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ラスタ・パスタのレレ日記

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2007年06月29日
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テーマ:Jazz(1967)
カテゴリ:音楽:CD
市原ひかりが3枚目のオリジナルCD『スターダスト』を出した。

1982年12月生まれ、成蹊小学校、中学校、高等学校を卒業。
中学入学時よりクラシック・トランペットを学び、その後
洗足学園音楽大学ジャズコースに入学し、4年間ジャズ奏法を原朋直氏に師事。


小柄な彼女の写真と、こうしたプロフィールを読むと、どうしても「お嬢さまトランペッター」という連想が働いてしまう。

また、ぼくがこのCDを初めてCDショップで試聴した時の印象は、
ちょっと迫力がないかも、  だった。だからその日は買わなかった。

ところがどうしても気になって、CDショップに行くたびにこの『スターダスト』を試聴しているうちに、そうか、これが彼女の持ち味なんだ、と納得し、ついに購入したのだ。

スターダストCD中
市原ひかり/スターダスト
 スターダスト / 市原ひかり
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スターダスト
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トランペッターといえば、数多くのジャズ・ミュージシャンがいるが、彼女は、

例えば、マンハタン・ジャズ・クインテットのルー・ソロフのように、
トランペットの炸裂音を効果的に使って大迫力の演奏をするようなタイプでもなく、日野皓正みたいにダイナミックで精力的な演奏をするわけでもない。

一方、チェット・ベイカーのようにささやくような音を鳴らすわけでもない。


そもそも、女性のトランペッターという存在自体がめずらしいのだが、いわゆるクラシック・アイドルやジャズ・アイドルのように見た目の可愛らしさで売っているわけではない。


最初、ぼくが「ちょっと迫力がない」と感じた彼女のトランペットは、一方で、

柔らかく、時に語りかけるように、時に歌うように、繊細でありながらも音程もしっかりした端正なトランペット。ろうろうと歌う、ありそうでなかった、トランペットのサウンドであり、そこが彼女の持ち味で、魅力なのだ!

今回の『スターダスト』のアルバムは、NY録音で、

サポートに抜群のスウィング感と安定感を出してくれるメンバーをおいた。

ベースのジョージ・ムラーツ
ドラムスは、マンハッタン・ジャズ・クウィンテットのヴィクター・ルイス
ピアノは、前作から相性のいいアダム・バーンバウム

そして曲によって、
アルトサックスとフルートのアーロン・ヘイック(Aron Heick)
テナーサックスのウェイン・エスコフェリー(Wayne Rscoffery)

をフィーチャーしている。


収録曲は

1 ブルー・マイナー(Blue Minor)
2 スターダスト(Stardust)
3 星に願いを(When You Wish Upon A Star)
4 スカイラーク(Skylark)
5 走馬灯
6 シェルブールの雨傘(I'll Wait For You)
7 スマイル(Smile)
8 アイ・リメンバー・クリフォード(I Remember Clifford)
9 And They Lived Happily Ever After

さっそく、演奏を聴いてみると、

1曲目の「ブルー・マイナー」は、ソニー・クラークの演奏で有名だが、彼女は自分のアレンジで、三管で演奏している。

ジョージ・ムラーツをはじめとした名手のスウィング感あふれる演奏をバックにトランペット・ソロが柔らかく語りかけるように歌っている。
そのあと、テナー・サックス、アルト・サックスのソロと回していくが、

市原さおりのトランペットは、まるでサックスで表現するかのごときつぶやきで端正な音を吹いている。

2曲目の「スターダスト」は、有名なスタンダード曲だが、
市原は、ここではアーロン・ヘイックとの2管にアレンジ。
ちなみに、彼女は全曲自分でアレンジしている。
ジョージ・ムラーツのウッドベースのぬくもりに導かれながら、

愁いよりも優しさが際立つトランペット・ソロを吹き、アーロン・ヘイックは、ソロではフルートを吹いてそれに応えている。

3曲目の「星に願いを」

これも超有名スタンダード曲だが、市原はアップテンポのちょっと変わったアレンジをしている。

ピアノ、ベース、ドラムスがアップテンポに曲を引張り、ぼくは最初は、このアレンジには少々とまどっとのだが、

トランペットのしっとりしたソロ、ピアノ・ソロと展開していき、
またよく歌う市原のメロディアスなトランペット・ソロと、
スウイング感抜群のバックの演奏で、つい聴いていて気持ちよくなってくる。


4曲目の「スカイラーク」これもスタンダードだが、

市原ののびやかなトランペットと、アダム・バーンバウムの繊細かつ的確なピアノの相性が抜群だ。

このあたりから、だんだん市原ひかりのトランペット・サウンドが、気持ちよくてくせになりそうな予感。

5曲目の「走馬灯」は、市原のオリジナルだが、
「走馬灯」のように楽しいイメージがぐるぐる回るのをイメージして書いたそうだ。スタンダードの名曲の間にあって、なんの違和感も遜色もないオリジナル曲であるだけではなく、ふふふ~~ん、というふうに、楽しさが伝わってくるのが不思議だ。


6曲目の「シェルブールの雨傘」は、ご存知、ミッシェル・ルグランが書いたフランス映画のテーマ曲。こんな選曲をするところも、市原は心憎いというか行きだけれども、演奏もいい。

ベースとピアノとドラムスのイントロは、なにか不気味なせつなさを予感させるアレンジ。

トランペット、テナーサックス、アルト・サックスの3管のアンサンブルから、まずはウェイン・エスコフェリーのテナー・サックスのソロ。これがなかなかの名演。

市原のトランペットのソロは、耽美で短いフレーズをつらつらと吹いたあと、長いトーンがあるなどのメリハリをみせながら、せつない恋の物語をイメージさる。

途中で、彼女のソロのバックでサックスの主旋律メロディが鳴っているのも非常に効果的。

すばらしい出来栄えで、このCDの中でも、ぼくのかなりのお気に入りの曲。


7曲目の「スマイル」

これもチャップリンが書き、多くのミュージシャンがカヴァーしている超名曲だが、ここでも3管のアンサンブルのアレンジがス晴らしい。
また、リズムもはずみ、6曲目の「シェルブールの雨傘」とは対照的に明るく楽しい演奏。

アーロン・ヘイックのアルトサックスのソロもろうろうとよく歌っている。
普通、サックスとトランペットが並んでソロをとると、サックスは、より歌うように、トランペットは、よりはじけるように演奏するのが仏だと思うのだが、市原のペットは、本当にサックスに負けないくらい、イやそれ以上によく歌っており、アドリブのメロディがこんなに綺麗なトランペット奏者はそういないと思う。

このへんまで聴き進んでくると、もう市原のペット・サウンド、くせになる、というよりは虜になっている感じ。

このあとのテナー・サックスのソロも素晴しい。
3管のアンサンブルに戻ってのエンディング。


8曲目の 「アイ・リメンバー・クリフォード」
ベニー・ゴルソンの名曲を、今度は、市原ひかりのトランペットとアダム・バーンバウムのピアノだけのデュオ。

市原の柔らかく繊細でいて、暖かく、安定しており、ちょっぴり寂しげなトランペットの音に、ただただ聞き惚れるのみ。
ここまで、聴けばもう、あなたは彼女のファンとなっているでしょう。
彼女のトランペットの魅力がたっぷりと聴ける。

9 曲目の「And They Lived Happily Ever After」は、
市原のオリジナルだが、誰かが昔に書いたスタンダード曲じゃないかと思うほど、CDの流れの中で見事に最終曲として位置づけられている。

おとぎ話でよく最後に、「そしてみんなはずっと幸せに暮らしましたとさ」という意味の曲だそうだ。

彼女の作曲の才能も大変なものだと思う。ほんとうにこれからが楽しみだ。

彼女を最初「お嬢さまトランペッター」と書いたが、
それは、マイナスの意味ではなく、もし彼女が、その育った環境がめぐまれているとするなら、

オリジナル曲のいずれも、「楽しさ」や「幸せ」をテーマにしており、
怒りとか不幸とか反抗とか孤独とか、そういうものを音楽の出発点にしていないところが、「お嬢さま」といえば言えるかもしれない。

そして、そのことはけっして悪いことではなく、幸せのために音楽をやる。幸せを伝えるために音楽をやる。

なんの力みもない、彼女のそんな意識が、無意識のうちに共演者や聴き手に伝わり、聴いていて、心穏やかに、心優しくなれる音楽を創り出しているのだと思う。


ジャズは、あんまりよくわからない、というひとにもぜひ聴いてもらいたい1枚。入門編としても聴けるし、
耳が肥えたジャズ・ファンにも、トランペットの新たなありかた、というものが伝わってくるCD,という意味で、ジャズ上級者にも聴いてもらいたい。

また、市原ひかりは、洗足学園大学在学中、早稲田大学のハイソサエティ・オーケストラに参加し、2004年に「山野ビッグバンド・ジャズ・コンテスト」で、「優秀ソリスト賞」を受賞している。

だから、このアルバムは、

吹奏楽やビッグバンドをやっている人にも、聴いてもらいたい。

オススメです♪





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最終更新日  2007年09月02日 17時24分44秒
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