ロルファーサイトウのつれづれ日記

[日々考えたこと] カテゴリの記事

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• 広告、かんべんしてください。

  これまで楽天でブログを書いてきましたが、セキュリティの心配があったり、望まない広告がついてきたりでうっとおしくなったので、引越しを考えています。楽天が、googleなどとの提携で、広告にさほどお金をかけず、しかも楽に集客ができるサービスを始めたようです。楽天にブログを書けば、他のロルファーの宣伝が自動的に、枠内に表示されるようです。openpathでは、広告の必要を感じていなかったので、こんな広告があるのすら知りませんでした。広告主の中には、クライアントさんを紹介させていただいたり、著書「ボディワーク入門　ロルフィングに親しむ１０３のテクニック」の巻末に紹介を掲載させていただいていたりする方もいらっしゃるし、故・新井祐己氏のおかげで、クライマーのクライアントさんのセッションをしている方もいらっしゃるはず。openpathの講座やワークショップを受けて下さった方が、クライアントさんとしてセッションを受けたという事も伺っています。なので、これ以上のお手伝いは控えさせてください。広告主にお金を払っているだけで、掲載場所まで分からないというのなら（でも、どうやらＵＲＬ登録されているようなのですが※注２）、責任者不在の言い逃れだし、掲載先の確認ができていないといのであれば、それは広告掲載をする側として無責任だし。広告掲載の倫理なんておおげさなことは言わないけれど、気遣いがほしいなあと、正直思います（注）。もちろん、私も他ロルファーからの恩恵を受けていて、それを感謝しているので、私なりの方法で、感謝の気持ちを還元したいと思うのです。ブログを書くたびに広告に追いかられるのはどうなんだろう、と感じるのです。テストに、WordPressでブログを書いてみました。使い勝手がよければ、気分転換も兼ねて引越し予定です。ブログのテーマを選ぶのが楽しくて、決定するまでに何時間もあれこれとデザインを見てしまいました。これで広告がつかなくなったら、張り切ってブログを書いていけるんだけどなあ・・・。広告がつきまとうようなら、ばう犬のように免責事項を書かなくちゃ。（注）ロルフィングやＳＩをキーワードとせず、関連業種での広告掲載によってクライアント層が広がるのではないでしょうか？（注２）openpathのＵＲＬ登録をしている方は、私がブログを書き続ける間は広告が掲載されるのでは。

  2008.09.07

• 独白（受信トレイを見ながら）

  誰だって専門外のことを強要されるのは好きじゃないと思う。自分に置き換えてみて欲しい。根本的な考え方として相容れないことを望むのは、私自身の好き嫌いを通り越してお門違いだ。親切心で「別の方法をお試しになったら・・・」と提案すると、「いや、セッションを受けてみないと分からない」とおっしゃる。他の方を紹介しても納得しない。もしくは「そんなに敷居の高いもんなんですかね」と捨て台詞を吐かれる。無理ですよ、と言っても聞き耳持たず「じゃあ、他をあたります」と言う（はい、そうしてください）。別に職人気質でもないし、ちょっと本を出したからといって偉そうにしているわけでもない。専門外のことは、フツウはやらないでしょう、誰だって。それだけのハナシです。何年か前から溜まっている、不要になったメールを削除しつつの独白。それにしても、さまざまな要望があるなあ・・・。ロルフィングを正しく認識してもらう努力が必要ですね。

  2008.05.09

• 約束

  約束を守ることは大切だけれど、約束はだたの約束だ。状況が変われば無効になることもある。なったからといって、社会的責任を負わされたりすることはあまりない。契約は守ることを大前提として、誰の目からみても分かるように取り交わされる。紙面になったり、朱肉のハンコがついていたり。契約を破ると、社会的責任を負わされる。負わされなくても、後ろ指をさされるような状況に追い詰められたりする。約束は正直な気持ちを元に成り立つものだと信じてきた。契約はビジネスライクで、人の気持ちを無視した、お互いの利得を保障するだけのものだと思ってきた。正直な気持ちは移ろい、風化していつの間にか消える。契約は書かれた紙面が黄ばんでも残る。だから私は契約を交わさない、頑なにそう思ってきた。それを「お前はまじめに生きてこなかった」と、面と向かって赤の他人に揶揄されることもあったが、それでも自分を曲げなかった。今、約束も契約も介在しなくなるときが来るんだと、朧に感じている。こだわりが無いのならば、楽に生きられるほうを選ぶほうが賢いように思えてくる。多数に同化して生きるメリットは、周りに気を使わせなくて済むことだと気づく。少数派に対する多数派の気遣いも、多数派に対する少数派の後ろめたさも、どちらも理解できる。

  2008.03.17

• 歳をとるという事

  あれもやりたい、これもやりたいと思いつつ、唯一続けているのがクライミングのスクール。それでもお休みも多いので、なかなか上達できない。スポーツクラブも会費だけ払って全く行けないし、バレエもアルゼンチンタンゴも再開したいものの、目処がつかない。先日ばう犬と話す機会があって、年齢について、仕事について話をした。ばう犬は、私よりも６歳＜年をとっている＞が、体力が落ちてきたのを実感する、と話していた。その代わり、自分がやりたいことと、現実として可能なことの限界がだんだん分かってきて、出来ることをしていくようになっていくんだろう、などという内容のことを話し合った（というか、私は聞いていた）。私自身を振り返れば、３０代前半のときにはその年齢が岐路になるとは全く思わず、あれもしたいしこれもしたいと欲ばかりあった。幸いお金には限界があったので、ある程度やりたいことをやって、落ち着いた。「出来る人がそれをやればいい」という内容の話もした。「やりたい人」ではなく「それを遂行する能力のある人」を、能力を持たない人間が邪魔するべきではないとばう犬は考えているらしい。例えば知識が無いままに本を書き、それが世のスタンダートのように思われてしまうなんてことがあったとしたら、それは私欲を超えて世の中にとっての損害だ、などとお茶を飲みながら話した(「本」はばう犬＆Ｍサイトウの現在の最大の関心事である）。なるほどそんな考え方もあるんだなあ、と思った。欲を出す年齢ではないな、と思う。この年齢を過ぎればもう出来なくなってしまうだろう事を数えてみる。今逃せば、一生逃してしまう事柄。再び、岐路に立たされているなあ。歳をとれば取るほど「年齢よりも若くあること」にこだわるようになるらしいが、できれば歳相応に「出来ないこと」が増えて、その代わり「見識っていること」が増えていけばそれが理想かな。緑茶を飲みながら書いたので、内容が緑茶っぽいかも。いや、番茶かな。

  2008.02.21

• ボディワーカーのヘアカット

  いででででで・・・・・・・・・、痛いよう、って域を越してます、このもみ返し。説明が面倒くさいから「寝違えました」なんて言ったけど、昨日言ったヘアサロンで乱暴なマッサージを受けて、もみ返しで苦しんでます。検討違いなところをものすごい力で押されて「凝ってますね～、こうはなりたくないってくらいの肩ですね」といわれました（押してたのは菱形筋から外れたどこだかよくわからない場所）。が、そこはな、肋骨だよ、肋骨！！（泣き笑い）。「痛いのでもういいですから」と言ったんだけれど、若いアシスタントは自分のマッサージにご満悦。ヘアサロンのアシスタントのマッサージって、ちょっと怖いなあ。ほとんどからだの知識は無いマッサージだから。だって、ヘアサロンの専門は「美しさをクリエイトする」ことだから。それを考えるとヘアサロンのマッサージは、ボディワーカーがヘアカットするのに匹敵するくらいに危険（笑）なことだと思うよ。ボディワーカーに、ヘアカット任せられる？前髪だけだとしても？毛先のカットだけだとしても？場違いなところを力任せに押して「凝ってますね」って、こういうのはサービスとはいいませんね。得体の知れない透明な液体を紙コップに入れて無言で出す「サービス」も理解しがたいし、そういうのは排除していいから時間短縮でヘアカットしてください。私は人一倍、自分の感じる快・不快に対して我侭で、且つ忍耐力がない人間ですから。そんなこと言ってるから綺麗になれなんですね・・・。美に犠牲は付き物だ・・・。

  2008.02.18

• 書くのは難しい

  先日３０日はお休みをいただく予定だったので、しばらく更新していなかったブログを更新した。もともと書きたいテーマも意欲も無く、休みの前に仕事を終わらせておこうと無理に確定申告に関連する事柄を書いてみた。ところが、書けば書くほど話題は拡散し、抽象的ながら言い含みがありそうな、なんとも嫌な文章になる。一応アップして、休みの朝を迎えた。朝になり読み返し、書き直したが、それでも何かが違う。先日あった大学時代の同窓会がとても楽しくて、みんな大人の分別が付きつつも、仲間同士でいると、昔の自分（たち）が顔を出してくる。散々悪ふざけもしたのに、社長さんになっている人が２人もいて驚いたこと。自分の視野が狭くなっているときに助けてくださる頼もしい人々が居てくれるのはありがたいと思ったことなど、日常のほんとにちょっとしたことを書きたかっただけなのに、それが全く伝わらない。当たり障りの無い文章を書こうとするほど、特定の人を想定しているような文になってしまうのがすっきりしなくて、貴重な休みの朝を使って何度か書き直した挙げ句、削除した。気が向かないときには、書かないに限る。１日お休みして、少し気分が上向きになった。そして、更にあと２、３日お休みが欲しくなった。

  2008.01.31

• センスの違い

  好みが違ったりセンスが違ったりってことはよくあることです。が恵比寿のセッションルームのスリッパが古くなったので、ばう犬に「新しいの買ってきて」とお願いしたら、ゲットしてきたのは「茶」と「白」のチェックのスリッパ。単品だったら「ばう犬の好みね～」で済むんだけど、ラグの上に載せると…。ピンクとグレーと白の細かいタオル編みのラグに、茶白のスリッパ。ああ、耐え難し、この組み合わせ。旧横浜のセッションルームでは、ラグとタオルは淡いグレーで統一してたのに、セッションルームを引っ越してからは細部に気が回らない。部屋のインテリアに凝るなら、時間をかけていろんなお店を見なくちゃいけないけど、そんな余裕は無いので、ばう犬の買ってきたスリッパは、居心地悪そうに（居心地悪そうなのはむしろラグに見える）トイレに収まっています。来月になったらインテリアを見に行こう。

  2007.10.04

• 健康のマニュアル化

  こういうこと、言っちゃいけないのは分かっているけれど、何をしてもダメなものはダメ、ダメな時はダメ。そもそも、からだに対して敏感な人ほど認識を間違えていると思うことがある。からだは自然なもので、自らのものでありながらも自らを超越したものだってことを。ＡをすればＢになる、そんな通説を信じていませんか？もしもあなたが、このＡ→Ｂを信仰しているのであれば、あなたはからだから最も離れた場所にいると思ったほうが良いかも知れません。世の中にはびこる健康にまつわるハウツー。これをすれば健康になれる、これで美が手に入る。からだって、そんなに簡単なものでしょうか？私は１日に２リットル以上の水を飲んで、炭水化物も消化のいい物を取り、夜は野菜とたんぱく質中心、大好きな砂糖が入った製品は頂き物に関してのみギフトとして跳び上がらんほどに喜んで食べ（どんどんください）、果物はパイナップル（消化酵素を含んでいるから）は必要に応じて採り、お酒だけはワインを楽しんで飲む（大勢で飲むときはとことん飲む、酒の種類に関わらず）という自分としては健康的な生活をしていますが、病気になるときはなるし、年齢に見合った体力になっていく。ある方のブログより「こうも、「現代人には○○が足りない」「現代人の○％が何々」とか言われると、もう洗脳作用によるプラシーボ効果で、ますます健康を悪化させる気がするのだが...。 あの「現代人＝不健康」の図式のばらまきって、健康産業のプロパガンダなんじゃないかなー...と思えてくる。 ちなみに僕は、今年の健康診断では、総コレステロール値が正常値を下回っていた（つまりコレステロール不足）。それは健康？不健康？」私たちが数値で健康を測るようになったのはいつからなんだろうか？無料で健康の数値を計ってくれのるはいいが、数値を上回ると（下回ると）「それではこのサプリを飲むといいですよ」と、有無を言わせない状況で販売行為が行なわれたり、いわゆる「治療院」に健康補助食品が置かれていて「あなたの言う症状にはこの錠剤ですよ」といわれたり。 さんざん「あそこが痛い、ここが痛い」と訴えた後で「これを飲みなさい」といわれると、断るに断れない。国家資格を持っている方だから身体の不調を治せるかというと、必ずしもそうではないのは、そこからこちらにいらっしゃるクライアントさんのお話を聞けばよく分かる。実際に、こちらで改善が見られる人も多い。ばう犬のように、障害者の方をあっという間に治してしまう「無資格者※」も居る。からだは、本来自分に従属するものではなく、自分を超えて限りなく自然に近いものなのだから、ほったからしが一番いいのかも知れない。アスファルトの間から雑草が生える、それと同じことがからだにも言えるのではないか。いわゆる「健康の常識」は万人に当てはまるものではない。私たちは機械ではないのだから、マニュアルどおりに動かなくて当たり前なのだと思う。不調がありつつも、どう上手く対処していけるか。その知恵こそが、私たちに欠けている部分だと思わずにはいられない。※これは某国家資格保持者の方が、民間資格者を指し示した言葉だ。お知らせ再びyahoo!メールが使えなくなりました。恐れ入りますが、申し込みなどの返信はopenpath@hotmail.com にお願いいたします。 

  2007.07.20

• ３７度２分の日

  夢は不思議だ。この世界では存在しない街も架空の家も宝石の山も、目の前にあり私を誘う。空を飛ぶことさえもが可能だし、海の中でも息苦しさはない。何度となく訪れる（現実には存在しない）街は変わらずにそこにあり、小学生の時の友人は大人にならない姿で私を迎えてくれる。手をつないで走る私もいつの間にか小学生になっている。母も叔母も、今の私より若い姿をしている。懐かしくて、甘えたくて、戸惑ううちに私は大人に戻ってしまう。夢は残酷だ。記憶の奥で、やっとかさぶたになった傷を心の引き出しからそっと摘みだして鼻先に突きる。「忘れるな」という。背中に回した手に触れる肩甲骨の高さやつむじの上で微かに動く顎。体温とか、声。もっとパーソナルな特徴。元気であれば、夢に見なかっただろう、実在しないけれど存在する世界。日々。熱を出すことも辛いけれど、この手の届かない世界で、一瞬の純真や愛情、再会の感動、神秘的な真理を掴みかけて引き戻されるのは、もっと辛い。ここんとこ、ずっとtoe。

  2007.07.10

• おつかい

  １１時のセッションを恵比寿で終え、１３時３０分からスーパーバイズをするばう犬を後にする。セッションルームまでの地図を忘れたＹさんを交差点まで探しに行き、出張セッションのため代官山駅までの勾配を登り始める。今日は春と言っても構わないくらいの、穏やかな天気だ。路肩には移動カレーの車が止まり、白衣を着た女性が２、３名と、デニムの年配の男性が注文を待っている。白衣の女性たちは近くの産婦人科にお勤めなのだろうか。そこに、１０００円札を片手に掲げ持つように、足元も朧気に幼い子供が駆けてきた。転げんばかりの勢いだ。白衣の女性たちが「来た来た」と微笑みながら見守っている。１０００円札を渡され、お使いを頼まれたのだろう。その子の全身全霊が、カレーを買う使命に傾いているようだ。脇目も振らず、真剣な顔つきでカレー屋へと駆けていく。この子のように、言い渡された使命が何よりも重大なことに思えた日々があったはずだ。お願いね、の言葉と共に玄関を駆け出た記憶がうっすらと残っている。自分以外の誰かのために、我を忘れるという気持ちを失って久しい。旅行に行った母が消息不明になり、泣きながら帰りを待つ夢を、今朝みたことを思い出した。

  2007.02.22

• ここんとこゆるーく生きてます。

  書きたいけれど、まだモヤモヤとしていて、読んでくださっている方に伝わるように言葉にできないことがいくつもある。モヤモヤ（フィーリング）が言葉という身体を持つのを待っているところ。言葉にならないこと、例えば、先日紹介した本（ポール・ワツラウィック）についてもそうだし、今日のカルチャー講座や解剖学講座についてもそう。ばう犬は、あっという間に文章にしてしまうけれど、私は消化するまで少々時間がかかるタイプのようだ。今週末は、カルチャー講座と解剖学講座が重なったので、週半ばからその準備で忙しかった。とはいっても、多摩カルチャーセンターは、１月期はお休みをいただいたので、毎週日曜日・月曜日と講座を繰り返していた昨年と比べると、気持ちに余裕がある。今年に入ってからは、多摩カルチャーがあった第１・第３日曜日を利用して、ワークショップを受けたり、図書館で調べものをしたり、個人セッションを増やしたりと充電期間に当てている。openpath主催のワークショップも予定している。月曜日の「実践ボディワーク」クラスは、これまでと違った内容で構成していこうという意図があり、それに十分な時間を当てたかったので、このお休みはとても貴重だ。多摩カルチャーに通ってくださっているみなさんには本当に申し訳ないけれど、この期間は有志の方が集まって自主練習会を行なってくださっている。何かを決まった形で継続させていこうとすると無理が生じる。自分や環境を理想に当てはめるようとすると、歪みが生じる。「できればこうなったらいいけれど、そうならなくてもいい」という、ゆるやかなスタンスで出来事に沿っていくのは楽だなあ。そういいながら、毎日よく寝てます。今日も、すでに眠いです。

  2007.01.28

• oppaiさんにインスピレーションを受けて

  リンク先の幸せなふくらはぎみたいなoppaiさんのブログに触発されて。oppaiさん、「客観と理論」という現象学的な素晴らしいブログを書いていらした。全面的に、うん、うんと大きくうなずき肯定しながら読んでいた。その中で、反発しつつも惹かれた一言。＞自分の考えは＞明らかに他者の存在によって構築されているのだから、＞他人の否定はありえない。確かにそうです。だけれど、そこまで結論づけてしまっては「私にも枠があり、あなたにも枠がある。お互いリスペストしましょうね。だって私たちは『みんな違ってみんな良い』」by相田みつを　的な博愛主義的？な、落としどころが決まった、オブラートに包んだ意見交換になるんじゃないかな最後はここに終結しますから」という地点が決まっている約束の下で、考えの相違を探り当てていく過程は（まあ、ぶつけ合う必要もないのだけれど）、なんだか生ぬるい気がする。そもそも、ディベートは混沌の中に行なわれるものであると思っているから。ただし、oppaiさんはこの言葉をあくまで現象学的な意味合いでおっしゃっているのであれば、私の勘違いなので前もってお詫びしておきます。oppaiさんは最後の一行で「他者の否定」と明記しているので、ここでほっと安心する。「他者の意見の否定」とはいっていらっしゃらない。時に思うこと。生活していくうえでの「みんな違ってみんな良い」は「みな、個性をもっているんですよ」と好意的に受け入れられる。ただし、別のフィールドでその言葉を用いたときには「私たちはみなひとつです」と同意語くらいに曖昧で、他の意見が入る余地が無いくらいに頑なで、傲慢になってしまう危険も孕んでいる。ディベートが行なえるほどに熟成した（と思える）お相手とは、お互いが井の中の蛙である前提で意見交換行なわれていると勘違いしているのは私だけなのかもしれない。私としては、謙虚であることと、遠慮なく意見を述べることは全く別の次元のものであるのだけれど・・・・。まあ、偉大なるメルロポンティは、最初に反論の対象となる相手を褒め上げてから意見の相違を述べるという紳士的な方法を取っていたらしいので、それを参考にノーブルなやり方を真似てみるのもいいかもしれない。「他者の存在によって構築されている」つまり私たちは、他者との比較において自分を確認するのであれば、相違を探すことがすなわち自己を確立する行為なんだよね。oppaiさんのブログを借りつつ、ずいぶん本題からズレてしまいましたが、今日はこの辺で。

  2007.01.18

• 昨今の会話より

  ○人間の本性は、良くも悪くもない。動物である人間は欲望に従って生きている。あからさまな生き物としての性質を、知性が上手に覆い隠すので、自分はあたかも社会的・知性的な基準の範疇内で清く正しく生きているかのように思い違えてしまう。知識や教養は、欲望を巧妙に覆い隠す。よい人であることの喜び、よい行いをすることの心地よさ、常識的であること、それらは知的な欲望「自己愛」を満たす。○主成分を多少変えて、商品名を変えた品が再び販売数を伸ばすことがある。身体技法も然り。目新しいテクニックを加え、聞きかじりの知識を足したところで、根本となるパラダイム（原理）がなんら新しいものでなければ、それはボディワークとは呼ばない。ボディワークの名称を利用している方たちに、ぜひ質問してみたいと思う。ボディワークとは何か、と。○Ａのようなもの、Ｂのようなもの、と説明されたときに頭の中に残るものは「Ａ」または「Ｂ」である。「のようなもの」は瞬く間に忘れられてしまう。

  2006.11.20

• 良い経験をしました。

  「霊能力によって霊の世界からのメッセージを受け取ることが出来ます」という方たちが沢山いらっしゃるのは知っていた。私自身、目に見えないものを扱うことに慎重になっている今日この頃なので、こういう方たちが、一般の方に対してどういうアプローチで対話をするのかに興味がある。そしてそれ以上に、現在の自分自身のことをより良く知りたい。かなり高価なセッションなのだが、とりあえずお会いすることにして、山手線に乗って出かけた。オフィスに入ると、そこにはヒーラーともう一人が待機している。もう一人の人物は「カウンセリングの内容を確認させていただくために」同席するのだというが、そうであれば事前の確認は必要であるし、カウンセリングのスーパーバイズ的な要素で私との面談をするのであれば、前もって説明したうえで鑑定料金は低く設定するべきだ。第３者には席を外してもらった。さて、肝心のヒーラー氏だが、何を聞いても的を得ない。「落としていくことが必要なのよ」その一点張りだ。守護霊やら指導霊やらの話はするが、いざ「それじゃあ私の後ろについているのは誰ですか？」といっても答えず「それを言うととらわれる人が多いから言わない」と拒む。指導霊は職業に関する霊が付くと説明するが、私は事前に職業についてかるーく説明しているので「バレエに関する人が付いているわよ」といわれれでも「だから言ったじゃん」と白々しい気持ちしか浮かばない。透視に関しては全く信頼が置けないと感じたそのヒーラーだが、ヒーリングを始めると、からだの力が抜けて暖かーくなっていく。ヒーリングに関しては、多分、間違いの無い人なんだろうな。自分の感情がどこから沸いてくるのかを観察する３０分だった。やはり、目に見えないものを扱うときには十分な注意が必要だ。ロルファーとしての立場で言うと「自分が良い」と思えるものであっても、個人差があるであろうものや信憑性が低いものは、あくまで個人的なツールとして取っておくべきだと思った。そして、頼るものが無いとダメになるワーカーにはなりたくないと思った。鰯の頭が無いと生活が出来ない、セッションが出来ないならば、まずは自分の足元を固めることから始めなくてはいけない。でも、これはあくまで私の経験。行ってよかった、という方もいらっしゃるのは事実。

  2006.11.09

• 

  季節の移り変わり

  夏の空と秋の空

  2006.11.08

• なるほど納得。

  なんだか胸騒ぎがして、落ち着かない。と思ったら、今日は満月だそうです。雨が降って、厚い雨雲が空を覆っているけれど、その遥か上の宇宙には、ぽっかりと（地球側から見た）満月が浮かぶんですね。あさって１１日は、アメリカ行きの飛行機に乗ります。台風が３つも来ているけれど、逆方向に飛ぶので大丈夫なはず。お盆の成田は、きっと混雑しているんだろうなあ。出発まで秒読み。落ち着かないのは、このせいだったりして。

  2006.08.09

• 再び、書きます。

  その日にあったことを、ただ書く。それを基本に始めたブログだが、最近はなかなか書けなかった。心に引っかかることがあり、書こうと画面に向かうと、関連したことを書きそうになってしまう。書きたいことを書いていくブログのつもりだったが、いつの間にか、読んでくださっている方と分かち合いたいと思える出来事を書くようになっていった。嬉しかったこと、楽しかったことは元より、理不尽だと思うことにぶち当たったときや問題意識を持たなくてはと思ったときなど、その時々の心情を書き綴ってきた。時には、コメントの意見交換がヒートアップし、２０以上のご意見をいただくことがあった。コメントの文章と、文章が伝えようとしていることに、しっかりと対面しなくてはと気持ちが引き締まった。ブログが書けなくなって、これまで書いた内容を読み返してみた。なんて自由に書いていたんだろう。プライベートが見え隠れしているところがあるが、今ではプライベートな内容を書く場がもうひとつあるので、書きたいことの大方はそちらで書いてしまっているのだろう、こちらの楽天ブログは仕事一辺倒になっている。自分の意見を公にするのは、本当にしんどい作業だ。言葉には責任が付きまとう。自分にそのパワーがあるときならば勢いで発言できるが、その元気がないと、画面に２、３行文章を書いては消してしまう。もしくは、愚痴とも受け取れる内容を長々と書いた上で、削除してしまう。こんな日々がしばらく続いていたが、また書いていこうと思う。

  2006.08.04

• 泣きっ面に蜂

  西荻窪、横浜でセッションをするようになって２年経つ。セッションルームからセッションルームに移動するのに、１時間半。クライアントさんのリクエストによっては、１日２箇所でセッションすることも少なくない。ワンセッションを終えて、横浜もしくは西荻窪に急ぐ。セッションルームに到着して、部屋の掃除をし、マッサージテーブルのセッティングをし、画像を用意し、今日はどんなセッションになるだろうかと予想を立てる。セッションに使う音楽を選び、スマッジを炊いて部屋の浄化をし、時によってはレイキを下ろして気持ちを静め、セッションに向かう準備を整える。余裕があれば仕事メールのチェックをする。この準備に、大体１時間を費やす。移動の時間とあわせて、２時間半。電車の移動中に読書をすることはあってもこの２時間半はセッションの延長と考えてもいいかと思う。私にとっては、心身共にセッションの準備をする、大切な時間だ。ところが、簡単にキャンセルされてしまうことがあるんだよねえ・・・。キャンセル料の話をすると、「聞いていない」「見ていない」という。確かに、セッションを受けても居ないのに、料金を支払うのは嫌だと思う。それは私も理解できる。すでにセッションが始まっていて、信頼関係のあるクライアントさんならばある程度事情もわかっているが、新規のクライアントさんでは事情がわからない。なので、そこは情を交えずに割り切って、キャンセル料のお話をさせていただく。ただし、信頼関係があると思っていたクライアントさんでも、当日変更を繰り返すこともあるので何を基準にしていいのかが難しい。サイトを見て、セッション時間も確認してくださっているのであれば、連絡先のすぐ下にあるキャンセルポリシーの確認もしてくださっていると思ってしまうのだが、「見てません」「聞いてません」「説明を受けてません」とゴネられることがある。確かに「キャンセルポリシーを確認してくださいましたか？」とは聞かなかったから、私も悪い。でも、移動を含めた２時間半、そして他のクライアントさんのセッションが出来ただろうこの時間、惜しいなあと思うのが本音。かくして、損した上で悪いうわさを立てられる可能性もありっていう泣きっ面に蜂状態になる。でも、当日キャンセルのクライアントさんは珍しいし、マナーの良い方がほどんどなのでこういうトラブルは少ない。キャンセルする側としては、提供できるものが物質としてあるなら（レストランなど）しぶしぶでも支払うだろうが、技術や時間、見えない労力は軽視されがちだ。こういう悩みは私に限ったことではなく、対人の仕事をしている方なら少なからず経験していらっしゃると思う。追記：今後は、ダブルブッキングなどで私側が「キャンセル」または「変更」した場合は、セッションポリシーにしたがってセッション料金を無料もしくは半額にして行うことにしました（２００６年６月２６日より実施）

  2006.06.26

• 雨のカルチャー講座（新宿）

  目が覚めると、雨が激しく降っていた。ばう犬＆MSaitoが担当する読売文化センター新宿での「ボディワーク入門」があるが、足元が悪いのでスニーカーは止めて、サンダルにした。今年初のサンダルだ。黒のヒールの華奢な靴で、足の甲の部分は細い紐が交差されている。昨年はあまり活躍しなかったが、履き心地がよくて気に入っている。雨の日に履くと紐が伸びてしまうので、あまり履きたくなかったが、スニーカーの中で靴下がぐちゃぐちゃになることを想像するとぞっとして、サンダルで水溜りを避けつつハイジアへ急いだ。講義がスタートした時点では、前後にきれいに整列していらした受講生の方たちも、ペアリリースでは思い思いの場所に移動した。お互いに打ち溶け合って、パーソナルスペースが広くなってきたのだろうと思う。今日の音楽は、雨にあまりにもマッチしすぎた。幻想的な音楽ばかりを選んでしまったので、クラスの雰囲気が重くなるかと心配したが、いつも同様に笑い声があちこちから聞かれた。今日は牽引法だったが、デモを詳しく行なった。指針整体のＴさんや、リフレのＮさんなどからいくつか質問が出た。Ｑ「手を動かそうと思うと、一緒に動くクライアントさんはどう対処したらいいか？」Ａ「そういった場合は何もしないことに抵抗がある方、緊張がある方が多いので、受身ではなくセッションに参加してもらう。はじめは動きに抵抗する動作をしてもらい、それから何もしない動作を＜してもらう＞。もしくは、先端（手の先など）をつかまれると緊張しやすいので、体の中心部分に触れることから始める。」Ｑ「ストレッチと牽引法の違いは？」Ａ「カルチャーでの牽引は、筋膜やコラーゲン組織を意識して行なう。一般的なストレッチ法は筋肉を伸ばす目的で使われる」Ｑ「セッションを受けると背が伸びる印象があるのに、縮んで見えるのはなぜ？」Ａ「足のサポートがしっかりすると、それにつながる骨盤が落ち着き、それによって骨盤帯の上に位置する肩甲帯にあった無駄な緊張がなくなる。結果として、重心が下に下りる。こういう状態を、グラウンディングした状態といい表す場合もある」講座終了後、ばう犬はお母様のお見舞いに病院へ、MSaitoはセッションへと急いだ。今朝は再び集合し、「平和だねえ」「平和が嬉しいねえ」と平和を喜びつつ資料作成をした。なんだか老夫婦の会話のようだと可笑しかった。７月末に「ボディワーク入門」セミナー開催が決定。

  2006.06.12

• か、書けません・・・

  普段から大したことを書いているわけでもないのに、文章が出なくなってしばらくブログを書いていません。ばう犬曰く「プライベートブログを書き始めたからじゃないの？」。そうかも知れないし、今月は仕事が終わってからの外出が多く、気持ちが外に向かっていたからかも知れない。いづれにしても、書きたい気持ちになるのを待つしかない。

  2006.04.15

• 見えつつある何か

  この本を読解できたら、何かが見えそうだと思いつつ本を読む。字面を追うのがもどかしい、この先に何かあるような予感。自分とはかけ離れた世界の話ながら、理解の壁を乗り越えられたらその先には助けが待っていそうな、そんな予感。早く、早く、と何かが呼ぶ。

  2006.04.11

• 生きる基準

  今月に入ってから、予約の変更やキャンセルが通常よりも頻繁に起こっている。そして、初めて、キャンセル料金を踏み倒された。キャンセル料に関しては、西荻窪―横浜間をセッションに間に合わせて往復することもあるので、一応の基準を設けたのだが、余程のことがないとキャンセル料金はいただかない（私の中でクリアな基準はあるが、ここでは公表しない）。病気を理由に何度も予約変更を申し出るクライアントさんだった。結局ゴネられた上に支払ってもらえなかった。支払いはさておき、こんなやり方ってあるんだなあと変に感心した。私に欠けているのは、こういう他人を構わないずうずうしさなのかも知れない。友人たちに「止めておきなよ」と言われていた事柄をしばらく前に止めてみた。体重は増えたのに体が軽くなった。ストレスなのは自分でもわかっていたけれど、そんなに無理していたなんてショックだった。一生懸命に積み上げてきたことを諦めるのは辛いけれど、この軽やかさに気付いてしまったら、放り出してしまうことが罪だとは思えなくなってしまう。楽な道を生きるつもりは無い。でも身体と心は「楽になった」というメッセージを送ってきている。さて、どっちの生き方を採用するか。楽を選ばずに生きた結果、手に入ったものも多い。だから、自分に優しい生き方をすれば幸せになれるとは言えない。結果は後になってからしか分からない。何を基準に生きればいいのか。お手本は無い（どんな人にも、お手本なんて無い）。安全で約束された事を欲しがる人の多いことと言ったら、それは驚くほどだ。私も然り。石橋を叩き割って渡る勇気は、誰も与えてくれない。

  2006.02.22

• 小津安二郎、憧れども・・・

  映画好きではなくても、日本を代表する映画監督である小津安二郎の名前を聞いたことはあるだろう。「東京物語」「秋刀魚の味」など多数の有名作品を生み出した、世界の監督が絶賛する監督だ。中流家庭を舞台に、親子の関係や人生の機微を描き、独自のローアングルの手法を磨き上げ、いわゆる“小津調”を確立した。日本映画界を代表する巨匠となった人物だ。独特のカメラアングルや色調、画面構造などで後の日本の映画界に大きな影響を及ぼした人物だ。小津監督の映画は数本見ているが、好んで見たわけではなく、誰かが借りてきたビデオを一緒に並んでみる程度のものだった。それでも、心にじんとしみてくる何かがあって、見終わった後で払っても払いきれない寂寥感と人間の暖かさが残ってしまう。夕暮れの町を歩いていて、知らないお宅から夕飯のにおいが流れてきて、思わず幼い日や両親の愛を思い出してしまい不覚にも涙する、そのときの気持ちに良く似た心情になってしまう。強くあろうとする時には特に、うかつには見れない作品だ。私の中の小津作品では、老夫婦は、いつも同じ方向を向いて、同じ姿勢で坐っている。お互いに、寄り添いながらひとつところを見てきた二人を象徴するかのようだ。そして、夫婦は同じ言葉を繰り返す。たとえば、「今日の結婚式は良かったなあ」「ええ、良かったですね」。「息子たちはどうしているかなあ」「どうしているんでしょうね」、といったように。コミニュケーションには、意味のある言葉を伝えるための会話もあれば、人間と人間が結びつくための、そしてそれをあらわすための会話もある。それが「言葉の反復」なのだ。もしくは、非言語メッセージとして、寄り添って同じ方向を見ることもできる。もし私が老夫婦になったなら、小津映画の二人のように寄り添って、会話を繰り返そう。そこには二人の空間が、二人の調子が存在し、それは何にも邪魔されない。だが、今は無理だろうし、そういうあいまいで柔らかな空間を欲していない。この素晴らしい間合いは、時間と信頼と経験によって培われたものだから、そう簡単に模倣できると勘違いしてはいけないのである。

  2006.01.21

• Special thanks to

  Special thanks toＨ社の皆様、クラニオ臨床の貴重な機会を設けていただきありがとうございました。来月も、よろしくお願いいたします。Special thanks to横浜部隊のGさん、Chieさん、Swimmyさん。おかげさまで風邪はほとんど抜けました。あっという間に！酔っ払ってお風呂に入って薄着でブログ書くのはもう辞めます。がねえ、２５日のお酒は本当においしかったのですよ。私はお礼を言うのを度々忘れます。が、心からの感謝を送らせてください。

  2005.12.28

• 目に見えないけれど感じるもの

  不思議なことってあります。仲良しＥと、先日ブログに書いた明治大学助教授の諸富先生の話をし、「もしかしたらこの辺を通ったりして」なんて冗談を言っていたら、目の前を諸富先生が通った・・・。横浜読売カルチャーの講座の後、受付にあるラウンジでロミロミのＳさん、Ｇさん、アロマのＩさん、アーユルベーダのＳさん、スキルフルタッチのＮさん、そしてスペシャルゲストのわださんと「オーラを見る練習」をしていたら、全員がその場でオーラを見てしまった。わださんの左右の手から出るオーラの色が違うのでばう犬に「違うよね？」と確認したところ、やっぱり違った。夢が必要な情報を届けてくれるとか、遠くに離れた親しい人の動向がなんとなく分かったり（気配が無いからもう寝たな、とか、なにやらはしゃいでいるようだな、とか）、目に見えないけれど「分かる」という経験、ありませんか？知人の占い師、圓聖修さんはそういう非日常を日常として生きている一人。本当は霊感占いが凄い方なんだけれど、それではクライアントさんが納得しにくいのでタロットカードを使います。当たるんですよ、圓先生。OPENPATHはワークルームを二ヵ所持つことや、今後教えていくようになることなど、将来の展開についていろいろ当てられました。中には「当たって欲しくないなあ」と思うこともズバっと言ってくれるので、気の弱いクライアントさんは要注意。何を言われたとしても、自分を変えていける力があれば何とかなるさ、という人向けの占い師です。現在故郷の奄美から都内に出張セッション中ですが、興味がある方は、圓聖修サイトをご覧ください（後ほどＵＲＬをアップします）。今月はすでに予定が入っているので、残念ながら鑑定はできないそうです。目に見えないものに対して、否定的でも嫌悪感を持っているわけでもないし、実際に自分で体験もするのだけれど、それをセッションに持ち込むことはしません。自分も実感できて（目に見えて）、相手にも実感させられる（見せられる）ものを提供したい、いつもそんな心積もりでセッションをしています。私にとって、基本はやっぱり身体です。ところで今、頭の中に何度も流れたマイケルジャクソンの「スリラー」がＭＴＶで流れている・・・。シンクロが多い今日この頃。

  2005.12.02

• 私の時間はどこにいく（愚痴）？

  セッション時間まで、あと１０分あるからトイレに行こう、と思うとドアチャイムが鳴る・・・。約束の時間までに必要な電話を一本かけてしまおう、と思ったらクライアントさんが来ちゃった。時計をみると８分前。「ちょっと早かったですよねー」なんて笑顔で入っていらっしゃる。１０分早いです、８分早いです、といちいちお断りもしていられない。結局、自分の時間をあきらめて、クライアントさんと向かうことになる。時には、もっと早く来る方もいらっしゃる。さすがに待ってもらうが、１０分以上も待たせるわけにはいかないから、やっぱり約束よりも早い時間にセッションをスタートする。そうかと言って、早めにセッションを終えるわけじゃない。８分早くいらしたから、８分早く終わりますからね、なんて言えません。むしろ、必要があれば、９０分よりも長くセッションすることだってある。これじゃあ、自分を切り売りしてるみたいだ。それに○時、と約束する意味が無い気がする。早く来る方たちはだいたい決まっているから、１０分平均Ｘ１０セッション＝１００分、その方たちだけが得する計算になる。不公平だなあ・・・時間にきちんとしたクライアントさんたち、申し訳ありません。最近こんなことが多くて、自分が時間をどう考え、どう扱っているかを改めて考えなくちゃいけないな、と思っていたら、今日はキャンセル。３０分ほど遅れそうだ、という。今日は新宿で講座があり、その後横浜に移動しなくてはいけなかったし、クライアントさんの希望があって、変則的なスケジュールになっていた。したがって、今日は、セッションとセッションのインターバルは３０分しかない。３０分も遅れるのでは、セッション自体が成り立たない。それにも増して、初めてお会いするクライアントさんをしっかり知るための十分な時間が欲しいので、私の場合、第１セッションは（実は）９０分以上の時間をかけて行なうことが多々ある。そういう自分の「クセ」もあって、通常はセッションとセッションの間を１時間空けてある。クライアントの方だって、スケジュールが詰まりすぎていて、着替え中に次の方が入ってきたりする心配もない。セッション時間が長引いたとしても、気にならない。ちなみにセッションが長引いたとしても延長料金なんていただかない。私が必要と思ってセッションしているんだから。実はこういった配慮をしているんだけどなあ・・・。こうやって公にしないと、その努力は知られないままに「お高くとまっちゃって」なんて言われそうなので、公表してみました。今日いらっしゃる予定だった方、身体系の職業の方なんだから、業種が違う方よりも理解が深いかと思ったら逆だった。なかなか次回の予約が取れないと知ったら、いきなり電話を切っちゃったので、キャンセルについて理解していただくために改めて電話を入れた。お互いに、後味の悪い電話になってしまった。丁寧にクライアントさんと向かっていても、それでも悪い評判を立てられるのは私なんだろうなあー。あーあ。

  2005.09.11

• 「謝る」のひとつの意味

  してしまったことは、取り消しが利かない。そこに至った原因をあれこれ探っても仕方の無いこと。時間は遡れず、出来事は残る。後味が悪い出来事ほどずっしりと心に残って、先に進む肩に重しをかける。私たちは大抵、重しを背負ったまま、一生懸命に先に進もうとしている。きっと、歳をとれば取るほど。大変な作業だ。先に進みたい、でもこの重さ！荷物が重くてそこに留まっていては、時間は有効に使えない。そればかりか、過去へ、過去へと自分を引き戻す。そうならないために、重しを軽くする。そのための方法として、謝罪もあるんじゃない？誰に謝るとか、どの出来事に謝るとか、どの言葉にとか、そういうことじゃなく。自分の肩の荷を軽くして、そして相手の重しを軽くして前進できるように。まったく非の無い人間なんて、いないんだから。喧嘩はお互い様なんだから。認めて謝る代わりに食料送ったりしないで（謝罪じゃないから）。逆ギレして相手を刺したりしないで（犯罪になってるから）。時間を頼みにして、次回逢ったときに何事も無かったかのように振舞わずに。自らの行動の責任を取るのが大人のやり方でしょう。「最後まで謝らなかったね」と言ったら「なんであんたに謝らなくちゃいけないんだ」と言われてしまったので。ティーンエイジャーみたいな言いようだと可笑しくなった。その言葉ゆえにその人を嫌いになったりはしませんが、私は自らの非を認めて、自ら謝罪できる人が好きです。

  2005.08.15

• さらば、ならば

  まずはお知らせ。８月１３日、８月２７日に開催する「ボディワーク入門１」「ボディワーク入門２」の申し込みは締め切りました。場所は三鷹の上五会館です。遠くからいらしていただかなくてはいけない方々、本当に申し訳ありません。よろしくお願いいたします。玄関の電気をつけるなり、パシ、という小さな音がして、電球が切れた。まるで、こと切れたようだと思った。いつか皆、死ぬ。当たり前のことだが、ニュースの中や、関わりあいのない他人に対して起きる出来事のように感じて生きてきた。親しい人から遠ざかって起こる分には、死が私を怖がらせることがなかった。いや、母親が肺がんの手術を受けたときですら、死は遠くにあって、私たち家族には関わりのないことだった。夜明け前の首都高で、Ｓ氏の話を聞くまでは。最近知り合ったＳ氏は、２年前に恋人を亡くしている（その恋人は自ら命を絶ってしまったのだと共通の友人から聞いた）。結婚はしていなかったけれど、１０年間という長い月日を二つ年上だった人とともに過ごしたそうだ。ところが、ある日、彼女は一人で逝ってしまった。とてもとても、言葉では言い表せないくらいに辛い日々だったそうだ。その辛い日々の中で最も苦しかったのは「お前がいなくなって、俺はこんなに辛い思いをしているんだ」と話せる相手がもうそこには居ないこと、だったそうだ。どれほど、寂しかっただろう。どれほど、それを伝えたかったことか。眠気が押し寄せてくる時間帯、オレンジ色のあかりで照らされるトンネルの中で聞いた話は、夢の中にいるようでいて、恐ろしくリアルだった。もう居ない恋人に向かって訴えるＳ氏と、それをなす術もなく空中で見守る恋人を想像し、胸が苦しくなった。愚痴も、罵倒も、相手がいて初めて成り立つ。相手がいつまでもここに居てくれることを当たり前のように勘違いしてしまうが、死は平等に訪れる。私が大切に思っている人（たち）も、いつかは私を残して旅立つだろう。その時、私も、自分の嘆きを聞いてくれる相手が居ないことに傷つき、戸惑い、恨み、悲しむのだろう。その日はいつか確実に来るのであれば、時間と空間を共有し、話に耳を傾けてくれる相手が生きて存在することに感謝をしなくては。伝えなくては。伝えるという行為は、自らを癒す行為だ。今日という日には、昨日にも明日にも無い要素が詰まっている。もう戻ってこないのだから、逃さないようにしよう。大切にしていこう。そして、夜となく、朝となく、いつでも聞いて、応えてくれてる人がいることに感謝しよう。駆けつけてくれて、待っていてくれてありがとう。精一杯、生きましょう。この場を借りて：ずぼしさん、素晴らしい食事と時間と出会いをありがとう。これまでもさまざまなきっかけを与えてくださったことに感謝します。Yumiさん、そして辛い話を淡々と語ってくださったＳさん、ありがとう。

  2005.08.01

• 恋愛が成就しない理由

  最近、非常に興味を持っていることがある。それは「呪術」とか「呪い」とか言われる類のことだ。はい、今日は不思議ちゃんな話です。「イニシエーション」とは、通過儀式のことで、ある作法に基づいて儀礼を行い、それをもって新しい世界への参入を意味する。私は、知らずして、このイニシエーションを受けているのかもしれない。イニシエーションは自らの意思を持って参加するものなので、これは「呪い」と呼ぶべきか。身近に、チベットの「チョッド」というイニシエーションを受けた人がいた。チョッドとは鳥葬の儀式で、生まれ変わるために自らを鳥に与えるという。もちろん架空の儀式ではあるが、最中には鳥の羽音が聞こえたり、不思議な影が閉じた目の前を通ったりしたという。ついばまれるような、痛みの実感すらあったらしい。チョッドのイニシエーションを受けたＯ氏とは、当時親しくお付き合いさせていただいていた。Ｏ氏自身も、インディアンラトルを持つシャーマンだ。ある夏の日。夜も更けた公園で、冗談まじりに「円陣を書いて、魔法をかけよう」と提案した。もちろん、軽いつもりで。お酒が入っていたし、開放的な気分で、怖いことなんか無いように思えた。砂の上に円陣を書き、東西南北にしるしを書き始めるＯ氏。なかなか本格的じゃないか。儀式の詳しい内容は覚えていない。Ｏ氏が、指を不思議な形に丸めたり、口の中でぶつぶつ言ったりしているのは覚えている。最後に頭の上を、少し強めにぐりぐりと撫でられた記憶がある。頭から、何かを体内に押し込むような感じの撫で方だった。以降、Ｏ氏と私は、お互いに距離を置いてお付き合いを続けていくことになるのだが・・・不思議なのは、その後私に新しい恋人が出来そうになると、なぜか駄目になってしまうのだ。しなくてもいい喧嘩やすれ違いが起こって、相手と気持ちが離れてしまう。ここでハズしてはいけない！という場で、気持ちがどーんと落ち込んでそれが出来なくなったり、訳もなく相手に腹が立ったりして、残念ながらさようならになることが続いた。Ｏ氏に「もしかして、呪いかけた？」と聞いたところ、ああ、かけたっけな？でも、どの（部族の）呪いをかけたか忘れたから解けないよ、とあっさり言われてしまった。くされ縁の呪いをかけたのか？やっぱり・・・上手くいくはずの恋愛が上手くいかないのは、あの呪いが原因か・・・。いやいや、それは多分に私の性格が災いしているせいで、呪いなんて無いんだとも思う。他人のせいにしないで、このキツい性格をなんとかしなくては。でも、信頼できる占い師さんによれば「きちんと手順を踏んで実行すれば、呪術は効きますよ」ということなので、やっぱり呪いがかかっているのか・・・。どなたか、呪いの解き方を教えてください。そして、めのろさん、musical batonはしっかり受け取りました！

  2005.06.21

• こころに泉を持て

  「これからロルファーになったら、さまざまな要望に応えていかなくてはいけない。与えることの源（リソース）を持ちなさい。泉を枯らさないように。自分に栄養を与えてくれる何かを持つこと。そして、そこから相手に与えてあげること」ユニット２のトレーニング中だったろうか、講師からそんなアドバイスを受けた。まだボディワーク（ロルフィング）が本格的な仕事ではなかった当初は、そんなアドバイスが助けになる日が来るとは思わなかったし、言われている内容も、言葉として薄ぼんやりと理解できる程度だった。ロルフィングという仕事で毎日の糧を養い、税金を払い、嗜好品を買えるようになった今、この言葉の意味がとてもよく分かる。自分が満たされた気持ちでいないと、与えることはできない。自分が不幸では、相手の幸福のために仕事をすることはできない。自分が哀しみの中にいるときに、相手の哀しみを汲んであげることは困難だ。私の哀しみこそを知って欲しいという欲望がむくむくと育ち、わずか９０分という短いセッション時間にも関わらず、プロフェッショナルに振舞うことが難しいことがある。自分が幸せに輝いているように思える日もあれば、打ちひしがれながらも仕事をする日もある。講師は経験でそれを知っていて、リソースを持ちなさいとアドバイスしてくれたんだと思う。自らに栄養を与えてあげるように、と。私にとってのリソースは、感動だと思う。新しい知識を得たり、思いがけずに発想を変えてくれる人や出来事に出会ったり。友人や家族と思い出話をして、共に過ごしてきた日々を確認し合ったり。朝に、夕に、誰かと手を繋ぎあったり。そういう大きな、またささやかな感動を得るたびに、生きていて良かったと思える。分かち合いたいと思える。ＮＨＫ交響楽団定期演奏会のチケットをいただき、昨日、クラシックの演奏会を生まれて初めて経験した。ホールに高く、また静かに、格調高く流れていく音楽を聴きながら、人間がそれを生み出していることに感動していた。ソリストのトラーゼ（ピアノ）の演奏は鳴り止まない拍手でアンコールとなり、どうやら「ソナタの９番」をソロ演奏してくれたようだ。クラシックのジャンルを越え、グルーブする音。彼そのものを観客に向かって発露するような、上品にアグレッシブな演奏だった。演奏の後には情熱が残った。同行してくださった方は、得意先に仕事だと嘘をついて演奏会に駆けつけてくださったのだが、トラーゼの演奏に感動したあまり、得意先の方も読んでいる本人のブログに「仕事をサボってデートをした。演奏に感動し、正直に生きねばと本当を書いている」と暴露してしまっていた。リソースは人を変えていくものでもあるらしい。こころに泉を持て。

  2005.06.13

• 側にいなければ

  大切な人を亡くした方の話を聴きながらなす術も無く、聴いているつもりが話すことを強制しているような気分になり、いたたまれなかった。せめて、側に座って、ティッシュを渡してあげられたら良かったな。携帯をはさんで共有する経験と時間は、薄い。

  2005.06.06

• 自由業的気持ち

  ロルファーになりたいという方たちから相談を受けることが多い。進路が決まって相談される場合は、具体的なアドバイスをすればいいので、相談する方もされる方も、話し合いの後にはすっきりとした気持ちが残る。なろうかどうしようか、迷ってこちらに決めて欲しいような相談をされると答えようが無い。進路に迷っている人は、往々にして、何かを守ろうとしているようだ。だったらそのままでいいんじゃないの、というと、今の生活にも満足しないという。ロルファーとして食べていけるのか、仕事を辞める価値があるのかと聞かれても、それを決めるのはその人だから、本当に答えに迷ってしまう。自分で決めて、その行動の責任をとっていけばいいだけなんじゃないか。それがどんな結果だとしても。そんなことを考えつつ、西元直子著「けもの王」を読んでいました。　　　　　　　　　朝朝から雨が降っている。窓ごしに隣りの屋根をながめる。瓦が濡れている。そのずっと向うに高架線が見える。目の端でちらっとひるがえったように思った。苦痛ということばを頭に浮かべ、ぼんやりＴＶを眺めていた時のことだ。ＴＶのなかでは朝から温泉にはいり茹でた卵を食べ酒を飲んで騒いでいる。考える。やはり思い出せない。牛乳の膜をスプーンですくい取る。温かい牛乳。こんなことしていていいんだっけ。いつも頭の底のところになるひっかかりだ。意識の底と意識の上部とのこの往復はもう何回、何万回あったことだろう。薄暗がりの向うにある世界はいつも私を否応なく招き寄せそしてむりやりに押し戻す。昼間、数えきれないほどたくさんの記憶を失い、夜、記憶は蘇り夢となってわたしを苦しめる。こういう漠然とした不安が嫌な人は、自由業に向かないかも知れないな・・。日本アプレジャー協会から返信。内容を消化して、後ほどアップします。ＭＬへの私的メールの転送は、ばう犬が私の代わりに糾弾してくださっていたので、私はもう言うコト無し（今のところは）。静かに雨の音でも聞きます。

  2005.05.24

• 「ボディワーク入門」

  書いたことが本になる、全国の書店に配布されて、誰かの手に渡るなんていう実感がないものだから、編集者の方から「これでいいですか」「こんな風になりますが」という連絡が入ったとしても悠長なものである。ちらっとファックスに目を通して、「いんじゃない？」と半ば他人事みたいにＯＫを出してしまう。余裕があるのではなくて、事情をよく飲み込めていないのだ。しかし、これでいいのか？こんなものなのか？緊張感というものは起こらなくていいものなのだろうか？ばう犬はといえば、きっちり一つ一つの項目にチェックを入れる。なんだ、この違いは？今回の編集は、編集者がやるよりもばう犬＆サイトーががんばった。項目の前後を変えようと提案してくれたのは編集者で、それによって全体にしまりが出て本当によかったのだが、編集に関してはほとんどがこの二名による。何のための編集者なんでしょう。「文章が稚拙でも、編集の段階でなんとかなるから」なんて、励ましか何かわかんないけれど寄せてくれた友人がいたが、そんなことは全く期待できなかったのである。いづれにしろ、来週の最終稿のチェックが終われば、原稿は印刷に回される。今の段階ですでに、各地の書店には「新刊案内」として案内が送られているらしい。そう聞かされても実感が湧かない。もっと緊張したりしたほうがいいのかなあ。

  2005.05.21

• 再開、かな。

  ブログの休止を宣言して、はや２週間。２週間前、皆さんは何をしていましたか？しばらく前のことを思い出すときには、つい昨日のような、もう何年も前のような、不思議な違和感があります。このブログは、お仕事ブログではありますが、やはり個人が出ていなければ、まったくつまらないブログになってしまうのだろうと思うのです。だから、より正直に、よりプライベート寄りにブログを書き続けていこうと思いました。ブログを休止してからというもの、書かなくては、知ってもらわなくては、という事柄がいくつも出てきました。そんな事柄を、なるべく中立に書いていこうと思います。リンクしてくださっているみなさま、訪問してくださっているみなさま、これからもどうぞよろしくお付き合いください。

  2005.05.19

• ブログはしばらくお休みします。

  ボディワークを正しく知ってもらおうと始めたこのブログですが、ばう犬との話し合いの末、しばらくお休みすることになりました。これまでの文章は、＜決して＞特定の個人に向けて書いていたわけではありません。それでも「心当たりのある人が読んだ時にキツい」とばう犬に指摘されて考え込み中です。もともと文才があるわけではなく、漠然とした使命感で始めたブログです。差し引いても、伝えるという行為をもっと真剣に考えるべきだったと反省しています。でもさー、オカシイことはオカシイって、誰かが伝えるべきだと思うよ。それが私じゃなかったとしても。特定の人に向けて書いているのに、それを感じさせない巧妙な文章なんて、いやらしいと思うけれど。あとは、ばう犬、あなたに託しました。少しは直球で意見を言うようにして欲しいけれど、あなたのブログは読んでいて安心感があります。リンクしてくださっている皆さん、わざわざブログを訪問してくださっている皆さん、申し訳ありません。仕事ブログを仕事の顔で書けるようになるまでに、しばらく自粛期間に入ります。再開の際には、どうぞまた訪問してください。よろしくお願いいたします。THE BACK HORNの「扉」を聴きながら。（誰のために生きていくのだろう。僕ひとりじゃ満たされぬ想い　　って感じで。キズナソングの美しいストーリーテリングなベースラインに慰めてもらおうと思いつつ）お約束だったばう犬さんのマンダラをご覧ください。↓詳細はhttp://tb.plaza.rakuten.co.jp/baucafe/diary/200505020000/

  2005.05.04

• アフォーダンス

  青々と、鬱蒼たる影を落として茂る森林は、太古の湧き水を吸い上げて生まれてきた色だ。降ってくる光の隙間を縫い、大地に這う下草は、時間を刻むようにして地道にその葉を成長させてきた。鳥はコバルトの天空に弧を書き、柔らかな新芽の影では子育てが行われる。美しい自然を＜人間の楽園建設に好立地＞だと受け取るのは、想像力なのだろうか？それとも、想像力の欠如なのだろうか？かつて私をアフォードしてくれた、通いなれたその優しい空間は、誰かによって遮断される。他者の意思でふさがれてしまう空間は、その環境を丸ごと残しながらも、私をアフォードするとは、もはや言えない。

  2005.04.30

• 自然体であるという嘘

  春だもの、この陽気だもの。物忘れもします。クライアントさん、セッション日時を勘違いし現れず、セッションは延期。私はというと、窓を全開にしたセッションルームで春の風を楽しんでいます。私の昨今の関心事は「新しい考え方を取り入れる」こと。これまで私が納得し、慣れ親しんできた古い考えを、新しいものへと変換する時期に来ている気がします。さて、本をしめくくる「あとがき」という項目は、作者や訳者の本音が見え隠れして、外でしか会っていなかった友人の自宅を訪ねるような、本文とは違った親しさがあります。「ボディ・ソシアル―身体と感覚の社会学」　アンソニー・シノット著　高橋勇夫訳を読みました。訳者あとがきは、私をかなり揺さぶりました。・・・本書は、じつは、日本の読者を不安に陥れるために書かれたのである。　私たちは自分にとって何か大切なことを納得したり、他者に向かって説明しようとするとき、思いの強さのあかしとして「自然な感じ」に訴えることがよくある。身をもって感じられた情緒や信憑こそ、もっとも”純粋”で”自分らしい”ものだと漠然と信じられているからである。論理的な明快さや説得などは、むしろ「借り物」であり、「理屈」であるとして、忌避されることさえしばしばだ。自然な実感こそ、あるいは実感に裏付けられた信憑こそ、私たちが外界と”ほんとう”の関係を取り結んだと称するときの、ほとんど「信仰」に近い根拠なのである。・・・しばらく前から、＜造られた＞自然思考や健康思考、自然回帰の考えにそらぞらしさを感じていた自分が肯定されたような気持ちすらしました。私にとってこれらの考えは、あまりに自然を強調するが故に、不自然に映りました。もっとも、この「ソシアル・ボディ」は身体性を社会学の観点から見たものなので、本書で提唱されるのは身体論です。身体と感覚が担わされてきた意味や象徴を歴史的に追及する試みがなされています。自分のものでありこれ以上確かなものはないと信じられていた身体と感覚が、じつは本質的なものでも根源的なものでもなく、おまけに自分のものですらなく、時代の変化に翻弄される客体に過ぎない、と作者は言います。思想の本すらマニュアルのように読まれる時代です。こんな、どこにも真実はないという考えを突きつけられたら、所在無い不安に包まれるでしょう。でも、それが真実なのでしょう。それなら、どうやってボディワークが成り立つか？それは、全体性を見失わないことによって成り立つと信じています。私たちを翻弄する社会や文化すら取り込んで進めていこうという試みがそこにある限り、可能性は開かれている、と感じています。ちなみにアンソニー・シノットの言う＜この世に「自然な感じ」などは存在しない。また、いかなる「感じ」も純粋に個人的なものではありえない＞という一文は、ベルクソン思想にも通じるところがあり、興味深いと思いました。

  2005.04.08

• Sub Rock？有り得ねーよ。

  Alternativeって、どう訳す？この言葉が生まれた背景を知らなければ「代わりになるもの」と訳すんだろう。もしくは、二者択一とか。alternative medicineなんかは代替医療と訳されているけど。じゃあ、Alternative rockを日本語にするなら、どんな言葉を使う？代替ロック？気持ちわりぃ。全然、ロックじゃなくなる。ロックは、対抗していなくちゃいけない。つまりは、代替や添え物、二番手なんていう意味を含んだ訳し方は、alternativeという言葉に対して失礼なんだよ。RockにAlternativeはあっても、subはありえない。Alternativeっていうのは、主流に対抗する新しい価値を提唱するってこと。今まで主流／マジョリティ／当たり前とされてきたことに対して問題意識を持ち、＜＜それに代わる＞＞自分たちの制度・価値・思想のシナリオを作っていくってことであって、subのように既存のものを支えたり、それの代用となるなんてことは断じてしないってこと。私はこの言葉がもつ思想にとても共感を持っているので、"alternative＝代替"という言葉には過剰反応しますよ。ちなみに、代替医療そのものに関して異議申し立てをしているつもりは毛頭無く、訳をなんとかしろよ、って話。そしてalternativeという言葉の背景に、もっと敬意を払ってはどうかって話。 なんか、前回の桜の文章とは別人になってる私です。

  2005.04.04

• 男性脳が作った"Every Breath You Take"

  ８０年代は、聴きやすく親しみやすいメロディーの「商業ロック」が盛んだった時代でもありますが、その流れに飲み込まれること無く、自分たちの音楽を追求していたのがThe Policeです。民族音楽にも似た聴きなれない音階は聴く者を不安にさせましたが、彼らの独特の世界に中毒してしまうのに、時間はかかりませんでした。The Policeの"Every Breath You Take"は、８０年代ロックの中でも幅広い層から支持された曲だと言えるでしょう。・・・Every breath you take　　　Every move you make　　　Every bond you break　　　Every step you take　　　I'll be watching you・・・君の呼吸のすべてを君の動きのすべてを君がダメにする絆のすべてを君の歩みのすべてを僕は見ているよという、一種ストーカー的な愛を唄った曲です。たくさんのアーチストがカバーしているこの名曲ですが、どの訳詩をチェックしてみても、男性の視点からの訳になっているのです。見ているのは男性だと思いますか、それとも女性だと思いますか？男性と女性の視覚と脳の働きには大きな差があります。男性は女性と比較して視野が狭く、遠くを見る能力に長けています。そして男性の脳は目的思考型で、人の姿と背景を空間的・分析的に分離する傾向があるそうです。曲に照らし合わせて考えて見ましょう。「僕」は決して彼女の側に居て彼女を見ているわけではなさそうです。遠くから観察しているようですが、遠くを見るのに適した視覚を持つのは男性です。行動ひとつひとつを克明に捕らえているのは、目的思考の男性が、決めた目標に集中している姿とも受け取れます。周りが見えないくらいに、一人を目で追う場合には、人物と背景を分離できた方が便利です。あまりにも分析に偏ると、せっかくの名曲を損ねてしまうので、いい加減にします。恋する人間の切ない気持ちを自分に重ねるも良し、昔の思い出として、一歩退いたところから眺めるのも良し。「こんな想いしたことなんか無い」って方。あなたはものすごく幸せか、恋愛の一番おいしい部分を取り逃がしているか、です。歌詞に興味がある方は、フリーページをご覧ください。

  2005.03.11

• 時間と変化

  今日から３月です。・・・・今日から３月！？年賀状の返信を心配していたのが先日のようなのに。バレンタインのチョコレートをいただいたのが、昨日のことのようなのに。（そうなんです、あげてないけどいただきました）宇宙の法則では、地球は２４時間で一回転します。一番重量がある惑星、木星は１０時間で一回転。木星の一日は、地球よりも早く過ぎます。時間はすべての人に平等に与えられる、といいますが、実はそうではないらしいのです。「高速で動く船中では時間が遅れる（時計の動きが静止系に比べて遅くなる）」「宇宙船が光速（３０万キロ／秒）に達すると時間は停止する」。近未来には、宇宙船を光速に走らせて、時間を停止させた上で仕事をする、生活する、なんてことが出来るのでしょうか。それならば、エイジングの問題も、時間に追われる生活も、過去のエピソードとして語られるのかも知れません。東京工業大学生命理工学部　本川達雄氏の説によると、動物の時間の感じ方は、身体のサイズによって変わってくるそうです。「時間は体重の1/4乗に比例する」ので、体重が軽い子供時代には一日を長く感じ、身体が大きくなった現在では、相対的にみて一日があっという間に感じるそうです。毎日が同じような日々に感じられていても、私たちの身体は変化しています。私たち自身も、経験によって変化していきます。身体と心の相関、という観点から見ると、身体が変わっていく限り、昨日の自分と今日の自分は別の「私」です。変化しないことなど、無いと言ってもいいでしょう。宇宙という広大な時間の中で呼吸をして、生きて（経験して）、そして人生を終えていく小さな存在が私たちですが、なかなかに素敵な生き物だと思います。あっという間の毎日。何が大切か、何を明日に持って行きたいのか、何を今日に置いていきたいのか。見極めて、毎日を大切に生きていこうと思います。

  2005.03.01

• 春一番

  風に髪の毛をめちゃめちゃにされたり、持っている紙袋が後ろに飛ぶので歩きにくかったり、舞い上がったマフラーで目隠しされたりしているのに皆さん、にこやかで、なんだか嬉しそうでした。

  2005.02.23

• Let Me Make You Happy

  ごくごく親しい人と話をするとき、気がつくとその人の手や足をリリース（緊張を解いてあげること）しながら会話していることに気づきます。リリースしていると、わたしの手を通して、その人の日頃の緊張が伝わってくる気がします。　これまでの歴史の流れを見ると、人間の持つ感覚（視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚）のうち、視覚などと比較して、味覚と触覚は＜欲＞に関わるものとして、低い位置づけをされてきました。特に、肉体の欲求を悪とする一部の宗教では、食欲や性欲に関わってくるこの二つの感覚はタブーであり、克服すべき感覚だったのです。時代の移り変わりと共に、「触れる事」に関する研究がいくつも成されました。現在では、わたしたちの身体的、情緒的、知的発達にとって欠かすことの出来ない要素だということは、一般に認識されています。触覚の社会学を創始したモンタギューが、以下のように述べています。「私たちが大いに必要としているのはさらなる光だけではない、私たちはさらなる温もりをも必要としているのだ。かつて一人として光の不足のために死んだ者はいないが、無数の人間が温もりの不足のために病気になり、衰弱し、死んでいった。それは他者たちとの親しみのこもった接触から生じるぬくもりであり、彼らがこちらの幸福に関わりを持っていることをはっきりと表明する温もりなのである。」最後の「彼らがこちらの幸福に関わりを持っていることをはっきりと表明する温もりなのである」という一文がとても好きです。「人生」でも「愛」でもなく、「幸福」にかかわりを持つ・・・。幸福は、移ろいゆきません。幸福は、年齢に依りません。文章を書いていて、大切な人たちに触れたくなりました。

  2005.02.21

• 私を泣かせたサンドイッチ

  「受験生の息子に持たせたものと同じものですが」と、クライアントさんからお弁当をいただきました。開けてみると、食べやすく切ったカツサンドとハムチーズサンド。甘いパンが少しと、デザートにイチゴが入っていました。サンドイッチを手に取った時点で、私の気持ちは一直線にそのカツの香ばしい匂いや、パンの柔らかさに向けられました。舌の裏から唾が滲んできます。一口噛む瞬間に、祈りに似た気持ちが湧き上がってきました。・・・母は、どんな気持ちでこのサンドイッチを息子のために作ったんだろう・・・そう思うと、自分が息子になったようで、ありがたさで涙が出ました。私たちは、いろいろな方法で、自分以外の生き物や事象と関わって生きています。あまりにも日常的な関わり方なので、それと気づかず過ごしていることがほとんどです。今回の体験のように、「食べる」ことがそのひとつでしょう。梅原賢一郎氏の「カミの現象学」を読むと、生活や遊び、祈りが、それと知らずして、自分と外部とをつないでいることを深く理解します。この本では、「穴」という言葉を「自分と自分以外のものとの間の回路」と捕らえ、日常や伝統と私たちとのつながりを、日本文化論の視点から解説しています。食べること、触れること、聞くこと、話すこと。よせる、まねく、うつすという作業。いづれも、自分と外部とを交流させる行為です。こうした日常性に意味を見出し、神性を見出すことにより、丁寧に生きることを学ぶのではないでしょうか。私たちは、ここに挙げた行為なしに生きていくことはできません。出来たとしても、何かが欠けている不在感を持ち続けるでしょう。生きていくこと＝関わっていくことそんなメッセージを受け取った一冊でした。「カミの現象学」　梅原賢一郎　角川書店一般書店ではなかなか見つかりませんが、ブッククラブ回さんで取り扱いがありました。http://www.bookclubkai.jp/サンドイッチを食べたその時、私は母の愛情とつながった。そう思いました。

  2005.02.11

• 発達する大人

  マイクロカウンセリングというカウンセリング技法を生み出したアレン・アイビーという心理学者は、人生の後半にあたる時期、心理学者ピアジェに代表される「発達心理学」を好んで研究したそうです。発達、という言葉からは、未熟なものから成熟したものへの変化という印象を受けます。特に発達心理学というと、乳幼児から成人に成長するその過程を客観的に捉える学問という捕らえられ方をしがちです。ところが、今回のカウンセリング講座では、人間は死ぬまで発達していくのだと知り、新しい洞察が生まれました。人間は、年老いても成長＝発達を遂げていく生き物なのです。もちろん、運動能力や判断能力の低下などを避けることは出来ません。ですが、知能の中でも記憶などに関わる機能的なもの＝「流動性知能」は衰退しますが、覚えた知識＝「結晶性知能」はそのままだとされています。つまり、経験はその人の中に根付き、更なる経験を積むことによって、私たちの人生はより彩りに満ちたものになるということです。人生は、何年生きたかではありません。何を経験してきたかなのです。それは、自分にとっての「何か」で無くては意味がないのです。初めてお会いした立正大学の楡木先生は、素晴らしい講師であり、経験豊富な慈愛に満ちたカウンセラーでした。いくつになっても、学ぶということは楽しいことです。

  2005.01.14

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