいてみせた。　「その人と別れてからはもう二度と生きてこの世では逢うまいと　固く心に誓ったものですから、ね」　えらくしおらしくうなずくではないか。　その表情は５０代の女のではなく、まだうら若い女のもののようにさえ　見受けられたのだ。　

2006年02月21日

血の色

　｢縁起がわるい花だって言われてますけども、ね。　椿は深紅、それもどくどくと流れ落ちるような血の色のがいい。　それってうつくしいのを通り越して、むごたらしいくらいで　むろん可憐なんて生易しいものじゃない。　そう思いません？｣　おばたれは俄然熱気をおびた口調になった。　この分ではえんえんと椿談義がつづきそうで　いいかげんにシンキくさくなってしまう。　この辺でもう本題に入ってほしいではないか。

2006年02月19日

思う壺

　思う壺にはまったのなら、今しばらくはまっていてやろうとするか。　　これも成り行きなのだから。　あきらめ半分で話をかえてみた。　｢椿が好きなのね、上手に活けてあるわ。｣　たしかに椿がじつによく活けてある。　ただしこれはいかにも時代がかっていて大奥のお局をおもわせる　たたずまいではある。　｢花はやっぱり椿ですわね｣　おばたれは満足げに言った。

2006年02月19日

椿

　　　　｢だいいち椿って花は不吉だわ、お寺とか墓場によく咲いて　　いるものね｣　　｢ごもっとも｣　　おばたれはおごそかに言った。　　｢そう、まるでひとの首がことんと落ちるみたいに散る。　　でも散り際がいい。　　それは見事なくらいに、ね｣　　｢だから、縁起がわるい花ってイメージがあるのよ｣　　つられてそう言ってしまって、しまった、と思った。　　相手の思う壺だと。

2006年02月17日

ほどほどに愛するってこと？

　　　｢それってほどほどに愛するってことかしら？｣　おばたれは意地悪く聞き返した。　｢ほどほどですって？　つまりいい加減てわけ？｣　むっとした。　このおばたれはけんかをうる気なのか？　｢じゃあおききしますけど、おたくは死ぬほど愛したんですか？　オーバーな言い方よね｣　いよいよむかついてきた。　｢今生で逢へぬ人なり落椿、だなんてずいぶんと思わせぶりな句　ですよね｣　とめどもなく言葉が口をついて出てきた。

2006年02月17日

死ぬほど愛するとは

　　死ぬほど人を愛するとは何と恐ろしい言い草なのだろうか。　たいていの人間は自分がかわいいものだ。他人のことは二の次。　自分よりも他人を愛することなど生半にできることではない。　｢死ぬほどとは言いませんけど、ね　｣　ついつい語調があらくなってしまった。　なかばやけくそだった。　何かたまらなくやりきれない気になってきた。　このわけのわからないおばたれと話しているのが　いやになってきた。　

2006年02月16日

ところで

　｢ところで｣　大奥のお年寄りのように居ずまいをただして言う。　｢あなたは死ぬほど人を愛したことがおありかしら?｣　いったい薮から棒に何をのたまうのか？　またあ然として相手の顔をまじまじと見てしまった。　女は２本目のたばこを取り出してもどかしそうに唇に　くわえながら意地悪い眼でこちらを見返した。　

2006年02月15日

水仙

　　それにしてもあまりに理不尽なまでの支離滅裂さには恐れ入ってしまう。　一体このおばたれの脳みそはどうなっているのだろうか。　あ然としているところへすかさず　｢生きていたって二度とは逢えないてことだってあるんだから｣　｢たとえば刑務所から一生出れないとか？｣　｢まあね｣　彼女は意味ありげにうすく笑った。

2006年02月14日