CD 世界は二人のために/ふゆの仁子
くさい台詞その儘に、言ってしまえる究極の状況が訪れ無ければ、本音は曝せないままだったのでは無いでしょうか。【CD 世界は二人のために/ふゆの仁子/海老原由里/B/リーフ出版】樫尾 凪:三木眞一郎、堀江武寛:小西克幸阿部崇生:杉田智和、門真千裕:鈴村健一、キース:成田 剣、他新譜☆【4/15】●世界は二人のために●【あらすじ】巨大企業・結城コンツェルンが誇る護衛部隊、通称「ガーディアン」のトップを務める凪。秀麗でストイックな美貌と怜悧な頭脳を持つ彼の傍らには、常に彼を見守り、熱い想いを寄せ続ける寡黙な同僚・堀江がいる。そんなとき、かつて凪を力で屈従させた男・キースが現れた!2人の危うい友情のバランスは、凪がキースと再会したことで穏やかに、しかし確実に変化していく……。(CDの評価:A+~C-)【ネタバレ感想】「世界のすべてが敵だとしても」に続くシリーズ第2弾。って言っても主役交代なのですが。聴いたのはリーフ通販の8cmCD付の物です。崇生が結城の後継者として披露された後の話。それなりの平穏な日常を送っているところにやって来たのは、結城との業務提携を結ぶ為に来日した、かつて凪を力尽くでモノにしていた男キース。その傲慢な態度、ガーディアンたちを虫けら扱いする冷酷さに、凪たちは耐えるばかりだった。堀江の凪に寄せる思いは長い間変わらず、しかし凪はそれを受け入れることが出来ず、その微妙なバランスの関係が続いていた。堀江の手の届かないところで凪を力尽くで支配していたキース。過去、支配する物される者としてその屈辱的な好意を凪は強いられていた。キースの存在を介在する事により、また、命の危機に瀕した瀬戸際で、二人はやっと心を通じ合わせる。キースがね、本当に憎たらしいんだ。特典のショートストーリーが無ければ、本当に嫌なヤツで終わっている。キースの後日談的に語られたSSは、自分でも気が付かないうちに惹かれていた凪への思い、やっと自覚した時には既に遅く――。何と言うか、いやなヤツ、では終わらなかった、不器用な人と。原作ではこの後日談は無く(これはリーフィ会報のssに加筆したもの)、話としては面白かったものの、でも、――無い方が良かったなぁ……と感じたのです。たとえキースが嫌なヤツだけで無かったとしても、これじゃぁギャグになってしまうと言うか、どうしても権力的なものに一歩引いてしまうガーディアンが哀れに思えて。立場的なもので負けているのなら、権力の前に、その横暴さを非難出来るけれど、人間的に悪くなければ、非難しきれない後ろめたさが出来てしまう。今回の場合、キースのやった事は許されるべき種類の物ではないと思うのに、番外編の方で、済崩し的に許せと言われている様で、話自体は良くても、全体からの印象で、無いほうが後味よく聴けたのになぁと……。――人それぞれの印象だと思うのですが。まぁね、本音を言えば、この原作はイマイチ気に入らなかったのです。凪が何を考えているのか解らなかったから。堀江に対する気持ちや、キースに対する感情を掴めなかったのです。堀江の思いを受け入れられないくせに、力尽くで犯したキースの事は憎からず思っている。その、凪の曖昧さが嫌だったのです。ドラマCDは、堀江への気持ちの変化が良く解らず、でもキースへは不本意だった感じは有った。最後、堀江へ誘うように言うのは、同情ではないと言うものの、どんな気持ちだったのか。ミキシンの思い切り美貌の凪は雰囲気よく出ていたと思います。また、体育会系の堀江を、こにたんは思い切り低い声で……思わず唸っちゃいました。でも、一番やるな~って思ったのは、キースの成剣さんです。とっても嫌なヤツ。高飛車で、傲慢で。その感じをとっても上手く出せていたと思います。