桜に寄せて。
横浜から西荻窪のセッションルームへの移動は、京王井の頭線を利用することが多い。浜田山~久我山間の神田川沿いは、お気に入りの散歩コースだが、最近は散歩の機会も少なくなってしまった。春になると、川沿いの桜並木に、満開の花が咲く。八重桜はぽってりとたわわに揺れ、一重の桜は青空にその白い輪郭を浮き上がらせる。車窓から見える桜並木のつぼみはまだ固く、うとうとしながら開花をまっているようだ。桜がほころびるのは、いつだろう。淡い、枝先にこぼれるように咲く桜を見上げながら、ゆっくりと歩く日が来るのがとても待ち遠しい。浜田山あたりで待ち合わせて、井の頭公園に向かって歩くのもいい。そのまま公園の日差しの中で、お日さまに暖められながらピクニックするのはどうだろうか。吉祥寺で会って、善福寺公園を永福町方面に向かって3時間、本気の散歩をしても気持ちよさそうだ。ただひとつ残念なことは、桜の柄の名古屋帯を活躍させる暇なく、桜の季節を迎えることになりそうだということ。日本の美は謙虚さにあり。桜の季節になったら、本物の桜に敬意を表し、桜柄の帯などで自然の美しさを邪魔しないという約束がある。ごめんなさい、桜帯。ああ、早く桜が満開に咲きますように。