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ラスタ・パスタのレレ日記

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2006年08月17日
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カテゴリ:音楽:ライブ
その1から続く

ちなみに、
2. Orient Expressは、Joe Zawinulのソロ「My People」(1996年)に収録

ライヴでも、強靭なベースに、どこか中東風のボーカルが乗っかる不思議な異国情緒、国境も時代も飛び越えたような曲。

4. Madagascarは、ウェザーリポートの「ナイト・パッセージ」(1980年)に収録。ライヴでもジョー・ザヴィヌルの鳥の声とも人の声ともつかないシンセの奏でるメロディに、強靭なリズムがからみ、ザヴィヌルのキーボードが突然、破壊的なサウンドで崩壊したかに思うと、また鳥の声とも人の声ともわからないやわらかな音に戻っていく。

とにかく、どの曲もパーカッション2名、ドラムス、ベース、ギターの作り出すリズムが驚異的な強靭さで、緩急自在に、激しく盛上がったかと思うと、ピタっと息をあわせてとまってみたり、曲の次の展開が読めないテンションの高い素晴しい音楽。ザヴィヌルのシンセ、キーボードハ、メロディ・パートであったりリズム・パートであったり、役割を限定させない自由さがある。

3. Blues Sound / Note 3
6. Lounge
7. Fast City//Two Lines
8. Rooftop of Viena
9. East 12th Street Band
10.Badia/Boogie Woogie Waltz



は、2005年に発売された、Joe zawinul & The Zawinul Syndicate
のウィーンでのライブ盤、「ウィーンの夜~ライヴ・アット・バードランド」にも収録されている。

ウィーン・ライブ

7. Two Linesは、ザヴィヌル・シンジケートの「World Tour」(1998年)にも収録。

ラストの10.Badia/Boogie Woogie Waltz
は、このメドレーの形でウェザーリポートのライヴの名盤「8:30」にも収録されている。

とにかく、何曲目であったか判然としないが、ステージの上では、ウェザーの「ブラックマーケット」的世界で、

ピアノとベースがメロディをユニゾンで弾いているときに、突然、
ギターがライト・フィンガー、ボーカルがアフリカン&ブラジリアンなボーカルからでギターを弾きながらのスキャットにかわり、ギターソロが爆発したように演奏される。最初は神経質そうにメンバーに厳しく指示を出していたザヴィヌルが嬉しそうにギタリストを見ている。

途中で、メンバー紹介があったが、

ザヴィヌルの隣奥にいるパーカッション&ボーカルは、ぼくが想像したとおり、イスラム圏、モロッコのマラケシから今回初来日の
アジス・サマウイ

切れのよいドラムスで絶妙のタイミングでブレイクをいれて、ともすると渾然一体となったリズム隊、しかも多国籍的リズム隊をしめていたのが、

ブルックリン、NYから来たナサニエル・タウンスレー

Nathaniel Townsley in action.jpg

彼は、渡辺貞夫ともライブで共演しており、もしかしたらおなじブルックリン出身のオマー・ハキムの全盛時よりも凄いドラムスかもしれない。

もうひとりのパーカッショニスト&ボーカル
コンガを4本一組に設置、別のコンガを3本横空中に設置、カウベルやホイッスルはもとより、手でぶら下げてジャラジャラしたり、ぐるぐるまわすありとあらゆるパーカッションをあやつるのは、

ブラジル出身のジョルジ・ベザーハ

こういう多彩なパーカッションをあやつるのは、やっぱり音楽的土壌が豊かで、自然と音楽が一体化しているブラジルのミュージシャンであることが多いが、やはりそうだった。

ベーシストは、ジャコ、リチャード・ボナに続く、素晴しいベーシスト
インド洋モーリシャス出身のリンレイ・マルト

Linley Marthe2Linley Marthe(bass)


ただひとり、どこの出身か、その演奏から分かりにくかったのが、
ギター&ボーカルのアレグレ・コレア

彼は、ジタン(W杯フランス代表)のような容姿をしているので、北アフリカ・アラブ系かなと思ったが、パーカッションのジョルジ・ベザーハといっしょにギター・ピッキングしながら歌っていたので、ひょっとして、と思ったが、やっぱりブラジル出身だった。

メンバー紹介のあと、一通りみんなのソロが出てくる。

アレグレ・コレアは、どっちかっていうと、ギターをピッキングしてリズムをとったり、西アフリカ的フレーズを弾いていたが、ソロではここぞとばかり火を噴くようなギター・ソロ。

こういうスタイルのギタリストはぼくは他に見たことがない。

片鱗をみせるだけで、なかなかソロを弾かなかったリンレイ・マルトのベース・ソロ。これもものすごいソロだ。

指先、指の腹、ピック、叩く、こすりつける、
あらゆる方法で、誰も弾いたことのないフレーズと音のかたまりを次々に繰り出す彼。ジャコ的な要素ももちろん、ちろっと入っているけれども、やっぱりそれとは全然違うソロ。
こんなベース・ソロはやっぱり見たことがない。

5. Tango /Buenos Aires
では、ジョー・ザヴィヌルのピアノ・ソロがダイナミックに聴くことが出来た。

タンゴのようなフレーズがクラシックのフレーズになり、
あれ、何かジャズ・スタンダードのフレーズだなぁ、と思っていても、
決してみんなが安心するような展開にはならず、和音は破綻し、
強烈なリズムになり、

ドラムス、パーカッション、ギター・ソロへと変転していく。予想が付かない曲の展開だ。


6. Loungeでは、アジス・サマウイ
が、3弦の伝統楽器を弾いて、素晴しいアラブ的というかイスラム的というのか、ペルシャなのかアラブなのか、そういうボーカルを聴かせてくれる。

3弦の楽器も、ボディは長四角型で、弦も上から一番長い、真ん中一番短い、下の弦、中くらい。どうも真ん中の弦は左手では押さえず、常におなじ音程にしておき、上下の2つの弦を指で押さえて、音程を変えている。不思議な楽器だ。

バンガラ、バンガラ、ワッサラータ、と彼が歌いだすとバンド・メンバーが全員で、

バンガラ、バンガラ、とコーラスを入れる。

圧巻は、やっぱり最後の3曲

8. Rooftop of Viena
9. East 12th Street Band
10.Badia/Boogie Woogie Waltz


音楽世界が、アフリカ、ブラジル、アラブ、オーストリア(ジョーの出身地)を行ったりきたりする。というか渾然一体となった音楽。ステージ全体で一曲と考えたほうがいいような世界だ。

ひとことで表現すれば、

強靭なねばっこいリズムに、人々や鳥の声、雑踏の雰囲気を喚起させる芳醇なシンセを中心としたメロディ。

そこに、中東風&アフリカ風&ブラジル風なボーカル

同様に、中東風&アフリカ風&ブラジル風な渾然一体となったリズム、ポリリズムを要所要所でしめるブルックリン、NYのドラムス。

オーストリアからNYに少年の頃移民してきたザヴィヌルの心象風景と、彼が世界中をツアーして出会った人々や音楽、民族性、そういう彼の頭の中に鳴り響いている理想の音楽を、

まさに、そうした世界各地出身の超腕利きのミュージシャンたちを自在にあやつりつつ自由に演奏させ、ひとつの理想郷的な音楽を創っているのではないか。

「ワールドミュージック」ではなく、「People Music」「Human People Music」
時代や国境を越えて、世界の多民族が、つどい交流し、交易し、コミュニケーションし、融合するザヴィヌルの考えるユートピアみたいなもの、

それが強烈な磁場となって、ブルーノートの会場いっぱいを満たし、強烈にそこにいるひとびと(もちろんぼくも)をゆさぶり共感する。

そんなライブだった。

ザヴヌルはこれまでも、

「ジブラルタル(海峡)」「マダガスカル」といった曲を書いてきた。

それは、どういうところかといえば、

かつては、イズラム圏が北アフリカからジブラルタル海峡を越えて、スペインまで統治していた時代があった。

だから、今でもこの地域はキリスト教的なるものとイスラム的なるものが共存している。

マダガスカルというのは、アフリカの東海岸に位置する大きな島だが、ここは地政学的に言うと、アフリカの延長ではないそうだ。

遠い昔、プレートににって大陸の地殻変動があったとき、アジアの先から流れてここに大きな島が出来たそうだ。アジアに共通な動植物がいるだけではなく、住んでいるひとびとにも、アジア系に共通の蒙古斑があるという。マレー半島やインドネシアから遠く海流に乗ってアジア系のひとびとが移ってきたらしい。

しかし地理的な近さからアフリカとの密接なつながりがある。


このように、ザヴィヌルというひとは、お互いに違う民族や文化が出会い交錯する場所に非常に興味があるのに違いない

ぼくも、そうしたマルチ・カルチャーな文化状況ってとっても好きだ。
20世紀には「21世紀は、そういうマルチ・カルチャーの融合が沢山おきて人類の新しいステージへ進むもの」とばかり思っていた。

しかし、移民国家のフランスでの学生のデモに続いた移民の2世、3世たちの暴動。

パキスタン系移民2世が、イギリスでイギリス人として生まれながらイギリス社会から阻害され、テロ予備軍としてターゲットにされる今の時代。

9.11以降、移民国家として発展してきたアメリカが厳しい移民法を適用しようとやっきになっている現実。

21世紀の現実の世界は、異文化、多民族の共存、共生、調和、融合とは全く反対の方向に動いている。

だからこそ、ぼくは、音楽という小宇宙の中だけだけれども、
多民族のミュージシャンと音楽と文化を融合して体験させてくれる
ザヴィヌルの音楽が大好きだし、とても貴重なものだと思う。


最後まで持続する演奏のテンション。
驚異的な演奏力
構造美とアドリブの共存
先の展開を予想できないスリリングな感覚
強烈な興奮と共感

これぞ、やっぱりユートピア音楽なのかもしれない。

実際の世界が、少しでもザヴィヌルの頭の中で鳴っている音楽世界に近づくことが出来るように。
そんな気持ちで、ぜひ一度ザヴィヌル・シンジケートの音楽を経験してみてください。







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最終更新日  2007年09月23日 06時53分02秒
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