ラスタ・パスタのレレ日記

フラとボーカルの上原まきと石垣島出身の宮良牧子（みやらまきこ）の女性２人の新ユニット、チュラマナ(Churamana)のミニ・ライブがあったので行ってきた。

「内面の美しさ」を沖縄の言葉では「チュラ」と言うそうだ。
ハワイの言葉で「マナ」とは「すべてのモノに宿るパワー」のことを言うそうだ。

こうして、沖縄音楽とハワイ音楽がチャンプルー（ミックス）した女性ユニット「チュラマナ」が誕生したらしい。

ステージでふたりをバックアップするのは、
沖縄のTINGARA（関連日記参照）のゲレン大嶋（三線）と、
ハワイ音楽といえば、このひとのことをおいては語れない、山内アラニ雄喜。


ふたつの楽園
チュラマナ／ふたつの楽園

ステージでは、すでに左奥に山内さんがスラック・キー・ギターを抱えて、右奥にゲレン大嶋が三線を持ってスタンバイしている。

そこえ、華やかだけどもナチュラルな衣装を着た上原まきと宮良牧子が登場した。上原まきの衣装は、赤をベースに青い草花をあしらったフラの衣装。
頭には白いレイのようなお花、首にはシェルでつくったような大き目のネックレス。宮良牧子は、黄色と青の折り返しの生地にオレンジ色の模様が入った衣装。色は、カラフルというよりは日本、おそらく沖縄の染物の色。

ふたりが、それぞれ、ハワイと沖縄の音楽を象徴するような衣装だ。

１曲目は「てぃんざぐぬ花」沖縄の民謡だ。

宮良牧子ではなく、まず、上原まきが、ふわ～っと上に広がっていくような声でウチナーグチ（沖縄の言葉で歌う）。そこに宮良牧子がハーモニーをつけていく。



沖縄の歌だから、石垣出身の宮良が歌う、という単純な構造ではなく、ハワイを愛し、素晴しいフラを踊る上原が、踊りながらヘッドヘルド・マイクで歌い、
バックでは、三線がトツトツとサステインのない沖縄音階の単音メロディをつまびく。そこに山内雄喜さんが、びよ～んとゆるんだスラックキーギターを弾く。この不思議な感じ。２人の歌と、三線とスラックキーギターが驚くほどマッチしている。

あるようでなかった、ハワイ音楽と沖縄音楽の融合。
まったく新しい癒しのサウンドだ。


２曲目は、「アカカ・フォールズ」

ハワイ音楽が好きな人やフラを踊るにとにはおなじみの、ハワイ島にある滝を歌ったメロディのとっても美しい曲。

まず上原まきがハワイ語で歌う。



次に、宮良牧子が、沖縄音楽のこぶしのある力強い歌声で日本語歌詞を歌う。
ゲレン大嶋が、三線でメロディ・ソロをとる。
上原まきと宮良牧子が絶妙のハーモニーを聴かせる。

う～～ん、素晴しい。「てぃんざぐぬ花」とは逆のパターンで、ハワイの歌を、沖縄音楽のこぶしをきかせて宮良牧子が歌う。

ＭＣも上原まきと宮良牧子が１曲ごとに交互にやっている。


３曲目は「プア・アヒヒ」

ワン、トゥー、スリー、フォーとなぜか三線のゲレン大嶋が英語でカウントを入れる。それに合わせて山内雄喜さんがスラックキーギターのタイミングをあわせて入ってくる。
宮良牧子が力強く個性のある歌声で歌う。
上原まきがとても美しく踊る。
山内雄喜さんのスラックキー・ギターが迫力を増してくる。
ゲレン大嶋がポツポツと三線の単音メロディをいれる。
宮良牧子の歌声に、上原まきが踊りながらハーモニーをつける。

それにしても、上原まきのフラは本当に美しい。美しい笑顔と、身体をいっぱいに使った大きな動き。手先、足先まで細やかに神経がいきとどいた優雅な動き。ぼくは、日本で彼女より美しく踊るフラの踊り手を見たことがない。
宮良牧子の声、ボーカルの魅力がぞんぶんに味わえる。



この曲は、今日のミニ・ライブのひとつのハイライトといってもいいと思う。


４曲目は「ふるさと」

上原まきがＭＣでしゃべる。

＜日本では誰でも知っている「ふるさと」をチュラマナ風にアレンジしました。
ハワイと沖縄は、とても風景が似ているけれども、
『うさぎおいし、かの山、こぶなつりしかの川』という風景は残念ながらどちらにもありません。そこで、１番の歌詞を

『海の青さ、白浜、空の青さ、白雲』というふうにかえて、
それをハワイ語（上原）とウチナーグチ（宮良）が順番に歌います＞

そうか、この曲はそういう工夫がしてあったのか。

５曲目の紹介を上原がする。

＜このチュラマナのアルバム「ふたつの楽園」では、３曲のオリジナル曲が入っていますが、そのひとつを歌います。

曲名は「プア・アネラ」

＜「プア」はハワイ語で「お花」、アネラはハワイ語で「エンジェル（天使）」を意味します。だからこの曲名は「エンジェル・フラワー」という意味です。

私が、いつもハワイに行ったときにつける花は、どんなジュエリーよりも、どんな香水よりも美しく咲き香り、いつも自分を元気にしてくれます。
そんな元気を今日は、みなさんにも感じていただき、分かち合いたいと思います＞

山内雄喜さんのスラックキー・ギターのイントロ、上原まきのハワイ語、
歌いだす。三線が入り、宮良牧子がハーモニーをつける。

少し、♪春の木漏れ日の中で。。。♪　そうＴＢＳのテレビドラマ「高校教師」で使われた曲に似たメロディが出てくるが、
作詞、作曲とも上原まきのオリジナル。歌詞の内容は、とってもポジティブ。

彼女は、今回、作詞・作曲までしたんですね。


最後の曲に入る前に、簡単なメンバー紹介があった。

私は、「チュラ」ではなく宮良牧子です。
私は「マナ」ではなく上原まきです。

曲は「コドウ～いちまでぃん～」

「いちまでぃん」とは「いつまでも」の意味。
♪いちまでぃん、いちまでぃん、島の鼓、カラダに受け♪

宮良牧子が歌詞を書き、ゲレン大嶋が作曲したオリジナル曲。

♪いちまでぃん、いちまでぃん、咲き乱れる花たちを♪

宮良牧子のはりがあり、こぶしのきいた圧倒的な歌唱力が味わえる最後の見せ場。

♪マエオーレ、マエオーレ（mae’ole, mae’ole）♪
上原まきがハワイ語のチャントのように入る。


アロハ（ハワイ）+　ハイワイ（沖縄）＝アロハイサイ
アロハ（ハワイ）+　めんそ～れ（沖縄）＝アロハめんそ～れ

考え方として、コンセプトとして、ハワイと沖縄の音楽をむすびつけたひとたちはすでにいる。

でも、これほどまでに、ハワイと沖縄の言葉、音楽、踊り、文化をチャンプルーして、それを体現してみせてくれたのは、このふたりの歌姫、チュラマナがはじめてではないだろうか。

素晴しい。

上原まきさんは、ぼくがハワイではじめてウクレレに出会って、ウクレレを買って帰ってきてから、いろいろ日本のウクレレ音楽、ハワイ音楽のライブを探して出かけていった頃、なかばそういった音楽の日本のコミュニティのような場で、アイドル的存在であった。

身体をいっぱいにつかった大きな動きとたえず笑顔をたやさない美しさに、ある種のオーラのようなものを感じていたが、まだ彼女は山内さんたちのライブでフラを踊るだけの存在だった。
もちろんフラの世界では、ワールド・インビテーショナル・フラフェスティバルの古典部門でチーム優勝。日本最初のフラ・コンペティションでも古典部門、現代部門でチーム優勝、というはなばなしい経歴をもっているのだけれども。

それが、山内さんが伝説の「パイナップル・シュガー・ハワイアン・バンド」を復活させた時には、フラだけではなく、歌も歌う存在となっていた。



その後、山内さんと、ハワイアン、ボサノヴァ、クラッシックとあらゆる音楽を極上の癒しサウンドにした「ハワイアーナ」としてのユニットで何枚もＣＤを出した。

しかし、今回は、上原まきは、歌、踊り、作詞、作曲とすべてを手がけた。
しかも、それは宮良牧子とのコラボレーションで、ハワイと沖縄音楽のまったく新しいチャンプルー・サウンドを生み出した。

正直に言えば、この仕事が彼女の今までの活動の中で、最高の出来栄えではないかと思う。

宮良牧子の歌声は、ぼくは今回はじめて聴いた。
こしとねばりのある、個性的な声と歌いまわし。
抜群の歌唱力。

チュラマナ、まった新しい癒しサウンド。

これからの活躍が楽しみだ。
なお、ＣＤでは、山内さんがスラックキー・ギターだけではなく、

アコースティック・ラップ・スティール（というのかな）ギターや
ウクレレ（写真をみるとダブルネック）も弾いていて、
ラップ・スティールの「ぴよ～～ん」という音や、ウクレレのころころしたサウンドも入っており、最高のリラクシング・ミュージックになっています。

みなさんにオススメです♪


関連日記
極上の幸福サウンド：：：TINGARA

沖縄とハワイの意外な関係については、ぼくのビギンのライヴ評を見てください。
ライブ：ビギンはハワイへ行くのか？