テーマ:映画ニュース(1429)
カテゴリ:音楽と映画・ドラマ・TV
さて、この映画で、僕の師匠は何をしたかというと、映画音楽を創ってくださいと依頼され、全編、ウクレレで作曲し、ウクレレとギターで音楽をつけたのだという。 師匠は、何度も岩手県の西和賀町での町民上映会などに出席し、上映会のあと、映画の製作者たちの舞台挨拶の時、 師匠がウクレレ1本で演奏するパートを設けたという。 会場によっては、1000人もの観客の前でウクレレ1本で演奏したそうだ。その時のお客さんからの手ごたえは、相当なものがあったらしい。 ぼくも、師匠がウクレレを演奏する上映会を早く観たいと思っているのだが、それはしばらくおあずけ。 師匠は、交通費・宿泊費を節約するため、夜行バスで岩手にむかい、早朝列車で、現地に着く。すると朝からやっている温泉があるらしく、そこで移動の疲れを癒してから、上映会と演奏会にいどむのだそうだ。 そして、上映会後の、地域の婦人会や児童養護施設、特別養護老人ホームのひとたちと交流するのだという。 婦人会の女性が師匠に言ったそうだ。 「この町に来るのは、何回目ですか?」 師匠「いえ、初めてです」 女性「え!!」 映画の撮影陣は、何回もこの町をたずね、一緒に暮らしながら丹念に映画を撮っていった。だから、その女性は、映画音楽を担当した師匠も当然、何度も町にきたと思ったそうだ。 女性「では、どうして私たちが聴きたい音楽を、あなたは知っていたのですか?」 師匠は、この映画の映像と内容をじっくりと観て、それにふさわしい音楽をつけていったのだという。 プロデユーサーは、岩手県北上市の出身の若い20代の兄弟。 しかし、製作総指揮のひとは、年配のひとで、森師匠にこういったそうだ。 「ウクレレって、牧伸二のあれでしょう?大丈夫なの、映画音楽」 そこで、森師匠は、意地でもウクレレだけで音楽をつくってやると思い、実際全編、ウクレレで作曲・演奏したそうだ。 また、親のDV(ドメスティック・バイオレンス)から逃れて、この西和賀の施設で生活する小学校高学年か中学1年生ぐらいの男の子が、森先生のところにきて、 「あなたは、お父さんなの?」と聞いたそうだ。 父親の激しいDVにやられて、「お父さん」「父親」という像が自分の中で結べない少年。 森先生は、「そう、お父さんだよ」と言って、少年を抱きしめたそうだ。 師匠は、他のウクレレ・インストラクターのように、CDを販売したり、単独ライブを行ったり、というようなことはあまり考えていないようだ。 最近分かったのは、ウクレレを教える後継者を養成したい、ということと、 今回のようなドミュメンタリー映画の製作にかかわり、その流れの中で、自然にウクレレ音楽が多くの人に伝わっていく機会が増えてくればいい。 そう思っているようだ。やまっけのある何人かの日本のウクレレ・インストラクターの姿が目に浮かぶが、師匠は、もっと将来を見据えた、自分のためにではなく、後進のために、ウクレレ音楽を多くの人の心に届けたい、と思っているのではないかと思う。 そんな素敵な師匠に出会ったことに、私も感謝している。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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