棚田を守る
長く厳しかった残暑が少しやわらぎ、朝夕の空気がピンと張り詰めてきましたね。初夏に植えられた小さな苗が、この季節を迎え、こうべを垂れます。が、先日の台風の猛威により、こうべを垂れすぎ、ヤバイです。100万都市の片隅に取り残されたかのような谷間の小道を走ると見えてきます。山間の傾斜地に芸術的に広がる棚田の風景。「棚田は万里の長城に匹敵する日本の大遺産」と作家の司馬遼太郎が述べたとも言われるほど心に染み入る景観です。洪水を防止するなどの国土保全にも重要な役割をはたしている棚田。しかし、一方で、農家の高齢化や、過疎化の問題が各地で浮上しているのも明らかです。私の旦那の実家も棚田を守り続けている農家の一軒です。なんと、田んぼの数は実に大小合わせると61あります。今年、73歳になる義父は65歳まで仕事もしながら、田んぼの石垣も毎年、築いて来ました。大きな根石を一番下に置き、それから、石垣を築いていきます。4,5年前ついには旦那が堪りかねて、中古の重機を購入しました。それまで、どんな大きな石もチェ-ンブロックで移動させ、持ち上げていました。今は石垣自体を築ける人があまりいません。今日から始った、平成16年度の稲刈。今日は一番大きな田んぼとその下の田んぼの二つを刈りました。あわせて、40袋。これは乾燥機に入るぎりぎりの量です。毎年、籾が40袋になると一日の仕事が終ります。それ以上しても乾燥できないからです。水分14,5パーセントまで落としていきます。10月までに、たぶん、7,8回同じ作業をくり返していきます。乾燥が終れば、籾を籾殻とお米(玄米)に分ける作業をします。いわゆる脱穀というものです。昨日の日記は続けるでした。今日は守るということで書いてみました。私たちの世代になって、果たしてどれだけの人が棚田を守っていけるのかわかりませんが、先祖が辛苦の思いで作り上げた棚田が山の清水の恵を受け、美味しいお米をいつまでも提供してくれることを願ってやみません。