マリア様がみてる 妹オーディション/今野緒雪/コバルト
久し振りにコバルトの感想です。「マリ見て」はコレで何冊目になるのかなぁ。今野さんは、もう「夢の宮」を書かないのでしょうか。激しくネタバレになっています、読まれる方は覚悟してお読み下さい!【マリア様がみてる 妹オーディション/今野緒雪/ひびき玲音/2005.4.10/コバルト】オーディションで妹を決める、追い詰められた由乃さんの決断!巻き込まれたのは祐巳!(笑)オーディションで妹を決めるなんて、何て乱暴な!……と言う反発があるかと思いきや、それぞれに思惑有るみたいな~、それもひとつの切っ掛け?踊らされるより、自分で踊りたい!と決意表明か、改めて妹、と言うのではなく、「姉妹(スール)」と言うものを考えてみる――切っ掛けとなる?前黄薔薇さまの江利子様の策略にまんまと引っ掛かった形の由乃は、生来の負けん気からそれと解っていながらも意地でも妹を作るべく、妹オーディションなるものを考えて、祐巳もそれに巻き込まれてしまう。とは言え、オーディションなるもので決める事に抵抗のある祐巳は、アレコレ一生懸命考えて、周りを巻き込み、オーディションと言うよりは「出会いの場」としての茶話会として計画する。令さまはまだしも、祥子さまが最初乗り気だったのは、少し意外。しかし、オーディションから茶話会になった途端に傍観者に立場を買えると言うのは、解らなくも無いけど、ならば最初の行動は何だったのか!?時々祥子の行動は、不可解だ……。由乃の可愛らしい意地の張り合いは、微笑ましいなぁ。結果としては、茶話会での由乃と祐巳の戦果は望めなかったけど、周りの部分での実りは確かに有りました。祐巳の妹に……としては気になっていた、瞳子や可南子の存在。可南子は前の話から、夕子さんとの確執や、そして今は落ち着いたところから、結局は祐巳を前にして一人で空回りしていたと振り返る事が出来、妹にはならないと。しかし瞳子については、祐巳の妹と言うことよりも、瞳子のお姉さまにと言う存在として、回りの誰もが気にして、そして心配をしている。誰もが少しずつお節介なのに、多くは踏み込まない、それがとっても優等生な行動に思えて。高校生に同じ様な女の子達が揃っているのだから、皆が良い子であっても、何人かは優等生の枠から逸脱しても良いんじゃないかなぁって思うのです。解っていて誰かがそれとなくで無く、思いっきり強引に背中を押す!それが出来ないと、どんなに心配で気になっても瞳子は踏み出せない、と思うのです。もしかして乃梨子が、まさか祥子が!?とちょっぴり期待しつつ、それでもやっぱり己の立場をわきまえている…本当に優等生で(苦笑)まぁ、だからリリアン女学園で、マリ見て、何でしょうけど。今回は妹を作る事は出来なかった祐巳と、ちょっと微妙な由乃でした。気がつけばもう優実達も2年の終わりなんですね。祥子様たちが三年で卒業を控え、4月に成れば優実達も三年と言う事実にかなりのショックを受けてしまって、物語の中でも確実に時間が流れているんだなぁと。尤も一番初めの出会いのとき既に祐巳は2年でしたが(苦笑)そう、最初の主役は志摩子&乃梨子だったのです!それから時間を戻し祐巳&祥子の話となって、そこから時間は流れ出し――。瞳子ちゃんが登場し、最初は本当に憎らしく思えた瞳子ちゃんがここまで来た時、意外に可愛く思えるようになっていた事が、本当に不思議です。