ごもっともで…
朝、仕事に行くと、大きな音で警報機が鳴った。びっくりしてみると、暖房の装置の故障を示すボタンがチカチカと点灯している。事務室に空調の集中コントローラーがあり、それが鳴ったのだ。これは大変!早く、空調の工事屋さんに電話しなくては!今日はこんな調子で始まった。10時からある、職員会議の資料を作っていると、案の定、講堂に入ったダンスのクラブから暖房を入れてくれるよう電話がかかる。すみません…と事情を説明し、寒いのを我慢してもらう。職員会議の始まる頃、やっと、見覚えのある茶髪の兄ちゃんが事務室のドアを開け、入って来た。職場の空調は年季が入りすぎていて夏になると冷房が止まり、冬になると暖房が止まる。去年、ついに事務室の空調だけは新品に交換してもらえた。だが、館全体の空調を代えるとなると何百万単位のお金がかかるらしい。それで騙し、騙し、修理をしながら、ここまで来たのだ。おかげでいつも来てくれる茶髪の兄ちゃんとはすっかり、親しくなった。はじめてあった時、なんか軽い感じで好きじゃあなかった。でも、話してみると気持ちいい人だった。それに、工事が終わるときちんとそれを説明してくれる。今ではみんなのアイドルだ。この前、別の人が来て、ガックリしたこともあった。11時過ぎに何とか、修理も終わり、暖房が効くようになった。兄ちゃんは惜しまれながら、去って行った。一安心したら、お昼から、また、問題発生。今日、印刷するはずの新聞が刷れない。印刷機の調子がおかしいのだ。慌てて、メーカーに電話をする。応対に出てくれたのはいつものおじさんだ。変わった口調の話し方が特徴だ。本を読んでいるように棒読みする。感情を決して入れない。ある人は冷たい人のようだとこの口調を嫌がるが私はこの声を聞くと、とても安心する。だって、このおじさんなら、電話だけでいつも問題を解決してくれるのだ。今日もそうだった。私の説明で不具合箇所を瞬時に理解し、すぐにどうすればいいか例の棒読み状態で一つ一つ、順序立てて言ってくれる。そして、見事に今日もおじさんはまるでその場所にいるかのように印刷機を直してくれた。今日はその道のエキスパートに助けられた。くせのある人たちだけどね…『やっぱり、プロはすごいね。』と言う。しかし、館長は別の視点でこう言った。『年季が入ると機械同様、人間もガタがくるね。直してもらわんといけん所だらけだ…』『ごもっともです、はい。』蓮4044